(あべこべな)ドルフロ世界の配信者   作:ほろほろぼんぼん

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この作品を書くにあたって、ハーメルンやpixiv、なろうなど様々なサイトのドルフロやあべこべ小説の先駆者を見習わせていただいたため、極力避けていくつもりですが何処かで見た展開があったら申し訳ありません。

コロナショックのせいでドルフロにハマったので(人生)初投稿です。
自らの作品を発表するのは初めてなので、お手柔らかにお願いしますわ(お嬢様)。
主人公が配信者となって人形ちゃん達とイチャイチャするまでは巻きで行きます。


長い前日談のプロローグ
第1話 (あべこべな)ドルフロ世界の配信者


「よし、機材のセットも大丈夫なはず。」

 

使い古された。しかし清潔感のある部屋でパソコンとマイク・その他機材を弄る男が1人。

どうも、俺です。いやー、作業中にはついつい独り言が出ちゃうね。

 

この色々とおかしな世界に来てから2週間。変わった環境にも慣れてきて、やっとここまで辿り着いた。

 

放送開始まであと1分。初めてだから、いや、何度やってもこの時間には慣れないという【記憶】がある。兎にも角にも、今にもチキンな心臓が爆発しそうだ。

 

けど、やるしかない。これしか生きる方法を知らない。自分にはそれが出来るだけ知識と、こなしていたという【記憶】くらいしかないのだから。

 

「あ、え、い、う、お…よし、今日の声は悪くないな。」

調子は上場、細工は流々、あとは仕上げを御覧じろってね。

 

さて、パソコンに向き直る。鏡で身支度の最終確認。帽子よし、髪型よし、見た目よし!

 

身よりもなく記憶もなく金もない、ナイナイづくしのこんな自分にこれだけの物を与えてくれた人に恩を返すために。手に職をつけるために。

そして何よりも、自分が生きてきた【記憶】が本物だと証明するために。

 

「さあ、始めようか。俺の初配信を。」

 

 

 

 

 

 

気がついたら、そこは廃墟だった。

 

「は?何処だここ?」

 

いつの間にか廃墟にいた、としか言いようがない。

目に映るのは、朽ち果てたコンクリート、ボロボロになったビル。 ここでかつて戦争がありましたと言われたら、はいそうですかと返しそうになるような土地に立っていた。

もちろんのこと、見覚えはない。

 

「夢か……?」

 

頬をつねるが、痛みはあるし、なにより現状は変わらない。

 

「もしかして、誘拐とか?いやいや、俺を攫うことになんかメリットとかある?」

 

思い返すが、思い当たることは何もない。そう、何も【思い返せない】

自分の家族も、恋人も、友人も、職も、年齢も、育ちも、生まれも、学校も、母国も、その全てが空っぽだ。

 

「もしかして俺って、記憶喪失……?」

 

取り乱してた、めちゃくちゃ取り乱した。ここまで冷静じゃなくなったのはいつ以来(記憶はないが)かと言うくらい取り乱した。もし記憶があったら、幼稚園以来とかそういうレベルで。

落ち着くまで取り乱して、現状が変わらないことが分かってまた取り乱した。

疲れて、どうしようもなくなって、寝転ぶと、意識が、視界が、暗くなっていった。

 

(はは……こんな時でも体は正直なんだなあ……)

これが、こちらの世界で初めての睡眠だった。

 

目が覚めると、体の節々が痛かった。

コンクリートの上で直に寝たらそうなるか。1日寝て冷静になったから、とりあえず【記憶】にあったラジオ体操を行うことにする。

体が資本だからな。記憶がない今だと特に!

