【本編完結】魔法少女リリカルなのは~Eine noch von Buch der Dunkelheit Geschichte~ 作:鈴木颯手
「くそっ!何なんだよ!」
とある管理世界。そこに住む男は必死に逃げていた。彼と一緒に居た友人二人は既に倒れた。残ったのは男のみだ。
「ちくしょう!ちくしょう!」
男は建物の裏に回り息を潜める。暫くして逃げ切れたと判断した男は安堵の息をつく。
「ふぅ……」
「鬼ごっこは終わりか?」
「ひっ!?」
聞こえてきた声に男は小さく悲鳴を上げる。男の隣には男を置かけてきた者がいた。その者は詰まらなそうに男を見ている。男は損傷激しいデバイスをその者に向けるが恐怖のせいかカタカタと揺れており頼もしさは微塵も感じられなかった。
「俺としてはもう少し粘ってくれた方が助かるわけだが……。まぁ、真っ先に倒れたあの二人よりはマシか」
そう言うと一瞬で男の懐に飛び込むボディブローを食らわせる。バリアジャケットを無視するような一撃。内臓は潰れ骨が砕け男の体は一瞬で破壊された。更に強烈な一撃を食らった事により男の体は吹き飛び塀を直撃する。背骨が折れる音と共に男は吐血しその場に倒れる。既に男は反撃どころか逃走の力すら残っていなかった。
「さて、早速やらせてもらうとしよう」
男を無力化した者は右手を構えると小さな魔法陣が手の平に出来る。それは男が使用するミッドチルダ式の魔法とは違い三角の魔法陣であった。
しかし、男はそれ以上の事を知る事は出来ず深く苦しい永遠の眠りへとつくのであった。
「……ふむ。まぁ、チンピラならこんな程度か」
男から蒐集を終えた俺は手に入れた魔力を見て落胆する。三人の中ではそれなりに強かったしたくさん採れるだろうなと思った結果がこれである。予想の半分もなかった。
とは言え蒐集をはじめてから数日経ったがそれなりに集まった。闇の書のページ換算で2、30ページ程か?一人ににつき1ページもいかないがそろそろ一旦帰還するか。これ以上の蒐集は管理局に見つかる可能性があるからね。
「ナハトヴァール。長距離転移の準備」
【
確かシグナムたちの話ではもう一回戦闘があるらしい。この世界でも同じとは限らないが一応見ておく必要はあるしこの魔力を届けないとな。折角姉貴の為に集めた魔力だ。有効活用してもらわないとね。
「ふぅ、やっぱり地球が一番落ち着くな」
戻ってきた俺は久しぶりの地球の空気を吸う。先ほどまでいた管理世界は空気が汚かったからね。地球も大差ないと思うけど故郷の空気というだけで数倍美味しく感じるよ。
今のところ守護騎士たちと管理局が争ったような形跡はない。何時戦うか分からない以上暫くはこちらにいないとな。
そう言えばこちらの世界にもあのお店はあるのだろうか?テレビでとても美味しいと言っていた……翠屋。一度食べてみたかったんだよな~。
そう思った俺は早速翠屋へと向かった。幸運にも存在しており早速入店する。ふむ、流石は人気店。人で混雑しているな。
「いらっしゃいませ」
「……」
笑顔で出迎えてくれた人を見て俺は驚く。どう見ても高町の親族にしか見えない人だった。まさかここは高町の実家か?流石にこの世界では他人とは言え近づくのは考え物だな。
「ご注文はお決まりですか?」
「……では、シュークリームを二つ。持ち帰りで」
「分かりました。お包みしますので隣でお待ちください」
さっさと出よう。そう思って持ち帰りにしたが気付けば外の席に高町たちが座っていた。しかも月村にアリサも一緒だ。……よく見れば犬耳女性の狼になった姿にそっくりな子犬とイタチ?みたいな変な動物も一緒だ。
俺たちは他人。俺たちは他人。俺たちは他人。そう言い聞かせていると緑髪の女性が入って来る。……話を盗み聞きするとフェイトの親代わりとか。状況的に管理局の人間で間違いないだろうな。こんなに集まるなら今後も通うのは考え物だな。せめてこいつらがいないとき、平日なんかに大人の姿になって買いに来るか。
俺はシュークリームが入った箱を受け取りながら心の中でそう思うのであった。