あら。
庭に怨霊が。普通こんな地上には居ないはずなのだけれど。もしかして、前に言ってた八咫烏と関係があるのかしら?
まぁいいか。仮にそうだとしても、此方から出向くのは無理だし。
ん?
目の前に、ぽつん、と小さな影ができた。それは見る見る内に大きくなっていく。
「何でお前が居るんだよ?」
私のが先に来てたもん。
いつかの魔法使いが、箒に跨ってやって来た。
「まぁいい。それよりパチュリーだ」
せっせこと行ってしまった。パチュリーって誰だろうか?
それに何の用で来たんだろう。
▽▽▽▽▽▽▽
聞いたところ、この館には図書室があるらしい。
行ってみると、壮観だった。壁が殆ど見えず、どこに目をやっても本がある。
紫の服を来た少女が変な機械と話していた。
「......聞こえるかしら?私の声」
『何だ?何処から聞こえてくるんだ?』
返ってきた声は魔法使いのものだった。もしかして前に河童が言っていた通信機械ってコレのことかしら?
少女が唇に指を当てた。今は話しかけてくれるな、と暗に言っている。
『おお? 人間とは珍しい』
今度は違う声。さっきの魔法使いより小さく聞こえるのは何でだろう。
「気を付けて。地底の妖怪は私達とは異なるから」
『何だ?見た感じは同じだけど......』
地底って言ったのかしら、今。
もしかしてあの魔法使いが地底に行った?でもいいのかな其は。
暫くしたら機械から声は聞こえなくなり、代わりに爆発音やらが聞こえるようになった。
ねぇ、あの子は地底に行ったの?
「確かに魔理沙は地底に行った」
それって大丈夫かしら?
「...あの本取って」
鎮座したまま私に指図する少女。まぁいいけど。
多分これの事かな。こんな館の中の図書館には似合わない、純日本風の本だ。かなり重い。
はい。
「うん」
ペラペラリと受け取った本を繰る少女。何かを探しているのか、机に置いていた眼鏡をかけた。
『ほんとだ、体に悪そうだな』
「地底には忌み嫌われた妖怪ばかり。心してかかりなさい」
機械の方は向かず、本を見ながら返事する少女。
ようやく探し物が見つかったのか、ページをめくる手が止まった。
『地底の妖怪は体に悪いって、地底そのものが体に悪そうだが』
「さっきの妖怪の事を調べたわ。さっきのは土蜘蛛。人間を病に冒す困った妖怪」
土蜘蛛!?
思わず大きな声を出してしまった。だが機械の向こうには届かなかったようで、魔法使いは特に反応しなかった。
少女は私に何かを言おうとしたが、その前に機械が喋った。
『もしかして人間? 人間が地底の調査に来たって言うの?』
『ああそうだ。きっとそうに違いない』
土蜘蛛なんて、地上からは完全に忘れられてしまった。
地底にはそんな者がいたのか。確か流れていった鬼達も大半は地底に住んだんだっけ。
ああ、地底なんて行くもんじゃないな。
ぽつりと言ったけど、今度は少女にも聞こえていないようだった。
「ねぇ、メモ取って」
私は字書くの苦手よ?
「違う。ソレ」
あ、置いてあるこれか。