アクセルワールド 悪意の使者   作:オメガリバイブ

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第三話 司のいつもの朝、アークの力

「ふわぁぁ~~」

 ──朝6時。司はいつもの定刻どうりに起床する。

 今日の司の調子はいつもより眠たかったことだ。

 それは昨日にとりあえず戦闘できる体を取り出し、離脱ポータル前にポップしたエネミーを狩ったのは良いが、久しぶりの戦闘で体がなまっていて本来なら直ぐに倒せるはずのエネミーを時間掛けて倒してしまい、現実世界に帰ってきたのは深夜0時頃だった。

 

「さて今日はハムエッグでも作るか」

 

 司は毎日一人で朝ご飯を作る。理由はいつも家に親が居ないからである。

 司の両親はソーシャルネットワーク及びニューロリンカーの開発、更新していて会社に働いていてほぼ会社で寝泊まりしている。

 

「今日は結構いけてるな」

 

 ハムエッグが我ながら上手に出来たと思い、皿に乗せて昨日炊いていたご飯の残りを茶碗によそう。

 

「いただきます」

 

 こうしていつもの静かな朝御飯始まる。

 

「ごちそうさまでした」

 

 約10分でご飯を平らげると、食器を洗面台に持っていて、父さんが以前仲のいい家電会社からもらった最新式の食器洗い器の中に入れて、帰ってくるまでに洗っておくようセットしておく。

 

 自分の部屋に戻ると学校の用意をして、家を出る。

 家は港区にある、4年ほど前に出来た最新式の高層マンションの最上階にある。

 

 エレベータに乗って地上にまで降りると、駐輪場にある自分のマウンテンバイクに跨がりヘルメットをする。

 そしてニューロリンカーにニューロリンカー専用のメモリーカードを装着させ、起動する。

 このメモリーカードはニューロリンカーのデータストレージを拡張するほか、ブレインバーストのマッチングリストに出現するのを任意で変更したり、無制限フィールドでの減速(・・)の効果を着けてくれる。

 

 メモリーカードの起動を確認すると、マウンテンバイクを漕ぎ、千代田区を通って新宿区に向かう。

 

 司の通っている学校は東京脳科学大学付属高校という所で、2年ほど前に出来た学校だが異例の速さで1年目で、世界の有名大学が拍手を送るほど学校となり、世界の有名大学20選に選ばれるほどの学校となった。

 学部は4つに別れていて司は心理学研究学部に入っていて、学部内では毎回成績学年1位になっている。

 学校生活は普通で、その日も何事もなく終わって行った。

 

 そして一週間後、司はブラック・バイスから無制限フィールドに来てほしいといった内容のメールを貰い無制限フィールドに入った。

 

 無制限フィールドに入るとバイスから来たメールに記された合流地点に向かう。

 合流地点にはブラック・バイスが居た。

 

「来てくれましたか、先生」

 

「今日は何のようだ、バイス」

 

「まずこれを見ていただいて、今日の本題に移らせて貰います」

 

 バイスは無制限フィールドにあるショップと呼ばれる店で買える、対戦などを記録するリプレイ・カードを取り出して、リプレイ・カード内に入っている録画を再生する。

 

 録画は2対2のタッグバトルのもので、バイスは戦いがあるところまで行くと一時停止させる。

 

「この黒紫色のアバターが今日の本題で、名はダスク・テイカーと言います。彼はつい先日加速研究会に入ってきて、加速世界では珍しくあらゆるものを奪える必殺技の持主であります」

 

「ほぉ……」

 

「その彼なんですがここでの時間の1ヶ月後、あのシルバー・クロウと決闘すると言って、私に多分現れるであろうもう一人のバーストリンカーの始末をしてくれと云ってきたのです。

 そこで先生は隙を伺って、テイカー君を倒して貰えませんか?」

 

 バイスの相談にアークは少し驚いた。

 

「いいのか?貴重な戦力なのだろ?」

 

「大丈夫です。加速研究会がほしいのは彼の必殺技だけなのですから、彼自身は要らないので。

 あとこの話は会長がする予定でしたが、都合が合わず私が話すことになりましたので、決して貴方を除け者扱いにするつもりはありませんので」

 

