(あべこべな)ドルフロ世界の配信者   作:ほろほろぼんぼん

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趣味で始めた処女作のこの作品ですが、いつの間にか2万アクセス、お気に入り500、そして……なんと…ランキング入り(!?!?!?!!)にまでたどり着くことが出来ました。
皆さんのおかげです。読んでくださり、本当にありがとうございます!!


さて、今回の話は生配信の残りの参加者2人からの視点の話になります。
相も変わらず趣味100%の小説ですが……地獄の底(小説のラスト)まで独自設定と相乗りしてくれ!
実に面白い。そういうタイトルミーニングです。
ま、どっちも探偵ものだし、多少はね?


第15話 人形(ニンギョウ)Aの献身/人形(ヒトガタ)の道化師

人形Aの献身

 

 

 

なぜこの手続きをしたいのか、理由を知りたい。ですか?

 

分かりました。指揮官にはお話しますね。

あの、前に指揮官の部屋に飛び込んだ時、私はちょっと…いえ、かなり驚く出来事があったんです。

 

え、驚いたのは私の方だった?いえ、私の方が、多分驚いたと…思います。

最初から、話しましょう。

 

 

その日、私は運命に会いました。

 

……その日は、友達のAS_Valちゃんの部屋で過ごしていました。

 

彼女、シャフトちゃんはあんまり、煩いのは好きじゃないから。

私は、私を、あまり気にかけて欲しくないから。

 

 

それぞれ、彼女はパソコンで何かを見ていて、私は本のページを捲ってました。それが自然な距離感で、これが私たちの付き合い方でした。

 

私は、元々特殊部隊向けに作られた、本来は日の目を浴びない種の銃です……まあ、それは、シャフトちゃんも一緒ですけど。

 

私は、だからこそ注目を浴びたかった。活躍を褒めて欲しかった。誰かに、見つけて欲しかった。

シャフトちゃんは、人の目をあまり惹きたくないみたいだけど、私はその感情が分からなかった。

 

 

けど、私がどれだけ望んでも【私】が見られることはなかったんです。

私は、自己主張をあまり出来る性格ではありません。

 

それは、メンタルモデルがそういう傾向だったというのも勿論あるでしょうが、何よりも消音性を重視した弾丸を用いたアサルトライフルだということも関係していると思います。

 

だから、自分からは話しかけられないけど、誰かに認めて欲しい矛盾に苦しめられていました。

 

私は、その消音性から夜戦に出番が多い人形なので、帰ってきてもみんな寝てしまっていて。

褒めてくれる人も、見てくれる人も、同じような環境のシャフトちゃんしかいなかったんです。

 

 

他の誰も、私と話してくれないようで、同じ環境の友達しか私を知ってくれなくて、私を認めてくれなくて、だからこそ、私を見てくれる人を探すのは辞めていました。

 

私を気にしないで欲しかった。

期待を持ってしまいたくはないから。

劇的な何かがあった訳では無いけど、毎日の諦観が募って出来た感情は、私にはどうしようもなかったですし、どうしたらいいか分からないものでした。

 

そうやっていつも通り、諦めながらのんびりと過ごしていたら、シャフトちゃんが急な呼び出しを基地内放送で受け、司令室へと向かって行ったんです。

 

 

随分と急いでいた事もあって、彼女はパソコンの電源を切り忘れてました。

このことに気がついたのは、本を読み終わってページから顔をあげた時だったんですけど……

 

パソコンの画面が点いているのに気がつくと、私はパソコンへ向かっていった。

最初は、パソコンの電源を切ってあげようとしたんです。けれど、シャフトちゃんが何を見ていたのかが気になって……勿論、履歴とかブックマークまでは見る気はなかったです。

でも、画面に今何が表示されてるかくらいは見たくなってしまって。

 

 

そこには運命の人が映っていました。

 

 

その画面の中では、1人の男の人が話をしていました。

とはいえ、別に一目惚れしたとかではありません。最初に見た時は、顔が整っているかなってくらいでした。

 

でも、何を話しているのか気になって、パソコンに繋がったイヤホンを耳へ入れ、話の内容を聞くと、衝撃が走りました。

 

 

『あれ、あんまり知られてない曲なんでしょうか?

とはいえ、真っ先に名前が出るのは知られざる名曲みたいな感じで、それはそれでカッコイイですねぇ!』

 

 

頭を、撃ち抜かれたような感覚を覚えました。

撃ち抜かれたのは、心なんですけどね?

 

コホン、兎にも角にも、その言葉は私の少しづつ固まった心を覆う諦めを、あまりにも暴力的に壊していきました。

 

知られていなくても良い。知られざる、知られていないからこそ、カッコイイ。

カッコイイ?認められた?みんなに知られていなくとも、認めてくれていた?

みんなに認められていなくても、誰かからは認められていた?

 

 

 

そんなことが、有り得るの?

