赤煉瓦警備隊   作:草浪

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第4話

 

 あれから、どうやら野分は木曾さんの車で眠ってしまったらしく、野分はそのまま木曾さんのお家にお世話になりました。

 

「あのあとどうなったんですか?」

 

 いつの間にか寝かされていたソファに座り直し、台所で何かやっている木曾さんに声をかけると、チンッという音が聞こえてきました。台所からコンビニで売っているお弁当を二つ持ってきた木曾さんは卓袱台の上にそれを乗せ、野分を手招きしました。言われるがまま、カーペットの上に座り直すと、木曾さんは野分の前に鮭の入ったお弁当を起きました。

 

「あの後は愛宕があの男に話を聞きに行って、身柄は警察に引き渡した。まぁ、こっちは情報さえ手に入ればどうなってもいいからな。押収品は一部をこっちで引き受けた。そんなことより、少しはイケるんだろ?」

 

 木曾さんはそう言い、ビニール袋から度数の低い缶酎ハイを取り出すと野分のお弁当の横に置きました。飲めないことはないですが、これを飲んでご飯を食べたらそのまま寝てしまいそうです。

 

「大丈夫ですが・・・・・・」

 

「眠たくなったらそのソファで寝てくれ。俺のことは気にしないでくれ」

 

「ならお言葉に甘えるとします」

 

 缶酎ハイを手に取り、木曾さんと軽い乾杯をかわすと、木曾さんはビールのロング缶を一気に半分近く飲み干しました。

 

「やっぱり仕事終わりの一杯はたまんねぇな」

 

「足柄さんみたいなこと言いますね」

 

「それは足柄も精一杯働いてる証拠だな」

 

 木曾さんはお弁当の蓋を開け、野分のお弁当の蓋を取るとご飯を半分以上野分の方によそいました。野分のお弁当のご飯がこんもりとしています。

 

「俺はおかずだけあればいいから。気にせず食べてくれ。よく食べるって噂は聞いているから」

 

「どこでそんなことが・・・・・・」

 

「横須賀時代の資料は読ませて貰ってるよ。いろいろ無理してきたみたいじゃないか」

 

 木曾さんはきんぴら一口に対して、二口以上のビールを飲みます。そのペースでいくと、すぐに無くなりそうです。

 

「今日ほどの無茶はしてないです」

 

「そりゃそうだ。うちはやり方がどことも違うと自負してるけどな。けど、どこもそれぞれ自由にやってるみたいだな。きっとすぐに馴れる」

 

「馴れたくないです。愛宕さんがあんな無茶苦茶やるなんて」

 

「愛宕も昔はあそこまで過激じゃなかったんだがな・・・・・・俺や千歳の暴走を止めてたけど、今は本人が暴走している。まぁ、なんやかんや今までうちのチームをまとめていただけあって、無茶はしても俺らの安全をちゃんと考慮しているな。身の安全だけで、始末書の心配はしてくれないがな」

 

 木曾さんは晩ご飯、いえ、晩酌の手を止めずに話してくれました。野分は鮭の骨を取り除きながら、愛宕さんに言われたことを考えていました。

 

「阿武隈のことが聞きたいって感じだな」

 

「バレましたか」

 

「日向からの報告書で読んでる。野分は考え事をしている時は単調な作業をしているってな」

 

「そんなつもりはないですが・・・・・・日向さんが言うならそうなのでしょう」

 

「日向のことを信頼しているんだな。ならうちの愛宕も信頼してやってくれ。日向とは種類が全く違うがあれもあれで有能だ」

 

「なら信頼される様な行動をとって欲しいものです」

 

「直にわかるさ。それより阿武隈のことか。どこから話そうか・・・・・・」

 

 木曾さんはそう言い、袋から新しいロング缶を取り出すとプルタブを開けて一口飲みました。缶を机に置き、少し考えるような素振りを見せました。

 

「出来れば最初から、と言いたいですが、阿武隈さんが武器の密輸に関与しているのは何故か。それがわかればいいです」

 

