「いやぁ、買った買った! これでしばらくは大丈夫だな!」
俺は今、店を創二達に任せて一人ブラジルに来ていた。何故ブラジルに来ていたかと
言うと、店で新たに出すコーヒーの豆を買いに来たためだ。
「(にしても、店も随分とデカくなったもんだ)」
オーフィスが来て三年、黒歌が来て二年近くが経った。
黒歌はオーフィスと同じく店の手伝いをよくしてくれた。ただし、身バレを防ぐために、
俺の力で家の地下にいる時以外は顔を変えているが....
そして、黒歌は創二が俺の力を使い悪魔から妖怪に戻っていた。
そのせいか、黒歌は随分と創二に懐き、最近は毎日オーフィスと創二の取り合いをしていた。
創二はその争いに困惑しているが、俺はその様子を見て毎日大笑いしていた。
「(さて、アイツらに土産を買ってやるか)」
そんな事を考えながら曲がり角を曲がった時、俺は一人の女とぶつかった。
「うおっと!?」
「っ!」
俺は何とか踏み止まったが、女の方は尻餅をついていた。その時、俺は女の姿を見て
不思議に思った。夏だというのに女は黒いフード付きのマントを着ており、顔を隠すほど
フードを深く被っていた。
「すみません....!」
女は俺に一言謝罪すると。逃げるようにこの場から走っていった。すると、女が来た
方向から十人ぐらいの男の集団が走ってきた。
「くそっ! 何処に行った!」
「まだ近くには居るはずだ!」
「絶対にあの女を逃がすな!」
そう言って、男達は女が走っていった方に向かっていった。
「騒がしいもんだな....」
そんな事を呟きながら、俺は土産を買いに行こうとした時、手に違和感を感じた。
不思議に思って俺は手を見てみると、俺の手には真っ赤な血が付いていた。しかも、
この手はさっきの女に当たった場所だった。
「はぁ〜....どうっすかねぇ」
そんな事を呟きながらも、俺の歩く方向は男達の方に向いていた。
〜〜〜〜
? side
「(っ、行き止まり....)」
私は追ってから逃げるために路地裏に入ったが、そこは行き止まりだった。
「(早く逃げないと....!)」
そう思い、私は急いで来た道を戻ろうとしたが....
「見つけたぞ! グレイフィア・ルキフグス!」
私が来た道は、既に追っ手によって塞がれていた。
「(っ、しまった....!)」
「どうやら貴様もここまでのようだな」
「この裏切り者め! 大人しくここで死んでもらうぞ!」
「っ、誰がこんな所で....!」
私がそう言うと、追っ手の何人かが私に攻撃を仕掛けてきた。私は避けようとしたが、
今までの蓄積した疲労のせいで上手く避けれずに攻撃を受けてしまった。
「ぐっ....!?」
私はその場で膝をつき、動く事が出来なくなってしまった。
「ここで終わりだな」
「だがどうする? 殺すには惜しい身体だぞ?」
「それもそうだな....」
「なら連れ帰って性処理道具にしようぜ!」
「良いなそれ!」
そう言って男達は下劣な笑みを浮かべながら私に近づいてきた。
「(こんなところで、終わるんですね....)」
私はこの状況に絶望して目を閉じて涙を流した。だが、その時....
「お〜っと、ちょっと待てよ」
私の目の前から陽気な声が聞こえてきた。私は目を開くと、そこには私がさっき
ぶつかった男性がいた。
「な、何だテメェは!」
「何処から現れた!?」
「何処からって、上だよ上」
男性は上を指差しながらそう言った。
「ま、そんな事はどうでも良いか。お前等、女性には優しくしろって習わなかったのか?」
「人間風情が....! 悪魔である俺達に口答えをするか!」
「悪魔ねぇ....そんな雑魚みたいな見た目でか?」
男性は追っ手の悪魔達を挑発するような事を言った。
「に、人間の分際で!」
それに反応した悪魔は男性に向かって攻撃をした。
「っ、逃げ....!」
私は男性に逃げてと言おうとしたが、男性は逃げずに、片手から赤い衝撃波を放って
悪魔の攻撃をかき消した。
「「「「なっ!?」」」」
「嘘っ....!」
その状況に、私と追っ手は驚いた。
「フッフッフ....! ハッハッハッハ! 良いねぇその表情! 人間と思って見下していただろ?
