「…知らない天井だ」
目の前に広がるのは柔らかい光に照らされた白い天井。
…ごめん、言ってみたかっただけなんだ。
少し意識が朦朧とするが、ここがどこかは大体察しが付いた。
おそらくは騎士団の休憩所だろう。
「地力の差って奴だな…」
俺の輝力武装「
と言うことは、騎士団長の持つ大槍とは比べものにならないほどのリーチの差があったわけで……
結果。
強引に上半身を後ろに反らしながら大槍を振り回した騎士団長に俺のアッパーカットは紙一重で当たらず、俺は側面から迫る大槍に対処できずに撃沈。
という訳だな。
戦闘中は輝力武装が出来たことに興奮して「行ける!」とか「勝った!」とか思ったんだが…現実はそこまで甘くないようだな。
「お、目が覚めたかデニッシュ」
呼ばれた方を見ると、休憩所の入り口にロラン兄が立っていた。
「ああ、ついさっき起きたところだ」
ベッドから飛び降りると、俺はそのまま入り口へ向かう。
「そうか。今日の訓練は終わったんだが、騎士団長がお前の事を呼んでいたよ」
「騎士団長が?」
「ああ。なんでも話があるんだとか」
「ふ~ん…わかった。今から言ってくるよ」
ロラン兄と別れた俺は、騎士団長がいる訓練所へと向かった。
なんで解るかって?休憩所と訓練所は近いからな、野太い声と豪快に得物を振る音が聞こえるんだよ。
「お呼びですか騎士団長?」
「おおデニッシュ、先ほどは見事であったぞ」
騎士団長は俺に気付くと手に持つ大槍をドスンと地面に差し立てた。
「いやいや、負けは負けですよ。けど、次は騎士団長に本気を出させて見せます」
これは本心だ。
輝力武装の練習を行えばいくら騎士団長と言っても紋章レベル1では対処できないはずだからな。
「うむ、その心意気は見事だ。ところで…お主いつ輝力武装を覚えた?」
やはりその事か。まあ、はじめてやったんだから疑問に思うのは当然だろう。
「ついさっきです」
「…ハーハッハッハ!!面白いことを言うのだな」
大きな笑い声を上げる騎士団長。
あれ?冗談の思われてる?
まあ常識で考えればそうなるのは仕方ないか…
「いやいや、本当ですって。頭の中にイメージが湧いてきて、それから…こう、グワーっと」
自分でもよく分からない説明をする。
だってアニメで見たとか言えないじゃん!
「ふむ、才者にある天性のひらめき。であるか」
腕を組み、顎のひげをさすりながら騎士団長は言う。
すいません騎士団長。そんな大した物じゃありません…たぶん。
「うむうむ、流石は名門マルティノッジ家の次男坊であるな」
「あ、ありがとうございます……ところで、話というのは以上ですか?」
「ああ、そうであった。実は二週間後のガレットとの戦でお主に重要な役を抜擢したいのだが」
「重要な役?」
なんか意外な展開だな。
「そう。ミルヒオーレ姫様の護衛役をしてもらいたいのだ」
「ああ、良いですよ。親衛隊ですね」
姫様の護衛は重要ではあるが、比較的楽な仕事の一つだ。
地球の戦と違い、姫を狙うことにそれほど利点がないフロニャルドでの戦では、ラッキーと言って過言ではない。
「助かる。それでは、そのように配属しておく」
騎士団長はそう言うとスタスタと大浴場へと向かっていった。
しかし、姫様の護衛役とは…よくよく考えればかなりの出世街道じゃないか俺