ギャフターの外のこと   作:凍傷(ぜろくろ)

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鬼狩り北郷さん⑯

 ぐすぐすと痛みに泣く恋柱がおる。

 力は強くても中身は乙女、甘露寺は蹲りぽろぽろと泣き、その傍では気絶から戻ってきた伊黒がわたわたと戸惑っている。声をかけようとして失敗しまくっていると言うべきか。

 

「よし、じゃあ柱全員に氣の解放のきっかけは与えたところで」

 

 ぽんと手を打つと、柱の皆様と炭治郎がビックゥと肩を弾かせた。

 ……なにかな? その反応。

 

「いやいや、拡張とかそういうのはまた今度。柱も暇じゃないし。だから───」

「「「「「だから……!?」」」」」

 

 音、花、蟲、蛇、恋の柱がごくりと喉を鳴らした。

 

「氣と呼吸、ちゃんと同時に行使し続けられるよう、鍛錬しようか」

(((((やっぱり来た……!)))))

「うむ! そうこなくては! 然り然り!」

 

 既に常中と氣の行使を可能になっている柱と炭治郎あたりが、顔に縦線引いて白目になった。

 

「氣と常中の同時行使? そんなもん、この祭りの神の俺にかかれば派手に余裕に───」

「よしやってみせてくれ」

「お? お、おお。まず常中、んで氣を…………お、おお? なんだ? 上手く譜面が安定しやがらない───」

「失敗したから罰を与えます」

「派手に厳しいなおい!! 待て待てすぐに余裕に派手に出来るようになる! ……………………」

「5、4、3、2───」

「やめろてめぇ派手にふざけんな! 急かすことなのかよこれは! ま、まず氣の調整を…………ていうか覚えたてですることなのか!?」

「杏寿郎はやってみせたぞ」

「うむ!」

「うむじゃねぇよ派手に馬鹿か!」

「血を吐き鼻血も噴き出し、目からも耳からも血を出し弟に泣かれもしたが、よもやよもや! その弟のためにも負けられぬという思いが俺を成長させた! 呼氣常中は覚えるべきだ! 己の持つ強さが一段グンと引き上げられる!」

(───! あの人、まさか長男……!?)

 

 炭治郎は強い興味を示した。

 

「じゃあ、まず氣を安定させよう。氣脈を開いた人はご清聴。えーと……まず、腹の……下の方。ここ。丹田に意識を集中」

「お……ああ」

「次にここ」

「丹田への集中は解くか?」

「いや、そのまま」

「それ集中って言わなくねぇか」

「大丈夫、忍者なら出来る」

「派手に忍者関係ねぇよ」

 

 けれどもやる。

 そうして集中する箇所7つを教えて、そこから氣は出てくるのだと認識してもらう。

 

「最終的にはその七つに氣脈点穴法っていうので穴を空けて、蓋を常に外しておくようにする」

「……あのー、北郷さん? それは、えっと、どれくらい痛いんですか?」

 

 おそる……と胡蝶姉が手を挙げて訊いてくる。

 痛いのが前提になってることに“そうなるよなぁ”と思いつつ、にこりと微笑み返すと告げた。

 

「空から天使が、地面から鎌を持った死神が降りてきたり這い出てきたりするくらいには。つまり死にそう」

「───しのぶ。お姉ちゃん禰豆子ちゃんと仲良くなりに行ってくる」

「姉さん、現実逃避はだめ」

「ちがっ! とほっ……逃避じゃないの! しのぶにはほらっ、散々話してきたでしょ!? お姉ちゃんには夢があるの! ね!? ね!?」

「じゃあ鍛錬が終わったあとにしよう?」

「しのぶーーーっ!?」

 

 妹は姉に辛辣だった。というよりは、自分だけ逃げようったってそうはいかない精神だ。

 見れば、みつりんがソッと席を外そうとしたところ、伊黒がそれを庇うように影となり、実弥と錆兎に捕まっていた。

 

「うう……その、北郷さんはそれに穴を空けた時、どんな感じに……?」

「気絶と覚醒を繰り返して衣服が真っ赤に染まるくらい爪が剥がれてもいろんなところを掻きむしってのた打ち回った」

 