甘いねぇ。実に甘い!」
「な、何なんだお前は! 悪魔の攻撃を防ぐ人間などいるはずが....!」
「そもそも人間と思っているのが間違いなんだよ。俺は人間じゃあない!」
男性はそう言うと、私に紙袋を渡してきた。
「悪いがコレ頼むぞ」
「えっ....?」
「さぁて悪魔ども。少し俺と遊ぼうじゃないか」
そう言うと、男性の手にカラフルなベルトの様なものが現れた。
『エボルドライバー!』
『コブラ! ライダーシステム! エボリューション!』
そして、男性がボトルの様なものをベルトに挿し込んでレバーを回すと、交響曲の様な
音楽が流れながらプラモランナーの様なものが現れた。そして....
『Are you ready?』
「変身」
男性がそう言った瞬間、ランナーは重なり、男性の姿は異形に変わった。
『コブラ....コブラ....エボルコブラ! フッハッハッハッハッ!』
〜〜〜〜
エボルトside
「な、何だその姿は!?」
「貴様、神器持ちか!」
『神器ってのは何かは知らねぇが、コレをそんな物と一緒にするな』
俺はそう言いながら悪魔どもを挑発した。
『さ、来るなら来い。先攻は譲ってやるぜ?』
「な、舐めやがって!!」
悪魔の一人は俺の挑発にキレ、拳を炎に纏わせて殴りかかってきた。俺はそれを
片手一本で止めてやった。
「なっ!?」
『はぁ....ハザードレベル0.5か。これじゃあ使い物にもならねぇな』
俺はそう呟き、殴りかかってきた悪魔の中に毒を注入した。
「っ! グホッ....!?」
すると悪魔は苦しみ出し、身体全体に毒が回りその場で消滅した。
「なっ!?」
「き、貴様! 一体何をした!」
『話すわけねぇだろ? それよりも、死ぬ覚悟はできたか?』
そう言いながら、俺は黒いボトルを振ってベルトに挿し込んだ。
『機関砲! ライダーシステム! クリエーション!』
そして、俺がベルトのレバーを回すとホークガトリンガーが現れた。
『さて、どうせお前らもハザードレベル1以下だろうし、一気に終わらせてやるよ』
そう言い、俺はホークガトリンガーのマガジンを回し始めた。
『Ten! Twenty! Thirty! Forty! Fifty! Sixty! Seventy! Eighty! Ninety! One Hundred! フルバレット!』
『Ciao〜』
俺はホークガトリンガーの銃口を悪魔どもに向けて引き金を引いた。銃口からは百発の
エネルギー体の鷹が悪魔どもに襲いかかった。
「ぐわぁぁ!?」
「な、何故だぁぁ!?」
悪魔どもは醜い断末魔を上げながら爆発して、この世から消滅した。
『ふぃ〜、呆気ねぇ連中だ』
俺は消滅した場所を眺めると、後ろにいる女に話しかけた。
『よぉ、さっきぶりだな』
「あ、あなたは一体....」
『俺の名はエボルト。地球外生命体だ』
そう言いながら、俺はトランスチームガンを取り出した。
『ま、詳しい話しはここから離れてからだ』
そう言って、俺はトランスチームガンから煙を出してここから離れた。
〜〜〜〜
nascita
「っ!? ここは....」
『俺の家だ』
女は場所が急に変わったことに驚いていた。そして、俺は変身を解除した。
「ついてこい。怪我を治してやる」
俺がそう言って地下に行くと、女は少し不安そうにだが俺の後をついてきた。
そして、俺はボトルを置いている部屋に入ったのだが....
