厄神様が通る道   作:転箸 笑

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第4話

...あら。

 

神社の周りを見て回っている途中、空から何か──言ってしまえば厄のようなもの──が感じ取れた。その方向に目を向けた時、私は絶句した。

 

緋色の雲、ですって?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽▽▽▽▽

 

 

 

 

 

 

 

 

私がそれなりに急いで神社へと戻ると、其処には。

 

「......」

 

倒壊した神社を眺めながら立ちすくんでいる巫女の姿が認められた。いったいどういう事だろう。まるで()()()()()()()()()()()かのような、酷い崩れようだ。

だが、私は何も感じなかった。ここまで大規模な地震なのに、近くに居た私が感知出来ないという事が起こりうるだろうか?

そんな事を考えていると、茫然自失としていた巫女がわなわなと怒りに震え出した。

 

「何処のどいつよ、こんな巫山戯た事をした奴は!?」

 

そして、巫女がそんな怒声を上げると同時に─辺りが一気に晴れだしたのだった。

 

...いったい何が起こってるのかしら。

 

私はそうぼやくしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽▽▽▽▽

 

 

 

 

 

 

 

 

あのまま神社に留まっていると巻き添えを食いそうだったので、とりあえず神社と逆の方向へと飛んで行った。

そういえばさっきから妙に暗いのだが、どうも私の周りだけが暗くなっているようだ。動くとこの暗闇もついてきて、何処となく不気味である。

 

...あら?

 

空から竹林を覗くと、ひっそりとした建物が在った。ひっそりと、とは言ってもそれなりに大きい建物で、あくまで雰囲気が寂れていた。

こんな建物があったか?

まずそこに至った。竹林自体は前から在ったと思うのだが、その中にこんな建物が存在していた記憶が無い。

 

まぁ、行けば何か解るでしょう。

 

そして建物へ向かおうとすると、風切り音と共に矢が飛んできた。

それは私の頬を少し掠めて、そして失速した後に重力にしたがって落ちていった。

 

「まさか外すとはね。でも次は当てるわ」

ずいぶんなお出迎えだこと。

「貴女程に穢れが多い者を、此処に近づけたくはない」

穢れ...

 

よく解らないが、女性の言う穢れというのは恐らく私が纏っているこの厄のことだろう。

言われてみると、この建物は非常に厄が薄い。まぁ、その周りは厄だらけだが。

立て続けに放たれる矢を避けながら、下をちらりと見る。いつの間にか妖怪兎が集まって見物していた。

 

厄が、多い...

 

下に居る妖怪兎からは、かなり濃い厄が感じ取れる。まぁ、兎など短命だし身を護る武器を持たないしで厄だらけなのが常だが。

そんな事に気を向けていると、矢が目と鼻の先に迫っていた。

 

わっ、とっ、と。

 

咄嗟に弾幕を出して難を逃れる。弾に命中した矢は、焦げながら落下した。

 

「小癪な...そうまでして此処に来たいのかしら?」

 

新たに矢をつがえる女性だが、それが発射されることは無かった。

 

「永琳、騒がしいわよ」

「あら、輝夜」

 

廊下を歩いて来た少女が、女性の攻撃を中断させたのだった。

私は少し面食らった。その少女には、驚くほどに厄が無かったから。

 

「あれも立派な客人よ。お通ししてあげて」

「そのように」

 

再度女性の目が私を捉える。そしてハンドサインで私に来いと命令した。

 

「...それにしても、妙に暗いわね」

 

ぽつりと少女が言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽▽▽▽▽

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、どうして貴女は此処に来たの?」

まぁ、色々と。

「隠さなくたっていいじゃない。私以外誰も聴いてないんだから」

本当に色々在ったのよ。ええ、色々と。

 

この少女は楽しいお話を求めているようだけれど、私にはそんな高等な話術は無い。なんなら話の種も無い。

 

「なぁんだ、結局私が話す方に回るのか」

私としてもその方が楽だし楽しいわ。

「じゃあまず、自己紹介からしようかしら」

 

かぐや姫?たしかちょっと前に聞いた気がしないでも無いけど、この子がそうなのね。

あの頃は人間の厄も多かったなぁ。

 

「私の話はこれで。次は貴女」

私からも話さないと?

「勿論」

 

うーん、と唸る。自己紹介といっても、面白い身の上話なども無し。簡素な自己紹介でもいいのだろうけど。

 

ひゃあ。

「小さい反応ねぇ。もっと驚いてくれていいのに」

 

耳に吐息がかかり、こそばゆい。

気がつくと、少女が私の背中にのし掛かっていた。

 

何してるの?

「貴女ったら、長く考えこむんだもの。暇しちゃうわ」

 

ぴん、ときた。たまには悪戯するのも悪くないだろう。

 

じゃあ、退屈しないようにしましょうか。

「え?」

 

くるり、と反転して少女と向かい合う。

はてな、という表情をした少女を柔らかく抱き寄せた。その小さな身体は、見た目以上に抱き心地が良い。

 

これで、少しは気も紛らわせるかしら。

「ええ。とっても」

 

てっきり恥じらうかと思ってやったのに、少女は余裕綽々という感じ。やっぱり慣れないことはしない方がいいなぁ、と思った矢先。

 

「で、次はどうなるのかしら?」

え?

 

少女の黒い目が、私の目を覗く。それは見た目にそぐわない老獪さと重厚さを感じさせた。

 

「えい」

 

肩を軽く押されて、とさりと床に倒れる。仰向けになった私に、少女が跨がっている形だ。

 

ちょ、ちょっと待って。

「いいわよ。ちょっとだけね」

 

こんな風になるとは想定していなかった。

私の上でころころと笑う少女は、邪気など感じられない。でも、このからかわれてる感じは得意じゃない。

 

まずはこの状況を何とかしなければ。

 

 




今回から緋です。つっても、雛ちゃんは関わりませんが。

最近キャラが勝手に動くので参りますね。輝夜ちゃん何してんの。
雛ちゃんは何と無く誘惑しただけなのに、相手が悪すぎました。

じゃ、またいつか。
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