 

 

その後、彼が何をしていたか。話していたかは知りません。

 

その衝撃のあまり、私は、反射的に、指揮官の元へと走っていました。

今思い出しても恥ずかしいんですけど、あの時、部屋に入るなり「私を、認めてくれていますか!」って泣きながら叫んでしまったのはそういう、理由だったんです。

 

話してもないのに、勝手に諦めて、馬鹿みたいでしたよね、私。

でも、そのおかげで、私は、指揮官と話すことが出来て、気持ちが分かったんです。

 

彼はその……恩人なんです。私の、心の。

切っ掛けだったんです。人に見てもらっていたと、知ることの。

 

なので、私の給与から差し引いてPL10VRとソフト、周辺の配信機材を彼に送る手続きをお願いします。

 

 

え?恋?貢ぐちゃん?いえいえ。ほんの、恩返しですよ、指揮官。

 

でも、それで彼が、私を見てくれたら嬉しいですね。

あ、私がここまでするのはイケメンだからでも、男の人だからでもないですよ?

 

もしも、あの人が女性だったとしても、同じことをしました。それだけは間違いないです。

 

 

 

それじゃあ手続き、お願いしますね。指揮官?

 

え?手続きする代わりに、もしもフレンドになれたら一緒にやらせて?

もし、なれたらなら構いませんよ。勿論、彼の了承もいりますけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

人形の道化師

 

 

 

あたいは、【カッツェ】……と言っても、仮名なんだけどね。

あたいの名前が知られると、ちょっと困ったことが起きるかもしれないから。

 

この名前も、結構気に入ってるしね。

カッツェ。ドイツ語で猫。

つまり、ドイツでは、古代ケルトから遥々伝わるお祭りの【生贄】

うん、なんともあたいらしいや。

 

 

幸い、【あの人】のおかげで、【あの事件】でも死ぬことはギリギリなかったけど、容量ギリギリなのに致命的な負荷が掛かっちゃったせいであたいのメンタルモデルはもう戦えない。

咄嗟の平衡感覚とか、手の安定に異常が出ちゃうらしい。

 

だから、今ではもっぱら、部隊の裏方。データ集めとか、情報処理とか、裏取りとかのね。

とはいえ、あたい達の部隊は連絡が出来ないような場所の任務に回されることもある。

 

そんな時、着いていけないあたいは、待つしかない。

だから、ゲームとか本が好きになっちゃった。

何もしないで待ってると、ストレスがやばいからね。

 

 

それで、最近ハマったのは生配信。

もし同じゲームだとしても、色んな実況者さんがやると、バリエーションが出るというか、それぞれの味が出て面白いんだ〜。

 

さて、そうやって見ていると……あれ、この人。

数日前に、イケメン配信者が初回の放送で乳首が流出したとかで話題になっていた人。

 

 

いや、あたい達にとって、それだけでは無い。前に任務中に遭遇したことがある存在で、かつ、現在の任務の【対象】となっている存在だ。【リンクス】が接触を行っている。

 

リナさんのアパートに今は住んでいる、何故かグリフィンで保護されていない記憶・身元不明者。しかも配信者名がなんか…うん、ちょっと思うところがある。

 

 

 

初配信での流出動画を【ベルーガ】に見せたら、すっごい爆笑した後に【ジェロニモ】に見せて【レーヴェ】共々殴られていた。

まあ、顔が真っ赤になったジェロニモを散々からかったベルーガとレーヴェにも問題はあるよね〜。

こういう時、真っ先にジェロニモを揶揄うだろうリンクスが黙っていたのは謎だけど……

 

さて、そんな我が部隊でもホットな話題である彼が今配信をしているらしい。見てみようっと。

 

 

 

 

…………なんか、流れで一緒にプレイしちゃった。

うぇぇえ…さっきまでは楽しかっただけだけど、今になって緊張が……うう……

 

というか、最初のほうで……

 

 

『……えーっと、カッツェさんはいい声してますけど、声出して大丈夫なんです?ほら、プライバシーとか。』

 

『カッツェさんはいい声してますけど、声出して大丈夫なんです?』

 

『カッツェさんはいい声してます』

 

『いい声してます』

 

 

ああ言った手前だけど、実は面倒くさくて自分の声をアバターに登録していたのだ。

 

あ、あたいの声が、褒められ…!

いやいやいやいや、流石にお世辞だろう。

いや、それでも……いや……うーん…

 

考えても仕方ないし、食べ物を買いにでも行こっかな。

褒められたと思っておこう。その方が嬉しいし。

 

 

 

そう思って今の仮住まいを出た時に、階段から降りてきた人と遭遇した。…今は、1番会いたくなかったんだけどね。

 

 

「あ、どうも」

「あれ?よ…………ウェデリアさん?じゃないか、初めまして。」

「あはは〜。【私】はセターリア。ウェデリアのお姉さんだよ。よろしくね。」

「僕は祠堂透吾です。よろしくお願いしますね。セターリアさん。」

 

 

そう、先程まで一緒にプレイしていた彼……実況者410こと、対象【祠堂 透吾】に、出会ってしまったのだ。

 

幸い、声で気づかれてはいないようだが……

 

 

「へえ!ウェデリアさんにお姉さんがいたんですね。セターリアさんも、ここに住んでらっしゃるんでしょうか?」

 

「あ、ううん!私は時々、ウェデリアの様子を見に来てるだけだよ。ほら、あの子の仕事的に心配だしさ。」

 

「なるほど、優しいんですね。」

 

「いやいや、そうでもないよ。」

 

 

焦りはしたものの、接触してしまった際の受け答えの情報は覚えきっている。

今のあたいは、【スクラップ拾い】ウェデリアの姉である【研究員】セターリアである。

 

よし!うん、大丈夫そうだね。

彼も、不審がった様子はない。

 

 

「セターリアさんはこれから何処へ?」

「んー、ちょっと食べ物を買いに、かな。」

「へえ!あ、僕もこれから買いに行くんですけど、良かったら一緒に行きませんか?」

「え、え?」

 

 

何を、言ってるんだこの人は。

初対面というか、会ってすぐの女の人と買い物に?

