───20の質問!!
“出題者が思い浮かべた物”を20回の質問で特定するゲーム!
ただし質問はYESかNOかで答えられるものに限定される───!
20回で特定出来れば質問者の勝利! 出来なければ出題者の勝利となる!
「で、この一年で御行とかぐやがどれだけお互いのことを知っているかって話になって? 相手が思い浮かべたことをその半分で答えてみせてって話になったと」
「はあ、なんというかそのー……会長とかぐやさんってたまに妙なことしたがりますよねー……」
「お前に言われたくないぞ、藤原書記」
「まったくです藤原さん。猛省してください」
「なんでですかー!」
「ていうか千花、お前ペス当番は?」
「あ、お父様が運動したいからとかで、代わってくれました」
「……千花。お前この前、最近お父様がなんか太ってきた気がしてーとか言ってたけど、それ伝えてないよな?」
「え? あ、はいー、言いましたよー?」
「………」
「………」
「………」
例のごとく、白銀と石上と校務仮面は対象Fの被害者に同情した。
「で、かぐやはもう答えは決めたのか?」
「はい。この紙に書いて、誓って変更や嘘はありません」
「ただし、10回で答えに辿り着いてほしい、と」
「はい」
「……よし。じゃあまずお試しとして、俺が答えを出そう。で、今回はまず20回の質問で全員でやってみる。ミコとかこういうの知らなそうだし」
「はい……ちょっと知りません」
「僕も初めてですね。あ、ちなみに20回質問し終わる前に答えを当てるのは───」
「ありって言えばありだけど、これって結構確信の裏に答えがあるから、質問回数は全部使うことをお勧めするぞ?」
なるほど……と頷く石上を前に、校務仮面はメモの一枚を取ってそこに文字を連ねる。
それを軽く握り、「じゃあ質問開始だ」と笑っていった。
「では私から。①『それは触れられるものですか?』」
「YES。次、御行」
「俺か。じゃあ───②『食べ物であるか否か』」
「NO。次、千花」
「あ、私ですか? じゃあえーと……③『それは生き物ですか?』」
「NO。次、優」
「っと、はい。質問の仕方はわかったんで……④『それは硬いものですか?』」
「NO。ただし硬くもなる。はいミコ」
「柔らかいもので、硬くもなる……? ⑤『それは人が所持しているものですか?』」
「YES。次、かぐやで一周」
「……、⑥『それは扱うものですか?』」
「YES。御行」
「ふむ……⑦『それはテカテカしているものか?』」
「YES。ただし光の加減にもよる。はい千花」
「えーと……そうですねー……あ。⑧『それはあなたが好きなものですか?』」
「NO。ほい石上」
「触れられるもので、食べ物ではなくて、柔いけど硬くなったり、人が所持してて扱うものでテカテカしてて、仮面先輩はべつに好きじゃない……⑨『それは液体を吐き出すものですか』」
「おまっ!?」
白銀は驚きながらも強い関心を抱いた。
「YES。じゃあミコ」
「「!?」」
石上も強い関心を抱いた。
「……あ。私わかりました。答えは───あ、質問は続けたほうがいいんですよね。じゃあ……⑩『吐き出されたそれはぺとぺとしているものですか?』」
「「!?」」
白銀と石上は強い恥ずかしさを感じた。
「YES。次かぐや」
「「!!」」
白銀と石上はとてもドキドキしてきた。
「私も答えはわかりましたが───せっかくです、質問を続けましょう。⑪『それは独特の香りがするものですか?』」
「YES。はい御行」
「ふおっ!? お、おぉお……じゅっ……⑫『それはなかなか太くて長いものか?』」
「YES。けどモノにもよる。はい千花」
「えへへー、⑬『それはしぼむものですか?』」
「YES。吐き出せばしぼむ。はい優」
「!? ……⑭『それは仮面先輩が今日触れたものですか?』」
「? ああ、YES。これはどうしてもな。ほらミコ、次」
「「───」」
白銀と石上はほぼ確信に到り、女性陣を見てポッと頬を染めた。
「⑮『飛び出したものなどが布などにくっつくと、カピカピになるものですか?』」
「YES。かぐや」
「⑯『手にすると独特の感触があるものですか?』」
「まあ、YES。御行」
「じゅっ……⑰。『飛び出すものは、その。白いのか?』」
「YES。千花」
「⑱『それがないとみ~んな困っちゃうものですよねー?』」
「YESだな。優」
「!? え、ええっと……! ⑲『人類の存続に必要なものですか?』」
「? ……NO。必ずしも必要じゃないな」
石上、ハッとするものの、バンクが……と呟き、顔を青くする。
白銀もまた恐怖した。そう、彼らが想像しているものは、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲的なアレである。
「じゃあ、ミコの質問で最後だな。簡単すぎたな、悪い」
「いえ。じゃあ……⑳。『それは黄色や白の容器に入っていて、キャップが赤いものですか?』」
「YES。まあここまできたらな。答えはボンド。簡単だったな」
頷いてみせると、白銀と石上は一度思考を停止。次には盛大なる勘違いをしていたことを自覚し、絶叫したくなるほどの羞恥とともに、頭を抱えたのだった。
そんな二人に校務仮面は近づき、ぽそりと呟く。
「……生き物か否かって、千花がちゃんと質問しただろ?」
「やめてくれ忘れてたんだよ!」
