ハイスクールEvolution   作:アイリエッタ・ゼロス

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暴走と終戦と崩壊

 黒歌side

 

『(....そろそろ終わる頃かしら)』

 悪魔どもを全員行動不能にした私は窓の外を見ていた。

 

『おっ、もう終わってたか』

 すると、私の背後にスタークが現れた。

 

『まぁね....正直、私が足止めする必要ある?』

『ま、念には念をって事だ。にしても赤龍帝、お前弱すぎるなぁ....お前がいるから

 少しは荒れてるかと思ったが、荒らしたのは悪魔の嬢ちゃんの方か』

 そう言いながら、スタークは眼鏡の悪魔の前に座った。

 

『面白れぇ嬢ちゃんだな。どうだ? こっちに着く気はないか?』

『....余計なリスク増やすんじゃないわよ』

「....お断りです。素性も目的もわからないあなた達に着く気はありません」

『....はぁ。それよりもスターク、ビルドは....』

 私がスタークにそう聞こうとした時、突然張っていた結界が音を立てて割れた。

 

『っ!?』

 そして、次の瞬間私達がいた校舎が音を立てて揺れ出し崩壊し始めた。

 

『なっ!?』

『おっと、逃げんぞ黒歌』

 スタークはそう言うと煙に包まれて姿を消した。私もスタークに続いて魔法で校舎の外に

 脱出した。

 

『一体何が....っ!?』

 私が辺りを見渡すと、そこには黒い色をしたビルドがいた。

 

『(何て殺気出してんのよ....!)』

 そう思っていると、私の目の前からビルドの姿は消えた。そして、気づけばビルドはスタークの

 懐におりスタークに殴りかかっていた。殴られたスタークは空中で回転しながら受け身を

 とっていた。

 

『スターク....スターク!』

 ビルドはまるで自我がないのかそう叫びながらスタークに攻撃を続けていた。

 

『これは....』

『一体どうなってるのよ黒歌』

 私が二人の戦いを眺めていると、バラバラの場所で戦っていたグレイフィア達が戻って来た。

 

『わかんないわよ....』

『(創二のやつ、完全に暴走状態ね....トリガーで暴走なんて聞いてないわよ!)』

「あなた達....! お兄様やアザゼルは!」

 すると、地面で倒れているグレモリーは私達にそう叫んできた。

 

『倒したわよ。今頃起きて這いずってこっちに向かってるんじゃない?』

「そんな....嘘よ! お兄様が負けるなんて....!」

「リアス....嘘だったら彼女達はここにいないはずですよ....」

 そう言いながら、眼鏡の悪魔は身体をふらつかせながらも立ち上がった。

 

「あなた達....一体何が目的なんです....」

『目的、ねぇ....私達は命令に従って動いただけよ。目的はスタークか、それかもう一人しか

 知らないわよ。ま、私は白音に用があったってのもあるけど。ねぇ白音」

 そう言いながら、私は変身を解除して背後にある木を仙術で破壊した。その木の背後には

 白音がいた。

 

「姉様....気づいていたんですか....」

「愛しい妹だもの。安心しなさい、あなたには手は出さないから」

「....妹だから、ですか」

「察しが良いわね。どこかの悪魔と違って」

 そう言いながら、私はグレモリーを見た。グレモリーは私の視線に気づくと憤怒の視線を

 向けてきたが、私は無視してビルドの方を見た。

 

「(ていうか、こっからどうしたらいいのよ私達....)」

 そう思っていた時、突然上から強力な魔力を感じた。その魔力はビルドとスタークの方に

 真っ直ぐに向かっていた。

 

「スターク上!」

 だが、私の言葉よりも早く魔力の反応は二人がいる場所に落ちた。落ちたと同時に、二人が

 いた場所は砂煙に包まれた。

 

「っ、一体何が....」

 私は袖で砂煙を払って二人がいた場所を見ると、そこには白龍皇がいた。だが、白龍皇は

 ビルドに腕を掴まれていた。

 

『今の奇襲を防ぐか....! やはり面白いな君は! これなら俺も本気を....!』

『ウルセェ....ジャマヲ、スルナァァァ!』

 

ガタガタゴットン! ズッタンズタン! ガタガタゴットン! ズッタンズタン!