「黒歌ぁ! 青コウラ投げんじゃねぇ!」
「にゃはは! これで一位は貰った....」
「えい」
「にゃぁぁ!? オーフィス何で赤コウラ持ってるにゃん!」
「知らない....」
部屋では三人がマリ◯カートをやって大騒ぎしていた。
「おーい。お前ら帰ってきたぞ」
「あ、エボルト」
「おかえり....」
「おかえり。後ろにいる悪魔の女はどうしたんだ?」
創二は後ろにいる女に気づいてそう言ってきた。
「まぁ色々あってな。ドクターフルボトルは何処だ?」
「ドクター? 確かこの辺に....」
創二はボトルを置いている所からボトルを探して俺に投げてきた。
「ほれ」
「サンキュ」
「あ、あとアンタ。傷治したら風呂にでも入りな。黒歌、お前の服貸してやれ」
「はいはーい」
「オーフィス、お前も風呂沸かしてきてくれ」
「わかった」
創二がそう言うと、二人はそれぞれ動き出した。そして創二も上に上がって行った。
「....とりあえず、傷を治すか」
「は、はい....」
〜〜〜〜
「で、あの悪魔の女はどうしたんだ?」
俺が女の傷を治して風呂場に案内し上に上がると、コーヒーを作っている創二に
そう聞かれた。
「まぁ、ちょっと色々あってな。その時に助けてやったんだよ」
「へぇ....意外だな」
創二は俺の言葉を不思議そうにそう言った。すると、地下に行くための冷蔵庫が開き、
黒歌の服を着た女と、黒歌とオーフィスが出てきた。
「あ、あの、お風呂までわざわざありがとうございます....」
「気にすんな気にすんな。とりあえずここに座りな」
俺はカウンターの椅子を引いて女をそこに座らせた。すると、創二がコーヒーを女の
前に置いた。
「砂糖はいるか?」
「い、いえ....い、いただきます」
女はコーヒーを一口飲んだ。女はコーヒーを飲むと、少し緊張がほぐれたような
表情に変わった。
「....美味しい」
「そうか。....それで、アンタは一体何者なんだ?」
「....私はグレイフィア・ルキフグス。旧魔王派の悪魔だった者です」
「「旧魔王派?」」
その言葉に、俺と創二は首を傾げた。
「旧魔王派とは、冥界において初代魔王であった者達の末裔と、彼等の思想に賛成した者達で
構成された派閥のことです」
「旧魔王派は、現魔王達と、敵対関係にある」
オーフィスが付け加えるようにそう言った。
「へぇ」
「じゃあ何でお前は同じ派閥の悪魔に追われてたんだ?」
あの悪魔達が裏切り者と言っているのを思い出して俺はそう聞いた。
「それは、私が旧魔王派を裏切ったからなんです」
「裏切った?」
「はい。私は、彼等の思想には賛成していなかったんです。そして、彼等の行き過ぎた
行動に耐えられず、彼等を裏切って逃げていたんです」
「で、偶然俺と会ったのか」
「はい。助けていただき、本当にありがとうございます」
グレイフィアは礼儀正しく、綺麗に頭を下げた。
「気にすんなって。で、お前はこれからどうするんだ?」
「それは....」
俺がそう聞くと、グレイフィアの表情は曇っていった。そんな様子を見て、俺は一つ提案した。
「行き場がないなら、ここに住むか?」
「えっ....?」
「ここだったら安全だし、衣食住は揃ってるぜ?」
「で、ですが! それはご迷惑では....」
「別に俺は気にしないぞ」
「私も特に気にしないにゃん」
「我も」
三人はグレイフィアの言葉に被せるようにそう言ってきた。
「だとよ。言っておくが俺も気にしてねぇからな」
「....っ!」
「さ、どうする? 俺達はお前を歓迎するぜ、グレイフィア」
「本当に、よろしいのですか....?」
グレイフィアは心配そうに聞いてきた。
「おう」
「....で、ではお願いします」
「っ! そうか! だったらこれからよろしくなグレイフィア。俺の名はエボルト。
地球外生命体、言うなれば宇宙人だ。この姿の時は石動 惣一と呼んでくれ」
「俺は石動 創二。元兵藤 誠二という名前だった人間と地球外生命体のハーフだ。
よろしくなグレイフィア」
「私は黒歌。元SS級のはぐれ悪魔だった妖怪にゃん。これからよろしくにゃん。
一応石動 黒夜っていう名前も持ってるにゃん」
「我、オーフィス。ドラゴン。石動 龍奈という名前。よろしく」
俺の自己紹介に続くように、三人もそれぞれ自己紹介をした。
「はい。皆さん、よろしくお願いします」
これが、俺の将来の嫁との出会いになるとは、この時の俺達は知る由もなかった。