「....塔城、俺を頼るのは別に良い。だがな、悪魔の事で俺を頼るなよ....」
「すみません....」
ギャー助と会ってから数日後、俺は再び旧校舎に訪れていた。その理由はというと、
ギャー助が封印された部屋に引きこもり、説得するように塔城から頼まれたからだ。
「はぁ....ギャー助は?」
「この部屋の中です....」
塔城が指差した先には黄色のテープが貼られた扉があった。
「....おいギャー助。聞こえてるか」
俺は扉に近づき、扉の向こうにいるギャー助に向かってそう言った。
「石動先輩....?」
「お前、二日後の土曜暇か」
「土曜日ですか....? 特に何もないですが....」
「そうか。じゃあその日、出かけるぞ。塔城、お前も予定空けとけよ。じゃあ、俺は帰るぞ」
そう言って、俺は自分の家に帰った。
~~~~
土曜日
土曜日になり、俺は私服姿で学園の前にいた。すると、ギャー助を連れて塔城が来た。
「おはようございます、石動先輩」
「お、おはようございます」
「おう。二人とも時間ぴったりだな。んじゃ、行くか」
そう言って、俺はビルドフォンをマシンビルダーに変形させ、マシンビルダーの隣に
追加でサイドカーを取り付けた。
「ギャー助、お前はサイドカーの方に乗れ。塔城は俺の後ろに乗れ」
俺は二人にヘルメットを渡しながらそう言った。
「石動先輩、これからどこに行くんですか?」
「ん? それは着いてからのお楽しみだ。じゃ、しっかり掴まってろよ」
そう言って、俺はバイクを走らせた。
~~~~
バイクを走らせ、俺達が着いたのは女子向けの服屋だった。
「ここですか?」
「あぁ。ギャー助、お前こういう服が好きなんだろ? 塔城から聞いたぞ」
「は、はい!」
「そうか。んじゃ、欲しいものがあったら言え。俺が買ってやるよ。塔城、お前も何か
あったら言え」
「....良いんですか?」
「あぁ。とっとと店入るぞ、二人とも」
そう言って、俺は二人を連れて店に入った。そして、二人は俺に意見を聞きながら服の試着を
し始めた。そして、気に入ったものをカゴに入れて俺のもとに持ってきた。
「二人とも、これで良いのか?」
「はい」
「はい!」
「わかった。じゃあ少し待ってろ」
俺は二人からカゴを受け取ってレジに持って行き会計をした。値段はそれなりにしたが、
二人が喜んでいるようだったからそれほど痛い出費ではなかった。
「ほれ、二人とも」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます先輩! ちょっと待っててください!」
そう言うと、ギャー助は試着室の方に行って買ったばかりの服に着替えて戻って来た。
「ど、どうですか?」
「おぉ、良く似合ってんじゃねぇか」
「似合ってますよ、ギャー君」
「そ、そうですか....! えへへ....」
「よし、んじゃ次に行くぞ」
そう言って、俺達は次の目的地に向かった。
~~~~
着いたのは俺の実家の"nascita"だった。
「帰ったぞ」
「おっ、早かったな。あといらっしゃい、そこのお二人さん」
店に入って声をかけてきたのはエボルトだった。
「どうも」
「こ、こんにちは」
「おう。ゆっくりしていけよ」
「二人とも、あそこの席に行くぞ」
俺は二人を連れて窓際の席に向かった。
「二人とも、決まったら好きな物頼めよ。俺の奢りだ」
「い、良いんですか? さっきも買ってもらったばかりなのに....」
「後輩に金を出させるのは流石にな。ここは先輩に任しとけ」
「その言葉、後悔しないでくださいね」
塔城はどこか目を輝かせながら俺にそう言ってきた。そうして少しすると、二人はそれぞれ
注文をした。ギャー助はサンドイッチのセットを、塔城はメニュー表の一ページすべてを
注文した。俺もコーヒーとパスタを頼んで自分で厨房に行って作った。そして、三人で
談笑しながら食事をし、全て食べ終わるとエボルトが塔城とギャー助の前にケーキを置いた。
「お二人さん、そいつは俺からのサービスだ」
「あ、ありがとうございます店長さん!」
「ありがとうございます」
「気にすんな気にすんな。これからもコイツの事よろしく頼むぜ」
そう言うと、エボルトはさっさと厨房の方に戻っていった。
「店長さん、良い人ですね」
「....まぁな」
そう言いながら、俺は二人がケーキを食べているのを呑気に眺めていた。そして、二人が
食べ終わるのを確認すると食器を持って厨房に向かった。そして、厨房にいたエボルトに
こう言った。
「エボルト、食事代は俺の給料から引いておいてくれ」
「はいよ」
「....それと、
「了解」
そう言って、俺は厨房から出て二人を連れて外に出た。そして、最後の目的地に向かった。
~~~~
着いた場所はこの辺では一番大きいゲームセンターだった。
「さ、遊んで遊んで遊びつくすぞ」
「はい!」
「はい」
そうして、俺とギャー助、塔城はゲームセンターにあるほとんどのゲームをやった。
シューティングゲームに始まり、格ゲー、レースゲーム、UFOキャッチャー、ホッケー、
コインゲーム....そうして遊んでいるうちに、既に空は茜色に変わっていた。そして、
俺は二人を乗せて学園の前に来ていた。
「ギャー助、今日はどうだった?」
「とっても楽しかったです!」
「そうか。それなら良かった。それと....ギャー助、お前今日一回でも誰かを止めたか?」
「....そういえば、今日は一度も発動しなかったです!」
「だろうな。お前の場合、気持ちの問題だからな。気持ちが変われば周りにおびえずに
表に出れる。今日一日で分かっただろ? お前は弱い奴じゃねぇよ。お前は強い奴だ」
「先輩....」
「また不安だったらいつでも呼べ。手助けぐらいはしてやる」
「っ、はい! 先輩、今日はありがとうございました!」
そう言って、ギャー助は学園に去っていった。
「....こういう事だったんですね」
「あぁ。アイツにはうってつけの方法だろ?」
「えぇ。確かに」
「さて、んじゃ行くか」
「はい」
そうして、俺は塔城を家に送って"nascita"に帰った。