 ほぼ気絶だったけど。とは言わない。あの頃の未熟千万な自分と今の柱達の頑丈さ、忍耐を比べるまでもないだろうけど、それでも。だって点穴すると激痛のあまり呼吸が安定しないから、全集中で和らげる~とか無理そうだし。

 けれども実際あったことを伝えると、質問者である胡蝶姉は笑顔のままにぴしりと固まり、隣の胡蝶妹の羽織を掴んだまま「むむむ無理ぃい……! お姉ちゃん痛いのやだぁあ……!」と妹に泣き言を吐いておった。

 ついさっきまでお姉ちゃんは痛いのも平気と言っていた、あの笑顔はどこに行ったのだろう。

 

「竈門少年! 君は既に呼氣常中は済んでいるのか!?」

「は、はい! 時間はかかりましたが確かに! 長男ですから!」

「そうか! 何を隠そうこの俺も長男だ!!」

「やっぱりそうでしたか!」

「長男!」

「長男!」

 

 長男が二人、正座したまま胸を張った。

 うん、あそこはほっとこう。みつりんや伊黒は───

 

「あのぅー……不死川さん? こきじょうちゅう? って、どうしたら───」

「……まずは氣の扱いに集中するしかねェな。慣れたら常中に集中。感覚を取り戻したら氣に戻る。繰り返してりゃあ勝手に慣れる」

「ああ。ちなみに氣脈点穴は煉獄が4、俺はまだ3だ。不死川はどうだ?」

「俺も3だ。煉獄はもう4かよ……任務の頻度とか考えてやってんのかあいつは」

「鱗滝さん、4? 3? とは?」

「空けた点穴の数だ。全部で7つ。それを全て開けて、ようやく北郷さんと同じ舞台に立てる」

「……待て鱗滝。あいつはそれに加え、別に持っている能力もあるだろう。舞台は同じでも秘めているものが違う。それを理解できていないままではのた打ち回ることになる」

「な、なるほど! 伊黒さん、頼りになる……素敵!」

「……!!」

 

 褒められてテレテレしている伊黒の図である。

 すぐにその照れ顔を錆兎と実弥に指摘されてシャーと怒っているけど、ほっとこう。

 

「南無阿弥陀仏……北郷殿、伊黒の言う“持っている能力”、とは……?」

「んー……赫刀のことは話したよな? 龍の血……は問題外だし、じゃあ次は痣か」

「痣……とは、以前言っていた力の前借りの……?」

「そう。生命力を前借りして、爆発的に力を増やす方法。縁壱は生まれながらにして持っていたものだけど、そうじゃない人にとっては死の宣告みたいなもんだ」

「前借り……というからには、使うと……?」

 

 胡蝶妹が訊ねる言葉に頷く。そう、使うと───

 

「炭治郎の父親、炭十郎は痣の発現者だった……いや、生まれつきって言った方が正しいか。生まれつきの痣者ってのは珍しくて、知る限りでも少ない。けど、炭十郎は透き通る世界も体得した。……たぶん、竈門家の中で一番、縁壱に近づけた人だ。健康であったなら、竈門家歴代最強の人になってたかもしれない」

「その方は?」

「……炭治郎」

「はい。父は……亡くなりました。病没です。けれどそうとは思えないほどに動きが綺麗で、一日中神楽を舞っていられるほどで……」

「病没……あの、北郷さん? まさか痣が出ると、病気になる、とか……?」

「いや、前借りって言っただろ? ……寿命が減るんだ。実際に炭十郎は痣はあったものの体が弱くて、さ。痣については……病気は関係ないかもだけど、知ってる限りで25歳までしか生きられない」

