【本編完結】魔法少女リリカルなのは~Eine noch von Buch der Dunkelheit Geschichte~   作:鈴木颯手

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第十七話「姉弟喧嘩・Ⅵ」

姉弟による砲撃魔法のぶつかり合いはあらゆるものを飲み込んだ。威力が収まるまで数十秒有しその間のみ込まれた二人の様子は分からなかった。

 

「はやてちゃん!」

「なのは!今近づくのは危険だ!」

「でも!」

「……今は、はやてを信じよう」

 

クロノの言葉になのはを悔し気な表情を浮かべて爆心地の方を見る。心配なのは、なのはだけじゃなく守護騎士の面々を心配そうに見ていた。特にヴィータは今にも向かっていきそうになるくらいで肩を震わしながら耐えていた。

やがて、爆発が収まり状況が見えるようになった。爆心地にははやてと優斗の二人の姿があるなのは達は安堵すると同時にはやての下へと向かった。

 

「はやてちゃん!」

「はやて!」

「主!」

「……あ、皆」

「はやてちゃん、大丈夫!?何処か怪我はない!?」

「う、うん。大丈夫やで」

 

そう言ってはやては崩れ落ちる。慌ててなのはとフェイトが抑える。

 

「……いったいなぁ」

「「「「「っ!」」」」」

 

その言葉に全員が警戒する。言葉の聞こえた方には優斗がおり左腕を抑えていた。左腕は大きく脈動を繰り返しておりまるで心臓の様な異質さを持っていた。

 

「まさか正面から抜かれるなんて思わなかったよ。全部吸い取れたけど流石にもうパンパンだよ」

 

ゆっくりと左腕の脈動が収まっていく。それに合わせて険しかった優斗の表情も和らいでいくがその視線にはいまだに狂気とも言える破壊願望が見えていた。

まだ優斗はやる気だ。その場の誰もがそう思いはやてを背に臨戦態勢を整える。優斗も次なる一手を繰り出そうと魔力を練る。……しかし。

 

「ぐっ!?ごはぁっ!」

 

突然苦しみだしたかと思うと優斗は吐血した。それも手に収まる量ではなくダラダラと吐き続ける。あまりの出来事になのは達は固まり当の本人も訳が分からず苦しみと苦痛、困惑の表情をしている。

少しづつ吐血は収まっていき優斗は真っ赤に染まる口周りを拭うとナハトヴァールに問う。

 

「ぐっ……、ナハトヴァール。これはどういう事だ!?」

Übermäßiger Gebrauch von Magie(魔法の使い過ぎです).Die Belastung des Körpers ist enorm(体への負担が甚大です).Rücknahme empfehlen(撤退を推奨します)

「ちぃっ!初戦闘で張り切り過ぎたか……。残念だけどここは逃げるか」

 

ナハトヴァールの説明に優斗は悔し気に呟く。今だ誰も壊せていない。姉であるはやてですら回復してしまった。しかし、これ以上の戦闘は不可能であり優斗は逃げる準備をする。

 

「ナハトヴァール、長距離転移の準備」

Einverstanden(了解)

 

優斗は転移の準備をさせると時間稼ぎの為になのは達へと視線を向ける。

 

「悪いが。今日の所はこれまでだ」

「……どういう事だ?」

「初戦闘でつい張り切り過ぎた。逃げさせてもらおうと思ってね」

「そんな事をさせると思っているのか!?」

「別にいいだろ?俺がこうして存在する限り暴走は起きないんだから。お前たち、とくに管制ユニットは気づいているんだろう?ナハトヴァールが出てきたのに崩壊が始まっていないことに」

『……確かに、暴走はしていない。しかし!お前は我らが主を!』

「それについては謝罪しよう。きっちりと殺しておくべきだった」

「優斗!お前は……!」

「そうカリカリすんなよシグナム。美人が台無しだぞ?」

 

優斗の挑発とも言える言葉に激怒する守護騎士たち。優斗は迎撃の準備をしつつまだかとナハトヴァールの転移の準備完了を待つ。

 

「どちらにしろ管理局で話を聞きたい。無駄な抵抗は止めてこちらの指示に従ってくれ。……流石に攻撃して気絶させての連行はしたくはない」

「おー、こわ。悪いけど今日は遠慮させてもらうよ。管理局?っていうのがどんなもんかは知らないけど俺みたいなんが行けば確実に殺されそうだしな」

「……そうなるかは君次第だ。どちらにしろこの場からの闘争が出来ると思わない事だ」

Bereit(準備完了)

「(よし!)それが出来るんだよ。なんたって俺はナハトヴァールと融合したんだぞ?そのくらいこんなふうに簡単さ」

 

そう言うと優斗の足元に三角形の魔法陣が展開される。それが何を意味するのか気付いたクロノはとっさに動き優斗の元に向かう。しかしたどり着くよりも早く優斗の体は消えていった。

消える直前優斗ははやての方を見て呟く。

 

「じゃあね姉ちゃん。……まだ何時か喧嘩しようね」

 

その言葉を最後にアースラの探索すら逃れた優斗は完全に姿を消すのであった。

 

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