先に言っておきますが、僕はヘリアントスさんが好きです。
繰り返します、僕はヘリアントスさんが大好きです。(原作でもディスられてるからアンチ・ヘイトにはならない……ですよね?)
第5話 おはよう(ネット)世界!!グッモーニンワールd……
こちらの世界にやってきて、早2週間。
段々と生活にも慣れ、とうとう欲しかったものを揃えることが出来たのだ(リナさん資金により)。
リナさん様々ではあるが、こちらの事情(戸籍なし、記憶なし)を省みて、今月分の労働は免除されたのであった。
本当にリナさんには頭が上がらないな……
というわけで、せめて家賃だけは早く収めたいと、収入を得るために動き出すことにしたのだ。
その方法は俺のことを知っている人ならば言わずとも分かるだろう。
そう、配信である。
俺には友人どころか家族や恋人の記憶すらない。けれど、配信者だったことだけは脳の記憶の奥底にこびり付いているような人間なのだ。
こちらの世界にも動画配信サービスとそこに広告収入が結びつくシステム、ライブに投げ銭などはあるようで安心した。
というわけで、配信者になるべく様々な物を買い漁ったのである。
リナさんには本当に感謝しかないですね……
そしてとうとう、パソコン・マイク・カメラといった実況三種の神器のほか、ヘッドホン・顔を明るく見せるためのライト・化粧のコスメなどを揃えることが出来たのだ。
最後に、トレードマークとして自作した【帽子】を被った。
この紺色のキャップには、白い布地で大きく【410】と書かれている。
これが俺の配信者としての名前。
祠堂だからシドー=410というのもあるが、実は、404小隊にあやかっているのである。
こんなことを聞かれたら、45姉に「自惚れないで!」とか「虫けらが!」とか言って頂けそうだが、恥ずかしながらそうなのだ。
404小隊の404という数字は、ネットのエラーコードに由来している。
昔のサイトを検索とかリンクから開こうとした時に、
404 NOT FOUNDと出たことは無いだろうか?
あれがエラーコードであり、404はそのページが見つからなかったことを示しているのだ。
故に、404小隊は見つからない小隊。存在はしていても、見つからない。そんな幽霊のような存在なのである。
では、410が何か?
410 のエラーコードの意味は、GONE。
即ち、そのページは既に存在していないという事を示している。
これは、前の世界にもう存在しない【俺】と、記憶が存在していない俺にピッタリではないだろうか?
404は存在しているが見つからないことを示し、410は存在すらしていないことを意味する。
ということで、祠堂透悟改め、配信者【410(シドー)】の誕生だ。祝え!!
準備は一通り整った。初配信までまだ1時間ほどあるし、ちょっと休憩するとしよう。根を詰めすぎて良いことはない。
ミヤモトマサシも似たようなことを古事記で言っている(多分)。
休憩していると、様々なことに思いを巡らしてしまう。
今が初の配信前ということもあってか、前世へ思いを馳せていた。
前の世界の俺がどれくらいの立ち位置の配信者だったのかは分からない。
やはり、前世の俺の方が経験が多い分、純粋に上手い配信が出来るのだろう。
けれど、この世界はあちらと違う。
まず、あちらでのネット上の希少価値は美しい女性だったが、こちらではカッコイイ男性になっているのだ。
次にその比率も、男女比の狂った人類種が覇権を握ったこちらの世界では大きく違う。
男女比1:1の人類の間であれだけ女性に囲いが出来ていたのだ。男女比1:4のこちらの世界ならどうなってしまうのか、私にもわからん(無能博士)。
最後に、男性のネット配信は人間以外にも需要があるということである。何故なら、こちらの世界には人形という下手な人間よりも感情豊かなアンドロイド達がいるのだ。
つまり、今の状況から考えるに、前世よりも再生回数は稼ぎやすいのが現状である。
ならば、前世よりも再生回数を伸ばせるはずである。
前よりもいい環境にいたにも関わらず、前世を越えられなければ、俺は【俺】以下になってしまう。
だからこそ、俺は環境に甘えず、俺のできる精一杯を込めて配信をしていかなくてはならない。