「!?」

「そんな……」

「えっ!? あのっ!? ほほほ北郷さん!? 俺と禰豆子、狭霧山での修行で痣が出たりして……! 大丈夫なんですか!? 俺と禰豆子は25で死ぬのでしょうかぁああ!」

「大丈夫、そのための氣脈拡張だ。痣の効力が寿命の前借りなら、その生命力を作ってやればいい。炭治郎。氣の大元は?」

「え……はい! “生命えねるぎい”です!!」

「そう。しかも、氣は練って蓄積できる。使用するにも限界値を知ってないとダメだけど、前借りの量を操れるようになれれば問題ない」

「……あのっ、北郷さん! そ、そのために必要なええと、氣脈点穴? の数は───」

「7だ」

「ですよね!!」

 

 炭治郎、涙ながらの納得であった。拡張もやったことあるなら、痛さは想像できるだろうし。

 けど死にたくないなら多いほどいい。

 ちなみにこの北郷、寿命がなさそうなので痣出し放題です。何者ですか俺。御遣いでした。

 大元の呼吸が痣になって出るのはきっと誰もが同じで、呼吸を変えると痣が変異する。鏡の前でいろんな呼吸を試した時のあの気色悪さといったら。

 

「というわけで柱の皆さん」

 

 言葉にすると、ミシリと空気が死んだ。まだ内容を話してないのに。

 杏寿郎はどんとこい顔だけど。

 

「7つ目指して頑張ろう」

「承知した! むしろ今から全て開いてしまっても俺は一向に構わない! 辛くても全集中があれば、なんでもは出来ないが様々が出来r───」

「ちなみに多くの氣脈を一気に点穴すると、ろくすっぽ呼吸もままならないから、全集中で誤魔化すとか癒すのは不可能に近いぞ」

「───!!」

 

 元気だった杏寿郎が笑顔で固まった。わあ、杏寿郎のこんな顔初めて。

 

「……それでも俺には強くなる理由がある! さあ北郷殿!」

「……一個ずつ行こうな。平気ならまた次も空けるから」

「それは残念だ!」

 

 けどまあ、かなり元気そうだしとっくの昔に氣の方で余裕を得ているのかもしれない。

 それなら……と早速杏寿郎の肩に触れて、氣を内側へ沈み込ませ……淀みを発見、それを氣で貫いた。

 

「んっ───うぶぐっ!? ごはっ……うぐあぁああああっ!!」

「れれれ煉獄さぁああああん!?」

「うおお大丈夫か!? どうすりゃこんなすぐに派手派手な吐血とか出来るんだ!?」

「血は淀みに溜まっていた蓋だとでも思ってくれ。内臓が傷ついてるわけじゃない。ただ、穴が空いたところを氣が通りまくっていくから、正直大激痛だ。氣脈も傷つき続けるし、それを流れる氣こそで治したくても治ってくれない」

「ふー……! ふー……!! …………うむ!!」

「煉獄さん!? うむじゃなくて、口の血くらい拭いてください!?」

 

 胡蝶姉がすぐに拭く物を用意するものの、杏寿郎はそれを拒む。

 むしろ笑顔というか、目を見開いた真っ直ぐな目で、口は笑ったままに先を促した。

 

「問題ない! さあ北郷殿! 次だ!」

「……根性でどうにかするには、ここからは辛すぎるぞ? 元々、氣脈ってのは門を閉ざしてあるもんだ。淀みっていうのは、俺の馬鹿な考えから無理矢理こじ開けたものにすぎない。落ち着くまでは待った方がいい」

「いいや構わない! やってくれ! やってほしい! ……この身に宿る血に誓い、“煉獄”は鬼殺と平和に文字通り心血を注ごう!」

「………………じゃ、次だ。6からは危険だから、最後の一穴は慎重にいくからな? ていうか拡張とかはまた次の機会にって言ったのになにやってんだ俺……」

「なに、任務に支障を出したりはしないと約束する! そして二つ同時で頼みたい!」

「よし杏寿郎、口をおーきく開けてー?」

「? ほうはほーは!」(訳:こうだろうか!)

「そう。で、これ噛んでー?」

「うふ!」(訳:うむ!)

