ロラン兄との手合わせが終わり、フッと息を吐くと、騎士団長が再び声をかけてきた。
「ハーハッハッハ。面白い勝負を見せてもらったぞ。マルティノッジの兄弟」
豪放磊落という言葉がよく似合う騎士団長は、豪快に笑いながらそう言った。
「ありがとうございます騎士団長」
「ご助言のほど、
丁寧に頭を下げたロラン兄に続いて、俺も騎士団長に礼を言う。
「いやいや。中空での体捌きが実に見事であった、え~…」
「デニッシュです騎士団長。デニッシュ・マルティノッジ」
名前が出てこないのだろう騎士団長に、俺は自らの名前を告げた。
「おお…スマンな、デニッシュ。どうもお主の名前は覚えにくい」
「気になさらないで下さい。それよりも、お仕事の方はもう終わりになられたのですか?」
「終わったぞ。午後からは一人ずつ儂と組み手をしていく予定だ。それで良いな?副団長」
「はい。皆の士気も上がることでしょう」
話を展開するために騎士団長に軽い確認を取ると、騎士団長はロラン兄と午後からの予定について確認を取り始めたので、俺は静かに食堂へ向かった。
…さっき騎士団長が俺の名前を覚えにくいと言ったが、おそらくソレは俺の存在が異質だからだろう。
この世界、フロニャルドはこの世であってこの世で無い。
異世界だ!。という簡単な話ではない…元々はアニメの世界なのだ。
つまりは完成された世界である。
その完成された世界に後から俺という異物が乱入すれば、緩やかな歪みが発生する。
それが、俺の名前を覚えにくいという現象を発生させるのだろう。
まぁ、
名前を覚えにくいなんて軽い問題だけで済むならラッキーだろうか。
お、食堂の方向から美味そうな香りがする。
エネルギー補給エネルギー補給~っと。