「阿武隈がうちの課長、あぁ、わかってると思うが、うちは海軍特別犯罪捜査局舞鶴支局、捜査三課だからな。他の捜査課からは赤煉瓦警備隊なんていわれているが、一応はちゃんとした捜査権を与えられているから安心してくれ」

 

「一応ですか」

 

「こんなやり方してたらいつ取り上げられるかわからんからな。話は逸れたが、阿武隈がうちの課長を殺した」

 

「その話は愛宕さんから聞いてます。ですが、阿武隈さんは何故そのようなことを」

 

「阿武隈は海軍とも、警察組織とも違う独自の実力組織を持ちたいらしい」

 

 実力組織の意味がその通りであれば舞鶴に流れ込む武器の理由はわかります。ですが、正規品ではなくあくまでも模造品。警察組織以下の装備で実力組織を名乗るのであれば、そこらの厄介な組織と変わりないはずです。それを元……いえ、艦娘という能力だけで補えるほど話は単純ではないはずです。艦娘一人の運用にはそれなりの設備、人員、そして資材が必用なはず。それらが揃う組織は限られます。

 

「野分。箸が止まってるぞ」

 

 木曾さんの声に反応し、顔を上げると、木曾さんは冷める前に食べろと持っていたお箸で野分のお弁当を指しました。野分は大盛りになったご飯を口に運びながら先ほどの続きを考えようとすると、木曾さんが持っていたロング缶で野分の頭を軽く小突きました。木曾さんの顔には不満が浮かんでいます。

 

「いまここには俺もいる。横須賀じゃ優秀な捜査員だったのかもしれんが、一人であれこれ考え込まれるといい気分はしないな」

 

 そうでした。野分は上司……と呼んでいいのでしょう。木曾さんのご厚意でお家に一泊させてもらっているのでした。お弁当に手をつけ始め、どうしてこうなってしまったかを考えると、四駆時代はみんなと仲良くご飯を食べていたので、やはり、今の組織にはいってからでしょう。

 

「すいません。横須賀は一人で考える時間が多くて……それに思いついたことを口に出すと、すぐに行動に移したがる人の下にいましたから」

 

 野分がそう言うと、木曾さんはキョトンとした顔をすると、納得したように頷き、笑いながら野分の背中を叩きました。

 

「すまない。さっきの言葉は忘れてくれ。うちにも俺と千歳って言う考えもせずに行動に移すやつがいるから野分は十二分に考えて発言してくれ。きっと愛宕も出来ることはやろうってやつだから」

 

「せめて長として考えて欲しいものですが……」

 

「なんにせよ、今は時間が無い。というより状況はまずい方へ向かっている。武器の密輸で好景気な舞鶴を不況のどん底まで落とし込んでやらにゃ、俺らが知っている舞鶴には戻らんだろうしな」

 

 木曾さんはそう言うと缶ビールを片手に立ち上がりました。野分はその様子を見ていると、木曾さんはカーテンを開けて外の景色を眺めました。そして振り返り、野分の方見るとこっちに来いと首を振りました。野分は空になったお弁当の容器を机に置くと、木曾さんが立つ窓際の近くに立って、外を見ました。東舞鶴の北口からほど遠くないマンションの一室の窓からは商店街が見えました。壁に掛かる時計に目をやると、時刻はすでに23時をまわっています。それでもお店の明かりが消えていない商店街の方を見ると、木曾さんは景色を見ながら話し始めました。

 

「少し前までは寂れた商店街だったんだ。客のほとんどはうちの関係者。馴染みの店で楽しく飲んで、11時には店仕舞い。その後はおばちゃんがやってるスナックで飲みなおす。それが今や若い姉ちゃんが店にはたくさんいる。羽振りのいい客を接待するためにな」

 

「うちの薄給じゃ無理ですね」

 

「そうだな。今じゃあそこじゃ飲めん。少し離れた場所・・・・・・それこそ昔からここにいないとわからない場所でひっそりと飲む。騒いでやつらに絡まれたら立場上まずいからな」