 

Ready go! ハザードアタック!

 

 白龍皇は何か興奮していたが、ビルドの必殺技でぶっ飛ばされていた。

 

『うわっ....』

『あれ普通の悪魔だったら死んでるじゃない....』

『はっはっはっはっは! 良いぞ良いぞ! それでこそ俺が選んだ人間だ!』

『コロス....! オマエダケハ!』

『....良い殺意だ! だが、今宵はここまでだな』

 スタークがそう言った瞬間、ビルドのボディには電気が走り無数の爆発が起きた。

 

「がはっ....!」

「石動先輩!」

 ビルドの変身は解け、創二は血まみれで地面に倒れた。そして、白音は倒れた創二のもとに

 向かって走っていった。

 

「テメェ....!」

『俺がただ躱していただけと思ったか? 残念。躱すのと同時に爆発する毒を付けてたのさ』

 そう言いながら、スタークは私達の方に歩いてきた。

 

『だが、強くなっているなビルド。あのルシファーの子供の白龍皇を一撃でダウンさせるのは

 少し想定外だったが....あの吸血鬼を殺したのがトリガーとなったか?』

 スタークはどこか笑った様子で創二に向かってそう言った。

 

「吸血鬼って....まさか....!」

『猫の嬢ちゃんは分かったか。あの吸血鬼の小僧は死んだよ。せっかくビルドが命を懸けて

 助けたのに....フッフッフッフ! 哀れだなビルド!』

「っ! このっ!」

 スタークの言葉に怒ったのか、白音はスタークに向かって殴りりかかろうとした。だが....

 

「よせ塔城....!」

 創二が白音の肩を掴んで白音を止めていた。

 

「でも先輩!」

「お前じゃ勝てねぇよ....」

 創二は血反吐を吐きながらふらふらと立ち上がった。

 

「....その状態のあなたでも勝てないでしょう」

 すると、眼鏡の悪魔が創二に肩を貸して創二の身体を支えていた。

 

「先程聞き捨てならない言葉が聞こえましたが、それは本当の事ですか蛇男」

 眼鏡の悪魔はスタークに向かってそう聞いた。

 

『白龍皇の事か? それなら本当だ。俺の情報網を甘く見るなよ眼鏡の嬢ちゃん。ついでに

 良いことを教えてやる。白龍皇はさっきグレイフィアが潰した悪魔の組織にいるぜ。そうだろ、

 孫悟空』

 そう言いながら、スタークは上空に向かって一発の弾丸を放った。だが、その弾丸はスタークに

 向かって弾き返って来た。スタークが放った弾丸の方向には絵本に出てくる孫悟空のような

 男が浮いていた。

 

「時間通りに来てみりゃ何だってんだいこの状況は....」

『白龍皇連れて帰るならさっさと行きな。うっかり、殺しちまうからなぁ....』

「っ!? お、おいヴァ―リ! 早く退くぞ! ありゃヤベェ!」

「美猴! 俺はまだあの男と....!」

「言ってる場合か!」

 白龍皇と孫悟空はそう言い合いながら、魔法陣の中に消えて行った。

 

『....さて、今日の実験は終了だ。俺達も帰るぞ』

『かしこまりました』

 スタークの言葉を聞き、グレイフィアは私達の背後に魔法陣を作り出した。

 

『最後に、お前達に俺達の組織の名前を教えてやる。俺達はファウスト。ある男の野望を

 叶える組織だ。また遊ぼうぜ悪魔の諸君、ビルド! ciao!』

 その言葉と同時に、私達は魔法陣の中に消えた。

 

 ~nascita~

 

「はぁぁ....つっかれた」

「黒歌....おばさんみたい」

「何ですってオーフィス!」

「やめなさいよ帰って来て早々....」

 私は基地に着くとソファにそう呟いてもたれかかった。

 

『ま、全員お疲れさん。休むんだったら部屋で休めよ』

 スタークはそう言いながら自分の部屋に入っていった。

 

