「....わざわざ来なくていいのに。何で来たんだよ」
「別に良いだろ? 単純に興味があったし、確認したい事があったからな」
プールの監視から数日後、学園では授業参観があった。俺とイリナちゃんはエボルトに
来なくてもいいと言っていたのだが、何故かエボルトはグレイフィアとオーフィスを
連れて教室に来ていた。
「確認したい事?」
「あぁ。ま、そこはあんまりお前らが気にしなくていい」
「....そうか」
「というか、店の方は大丈夫なの?」
イリナちゃんは不思議に思ったのかそう聞いた。
「あぁ。今日は臨時休業にしてきた。零奈達三人も何処かに出かけていった」
「三人?」
「黒夜は妹の方に行ってる。だから三人だ」
「そういう事か....」
俺は大体の事情を察してそう呟いた。
「創二、頑張る」
「何を頑張ればいいんだかな....ま、学園だから大人しくしててくれよ」
「わかった」
「良い子だな」
そう言いながら、俺はオーフィスの頭を撫でた。そうしていると、授業が始まるチャイムが
鳴った。
「じゃ、また後でな」
そう言って、俺とイリナちゃんは自分の席に戻って授業を受けた。
~一時間後~
「....何だアレは」
授業が終わり、俺は生徒会の仕事で校舎の見回りをしていた。すると、体育館の方で何かの
人だかりができていた。よく見てみると、人だかりの中心にはコスプレをした黒髪ツインテの
保護者らしき悪魔がいた。
「(この魔力の感じ....会長の親戚か。随分と奇抜な恰好な事で....)」
そう思いながら俺は会長に電話を掛けた。
「もしもし会長」
『石動君、どうかしましたか?』
「何か体育館で会長の親戚らしき悪魔がコスプレ撮影会をして....」
『石動君、速やかにそこにいる人達は離れさせてください! 私もすぐに向かいます!』
会長はまくしたてるようにそう言うと電話を切った。
「(随分と焦ってたな....)」
俺はそう思いながらも会長に言われた事を始めた。
「そこのコスプレに群がってる保護者兼生徒ども! さっさと写真撮影やらその他をやめろ。
ここはコスプレ会場じゃねぇんだよ。やめない場合、保護者は即刻退場、生徒どもは教室で
反省文20枚だ。これは生徒会長からの警告だ」
俺がそう叫んだ瞬間、コスプレ悪魔に群がっていた人間は蜘蛛の子を散らすように
逃げていった。
「....さてと、おい悪魔。こんな所で何やってやがる。それとその恰好。一応ここは学園だ。
もう少しマシな服装をして来い」
「えぇ~。でも、これが私の正装なんだもん☆」
「(ウゼェ....)」
そう思っていると、息を切らした会長がやって来た。その後ろには無能と無能の眷属、そして
赤い髪をしたスーツの男がいた。
「(無能の親族か....)」
「あ! ソーナちゃん☆」
「お姉様! 何ですかその恰好は! ここは学園なんです! そのような恰好で来られると非常に
困るんです!」
「えぇ~! 私は魔法少女なんだよ☆なら、この格好は普通だよ!」
「そんなわけありますか! 私はこの学園の生徒会長です! だからこそ、身内のその様な恰好を
認めるわけにはいきません!」
「ひ、酷いよソーナちゃん! せっかくソーナちゃんの衣装も持ってきたのに!」
そう言うと、会長の姉はどこからともなく色違いの衣装を取り出した。
「私は絶対着ませんよ! それよりも、やる事が終わったなら早く帰ってください!」
そう叫びながら、会長は俺を盾にするかのように俺の後ろに回った。
「俺を盾にするの止めろ....ていうか、こんなのが会長の姉か?」
「えぇ....残念な事に」
「きょ、今日酷くないソーナちゃん!?」
「知りません! もう少し自分は魔王という立場を理解してください!」
「魔王って....こんなのがか....」
俺は会長の言葉にそう呟いてしまった。
「というか、君誰!? ソーナちゃんに君みたいな眷属は....」
「お姉様、彼はコカビエルを倒した張本人です」
「っ!? へぇ....君が....」
会長の姉は驚きながらも俺の事を見定めるような眼で見てきた。
「うんうん☆なかなか良い感じだね! この前はソーナちゃんを助けてくれてありがとね☆
私はセラフォール・レヴィアタンって言うんだ☆気軽にレヴィアたんで良いよ☆君の
名前は何て言うの?」
「....石動 創二だ」
「ふむふむ、良い名前だね☆あ、そういえば創二君は今度行われる会談の話し知ってる?」
「会談?」
「そ☆三大勢力のトップが集まって話し合いをするの☆その会談に、良かったら君も
出席してくれないかな?」
「....何で俺が」
「コカビエルを怪物にした敵についての話しを聞きたくてね。あ、一応強制じゃないからね☆
気が向いたらで良いから☆」
「....考えておく」
「そっか☆ありがとね☆」
そう言うと、会長の姉は無能の方に向かっていった。
「....あんなのが姉で大変だな、会長」
「えぇ....本当ですよ」
「....んじゃ、俺は仕事に戻るぞ」
そう言って、俺はこの場から離れた。
~その日の夜~
「三大勢力の会談か」
「あぁ。三大勢力のトップが集まるんだとよ」
「そうか。なら、丁度いいな」
家に帰り、エボルトのラボで話しをするとエボルトはそう言った。
「丁度いい?」
「あぁ。少し試したい事と、ある吸血鬼を回収するのにな」
「吸血鬼? そんな奴いたか....?」
「いたんだよ。旧校舎の中にな。恐らく、あの無能娘の眷属だな」
「....そうか。で、その吸血鬼を回収してどうするんだよ」
「ん? まぁ、ある奴に渡すんだよ。こっち側に引き込むためにな」
「俺が何かすることはあるのか?」
「あぁ。ま、それは会談が近づいた時な」
「....わかった」
そう言いながら、俺はラボから出た。すると、俺の携帯が鳴った。見ると、それはルフェイ
からだった。
「もしもし」
『あ、石動さん!』
「どうしたルフェイ」
『禍の団に動きがあります。数日後の三大勢力のトップが集まる会談にカテレアという
旧魔王が攻め込むそうです』
「っ! それ本当か」
『はい。間違いありません』
「そうか。情報ありがとな」
『いえ! お気になさらず。それともう一つ....』
「....わかった」
『では、皆様お気をつけて』
そう言うと、ルフェイからの電話は切れた。
「(....策の練り直し、伝えに行くか)」
そう思いながら、俺はエボルトのラボに戻っていった。