 

 木曾さんはカーテンを閉めると卓袱台の方を見ました。少し間を置いて野分の方を見ると、少し困ったような顔をしていました。

 

「すまない。足りなかったか?」

 

「いえ・・・・・・充分です」

 

 野分はそう言うと欠伸が漏れてしまいました。

 

「着任早々悪かったな。シャワー浴びてきてくれ。片付けはしておく」

 

 いえ、そこは野分がやります。そう言いたかったですが、野分の身体は限界を迎えていました。

 

「申し訳ないですが・・・・・・お願いします」

 

「おう。そんな気を使わなくていい」

 

 野分は働かなくなった頭でなんとか浴室までたどり着きました。シャワーを浴びている途中、着替えを忘れたことに気がつきましたが、木曾さんが脱衣場に着替えのスウェットを置いていてくれていました。

 

ーーーー

 

「おう。わかった。すぐ用意する」

 

 ソファで寝ていた野分の頭に木曾さんの声が流れ込んできました。寝返りをうち、より深い睡眠を取ろう。そう考えていると身体がフワッと浮きました。

 

「このまま連れて行くか・・・・・・」

 

「なんですか?」

 

 包まれた毛布から頭を出すと、野分と同じスウェットを着ていたはずの木曾さんがいつの間にか外行き用の服に着替えてそこにいました。

 

「起きてたか。悪いが出動だ。着替えてくれ」

 

 壁に掛けられていた時計を見ると短針があと少しで五時を示そうとしています。あのあとすぐに寝てしまったので、十時前には寝ていたはずです。六時間は確実に寝られた。大丈夫、いける。野分はそう何度か頭の中で唱えると覚悟を決めました。

 

「わかりました。降ろしてください」

 

 木曾さんはゆっくりと毛布に包まった野分をソファに降ろしました。ソファに身体が沈む。その心地よさにもう一度眠りつきたいという強い欲求が襲いましたが毛布を勢いよく退け、床に足を着きました。

 

「俺は用意する。着替え終わったらエントランスまで出てきてくれ。鍵は机の上に置いておく」

 

「わかりました」

 

 着替え終え、昨日から開けていないショルダーバッグをかけ、ドアに鍵をかけたのを確認して足早にマンションのエントランスまで出ると、木曾さんは既に車を出たところにエンジンをかけたまま止めて煙草を吸っていました。

 

「お待たせしました」

 

「もう少しゆっくりでもよかったけどな」

 

 木曾さんはそう言い、持っていた煙草の火を見ました。まだ火をつけたばかりだと言いたげでした。木曾さんは煙草を咥えたまま車に乗り込みました。野分が助手席に乗ると、木曾さんは窓を全開に開けました。

 

「煙草吸われるんですね」

 

「うちで吸わないのは野分だけだ。愛宕も千歳も喫煙者だよ」

 

 木曾さんはそう言うと、ハンドブレーキを下げ、ギアを入れるとガッとアクセルを踏み込みまし。野分の体がシートに押しつけられる、懐かしい加速感を感じました。

 

「少し揺らすが我慢してくれ。急ぐからな」

 

「いえ、馴れてますから」

 

 煙草片手に片手ハンドルで飛ばす木曾さんの運転は足柄さんの運転とは違いますが、似たようなものでした。朝帰りのお客を探しゆっくり走るタクシーを反対車線に飛び出しながら抜くのは足柄さんもよくやっていましたし。

 

「昨日は愛宕の車で怖がっていたじゃないか」

 

「愛宕さんの車は背が高いから視界が揺れるし、横にGが掛かるから怖いんです」

 

「なら馴れるまでしばらくは俺の車だな」

 

 木曾さんはそう言いながら、人気の無い交差点でブレーキをかけました。ダッシュボードに頭をぶつけそうになりましたが、なんとか堪えることができました。車は減速しただけで止まってはいません。いったい何事かと思うと、交差点の左側から見たことがあるSUV・・・・・・いえ、装甲車が派手に後輪を滑らしながら曲がってくると木曾さんの車の鼻先に割り込みました。見たことがある装甲車、よく陸軍の方がお仕事で乗っていられる車です。

