白兎と剣姫が恋をするのは間違っているだろうか? 作:ゆきうさぎ。
再掲です。3年前に投稿し始めたものの、忙しくなり執筆する時間が無くなった為書けなくなりました。
落ち着いた今、また書き始めようかと思い新たなスタートとする為にタイトルを少し変えての再喝をさせていただきます。
どうかよろしくお願いします...!
ベルが城壁の上でのアイズとの訓練を受け、格上であるミノタウロスを倒しLevel2になってから2ヶ月が経った。ベルは既にLevel3となっていた。そんなベルは今日はダンジョンに潜らず日々の疲れを取るように。と、ヘスティアに言われ街をぶらついていた。
「こんな日にアイズさんに会えたらなぁ…」
なんて期待しながら歩いていたのだ。すると人ごみの先に憧れの金髪の少女が映る。
「あ、アイズさん!」
「ベル…?」
思わず声をかけてしまった。羞恥で顔が赤くなってしまう。
「…どうしたの?顔…赤いよ?」
「こ、これはっ!その!」
憧れの人を前にするとどうも恥ずかしくて話ができない。おどおどしているぼくを尻目にアイズさんがふと口を開く。
「…そういえば。もうLevel3なんだってね。凄いね。」
「いえいえ!ぼくなんてまだまだですよ!」
アイズはやはり気になっていた。ベルが何故こんなにも早く成長できるのか。この子の著しく早い成長速度の理由はなんなのか。
「ベル…」
「どうしたんですか?」
「また特訓…する?」
「え!?」
アイズは思っていた。知りたい。この子の成長の秘密を。それを知れば私ももっと強くなれるかも知れない。と。
ベルは思っていなかった。オラリオ最強剣士であるアイズからまた特訓をしても良いと言われるなんて。
「い、良いんですか?」
「うん。ベルがいいなら…」
「では…お願いします!」
「うん。」
アイズはぱぁっと顔を明るくするベルの笑顔に。微笑んで返したのだった。こうしてベルとアイズの2度目の訓練が始まったのだった。
次の日。朝の4時に城壁の上にアイズが行くと既にベルは来ていた。
「おはようございます!アイズさん!」
「うん。おはよう。ベル。」
しばらくしてアイズとベルの訓練は始まる。
「じゃあ…始めよっか。」
「おねがいします!」
アイズとベルの激しい剣舞が始まる。
「今の攻めは少し…甘いね」
「くっ…」
アイズはベルの攻めや守りの中で甘いところを指摘して行く。Level3になったとはいえベルもまだまだなのだ。
「あ。今の攻めはいいよ。」
「ほんとですか!?」
ベルはぱぁっと顔を輝かせる。アイズはこの笑顔が好きだった。自分の中に燃える黒い炎を鎮めてくれるような。自分は失ってしまった白さ。
「そろそろ…休憩しよっか。」
「はい!」
城壁の壁に2人は並んで腰掛ける。2人の息が整った時アイズが口を開いた。
「ベルはすごい強くなったね…。」
「そんな!まだまだですよ…」
「そうかな…?強くなったと思うけど…」
「ぼくの憧れの人の背中はまだまだ見えなくて…」
ベルは俯いてぽつり。ぽつりと言葉を紡いでいく。アイズはその横顔を見ながら話を聞いていた。
「憧れの人って…誰なの…?」
「え!?そ、そそそそそそれは!?」
ベルは声が上ずってしまうほど動揺していた。当の本人の前で憧憬の人をいうなんて無理だ。
「とても…強くて…ぼくには程遠い方です…」
ベルはそれだけ言った。アイズはその言葉を聞いてこくり。と頷いた。
「そうなんだね。なら…頑張らないとね。」
「はい!」
そうしてこのあとも訓練をした後今日の訓練は終わった。そのあとアイズがロキファミリアのホームである黄昏の館に帰った後、リヴェリアに声をかけられた。
「アイズ。朝早くからどこに行っていた?」
「っ!」
朝早くに誰にも気づかれないように出たはずがリヴェリアにはバレていたのだ。
「…」
「ベル・クラネルか?」
「べ、ベルは違っ…!」
「やはりか…」
リヴェリアはやれやれと言わんばかりにため息をつき手を頭にあてた。
「他のファミリアの団長に稽古をつけることはあまり褒められた行為じゃないぞ?」
「それは…わかってるけど…」
アイズは子供のように目尻に涙を浮かべて指で服を摘みプルプルと震えている。
「そんなにあの少年が好きなのか?」
「そういうわけじゃ…!」
「なら違うのか?」
リヴェリアはエルフの中でも貴族なハイエルフとは思いがたいほどニヤニヤとしていた。
「リヴェリアの…意地悪…」
「いっそ告白して付き合って仕舞えばいいのに。」
「へっ!?」
普段無表情のアイズが羞恥と驚愕の感情をあらわにしつつ顔を赤らめた。