なんだろうか、俺は有利だから配信をするのではない。
【俺】は配信で食っていけと、それが出来なければ【俺】ではないと、掠れた記憶のどこかで訴えかけてくるのだ。
だから俺は配信者となる。
それでしか食っていく方法を知らないのが【俺】なのだ。
俺は、俺の脳の中にしかいない微かな【俺】のためにも、配信で稼いでみせるのだ。
家族を、恋人、友人を、他の全てを忘れてしまっても、自分が配信者であった記憶だけはかろうじて忘れなかったのが、記憶喪失系プレインズウォーカーである【祠堂透悟】なのだ。
もしこの世界の男女比が、工学系大学も真っ青な比率だったとしても、俺は何らかの配信者となり食っていこうとしただろう。
それだけ【俺】は配信者という世界が好きだったのだろう。
魅了されていたのだろう。
記憶を失ってなお、俺の方向性を決めるくらいには。
ま、唯一残った記憶で1番詳しい分野だから、他の分野よりは食っていき易いだろうっていうのは勿論あるだけどね。
こんな重たい覚悟を抱えたままで初配信へ臨む訳にはいかないな。
気分をリフレッシュするためにも、リナさんから貰った人形達の写真を眺めるか。
リナさんから貰った写真ということは、つまるところ任務の対象となる人形達なのである。
ここに写っている子達、つまり、外見美少女メンタル美少女と遊ぶだけで戸籍と住居が安泰になるのだ。こんなに美味しい話もない。
前の世界なら美人局を疑うところだ。
そこには見覚えのある人形から、見た覚えのない人形まで、色々な人形達が様々な表情・シチュエーションで写りこんでいた。
写真をペラペラとめくっていき、ある写真が目に止まった瞬間。再び、思考が停止しそうになった。
さすがに脳が停止に慣れたのか、停止はしなかったが。
そこに写っていたのは、「へ、ヘリアントスさん?ナンデ?ヘリアントスサンナンデ?」HRS!!(ヘリアントス・リアリティ・ショック!!)
(男女の集いにおいて)半神的存在ともされ、恐れられているヘリアントスサンをみた哀れな一般配信者はしめやかに失禁!!
とまではいかなかったものの、その余りある恐怖はSANチェック・或いは恐怖判定を齎した!!
え、人形のメンタルケアって話じゃなかったのか?こちらの世界ではヘリアントスさんは人形なのか?
それとも……男に飢えるあまり職権を……いや、考えないでおこう。それは上の人がやるべき事だ。
そんなこんなである意味気分はさっぱり切り替わり、頭と口とメンタルを休めていると、時間はギリギリ。
機材のセットは大丈夫なのか気になってきた。
「よし、機材のセットも大丈夫なはず。」
機材の最終確認を終える。何度も最終確認を行ってるし、何度目の最終確認かは忘れてしまった。
放送開始まであと1分だ。
初めてだから、いや、何度やってもこの時間には慣れないという【記憶】がある。兎にも角にも、今にもチキンなこの心臓が爆発しそうだ。
けど、やるしかない。これしか生きる方法を知らない。
自分にはそれが出来るだけ知識と、こなしていたという【記憶】くらいしかないのだから。
それ以外の全ては、忘れてしまった。
「あ、え、い、う、お…よし、今日の声は悪くないな。」
調子は上場、細工は流々、あとは仕上げを御覧じろってね。
さて、パソコンに向き直る。鏡で身支度の最終確認。【帽子】よし、髪型よし、見た目よし!
身よりもなく記憶もなく金もない、ナイナイづくしのこんな自分に、これだけの物を与えてくれたリナさんに恩を返すために。手に職をつけるために。
そして何よりも、【俺】が生きてきた【記憶】が本物だったと証明するために。
「さあ、始めようか。 俺 の初配信を。」
次回から放送が始まります。
1話の文章をなぞる展開は、小説ならではですが、王道で熱いですよね!!(自画自賛侍)
ハガレンの立てよ三下。がスコスコスコーピオンなんじゃああ^〜!!
堪らねえぜ。
評価してくださった皆さん、ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです!
ですが、嬉しいあまりストックを訳の分からんペースで投稿してしまったため、ストック分は1日1回更新に戻します。この小説に末永くお付き合い頂ければ、幸いです。