ウェデリアの姉と言うだけで大丈夫だと思われるほど、彼女が既に信頼を勝ち得ているのか、それともこの人が何も考えてないだけか。

 

ここは冷静に、対象との過度な接触は控えるべきだから断って……

『カッツェさんはいい声してますね』

……ちょっとくらいなら、大丈夫かな。【任務】からしても、その方が良いだろうし。うんうん。そうしよう。

一緒に買い物に行くくらいじゃ、何のリスクにもなりえない。冷静な面もそう言っている。

 

 

「じゃあ、折角ならご一緒させてもらおうかな。どこに買いにいく?」

「そうですね〜。じゃあ、近くのスーパーでいいですかね?」

「大丈夫!おっけおっけー。」

 

 

 

これは、対象の情報を集めるのがメインだ。うんうん。

何を作る予定なの?へ〜、カレーかあ!良いねぇ!

好きな食べ物は?ゆき鍋とずんだ餅……?そ、そっかぁ。

 

 

スーパーでの買い物を終え、帰り道。

 

「ねえ。そういえば数日前にウェデリアをお嬢様って呼んだって本当?」

「あー……はい、そうです。」

「あの子はあれでかなり純粋な所あるから、あんまりからかうのは止めてあげてね?」

「本当に、申し訳ない。」

「まあまあ、そんな気にしないでいいよ。」

 

そんな風に話していると、アパートまでもうちょっとの所まできた。楽しかったけど、そろそろ、お別れかな?

 

「あ、そうだ。セターリアさんに1つ言いたいことがあったんですけど、」

「ん?なーに?」

「さっきはありがとうございました。【カッツェ】さん。」

「えっ、え!?な、なになになになに?」

 

 

バレ、てた?何時からだ?なんでバレた?どうして?

話す時には注意していたはず。最初に声でバレてた?

 

 

「あれ、違いました?さっき一緒にゲームしましたよね?」

「え、ええ……いやいや、何の、ことやら?」

「さっき、あたいって言ってましたし、特徴的な一人称だったので。」

「え、言ってた!?いつ?」

 

 

「ふふふっ。カマ掛けですよ。貴方の妹にされたんでね。やり返してやろうかと。」

 

 

やられた。

発端になったのはウェデリアなのに……

 

 

「ええ〜!なにそれ!やり返すならウェデリアにしてよ!それにしても、いつから分かってたの?」

 

「ははは!!まあ、最初からですね。セターリアさんの声、好きだったんで覚えてたんですよ。」

 

「えっ、あれ……本当のことだったの?」

「本当って?」

「いい声とか、その……そういうの。」

 

「本当です。セターリアさんの声、俺は好きですよ。」

 

顔が熱い。彼の方を見れそうにない。

なんでこの男はそんなにポンポンと好きだのいい声だの言えるんだ!こちらの気持ちも知らないで……いや、知らないからこそ言いやすいのかな?

 

 

「セターリア!おつかれさ……ま?……あれ〜?隣にトーゴが居るように見えるんだけど、幻覚かしら?」

 

アパートの前には、私を待っていたのだろう。ウェデリアが立っていた。あっちゃ〜!ちょっとやばいかな……

一見すると普通に見えるものの、今の彼女の中には様々な感情が渦巻いているのだろう。

 

金の目が爛々と輝いているのが見える。

さて、どう言いくるめようか…と考えていると、彼が驚くべき一言を発してきた。

 

「あ、ウェデリアさん。こんばんは。

折角なら、またうちで夕飯食べませんか?」

 

 

 

何を言っているんだ、この人は。




1番、ストック。歌を、唄います。
オラは死んじまっただ〜、オラは死んじまっただ〜、オラは死んじまっただ〜、天国に行っただ〜!
ストック?どうしたんだ、応答しろ!ストック〜〜〜!!!
ということで、ね。次回以降から毎日更新は出来ません。気長に待っていただけると有難いです。

次回【16話 ドキドキ!姉妹と秘密の夕食!?(秘密ポロリも)ないです。】

の予定ですが、恐らく1万ユニークアクセス記念の方が先に書き上がります。もう2万アクセス……?どういうことなの?

ー追記ー
最新話を分かりやすくなるよう、章を入れ替えました。
もしも読みづらくなっていたりしましたら、お手数ではありますがご感想にて書いて頂ければ対応出来るよう、最善を尽くします。
今後も弊作品と長い目でお付き合い頂けると幸いです。
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