氷の竜はヒーローと出会う   作:シニカケキャスター

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第二章 氷の竜は踏み潰す
体育祭前


 ヴィランの襲撃から数日後。

 

「おはよう」

 

「「「相澤先生復帰はええ!!」」」

 

 教室の扉を開き、姿を現したのは包帯でぐるぐる巻きにされたイレイザーヘッド。いつかのオールマイトよりひどい見た目だ。

 

「先生、ご無事だったのですね!」

 

 あれは無事とは言わない。どう見ても重傷である。さっさと病院に戻れと言いたいくらいだ。怪我を押してまで職場に来るとは、恐るべき社畜精神だ。

 

「俺の安否はどうでも良い。何よりまだ戦いは終わってねぇ」

 

 つまりまたサンドバッグがやってくるということか。キュレムは内心歓喜した。できることなら性能も上がっているとうれしい。

 

「雄英体育祭が迫ってる!」

 

「「「「クソ学校っぽいの来たあああ!!」」」」

 

 違った。キュレムは肩を落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお!緑谷少年に八木少女がいた!!」

 

 雄英高校の敷地には森がある。そこで寛ごうと廊下に出たキュレムだったが、廊下で麗日、飯田と何かを話していた緑谷とともにオールマイトに見つかってしまった。

 

「ごはん…一緒に食べよ?」

 

「乙女や!」

 

 外見はどう見てもムキムキなおっさんであるため絵面は非常にシュールだ。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…」

 

 ムキムキな状態から少しやせたオールマイト。如何にNo.1ヒーローと言えど、かつての怪我と衰えには勝てないようだ。

 

「そういえばオールマイト、個性のことは話してるんですか?」

 

「…あ」

 

 いい機会だからどういうことか聞かせてもらおうか。キュレムは"ギガインパクト"を放つ構えに入る。

 

「言ってなかったんですか!?」

 

「大丈夫だ緑谷少年!まだ誤魔化せる!」

 

 誤魔化さずにきっちり話してもらおうか。赤の他人である緑谷が知っているのに義理の子供が知らないというのもおかしな話ではないか。"りゅうのまい"も追加した。

 

「落ち着くんだ!話せばわかる!」

 

 問答無用である。キュレムはオールマイトに襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

「―――と言うことがあったんだ!」

 

 まだどこか隠していることがありそうだが、キュレムは一応納得しておくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 教室の出入り口に他のクラスの生徒たちがたむろしていた。これでは教室から出られない。

 

「敵情視察とか意味ねェから、どけモブ共」

 

「知らない人のこととりあえずモブって言うのやめなよ!」

 

 キュレムは爆豪の言葉に同意する。

 こんなところに来たところでわかるのは外見くらいだ。戦い方や個性を見たいのならば戦闘訓練を見学するべきだ。

 

「お、おう…」

 

「珍しく八木さんがまともなこと言ってる…」

 

 失礼なクラスメイトたちだ。キュレムが比較的温厚でなかったらここで叩き潰されていたことだろう。

 

「どんなもんかと見に来たが、ずいぶんと偉そうだなぁ。ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」

 

 キュレムとしては爆豪と同列に語られるのは大変不服である。

 ヒーローが全員爆豪のような無法者だったならば、地球はまさしく世紀末だ。youはshock!

 

「誰が無法者だ撲殺野郎!」

 

 野郎ではないし誰かを殴って殺したことはない。キュレムには殺人歴などないのだ。もしかしたら自覚がないだけであるのかもしれないが。

 

「まあいいや。普通科とか他の科って、ヒーロー科落ちたから入ったって奴けっこういるんだ。知ってた?」

 

 知っていた。オールマイトからそういった話を聞いたことがある。

 

「体育祭のリザルトによっちゃヒーロー科編入も検討してくれるんだって。その逆もまた然りらしいよ」

 

 つまりキュレムの目の前の少年はあの試験には不利な対人戦に特化した個性だったということだろう。

 

「敵情視察?少なくとも俺は、調子乗ってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー宣戦布告しに来たつもり」

 

 足がなくとも戦い続ける。かの酒呑童子のように首だけになろうとも文字通り死ぬ気で食らいつく所存なキュレムだった。

 

「こわっ!コイツ目がマジだ!」

 

「シーッ!八木ちゃんにそんなこと言ったらアカン!」

 

「ぶっ飛ばされるぞ!?」

 

 一度教育の必要がありそうだ。

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