 

「いっちにー、さんしー、ごーろくしちはち」

 

相変わらず自分の生活や身の回りの事は思い出せないが、知識はちゃんとあるようだ。おそらく。知識はもし欠けていたとしても分からないため、そういう事にしておく。

 

体を隅々まで伸ばしながら、自分の記憶を精査する。残っているもの、残っていないもの。使えそうなもの、使えそうにないもの。

 

寝ても醒めても、ボロボロのコンクリートジャングルが変わらないなら、最悪……1人で生きて行かなくてはいけないかもしれないのだ。

少なくとも、周りがこんな状況では、人の生活圏に近づくまでの日を越すための知恵が要るだろう。

 

「にしても、なんでこんなにボロボロなんだろう。戦争が起こった後に放置されてるとか?そうだとしてもスラムか何かになっててもおかしくないだろうし、物盗りの1人も居ないのはさすがになあ。」

 

「核の炎で焼き払われた後か?或いはトーキョージャングル?人類補完成功しちゃった?」

 

「どっかの放射性降下物とかロシアの地下鉄とか汚物は消毒モヒカンヒャッハーな世界でも良いから、人が居て欲しいな……」

 

思わず、ぽつぽつ口から言葉が漏れる。心細いのだ。やっぱり。

いや、それにしてもネットスラングばっか出てくるなこの口。不良品かな(すっとぼけ)

 

「ふう……あ、荷物を確認しないと。」

体も伸ばし終わり、【記憶】の確認も終わった。

次は荷物を漁る(自分のだろうが)べきだろう。

 

「なんでこんなにプロテインバーを持ってんだこいつ、というか俺。」

中を確認したところ、プロテインバーが10本に未開封の水の500ミリペットボトル、あとは教科書にノート、筆記用具、財布、スマホにモバイルバッテリーと一般的に持ち歩いてそうなものばかりだ。

あと、【俺】はズボラなところがあったのか、空の500ミリペットボトルがリュックのサイドポケットに入っている。それと……何か変なノートがひとつ。

 

「まあ、少しの食料があるのは嬉しいな……ん?」

リュックの全てのポケットをひっくり返しながら探していると、定期入れが出てきた。

 

この中になら、【俺】の手がかりがあるかもしれない!!急いで開くと、大学の生徒証と定期が入っている。

 

「祠堂 透悟、それが俺の名前なのか」

そこには黒髪黒目の男性の写真が貼られていた。これが恐らく、【俺】の顔なのだろう。

 

名前を口にすると、やたらとしっくりくる。うん、多分、そうだ。

他にも大学名と誕生日、住所が分かったが、今が何年か分からないため自分の歳は分からない。

 

「それでも一歩前進だな。透悟。」

 

あれ、定期入れに何か入ってるな……写真?自分(仮)と恋人らしき黒髪の女性のツーショットが入っているが……

「恋人(暫定)さんには悪いが、思い出せないな」

 

ちょっとしんみりした。次行こ

「次はノートかな。」

ノートを開く。

【俺】はノートに名前こそ書くものの、何のノートかは表紙に書いていなかったようだ。やっぱりズボラだなあ。

 

社会学や倫理学について纏められたノートがずらり入っている。が、不真面目だったのか、落書きや記述の欠落、ミミズがタップダンスを踊っているような文字が各所に見られる。また、最初の二、三ページしか書かれていないものもある。これらは当てにならなそうだ。最悪、マキの代わりにしよう。

 

「いよいよ、本命だな。」

変なノートに手を伸ばす。この変なノートは、表紙にネタ帳!マル秘と大きくマジックで書かれていて、更に二・三冊のノートがガムテープでひとつなぎにされているのである。

 

「見るからに怪しいよな……もし読んでも発狂とかしない?」もしかしたらプライズとかアーティファクトかもしれない。ラブでクラフトな御大の世界だったら、ウィルマウンスな財団とかアーカムのマンモス大に逃げ込むしかねえ!助けて、邪神ハンター(´・ω・`)

 

 

開いて文字を読んだ瞬間、ガツンと大きな衝撃が走る。頭を殴られた?いいや、それだけのショックがあったのだ、【記憶】が戻った。

それは家族でも友人でも恋人でもなく、

「俺は、配信者をしていたんだ……」

そう、俺は、配信者をしていたのだ。

人からしたら、バカバカしいことかもしれないけれど、これが【俺】にとって1番大事だったんだろう。唯一、俺に関することで思い出せた。数分、そのショックの余韻に浸っていた。

 