 

 杏寿郎が素直に丸めた布を噛む。その瞬間、残り二つの内のひとつを破壊。

 途端、杏寿郎の血管という血管が、ミシリと力が籠るように太くなり、顎が布をギリギリと締め付けた。

 正座のままに耐えているのは見事の一言。

 けれども足の上で握られた手からは血が出ていて、食い縛った歯からもまた、血が出ていた。

 目は涙の代わりに溢れ出る赤で濡れ、口の布の隙間から漏れる吐息も荒れに荒れ、相当に苦しそうだ。

 だというのに呼吸を無理矢理安定させると、穿たれた場所に意識を集中させて、痛みを消すことに尽力する。

 全集中の呼吸は、やはり間に合っていない。けれどもそうすることで少しは落ち着くと感覚的に理解しているのだろう。

 杏寿郎はそうして6つ目の点穴を見事終了させた───と同時に倒れ、気絶した。

 

「~……北郷さん!」

「錆兎? ……って、お前その布……まさか」

「男ならば! 迷うことはあれど判断の時を違えず、駆けだしてこそ! ───お願いします!!」

「…………六つまでな。それ以上はダメ」

「はい! ぐっ───」

 

 錆兎が丸めた布を噛み、手にも布を握り込む。

 それを開始の合図と受け取って、錆兎の中の氣脈点穴を解放する。

 

「───!! っ……んんぐぅううううぐぐぐぐぐ!! ぶぐぅうぐぐぐぐ! ぐぶうぅううううっ!!」

 

 杏寿郎の時と同じく、歯を食い縛りすぎて、力を籠めすぎて、血管を躍動させ、あらゆる場所から血を流す彼はしかし、痛みに唸ることはあっても正座を解くことはしない。

 血が混ざった泡が布と口の間から溢れてきても、錆兎は耐えて耐えて耐え続け───ベキメキと強張りすぎている右手を、強張りすぎている腕をギギギと持ち上げることで動かすと、頭に斜にかけたままの厄除の面を完全に被り、漏れる唸り声を止めた。

 身体は相変わらず強張りを続けた。面の下から、タッ、タタタッ……と血が落ちたりもするのに、錆兎は動かず、座して耐えた。耐えて耐えて……やがて強張りが解けると、ザドッと肘から床に倒れ、震え過ぎて開くこともできない手を使い、面の位置を元に戻した。

 

「くっ……ふ、ふぐぅっ……ぐ、ふぅっ、ふぅぅっ……!!」

「錆兎さん……!」

「あいりょうう……ん、ぐっ……ふぅっ……あい、……だ、い……だいじょうぶ、だ……たんじろう……! 男ならば、これくらい……!!」

「錆兎さん!」

「……………」

「あのー……北郷さん? 私達、あれを……7回も?」

「うんそう」

「───……姉さん、禰豆子ちゃんのところ、いきましょう」

「しのぶ!? 逃避はだめよ!? しのぶ!?」

「鱗滝、氣の拡張と点穴ってのは、どっちの方が派手に痛ぇ?」

「~……訊くまでもない……! 点穴は地獄だぞ……! だが、強くなるためならば……! この痛みで、明日の誰かを救えるのなら、耐えてみせるのだ……! ───男なら!!」

「派手にい~ぃ返事だぜ男馬鹿。おい北郷、ド派手に6つだ。祭りの神であるこの俺に、耐えられねぇ痛みはねぇ」

「あ、宇随はまた今度な? 氣脈拡張で氣脈が痛んでるから、今やると錆兎の五倍は痛い」

「……今日の祭りは雨天中止だな。雨じゃ仕方ねぇ」

「雨なんて降ってないじゃん? 快晴すぎるくらいだ」

「柱ならもうちょっと正確な情報を口にしようよまったくさぁ……」

「血の雨なら降るだろうがド派手なほどに! つーか時透兄弟は俺ばかりに厳しくねぇか!?」

「じゃ、次誰かやるかー?」

「───オジキ。俺も6つだ……!」

 

 立った! 実弥が立った! 俺、実弥はむしろ一番最初に来るって思ってたのに。そんな実弥がとうとう来た。

 そんな彼の意欲に敬意を表し、遠慮も無しに点穴。

 一気に汗がドフゥッシャアと顔から吹き出る実弥だったけど、強張り固まる手を無理矢理ゴキベキと動かして、ドッカと胡坐に座り直すと、血走った鋭い目つきのままに耐え始め───

