【本編完結】魔法少女リリカルなのは~Eine noch von Buch der Dunkelheit Geschichte~ 作:鈴木颯手
あの日から守護騎士たちは出かけるようになった。シグナムとザフィーラは周辺の散策。ヴィータは町内会のゲートボールの参加。シャマルはお買い物等……。
明らかに何かを隠している。姉ちゃんもそれを薄々気付いているが特に何も言わずにいる。
あの日も四人は帰って来るのが遅く待っていられず僕たちは寝てしまった。起きた時には帰ってきており石田先生の話を聞いたがはぐらかされてしまった。
そして、守護騎士たちとの出会いから約半年。12月を迎えた。この頃になると守護騎士のうち最低でも二人が朝から晩まで出かけているのが普通になっていた。
何をしているのか、最近では何となく分かるようになった。何故、出かけるようになったのかも。僕は悲しかった。それを教えてくれない守護騎士に、何も出来ない自分に。
「ど、どうしたんですか優斗くん……?」
僕は空き部屋の一室にシャマルを連れてきた。姉ちゃんは「まさか!男女の関係!?」などふざけていたが僕はそれに答えずに無理やり連れてきた。
「……闇の書の蒐集を、しているんですよね?」
「っ!?」
目を見開いて驚くシャマルに当たって欲しくない考えが当たってしまったと悲しみを覚える。僕の考えは実際にはちがく守護騎士たちは夜遅くまでただ出かけているだけと思いたかった。だけど、それももうできないみたいだ。
「な、何を言っているんですか?そんなことは……」
「姉ちゃんは望んでいない。それは分かる。僕も望んでいないし」
「だったら……」
「きっかけは少し前の定期健診」
「っ!」
「恐らく姉ちゃんの状態を聞かされた時が発端だと思う。あの日から守護騎士たちは出かけるようになったから」
あれだけ姉ちゃんを第一に考えていた守護騎士たちが、ヴィータやシャマルはともかくシグナムやザフィーラまで出かけるのは可笑しかった。
「恐らく何らかの理由から蒐集せざるを得ない状況になり止む無く蒐集している。……違う?」
「……」
シャマルは観念したように俯く。
……ああ、やっぱりそうなんだな。
「……事実を教えてくれ」
「それは……っ!」
「もうここまで知ったんだ。だから、中途半端じゃなく完全に知りたい。姉ちゃんは、生きていられるのか?」
「……はやてちゃんは今闇の書によって浸食されています」
シャマルが話し始めた真実は想像を超えていた。闇の書の独立防衛システムの異常、抑圧された強大な魔力は未成熟な姉ちゃんの体を蝕み静かに、しかし確実に闇の書の呪いに殺されつつあるという。それを止める方法は一つだけ。姉ちゃんを完全な闇の書の主にする事。そうすれば最低でも進行は止まり命の危険はなくなるらしい。
「……タイムリミットは?」
「……最高でも、数年以内」
「っ!」
つまり姉ちゃんは、何もしなければ成人すら迎えられないって事なのかよ……!
【……!】
何で姉ちゃんばっかり!こんな目に遭わなければいけないんだよ!
【……い!】
他人を糧にしなければ生きていられないなんて……!
【や…ばっ…ルい!】
代われるなら代わりたい!守護騎士の手伝いが出来るなら手伝いたい!
【闇…ばっかり…ルい!】
ああ、何でこんなに
【闇の書ばっかりズルい!】
姉ちゃんが苦しまなければいけないんだよ!
【ボクモネエチャンヲコワシタイ!】
「っ!?」
「?優斗くん?」
僕は今何を思った?誰が?誰を?何をしたいと?
「優斗くん!?優斗くん!?」
僕は、僕は!ネエチャンヲ……!
「優斗くん!」
「っ!?」
突然、シャマルの声が聞こえてきた。前を向けば心配そうにこちらを見ているシャマルの姿があった。
「大丈夫?突然顔が青くなったけど……」
「……大丈夫、です。少し、姉ちゃんの今後を考えて……」
「……大丈夫よ!必ず私たちが蒐集を終わらせてはやてちゃんを助けて見せる!だから、心配しないで」
「……はい。姉ちゃんを、お願いします」
僕の手を取り安心させるために力強く言うシャマルに僕はか細く答えた。
さっきのは、夢?気のせいなのか?……なんか、前にもこんなことがあった気がする。何時だったかな?全然覚えてないや。まだ夕方だけどなんか疲れちゃった……。今日はもう、寝ようかな。
【…a…Vorbereitung】