【本編完結】魔法少女リリカルなのは~Eine noch von Buch der Dunkelheit Geschichte~   作:鈴木颯手

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第十三話「姉弟喧嘩・Ⅱ」

「優斗……、なんで……」

 

はやては傷の影響で苦しみながら優斗に問いかける。はやての目には守護騎士たちが目の前で消去された時の様な絶望が浮かんでいた。

 

「何で?そんなの決まってるじゃないか」

 

優斗は血で真っ赤に染まった右手を舐めながら答える。

 

()がそうしたいからだよ。今なら分かる。俺はずっとこうしたかった。姉ちゃんをこの手でコワシタカッタ」

 

そう言う優斗の口角は自然と上がっていた。はやてたちは優斗の言葉に嘘が含まれていない事を察する。それだけに優斗の行いは信じられなかった。

 

「……ヴィータちゃん、優斗くんで普段から?」

「んなわけねーだろ!優斗はこんなこと言わねぇ!きっと!きっと!ナハトヴァールのせいで……!」

「おいおい、現実は正しく受け止めようぜ。俺は確かにナハトヴァールによって変えられた。姉ちゃんやその中の管制ユニットが戦っている時にいろいろと聞いたしな」

「一体何を……!」

「俺の存在自体がナハトヴァールによって生み出されたとか俺が姉ちゃんのクローンだとか、俺は姉ちゃんが死んだ時用の代替え品って言う事とかな」

「なっ!」

 

その事実にクロノたちは固まる。それが本当なら目の前の少年はあまりにも不幸すぎる。普通の人間ですらないのだから。

 

「でも、そんなのはどうでもいい。姉ちゃんがナハトヴァールと分離した今ナハトヴァールは俺と融合した」

「そんな!」

「ナハトヴァールは分離した事で俺を主と定めた。つまり、姉ちゃんが夜天の書の主なら俺は、闇の書の主になったという事だな」

「……優斗」

 

そこへある程度の治療を終えたはやてが声をかける。はやてはシャマルの治療により傷は塞がったが失った血の影響で立ち上がる事が困難となっていた。

 

「なんで……、こんな事に」

「……姉ちゃんは何も悪くないよ。全てはナハトヴァールのせいだ。だけど不思議だよな」

 

そう言うと優斗は手をかざす。瞬間、黒い球体が発生しはやてに向かって放たれる。

 

「おかげで俺は本当の想いに気付く事が出来た。そしてそれを成せるだけの力が手に入った」

 

球体はなのはのシールドによって防がれ爆発を起こす。その隙をついて優斗は更に後方へと下がり次の攻撃を繰り出す。

 

「さぁ、始ての姉弟喧嘩と行こうか。姉ちゃん!」

 

はやてたちに向かって極太の魔力砲が放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、ナハトヴァールがそんな事をしていたなんて……」

 

宇宙空間に浮かぶ管理局の船アースラに乗るリンディ・ハラオウンは悔しげにつぶやく。艦橋のモニターには魔力砲を避け散らばるなのは達の姿があった。負傷したはやてはシャマルとユーノに支えられて後方へと退避している。

 

「艦長!もし彼がナハトヴァールと融合しているなら……!」

「……残念ですが今からでは取り外す事は不可能でしょう」

 

いくらはやての弟だからといって見逃す事は出来ない。現段階で暴走は起きていないがいつ起きるとも限らない。直ぐにでも倒す必要があった。

 

「エイミィ、アルカンシェルは何時でも撃てるように準備」

「はい!」

「クロノやなのはさんには……、酷だけどナハトヴァールの破壊を優先させて(優斗さん、ごめんなさい)」

 

リンディ・ハラオウンは心の中で優斗に謝罪しながら管理局の一員として、世界を守る方針を取るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「シュート!」

 

優斗の魔力砲を避けたなのは間髪入れずに反撃を開始する。はやての弟という事で多少の抵抗はあったが今は落ち着かせる必要があると判断したためである。

なのはから放たれたアクセルシューター六発はそれぞれ別々の起動を描きながら四方八方より優斗に襲いかかる。

しかしそれらは優斗の背中から現れた触手が放つ魔力砲により全て撃ち落とされた。

 

「……成程、ナハトヴァールの暴走体の力も使用可能、か。やはり実戦で学べるものは大きいな」

 

優斗は呟きながら手を握ったり開いたりを繰り返している。その姿は実験を行っているようにも見えた。

 

「はぁぁぁっ!」

 

そこへフェイトがバルディッシュを構えて後方より襲撃する。フェイトの速さを生かした奇襲。なのはの攻撃に気を取られている隙の攻撃だった。

 

「……無駄だ」

 

しかしそれは優斗が発生させた赤い色の盾により防がれた。

 

『マスター!魔力が吸収されています!』

「っ!」

 

バルディッシュからの警告にフェイトは後方に下がる。バルディッシュの矛先を見れば魔力で出来た鎌が薄く、削られていた。

 

「ふむ、魔法の使用も問題ないか」

「くっ!」

 

まさかの防御魔法にフェイトは歯噛みする。魔力を吸収するなら並みの攻撃では防がれることを意味していた。物理的な攻撃か吸収速度を上回るスピードで突破するしか方法はないためだ。

 

「さて、次はこっちの番だな」

 

優斗は再び攻撃の準備に入った。

 

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