 

「あれは・・・・・・」

 

「千歳だよ。あいつん家、そこ曲がってすぐなんだ。時間的にちょうどかち合うと思ったが正解だったな」

 

 木曾さんは千歳さんとの車間を取りましたが、それでも常識の範囲からすると恐ろしく近いです。しかし、千歳さんが乗っていたのは軽だったはず。そんなことを考えていると木曾さんが答えてくれました。

 

「仕事で車を使うときはあれなんだよ。普段は昨日の軽だ。昨日の仕事は急に入ってな」

 

「横須賀よりも派手じゃないですか・・・・・・」

 

「うちは捜査車両のエンジン積み替えたり防弾仕様にしたりするほど金をかけてられないんでな。みんな私物だよ」

 

 木曾さんはそう言うと、煙草をドリンクホルダーにある灰皿に放り込み、携帯を取り出して電話をかけ始めました。運転中の携帯での通話、操作は禁止されています。

 

「俺だ。後ろにいる。野分も一緒だ」

 

 木曾さんはそういい、スピーカーに切り替えて野分に携帯を渡しました。

 

「もしもし、野分です」

 

『のわっち、おはよう。昨日から急がしてくてゴメンね』

 

 相手は目の前を走る千歳さんでした。千歳さんは窓から手を出すと、こちらに手を振って答えました。暗いから持っている煙草の火が軌跡を描いています。

 

「大丈夫です。それより・・・・・・」

 

『あぁ、事情はそのうち合流する愛宕さんが説明してくれるわ』

 

「千歳。もうそろだ。気をつけろよ」

 

『わかってるわよ』

 

 木曾さんと千歳さんは同じタイミングで一気にアクセルを開けました。黄色点灯の交差点を一気に駆け抜けていきいます。ふと木曾さんの方を見ると、木曾さんの顔の後ろに見覚えのある車がいました。その車は減速する気配を見せず、まっすぐこの車に突っ込んでくるように見えました。野分は思わず天井とドアの取っ手を掴み身構えてしまいました。そんな野分を木曾さんは横で見ると鼻で笑いました。

 

「心配しなくてもぶつからんよ」

 

 落ち着き払っている木曾さんとは対照的に、野分はその車、愛宕さんのピックアップから目が離せませんでした。愛宕さんと一瞬目があい、ウィンクされた気がしますが、そんなことはどうでもいいです。愛宕さんはスピードを緩めずに後輪を滑らせて通り過ぎた交差点を派手に曲がると、今度は木曾さんの車の後ろにピタリと付けました。

 

「言ったろ?」

 

「あれですか。ここの捜査員はこういう運転が出来ないと駄目なんですか?」

 

「いや、単純に運転が下手なだけだ。昔の癖で当て舵をしなきゃ気が済まないんんだろう」

 

「・・・・・・野分よりも足柄さんの方が向いている気がします」

 

「そんなことないさ。野分はうちに適任だと思うぞ」

 

 木曾さんとそんなやりとりをしていると、木曾さんの携帯が着信を告げました。

 

「はい、木曾」

 

『このまま27号まで出て突っ走るわよ~。途中でPCに引っかかっても気にせず行きましょ」

 

「必死に追いかけてくるぞ。車列だけ見ればチンピラのそれと変わらん」

 

『いい加減覚えて欲しいものね。野分ちゃんは大丈夫そう?』

 

「俺は淑女な運転を心がけているからな。お前らの乱暴な運転とは違う」

 

『この中で一番運転が荒いじゃないの』

 

 どうやらこの通話はグループでの通話だったようです。千歳さんが茶化すように言いました。

 

「だったら淑女な運転がどういうものか教えてやるから前を譲れ」

 

『譲ったら追いつけないわ』

 

『千歳ちゃんの言う通りね。大人しくお姉さん達に挟まれてないさい』

 