「ていうかアレを生き物として考えていいかって葛藤があったんですよ! 生き物の一部であるなら生き物って例えるのか、一部だからあくまで違うのかって!」
「優。生きてなかったらな、脈動もしないんだよ……触感もない」
「……ですね。僕が間違ってました」
「で……御行? お前はこれからかぐやと20どころか10の質問するんだよな?」
「ああ」
「どうする? 席外すか? それとも聞こえない振りするか? 最初は一緒にやるつもりだったけど、こういう方向だと千花がやらかしそうだっていまさら気づいた」
「助けられる時もあるにはあるんだが、やらかす頻度に比べるとな……」
「どこまでも厄介者ってイメージなんですね……」
「しょーがないだろ、大事なところでやらかすんだから」
「仮面先輩も結構ズバっと言いますよね」
生徒会男子メンバーの藤原の評価はなかなかにひどかった。
「……まあ、相手が御行だからって理由で作った答えかもしれないし、俺達が妙に絡んだりしたら、かぐやもやりづらいだろ。優、いいか?」
「いいですよ、仕事なら家に持ち帰って出来ますし」
「よし。じゃあ御行、お前がきっちりと答えに辿り着けることを祈ってる」
「不安になるようなこと言うなよ……たかが遊びだろう?」
「会長。こばち曰く、女性は自分のことを知ってほしがる傾向にあるそうです。男にしてみたら“は、はぁ!? そこっ!? そっ……そこぉっ!?”なんてツッコミたいところを分かってほしかった、なんてこともよくあるそうで、ここは油断なく行ったほうがいいですよ」
「え? あ……そ、そう。マジで? うん」
不安もそのままに、白銀は全力を出すことを決意した。
ちらりと見れば、他の女性陣を言葉巧みに言いくるめ、かぐや以外を見事に外に出す校務仮面の姿。
「……俺としては、校務補佐のあの妙な女性慣れした行動とか、見ていてたまに不安になるんだが」
「ああ、ありますよねそんな雰囲気。でも仮面先輩の場合、行動に嫌味とかないんですよね。本当に相手のためを思ってるっていうか」
「打算的な部分がない、ってことか。……確かにな。誰しも行動の中にはそういったものが混ざるものだが、あいつの場合はそれが無いように思える」
「……そういえば仮面先輩ってどこらへんに住んでるんですかね」
「噂じゃ校長も知らんらしいが」
「まじですか」
白銀も石上も、一緒に下校したことはもちろんある。が、彼の生家を見たことなど一度もない。
家まで送り届けられ、もしくはバイト先までともに歩いたくらいで、彼の家は誰も知らない。
伊井野だけはお手伝いさんという仕事上、彼が同じ家に入り、世話をしてくれた存在というのを知ってはいるものの、やはり彼の家が何処にあるか、などは知らないのである。
「あ、そういえば仮面くん。仮面くんの家って何処にあるんですか?」
(よくやった藤原!)
(ナイス質問です藤原先輩!)
そんな中突如として繰り出された藤原からの質問に、生徒会メンバーは無意識に藤原への好感度を上げた!
「え? んー……まあ、歩きながらな。ほらほら出た出た」
「えー? べつにいいじゃないですかー」
などと言いつつも促されれば出ていく藤原&伊井野!
(え!? ちょっ、気になるだろ!?)とばかりに白銀は動揺するが、スッと隣で動く石上を見て、つい自分も歩みそうになる。
しかしかぐやとの20の質問ならぬ10の質問でのタイマンがあるため、出ていくことなど出来るはずもない!
「じゃあ会長……僕はこれで」
「い、石上っ……」
「いや会長……さすがに個人情報ですんで、メールでの伝達とかは」
「ぐっ……!」
携帯電話を取り出す白銀だったが、石上に言われるでもなくそれは自分で聞くべきだと理解はしている。
だがやはり気になるものは気になるのである。
そしてそれはかぐやも同じであった。
(様々な事柄が謎とされている仮面くんの住んでいる場所……外にでた時点で早坂に尾行させたけれど、一度として辿り着いた試しもなく、なんなら散々と走りまわされたのちに撒かれた、とも聞かされて……! ~っ……気になるぅぅう……! 大体藤原さんも藤原さんよ! どうしてこのタイミングでそんな質問するのよもーーーっ!!)
生家の場所を質問した時点では藤原を褒めていたかぐやは、盛大に手の平を返した。
「御行、かぐや、じゃあ戸締りとかよろしくな」
「おつかれです会長、かぐやさん」
「会長、四宮先輩、それじゃあまた明日」
「白銀会長、四宮副会長、失礼します」
そうして扉が閉ざされると、ふたりはぽつーんとした気分で見つめ合った。
場面が場面なら熱い視線にもなり得た状況。しかし二人の視線はもの悲しげであった。
……本日の勝敗。白銀の勝利。(質問の答えはきちんと明かせた)
「……それで、結局仮面くんはどこに住んでるんですか?」
「生徒会室の隠し扉の先」
「え? ……うえぇえええええっ!? そんなのあるんですか!?」
「あるよ? 優は一度開けたことあったよな」
「えっ……マジですか、あそこなんですか」
「え……アンタ知ってたの?」
「いや偶然見つけただけっていうか……ぇえええ……あそこなんですか」
「学生運動の時に拠点に使われた時はどうしようかと思ったけどな。階段の先に俺の部屋がある。あ、でも全校生徒が帰ってからはセキュリティ働くから、間違っても遊びにこないように」
「え? じゃあどうやって戻るんですか仮面先輩」
「? 普通にセキュリティ掻い潜るけど」
「「「それ普通って言いませんよ!!」」」
備考。校務仮面はがっこうぐらしである。