親に虐待を受けてニンテンドースイッチを買ってくるまで帰ってくるなと言われたネット小説サイトで1ヶ月以内に日間ランキング入りを目指す作家志望TS転生者ウロボロ以下略先生とその編集の話 作:各是ライト
───滅亡迅雷.netに接続。
元彼、現彼女は、TS転生した→
つまり何やってもうまくいく(ホントか?)→
じゃあ、前世で失敗したライトノベル作家になるという夢にリベンジしよう。
この完璧で幸福かつ非の打ち所がありえない空前絶後の三段論法に気が付いた彼女。
彼女は中学生の間に作家デビューすることを目標に、入魂の一作の執筆に僅かぴちぴちぴっちの
雨の日も(←確定で盗まれるビニール傘)。
風の日も(←何故かスカートを狙う)。
嵐の日も(←天気いつも悪ない?)。
親の虐待がヒドイ日も(←TS転生者特有の闇。ここいる?)。
彼女は来る日も来る日も図書館、図書室に通い。
パソコンなど持たされることが許されない年齢の間は利き手が両手になろうと執筆に励み。
その結果腱鞘炎が出来ようと、設定をまとめるとのと執筆に魂を賭して書いた。
転生者特有の常人ならざるメンタルがなせる業である(←要検証。ソース求む)。
そして彼女は、頭尾香椎は、中学二年生のとき遂に書き上げ、ネグレクトの酷い親に内緒でデンデンライコウ文庫(尚この小説はフィクションです。実在の文庫!!! とは関係はありません!!!!!!!)の新人賞に投稿することに成功した。
ざまあみやがれ、このやろう。
てめぇおれは、書き上げたぞ、貴様。
祝杯を上げながら狂喜乱舞していれば騒ぎすぎて、うるさいと、親に殴られらた。
が、気絶する寸前まで彼女は投稿できたことを喜びつくした。
だが、このときの彼女は忘れていたのだ。
転生者故の傲慢か。
転生先が最悪のリスポーン地点に位置してしまったせいか。
入魂の一作を書き上げれば救われると愚直に信奉していた。
この状況から抜け出せると、疑うことはなかった。
それ以外、目に入っていなかった。
新人賞には選考があるというごく当然の現実を。
世界には、世界の数だけ売れ線があるという最悪の真理を。
※
「ああ、今日もダメだった」
入魂の一作は三次選考まで残ったものの惜しくも落選。
弱冠十四歳で担当編集もついた(!!)が、一発デビューには至らなかった。
香椎が目指した境地(商業出版のスタートラインとも言う)には届かなかったのである。
そんな香椎はネットカフェの個室で言葉を漏らした。
彼女が眺めているのはあのニチャニチャ動画を運営している彼のKαDΩKαWαウゴンゴ(繰り返しますが、この小説はフィクションです。実在の個人、団体!!! とは関係はありません!!!!!!!)直下の小説投稿サイト『カケヨメウレロ』のマイページ。
「はあ。無理だよ絶対」
また一つ溜息がこぼれ、虚空に消える。
短編を書き、一か月以内に『カケヨメウレロ』の日間ランキングの上位に入ること。
香椎が担当編集出されている課題を思い起こして、憂鬱になる。
最初は簡単に行けると思った。
年季が違う。
こちとら、たかとら(バッタ!)JSⅡの時から書いてるエリート転生者だぞ?
デンデンライコウ文庫三次選考まで残った猛者ぞ(フラグ)?
そこら凡百のウェブ小説家などとは、格が違うのだ(フラグ)。
別に一発でクリアしても構わんのだろう?(カッコいい、がフラグである)。
ウェブ小説の大海原には勝てなかったよ(即落ち一行)。
香椎が投稿した小説ははっきり言って端の棒に引っ掛からなかった。
閑古鳥が終日終夜四六時中の一日中(頭痛が痛い文章)泣きわめている。
一応、奇人変人鬼才異才の留置所と呼ばれる『フエフクーン』では反応があったが、それもお気に入り登録がある程度。
そもそも、担当編集からは『カケヨメウレロ』でなければならないと言われているのだ。
意味がない。
が、それまでの香椎なら取らないような意味のない行動する理由は一つ。
つまりは承認欲求への飢えである。
このときの香椎のプライドはズタズタだった。
一度、デンデンライコウ文庫三次選考まで行ったことで半端に承認欲求が満たされたいたせいで、ダメージが倍になっている。
傍からはナメクジに見えるほど香椎は溶けて飢えていた。
ピロピロ、ピロピロ。
パソコンから着信音が聞こえる。
中学二年生の若い身空でニンテンドースイッチを買うまで帰ってくるなと家を追い出されてしまいネットカフェ難民となっている香椎と担当編集を繋ぐリモートファクター。
スームである(社会派なろう)。
「もしもし、ウロボロ先生ですか?」
パソコンから若く感情の籠っていない女性の声が聞こえる。
彼女は
デンデンライコウ文庫編集者であり香椎の担当でもある。
「……はい、ウロボロ先生です」
おっかなびっくりに応える。
ウロボロ先生とは香椎のペンネームである。