「それで、どこに連れて行かされて何をさせられるんですか?」

 

 会話が一段落したところで、野分は聞きたかったをようやく口に出せました。

 

『木曾ちゃんから聞いてないの? 昨日身柄を拘束したお仲間さんが民間人を人質に立て籠もったのよ。彼の身柄と交換で人質を解放するって』

 

 人質の方には申し訳ないですが、初動でここのチームが動くということは荒事になる気しかしません。野分がため息をつくと、千歳さんが派手にクラクションを鳴らし始めました。

 

「あの車、クラクション付いていたんですね」

 

「野分、その諦めきった目はなんだ。楽しくなるのはこれからだぞ」

 

『公道走るからね~。このまま車検も通るよ。今度乗せてあげるよ』

 

『ちょっと、野分ちゃん。それしか聞かないの? いろいろ答えてあげるわよ?』

 

 三者三様の答えに、どの答えから返そうか悩んでいると、強烈な横Gが野分の体を襲い、シートベルトから飛び出した野分の体は木曾さんに寄りかかってしまいました。

 

「おいおい、大丈夫か?」

 

「野分は大丈夫ですよ~」

 

 よく榛名さんがこんなことを言っていましたが、こう言っていた彼女はきっと大丈夫じゃなかったのでしょう。

 

『ちょっと~、一夜でそんなに仲良くなちゃったわけ?』

 

 愛宕さんの甲高い声が木曾さんの携帯から聞こえました。野分は気にせず、姿勢を直そうとしましたが、上手く体に力が入りません。

 

『相変わらず木曾は手が早いねぇ~』

 

「まだ手は出しちゃいねぇって」

 

「まだってなんですか?」

 

『木曾ちゃんはそっちよ?』

 

 愛宕さんの言葉に、思わず木曾さんから飛び退いてしまい、窓に頭をぶつけてしまいました。

 

「言っとくが・・・・・・冗談だぞ? 俺にはちゃんとした恋人もいる」

 

「その方は女性ですか?」

 

「残念ながら男だ」

 

「それならよかったです」

 

 野分は姿勢を直して座り直しました。

 

『うちに馴染んでもらったところで、続けてもいいかしら?』

 

 愛宕さんが一つ咳払いをしました。まるで会議室で話し合いをしているかの様な落ち着いた声ですが、野分達は下道を三桁の速度を出して走る鉄の塊の中にいます。

 

「あぁ、続けてくれ」

 

『どうぞ』

 

 そして、野分以外はその鉄の塊を動かしている張本人達です。

 

『現場は住宅街のど真ん中の一軒家。到着後、私は立てこもり犯と少しお話しするわ。せっかく仲良くなった木曾ちゃんと野分ちゃんは突入の用意をして。千歳さんは狙撃できる場所を探したら待機して頂戴』

 

『了解。弾は何でもいいの?』

 

『任せるわ』

 

 きっと愛宕さんは野分と木曾さんをすぐに突入させるでしょう。向こうがお前と話す事なんてないと言うよりも先に、向こうがお話聞いてくれないと喚いて。

 

「野分。そろそろ気を引き締めてくれ。パートナーの気が緩んでいるとこちらも危ない」

 

「もう少しだけダラダラさせてください。まだ何かが野分を諦めさせてくれないんです。到着までには理性を無条件降伏させないと、きっと野分は向こうで喚きます」

 

「おう・・・・・・よくわからんが、そういうことなら頑張ってくれ」

 

 野分は姿勢を正し、目を閉じました。これまでの野分を説得するために。仕方ないことだってある。いつまでも文句を言っていちゃ駄目だと言い聞かせます。あぁ、野分はなんて頑固な子なんでしょう。でも野分の言い分もわかります。しばらくそんな押し問答をして目を開けました。

 

「意味がわからなくなってきました」

 

「おいおい・・・・・・頼むぜ」

 

 木曾さんの呆れたようなため息が漏れましたが、たぶん正しいのは野分だと思います。

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