氷の竜はヒーローと出会う   作:シニカケキャスター

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襲撃 急

 腕をへし折られたイレイザーヘッド。押さえつける大男。

 

「個性を消せる。素敵だけどなんてことはないね。圧倒的な力の前ではつまりただの無個性だもの」

 

 手男は嘲笑う。そしてキュレムは同意する。まったくもってその通りだと。

 

「なッ!?いつの間に…!」

 

 "りゅうのまい"ですばやさを最大限あげて飛んできた。ただそれだけだ。

 

「チッ!脳無、コイツを殺せ!」

 

 大男が殴りかかるが、キュレムが素早く躱し、拳は空を切る。

 圧倒的な力と言っていたが、どうやら圧倒的なのはパワーだけなようだ。

 すれ違いざまに"いわくだき"を喰らわせた。しかしキュレムは妙な感覚を感じ取った。こうげきも最大限上がっていたはずにもかかわらず、まるでオールマイトが使っている衝撃を吸収するサンドバッグを殴ったかのようだ。

 

「無駄無駄。こいつにはショック吸収がある。殴ったところで意味ないよ」

 

 ショック吸収。と言うことはいくら殴ったとしても効果は認められないだろう。

 ならばとキュレムは攻撃方法を変更。脳無と呼ばれた大男の両腕を"きりさく"で切り落とした。

 しかしものの数秒で腕が生えてきた。再生力もとんでもないようだ。

 

「切ってもだめだめ!こいつはいわば高性能なサンドバッグだ。いくら攻撃しても無意味なんだよ!」

 

 そうか、それはいいことを聞いた。

 他の生徒が戦慄する中、キュレムはそうつぶやいた。

 

 "ドラゴンクロー"で八つ裂きにし、ボロボロになった脳無を投げ捨てる。

 キュレムにとってこの大男は、技を試す的でしかなかった。

 何度でも再生するというのなら、何度でも攻撃できるということだとしか考えていないようだ。

 

 しかし10回も繰り返していると、再生速度が遅くなっていた。

 生き物と言うのは自分で再生するにはエネルギーを使う。いかに超再生といえどエネルギーが枯渇しては再生のしようがないのだ。

 キュレムは不満げに手男を見つめる。

 高性能なサンドバッグだ、いくら攻撃しても無駄といったのはお前ではないか。これは一種の詐欺だ。よくもだましてくれたな。

 

「普通そんな何回も壊すなんて思わないだろ!?それよりお前はなんなんだよ!」

 

 なんだチミはってか?そんなフレーズがキュレムの頭をよぎった。ヨノワールがいたら連れ戻してくれるだろうか。

 

「黒霧!何してるさっさと来い!くそっ!どいつもこいつも…!」

 

 いつでもうまくいくなんて保証はどこにもありはしない。むしろ世の中はうまくいかないことばかりだ。この手男も世界は甘くないと思い知っただろう。

 

「クソッ!お前もオールマイトも殺してやる!」

 

 おととい来やがれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう大丈夫だ!私が来た!」

 

 もう終わった。大遅刻だ、オールマイト。

 

「…あれ?もしかして私、いらない子?」

 

 完全にいらない子である。

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