「....あいつ、何で変身解除してないの?」

「おそらくですが....最後の仕事を済ますためではないですか?」

「あぁ....そういう事ね」

 私はスタークの目的を思い出してそう呟きテレビの電源を付けた。

 

 ~~~~

 創二side

 

「....会長、悪いな」

「いえ....今回の一件、石動君がいなければもっと被害が出ていました。謝るのはこちらの方

 です」

 スターク達が退いた後、俺は会長につきっきりで癒しの魔法をかけてもらっていた。そして、

 隣には塔城がいた。

 

「塔城には、悪いことをしちまったな....ギャー助の事、助けてやるって言ったのに....」

「いえ....あの時、私も残っていれば....」

「お二人とも....」

「....ここにいたのか石動!」

 何処か空気がしんみりしていた時、突然クズ兄が俺達の方にやって来た。

 

「お前、何でギャスパーを助けてやらなかった! 何のためにギャスパーの所に

 向かったんだよ!」

「助けてやったさ。だが、スタークが用意周到過ぎた....」

「そんなの理由になるかよ! お前のせいでギャスパーは....! ギャスパーはお前のせいで

 死んだも同然....!」

「....いい加減にしてください!」

「こ、小猫ちゃん....?」

 クズ兄が最後まで言い終わる前に、塔城がそう叫んでクズ兄の前に立った。

 

「石動先輩のせいで死んだ....? これ以上ふざけた事を言わないでください! だったらあなた

 だったらギャー君を助けることができたんですか!」

「あ、当たり前....」

「何が当たり前ですか! 石動先輩にこっぴどく敗北したくせに助けるなんて無理です! 相手は

 石動先輩にここまで重傷を与えた相手ですよ! あなたなんかがあの蛇男を止めながら

 ギャー君を助けることができるはずがありません! いい加減自分の実力を認めたら

 どうですか! それに....ギャー君を目の前で殺された石動先輩の気持ちがあなたに

 わかるんですか!」

 塔城は涙を流しながらクズ兄に向かってそう言った。

 

「塔城さん....」

「この中で一番辛いのは目の前でギャー君を殺された石動先輩です! 少し考えれば分かること

 なのに、そんなことも分からないんですか! あの時何も行動できなかったあなたがこれ以上

 好き勝手言わないでください!」

「塔城....」

「....すみません先輩。今は、一人にさせてください」

 そう言いながら、塔城はここから走り去っていった。

 

「何だよ....! 俺が悪いっていうのかよ....!」

「....そうですね。これは、兵藤君が悪いですね」

「っ!」

「あの時動けなかった私達に石動君の事を悪く言う権利は無いですよ」

「っ....!」

 会長の言葉に言い返せないのか、クズ兄は何処かに走り去っていった。

 

「....報われないものですね」

「....そうだな」

 

 ~~~~

 小猫side

 

 先輩達といた場所から走り去った私は旧校舎のある所にいた。

 

「....ギャー君」

 そして、地面に座り込んで泣いていると近くから部長と朱乃さんの話し声が聞こえた。

 

「....それにしても、ギャスパー君が殺されたのは想定外でしたね」

「えぇ....でも、ある意味幸運といえば幸運ね」

「というと?」

「僧侶の駒、お兄様から補填してもらえることが決まったわ。これで新しく強い眷属を

 下僕にすることができるわ」

「候補はいるんですか?」

「そうねぇ....あの男を下僕にしたいけどソーナの眼があるからね。下手には動けないわ。

 ま、隙を見せた時が好機ね」

「そうですか」

「それにしても、次は戦力になるような下僕が良いわね。()()()()()()()()()使()()()()()() 

 ()()()()。封印なんてされて必要な時に使えないし、死んでくれて正直ありがたいわね。

 今回のこの惨状でこの程度の被害で済んで良かったわ」

「リアス....あまり大きな声で言わない方が良いですよ」

「大丈夫よ。他の皆は別の場所にいるし。公の場で悲しいふりをしておけば同情も買えるわ」

「気を付けてくださいね....」

「....」

「(あぁそうか....あの人にとっては、ギャー君が死んだのは()()()()()()なんだ....)」

 そう思った私は、気づかれないようにこの場から離れた。

 

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