「嫌なのか?」
やはりリヴェリアはずっとニヤニヤとしている。まるで子供がいたずらをするときの笑みだ。
「嫌じゃ…ないけど…」
「まぁ。この件は見逃してやる。だが誰にも気づかれるな。」
「…うん。」
そしてリヴェリアはアイズの肩をぽんぽんと叩き。自身の執務室へと戻って行った。
そのあとアイズは自分の部屋に戻って考える。ベルのことをどう思ってるんだろう…と。そこでふと以前ベルが言っていた言葉が蘇った。
「どうしても追いつきたい人がいて!」
ミノタウロスを逃してしまったこちらの不手際で彼がミノタウロスに襲われた一件。あのとき豊穣の女主人でベートに罵られたから…。だろう。
「ならベルの憧憬はベートさんのはず…」
アイズはもやもやとする気持ちを胸にしまって寝ることにした。
「明日…聞いてみよう…」
次の日。昨日と同じ時間にアイズが城壁の上にくるとベルはやはり既に来ていた。
「アイズさん!おはようございます!」
「おはよう。」
そしてアイズは昨日の夜に決めたある行動に移る。
「訓練の前に少し…いいかな?」
「どうしたんですか?」
立ち話もなんなので…と。2人は城壁の壁に背中を預け、座って話すことになった。
「ベルの憧れの人って誰なの…?」
「そ、そそそそそそそそれは!?」
ベルは焦った。昨日と同じ質問。それも更にどストレートな。貴方です。なんて言えるわけないじゃないか。
「つ、強くて…綺麗で…死にそうなとき何度も助けてくれて…」
ベルは名前を出さずにその人。憧憬の姿を目の前にいる憧憬に向かって語りだす。
「でも不器用で…言葉足らずで…でもたまに見せてくれる笑顔がとてもかわいくて…」
アイズはそこまで聞いたとき。自分でもなぜかわからないままその場を立ち去ってしまっていた。
「…もういい」
「え!?」
ベルは1人城壁の上に残された。
「嫌われちゃった…よね…」
そしてトボトボとベルがホームに帰るとヘスティアが声をかけて来た。
「どうしたんだい?ベル君。そんな落ち込んで…」
「いやちょっと…」
「もしかしてまたヴァレン何某のことかい?」
「っ!」
ヘスティアはこういう時だけ鋭い。ピンポイントで人の悩みのタネをつついてくる。
「ベル君。ヴァレン何某は諦めなよ…彼女はあれだけの人気だ。お気に入りの男の子の1人や2人もういるさ。」
「そうだとしても…!」
「そうかい…。君がそこまで言うなら。それを本人に伝えてくるんだよ。」
「いいんですか?」
常識として他のファミリア同士での恋愛なんて問題しかない。いつもなら反対してくるはずの神様がこの時ばかりは応援してくれた。
「君の覚悟を知ったからね。ボクは君を応援するよ!そして振られちゃった時はボクが慰めてあげるよ!」
「か、神様…ありがとうございます!」
そしてベルはホームをいきなり飛び出していった。
「べ、ベル君!?どこに行くんだい!?」
その頃アイズは部屋に篭っていた。自分がベルにしてしまった事を後悔していたのだ。
「アイズー?大丈夫ー?」
「あ、アイズさん!大丈夫ですか?」
ティオナとレフィーヤだ。心配してくれて様子を見に来てくれたようだ。
「ご飯ここ置いとくねー!」
アイズの返事のない事を確認するとティオナはドアの前に晩御飯を置いてレフィーヤを連れて去っていった。しばらくしてノックする者が現れた。
「アイズ。私だ。入るぞ。」
リヴェリアはなんの遠慮もなしにドアを開ける。そこには布団にくるまって三角座りしている剣姫の姿があった。
「なにがあった?」
相変わらずのど直球。リヴェリアは遠慮というものを知らないのだろうか…と。アイズは心の中で悪態を吐く。
「言わないならベルとの訓練のことを皆にバラすぞ。」
「っ!」
リヴェリアはそう脅しのようにアイズに迫った。アイズはそれを無下にすることができずリヴェリアに全てをぽつり。ぽつりと語っていった。
「ほう?それで?」
「ベルが憧憬の人に追いついたら…私は必要なくなるのかなって…」
アイズは自分の気づかない間に涙を流していたようだ。その涙が月日に照らされてきらりと輝いている。
「アイズ。少し待っていろ。」
「…リヴェリア?」
リヴェリアはアイズの部屋を出ていった。急な出来事に自体を飲み込めていないアイズは頷くことしかできなかった。リヴェリアが部屋を出て行った後。アイズは1人で考え事をしていた。
「ベルには好きな人がいる…。その人に追いついたら私はもう…いらない…」
アイズはこの感情がどんなものなのか。理解できなかった。ベルを応援したい。憧憬にベルが追いつく手助けをしたい。でも…