中には俺が配信者になるため毎日欠かさず行った発声練習、少しずつ集めたネタ、話し方のコツが、大学ノート3冊に渡って綿密に記されていた。

 

「これは、大事にしないとな。【俺】の証みたいなものだし。」

このノートを持つと、名前と同じくらいしっくりと来た。やはり、これは【俺】の存在の核なのだろう。

 

「さて、スマホも見ないとな」

ショックも抜けたため、スマホへ目を移す。

当たり前のように圏外だ。が、それは想定内。大事なのはそこではない。

 

スマホは有難いことに指紋認証のようで、パスワードを忘れている自分にも開けることが出来た。

写真を見ると、友達と撮ったらしい写真や男子の秘密のアレやコレがズラっと並んでいる。

が、「ダメか……」

 

やはり、何も思い出せない。

 

入っているアプリは、実況界隈で話題の「pybg」や「mecraft」、動画編集アプリ、生放送など配信関係のものが殆どである。

しかし、趣味のアプリがひとつだけ。見つけた、というか、思い出した。

 

「ドールズフロントライン」、銃と女の子、ハードなストーリーとポストアポカリプスな世界観のごった煮という俺得な内容のアプリである。

ただし、内容は思い出せない。キャラクターはだいたい思い出せるため、【俺】はストーリーよりもキャラに思い入れがあったのだろう。

 

「とはいえ、ログインできないかー。そりゃそうだろうな。ここ圏外だし。」

荷物を整え、いざ鎌倉。

とりあえず高いところを探そう。上から見れば人の町が見つかるかもしれないし。

リュックを背負い、1晩の寝床を後にする。

 

そのまま街を彷徨うこと1時間弱。やっと屋上に出られるビルを見つけたはいいものの……

 

「さてはここ。何もないな?」

そうなのだ、何も無いのだ。見渡す限りの廃墟、廃墟、廃墟!!

 

(やばいわよ!!想像してたとはいえ、全人類滅亡ルートかここはもう人類生存区外とかそういう感じだな。マジで死んだかもしれない。)

 

「いや、まだ諦めるには早いだろ。人類がそう簡単に滅びるもんか。意外とこっそり生き残りがいるもんな。こういうののお約束として。」

 

誰が約束しているのかは知らないが、希望を持たないよりは持ってる方が良いだろう。

とりあえず缶詰とか回収しよう。このビルでもちょっと避難物資が見つかったし。

そこから丸1日かけて、街を探索した。

 

その中で、運よく荷台付きのマウンテンバイクとテントセットが見つかったため、有難く頂戴していく。寝袋や非常食、救急医療キットが見つかったのも嬉しい。

 

だが、最も重要なのは「地図」である。

この地図が書かれたのは2035年らしい。今が何年かは分からないが、パッと見て地図と今の地形にズレがないということは、何百年と経っていることは無いだろう。

どうやら、この街はロシアの西部に位置しているようだ。

 

字が読めないため名前は分からないが、大体の位置は分かった。ここから10キロほどの間隔で小さい町が並んでおり、125キロほど先にはかなりでかい町があると書かれている。

目指すなら、この街だろう。幸い、肉食獣の類は見かけていないし、森を避ければグリズリーなどにも出くわさない……と思う。

 

この街に何が起こったかは分からないが、地図で見るに規模の大きな街なので、ここらなら1番生き残りがいる可能性が高いだろう。

 

「この街を、明日出よう。」

 

そう決意して埃臭い寝袋に包まれて寝た。

(フートンに包まれてあれ!)

 

次の日も相変らず体は痛かったが、寝袋のおかげか昨日よりはよく眠れたと思う。




如何だったでしょうか?
彼がこれから生き残れる可能性はありますし、そう出ないとも言えます。
人形ちゃん達は次回から出していきますので、今回はお目こぼしを〜〜!!(悪代官様)

もしも、万が一、恐縮なことではありますが、この作品の連載中に感想を1つでも頂けたり、この作品で誰かを楽しませることが出来たら嬉しいです。それが目標でもありますので。
よろしければ、次回以降もお付き合いいただければ幸いです。
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