「そうか……。ではダスク・テイカーの処理の仕方は自由でいいのだな?」

 

「はい、構いません」

 

「そうか、ではその決闘の場所に向かうとしよう」

 

「はい」

 

 アークは体をウニの様な形になると、ブラック・バイスの体内に潜り込む。

 アークが他の生命の中に入ると、それを支配するが、今回は調整して、ブラック・バイスの意識を失わせないようにする。そしてブラック・バイスが決闘の場所に案内してくれる。

 

 決闘の場所に着くと、アークはブラック・バイスから分離して少し離れて決闘の様子を見る。

 

(シアン・パイルにシルバー・クロウ。お前達の戦い方をラーニングさせてもらうぞ)

 

 アークの体内の赤いコアがひかり、シルバー・クロウとシアン・パイルの一つ一つの動作を記録していく。

 

 すると近くで鋭いものがぶつかり合う音が聞こえた。その音の正体は突然と現れた黒の王ブラック・ロータスがブラック・バイスに斬りかかる音だった。

 

(ブラック・ロータス!これは好都合、お前の動作もラーニングさせてもらう)

 

 アークはブラック・ロータスの方にもう一つ動作を記録するシステムを起動して、記録していく。

 そしてシルバー・クロウとシアン・パイルの向く、そしてそこにはシルバー・クロウとダスク・テイカーの姿がなく、何処に行ったかと探すと二人は空で激突していた。

 

 ダスク・テイカーはブラック・バイスからもらった情報には無い飛行アビリティで空を飛び、シルバー・クロウは背中にスラスターを着けて空を飛んでいて。

 その事から、ダスク・テイカーが必殺技でシルバー・クロウの飛行アビリティを強奪したということが予測できる。

 

(これはシルバー・クロウの勝利だな)

 

 まだどちらもこれといった攻撃をしていないが、アークは二人の戦い方を見て、シルバー・クロウの勝利を予測した。

 そしてアークの予測どうり、ダスク・テイカーが徐々にシルバー・クロウに押され始め、HPバーは見えないが確実に削れていっていくのがわかる。

 

 だがそこでアークが予測していなかった事が起きた。

 

「シトロン・コール!」

 

 先程から戦いを傍観していた黄緑色のF型のバーストリンカーが必殺技を発動し、手についている大きなベルから緑色の光が放たれ、その光がダスク・テイカーのHPを回復していく。そしてダスク・テイカーの背中に着いてあった翼が消え、シルバー・クロウに翼が戻った。

 

(予測外だ、あのバーストリンカーが巻き戻しの回復持ちとは…………。これは計算し直さないと行けないか)

 

 アークのアビリティの一つ《High speed operation(高速演算)》。

 スーパーコンピューター並の演算出来るようになるアビリティで、これから起こりうるあらゆる事象を想定し、どの事象が最も起こりやすいか計算する。

 

(前提を変え、結果を予測し直した……)

 

 演算結果は、最初に予測したダスク・テイカーが負けるという結果に戻り、アークは静かにある瞬間を待った。

 翼を失ったダスク・テイカーは自由落下していき、シルバー・クロウはそれに追い討ちをかけるよう急速にダスク・テイカーに向かって降下し、その際に発生するスピードと腕から造り出させれる心意の槍でダスク・テイカーを地面に叩きつける。

 

 地面に叩きつけられたダスク・テイカーは下半身を失い、這いつくばって動くしかない体になった。

 

「くそぅ!!バイス!さっさとボクを連れて離脱しろ!研究会の主力だぞ!」

 

 ダスク・テイカーは声を荒げてブラック・バイスに助けを請う。

 

「頃合いか…」

 

 アークは体をチェリー・ルークの姿に変え、近くの影に潜り、ゆっくりとダスク・テイカーに近付いて行く。

 

「それは難しいよテイカー君。私は今黒の王を押さえているんだ。手負いの君を連れて4対1の状態になって離脱するのは不可能だ。

 それに君は今日ここで加速世界から一旦退場してもらい、先生の贄になって貰うことが会長殿と他のメンバーの相談で決定したのだよ」

 