「ベルが誰かのものになるなんて…嫌…かな。」
アイズは自分がベルの事を嫌いではない事は理解していた。そして訓練の時間がずっと続けばいいのに。とも思ったものだ。強くなる。戦うことにしか興味のなかったアイズにこんな感情をくれたのはベルだ。その時。部屋がまたノックされた。
「アイズ。入るぞ。」
「お、お邪魔します…」
「…え?」
リヴェリアとアイズの部屋に入って来た少年。それはベルだった。
「どうして…ベルがここに…?」
「実は夕方訪ねて来てな。アイズに会いたいというから会わせてやったのだ。」
「リヴェリアさんすいません…」
「まぁいい。ベル。アイズを頼んだぞ。」
「?」
ベルは首を傾げながらもはい!と元気よく返事をした。リヴェリアは2人で話せ。と言い残して部屋を出て行ってしまった。
「アイズさん。あの…」
「…」
「ぼくの憧れの人を聞いてください。」
「…嫌。」
アイズは子供のようにそっぽを向いて断った。でもベルもここで食い下がるわけにはいかない。
「ぼくは…アイズさんの事が好きです。ミノタウロスから救って貰ったあの日からずっと。ずっと背中を追い続けて来ました。ぼくの憧憬は…アイズさんです。」
「…へ?」
アイズはきょとんとした顔で素っ頓狂な声をあげる。ベルはそんなアイズに驚きつつも言葉を紡ぐ。
「ぼくは…アイズさんの笑顔を守る英雄になりたいんです。もし良ければ…ぼくがアイズさんより強くなれたら…ぼくのお姫様になってくれませんか?」
それは英雄に憧れた少年の物語。英雄願望。背中に刻まれたそのスキルがこんな所でも発動するなんて。
「か、からかってるの…?」
「じょ、冗談でこんなこと言いませんよ!?」
「…」
沈黙の時間が続く。ベルは顔を真っ赤にしながらもアイズを見つめる。アイズは少し俯いていた。しかしその頬が赤く染まっていたことをベルは知らない。
「ベル…」
「は、はいい!」
やがてアイズが口を開く。
「ありがとう…すごく嬉しいよ…。」
「ありがとうございます!」
ベルはぱぁっと顔を輝かせた。しかし数秒後にその顔は絶望に満ちた暗い顔となる。
「でも…ベルの気持ちを受け取ることはできない…」
「…っ!」
ベルの心はその一言で壊された。そう。振られたのだ。分かってはいた。相手はオラリオ最強の剣士であるアイズ・ヴァレンシュタインだ。こんなちっぽけなぼくとじゃ釣り合うはずもない。
(分かってたとはいえ…やっぱりつらいな…)
「ぼくの想いを聞いてくださってありがとうございました!」
(泣くな!泣くなよ!ベル・クラネル!憧れの人の前で…これ以上恥を晒すのはもう嫌なんだ!)
涙をこらえてベルはアイズにお辞儀をして部屋から飛び出して行った。
「あ…ベルッ!」
だがその手をアイズが掴み、ベルは部屋へと引き戻される。
「どわぁぁぁぁ!?」
「ちゃんと…最後まで聞いて…。」
そこには頬を膨らませてむっとした表情でこちらを睨むアイズの姿があった。
「私は…ね。」
「はい。」
「お姫様は…待たせちゃいけないと思うんだ…。」
「…」
「待ってる間…寂しいと思う…よ?」
ベルは今更気づいた。今目の前にいるのはオラリオ最強剣士である剣姫でもない。ただただ強さを求め戦い続ける戦姫でもない。恋をする1人の少女なのだと。
「だか…」
「アイズさん!」
「っ!?」
ベルはばっと立ち上がりアイズの顔を見つめる。倒れていたベルと横に座っていたアイズとの顔の距離はとても近づき、唇が今にも付いてしまいそうだ。
「ぼくは。いつも言葉足らずで不器用で。強くてかっこよくてとてもかわいくて!たまに見せてくれる笑顔がとてもかわいいアイズさんの事が大好きです!」
ベルは目の前にいる憧憬の少女に向かって、1人の恋する少女に向かって、想いの全てを叫んだ。
「だから…ぼくはアイズさんの笑顔を守る英雄になりたいです!ぼくの…お姫様になってくれませんか?」
「うん。喜んで。」
にこり。とアイズさんが微笑んで、ベルの体をぎゅっと抱きしめた。それがアイズなりの。精一杯の告白に対しての返事だった。
読んでくださった方、本当にありがとうございました!
言葉の拙さ、語彙力の無さ、分の構成の未熟さは自分が1番理解しております。
前書きにも書かせていただいた通り、こちらは3年前に投稿した作品の再掲となっております。もし良ければこれからも応援のほどお願いします!
そしてもしよろしければコメントの方お願いします!楽しかったよ!良かった!等の感想に始まり、辛辣なものでもアドバイスでも私の成長の糧となります。ご協力お願い致します!