正式名称は触手スコスコウロボロスなのだが、マトエがその名で呼んだことはない。
ちなみに締め切り直前の徹夜明けで決めたので、香椎も相当後悔している。
三次落ちの理由をこのテキトーなペンネームに責任転嫁する程度には。
「ところでウロボロ先生、課題の進捗どうですか?」
「あああああああああああああああああああああああああああ」
担当による単刀直入(激ウマギャグ)により香椎は死んだ(ジョージ生存√)。
進捗状況の確認は怠惰の化身たる創作家を一撃で消し去る二フラムなのだ。
だが、そんなこと担当編集と言う生き物は十分過ぎる承知している。
つまりイニチアチブを握るための紙の一手(これは天才たちの頭脳戦)。
「その様子じゃ今日の作品もダメだったんですね」
「違うんです。これは私の実力じゃないんです。今日は自力が発揮できなかったんです」
創作家は真正面からダメと言われるのに弱い(こうか は ばつぐんだ)。
「じゃあ、何が原因でウロボロ先生の実力を発揮出来なかったんですか?」
「その……それは……マトエさんの方からお題を指定したから。私の文才が活かせる環境じゃなかったのが足を引っ張ったんです」
創作家はすぐに自身でなく周囲に原因を求める。
課題では毎日マトエから指定されたテーマを基に書くというのもルールの一つ。
自分で決めたペンネームよりも、更に責任転嫁しやすいのである。
「ウロボロ先生はテーマを指定しなかったとき、あの怪文書を書きませんか?」
あの怪文書。
デンデンライコウ文庫においてそれが何を指しているのかを香椎も知っている。
『スチクナモナ・トラノニトラノニ』(何語?)。
あの日、香椎がデンデンライコウ文庫新人賞に送り付けた怪作のことである。
「書きますよ。アレが私が書けるモノの中で一番面白いんですから」
言外に書くな、と言われていることは香椎だってわかっている。
テーマを指定した短編小説を書かせているのだって、癖を強制するためであることも知っている。
だけれど、胸を張って言う。
怪文書とまで言われた作品であるが、入魂の一作であることは間違えないのだ。
だから、頭尾香椎は何度だって言える。
あの『スチクナモナ・トラノニトラノニ』が頭尾香椎の、否、
作家志望、触手スコスコウロボロスが書ける小説で一番面白いのだ。
「……確かにウロボロ先生の中でアレが一番面白かったと、あたしも思いますよ?」
「だったら!」
意外にも香椎の主張をマトエは認めた。
内心で炎が灯るのを香椎はヒシヒシと感じる。
書きたいものを一時的に排してまで、短編を書いていたのはアレのためなのだ。
もしも触手スコスコウロボロスが課された条件を満たせば、アレの出版を再考することを考えるために担当編集が頭を悩むことを一考の余地に入れることも考えなくもなくもない、と言われている。
担当編集の彼女。
政弦マトエがあの作品の面白さを認めてくれているのなら、チャンスがあるということに他ならないのだ。
「でも、ウロボロ先生。黙ってよく聞いて下さい」
だが、マトエは冷や水を浴びせるように冷たいことで香椎を諭す。
「転生者を始めとした現在のいわゆる売れ線が登場しないのはいいでしょう。
売れ線から外れたニッチなもの売れている作品はこの世にごまんとあります。
ヒロインが登場しないものも、まあ、稀ですが、バディモノやボーイズラブもまた女性向けライトノベルの形態であることは否定できません。
────ですが!!!────」
香椎を圧倒するほどの早口でマトエはまくし立てる。
普段の冷静沈着な彼女のイメージからはかけ離れている。
その勢いに香椎は息を呑むことしか出来ない。
すううううううう。
思い切り息を吸うのがスーム越しに伝わってくる。
「────太陽系が舞台でないのはおろか、人間は一切影も形も現れず、人類文明さえ存在が確認できず、人形生物やアンドロイドまで不在で、触手を生やした軟体動物の惑星の文化の起こり、衰退とそこで行われる恋愛模様を宇宙人特有の奇妙な性交を含めてオムニバス形式で描写する作品は───
カテゴリーエラーなんですよ!!!!!!!」
結局、頭尾香椎の落選の理由はその一言に尽きるのだ。
メモ
頭尾香椎 とうびかしい
読み替えると『あたまおかしい』になる
転生者チートか途方もない努力かは不明だが確かな文才は天才的(デンデンライコウ文庫編集調べ)だがテーマ選びが商業的目線からは絶望的にゴミ
ペンネームのウロボロスは名前の頭と尾があったから
触手に絡まれる女の子とかじゃなくてただ単に触手とかキモい系が好き。ラフムとかニャルラトなんとか様とか超絶ストライクゾーンど真中ですわ(唐突なお嬢様言葉はTS転生者の特権)
因みに本人はあれでも最低限流行に媚びたつもりらしい
『スチクナモナ・トラノニトラノニ』
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