 

「は、はい! 次は俺が! 俺がやります!」

「炭治郎か。よし、おいで」

「はい!」

 

 次いで炭治郎。耐える実弥の隣に正座で座る彼に点穴法を施すと、三つまででギャーと絶叫。

 そうして次から次へと点穴法を施していくと、済んだ奴からドシャアと倒れ、痛みに耐えきれずにギャーと叫んで走り回る人も居れば、順番が来た途端に「キャーッ!?」と叫ぶ恋柱まで居て……ってだからなんで叫ぶ。だ、大丈夫だぞ? みつりんの場合、解放はしても拡張はしてないから、宇随みたいに5倍の激痛とかないから。痛いは痛いけど。

 

「南無阿弥陀仏……これで全員が終わったのだろうか……」

「ああ。行冥はもう7まで行ってるから、あとは痣と透き通る世界か」

「見えぬ目で何を透き通らせろというのか……」

「それが知覚できるようになる。お前の見えない目は、本質を見抜くものだろ? たぶん柱の誰よりも、会得、習得、体得は早いと思う」

「なるほど……では、体得の手段とは?」

「これだ、っていうのはなかなかなぁ……。集中も大事だし鍛錬も大事。一番大切なのは集中と、相手を観察すること……かな。全力で、死力を振り絞る勢いで相手に集中すればいけると思う。大事なのは……必要と思えるものを開いて、その他全てを閉ざすこと。必要なものに己の全てを注ぎ込んで、それ以外に使わないこと」

「ならば北郷殿……次は実戦訓練ということか」

「エ? ……やるの?」

「無事な五体がここにある。やらぬ理由にはならぬはず……南無」

「…………」

 

 言われた言葉に、ちらりと他の柱たち+炭治郎を見た。

 みんな、青い顔で俺を見ていなすった。

 

「まあ……氣脈解放、氣脈拡張、氣脈点穴って続けて、みんな相当辛いだろうし、死力を振り絞るって条件なら今か」

「「「「「「「「「「 !? 」」」」」」」」」」

 

 そして行冥を除いた皆様が、ビックゥと肩を弾かせたのでした。

 だ、ダイジョブヨ? 北郷弱いから。氣の強さだけが特徴の、ただの農民みたいなものだから! ね!?

 

「フン、上等だ。自分を派手に強化出来る機会を逃すほど、俺は生ぬるい生き方をしてきちゃいねぇ」

「オジキ……胸ェ貸して頂きます」

「うむ! 目覚めたのなら強さに貪欲に! その意気が明日の誰かを救うのだ! さあいざいざ北郷殿!」

「男ならば困難を乗り越えてこそ! 行きます! 北郷さん! ……炭治郎! 心の底から命を燃やせ!」

「はい! 錆兎さん!!」

「刀兄に稽古つけてもらうのも久しぶりだな……行くぞ無一郎」

「うん。今日こそは一撃くらい当てないと」

「一撃当てて満足出来る相手なら苦労はしない……。当てて、次も当てて、執拗に当てて、自分を強化する……それくらい貪欲になれ。俺はなる」

(伊黒さん……知り合いであっても向かい合うなら執拗なところ……遠慮がなくて素敵!)

「んじゃ、まずは男からってことでド派手に行かせてもらうぞ北郷。面倒だから全員いっぺんにだ」

「容赦ないねお前!」

「この俺に物事を教えるって意味を地味でもド派手に知りやがれ。出来ないならその音、俺の譜面に混ぜるに値いしねぇ」

 

 顎を軽く持ち上げての、ふんぞり返り天元さんが俺を睨んでくる。

 俺はそれにウムスと頷くと、「じゃあまずは少しずつ、話を挟みながらでも始めようか」と返した。VS柱とか、北郷の肉体、魂、精神の全てを以てして、どれほど保てるか……!

 なので休憩を挟みましょう宣言をしてから───北郷vs男柱+炭治郎戦は始まった。

 

  ……その日、宇随天元が壁画と化した。(再)

 

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