「おい!それはどういうことだ!先生て──────!!─────」

 

 ダスク・テイカーは悪寒を感じ、後ろを振り向く。そこにはアークが立っていた。

 

「い、いつのまに!気配を感じなかった!………それになんで君がそこにいるんだ。───チェリー・ルーク!」

 

 ダスク・テイカーを見ていたシルバー・クロウ、シアン・パイル、黄緑色のアバターが突然と現れたアークに驚いた。そしてシルバー・クロウは目の前で赤の王に断罪され二度と加速世界に現れないアバターであるチェリー・ルークの出現に驚いた。

 

「──ダスク・テイカー。今までご苦労だったな、お前は今ここで私と加速研究会の計画の重要な歯車の一つになれる」

 

 アークはそう言ってキーを出現させる。そしてキーを見たダスク・テイカーはこれから何が起こるか想像でき、アークから這いつくばって逃げる。

 

「や……やめろ!いやだ。いやだいやだいやだ!こんな所でボクは加速を失いたくないだ!」

 

 そしてアークはキーのボタンを押し、ダスク・テイカーに向け、無慈悲な機械の音声が流れる。

 

 

 

 

『Malice learning ability』

 

 

 

 

「い、嫌だああああああああああ!!!!!」

 

 ダスク・テイカーの体からリボン状の光が現れ、全てがキーに吸い込まれていく。10秒程でダスク・テイカーの体を構成するデータ以外のデータは全てキーに収まった。

 

「さて……」

 

 アークは再び体をウニ状に変えると、ダスク・テイカーの体に取り付いて支配し、体に残っているデータを元にダスク・テイカーの体を元に戻し、アークドライバーゼロを腰に造り出す。

 

『アークドライバー!』

 

 アークはダスク・テイカーの体を動かして調子を確認し、シルバー・クロウの方を向く。

 

「感謝するよ、シルバー・クロウ。お前のお陰で楽にこの体を手に入れることが出来たのだから」

 

「テイカーはどうなった……」

 

「彼は無事に現実世界に帰って、ブレインバーストをアンインストールされた。もう二度と加速世界に帰って来ることもない。──────撤収するぞ、バイス。計画の第一段階は完了した」

 

「分かりました、先生」

 

 バイスは影に潜り、その場から立ち去り、アークもその場から立ち去ろうとする。その時、紫の閃光がアークの前に落ちる。

 

「待て!貴様には聞きたいことがある。みすみす見逃す訳にはいかん!」

 

 閃光を放った黒の王がシルバー・クロウに駆け寄ってアークに剣を向ける。

 

「今、私を止めたのは愚かな行為だ。その行為の代償と私への協力の褒美をくれてやろう。──────変身……」

 

 アークはベルトのボタンを押す。

 

『アークライズ!』

 

 ベルトから黒い液体金属が流れ、液体金属は体を覆っていき、ダスク・テイカーの体を本体のアークの体に変えていく。

 

『オール・ゼロ……!』

 

 姿を変えたアークに一同が驚愕し、アークはシルバー・クロウ達の方を向く。

 

「ではその愚かさを身をもってラーニングするといい……」

 

 アークの手からあらゆる怨嗟の声と共に負の心意の波動が放たれ、シルバー・クロウ以外(・・)の全員がその場で倒れ込む。

 

「───!一体なにをしたんだ!」

 

「ん?これは予想外だ……。お前を含め全員を強制的に《零化現象(ゼロフイル)》する予定だったが、耐える者がいるとは。──まさかお前は………」

 

 アークは左の赤に複眼を光らせ、シルバー・クロウを視る。

 

「なるほどそういうことか………これで一つの結論にたどり着く……。黒のレギオン『ネガネビュラス』よ、来たる時に私はお前達の前に再び現れる。それまでは全損をするなよ」

 

 そう言ってアークはその場から立ち去る。

 

 シルバー・クロウは耐えたとは言え、一歩も前に進むことが出来ず、アークが去るのを見守っているしかなかった。

 

 




 次回もお楽しみに(* ̄▽ ̄)ノ~~ ♪

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