【本編完結】魔法少女リリカルなのは~Eine noch von Buch der Dunkelheit Geschichte~ 作:鈴木颯手
「「騎士甲冑?」」
「はい、我らは武器を持っていますが甲冑は主に賜らなければなりません」
「自分の魔力で作りますから、形状をイメージしてくれれば……」
守護騎士たちの出会いから濃い一日を終えた次の日。僕と姉ちゃんは図書館に来ていた。守護騎士たちの甲冑の形状を決めるために参考資料になりそうな本を借りるためだ。お伴としてシグナムとシャマルが付いてきた。ザフィーラは家でお留守番だ。流石狼。
「そっか……。せやけど私は皆を戦わせたりせえへんから……、服でエエか?騎士らしい服」
「ええ、構いません」
「となるとあっちの方にそれらしい本纏めてあったような……」
「ならそこに向けてレッツゴー!」
「任せて!」
僕は注意されない程度にスピードを上げて向かう。そんな僕たちを微笑ましく見守るシャマルとシグナム。え?ヴィータは何処だって?向こうで絵本を読んでいるよ。明らかにヴィータより幼い外見の子供と一緒にだけどね。
次に向かったのは玩具店だ。ここならそれっぽいものがありそうだしね。途中ヴィータが一つのぬいぐるみに夢中になり姉ちゃんがひそかに購入して帰り道であげてたりしたな。
「そう言えば守護騎士たちの中では僕の立ち位置ってどうなっているの?」
「ええと、命令権などはないですけどそれとは関係なくはやてちゃんの弟なので」
「主はやての命令が優先ですがある程度の範囲ながら聞こうと思っています」
「流石にはやて以上に優先はしないけどな」
「それだけでも十分だよ。特に命令したい事なんてないんだし」
それこそ命令する時は姉ちゃんが危険に陥った時くらいだろう。ないとは思うけどね。
そして守護騎士たちと過ごす三度目の夜がやってきた。姉ちゃんはシグナムに抱えられてバルコニーに出て行った。僕は狼状態のザフィーラのお腹を背もたれにヴィータと一緒にゲームをしている。赤と緑の双子が出演するレースゲームだ。
「ヴィータ!勝った方が自分のアイスを上げるっていうのはどうだ?」
「よっしゃ!その勝負受けて立つ!」
「えぇ、ヴィータちゃんあれだけ食べてまだ食べるの……?」
「うるせーな、育ち盛りなんだよ!はやてのご飯はギガうまだしな!」
「……エターナルロリータ(ボソッ」
「な、なんだとぉ!このやろー!」
「ちょ、ちょっと落ち着いてヴィータちゃん!」
「(……できれば腹部で暴れないでほしいんだが)」
これは束の間の日常。何も知らずにいられた時の幸せの一コマ。そして、二度と訪れる事のない思い出の時間……。
【…a…】
「じゃぁ、はやてちゃんと優斗くん。先生シグナムさんたちとちょっとお話があるから」
「はい」
「分かりました」
「ヴィータちゃんも待っててね」
「は~い!」
今日は姉ちゃんの定期健診の日。何時もなら姉ちゃんや僕が聞くけどシグナムとシャマルがいるからか僕たちは待機となった。ヴィータも残ったのは万が一の護衛と見た目のせいだろうな。
「優斗、お前たまに失礼な事考えたり行ってきたりするよな?」
「そんな事はないよ。ただ、事実を思ってるだけで」
「それが失礼だって言ってるんだろーが!」
「まあまぁ、二人とも落ち着いて」
「ガルルルルッ!」
「ほらほら落ち着けこうよ。お手」
「あたしは犬じゃねぇー!」
「ヴィ、ヴィータ落ち着いて……」
「……すみませんが病院内では静かにお願いします」
「「「あっ、すみません(でした)」」」
「あ、戻ってきたみたいだよ」
「おかえりー、シグナムにシャマル」
「は、はいはやてちゃん」
石田先生から話を聞いてきた二人の表情は若干ではあったが暗かった。……明らかに何かあったと思われる。流石に姉ちゃんも前では平静を保っていたけど。
「えっと、はやてちゃん。申し訳ないんですが先に帰っていてもらえますか?少し、みんなで話したいことがあるので」
「ん?そりゃ構わんけど……」
シャマルからの言葉に姉ちゃんは俺の方を見る。……石田先生から聞いた話を守護騎士内で共有するのだろうか?それなら僕たちは邪魔になるだろうし後で聞けば問題ないか。
「いいんじゃない?守護騎士として何かあるんだろうし」
「そっか……そうやね。皆気を付けて帰って来るんやで?」
「はい、はやてちゃん」
僕たちを見送る守護騎士たち。姉ちゃんに何があったのか見当もつかないけど願わくば穏やかに暮らせますように。