(あべこべな)ドルフロ世界の配信者   作:ほろほろぼんぼん

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配信を見に来た人形ちゃんの正体について、2人ご開帳しますわ(告知お嬢様)
なぜこの2人ですかって?愚問ね。私の趣味に決まってるじゃない!
風呂に入りながら聞くデスメタルの味は格別ですわ〜〜〜!!!
堪んねぇ〜〜!!


第7話 メタル大好きガールの驚愕

・とあるおしりのおっきな女の子(人形)サイド

 

はぁ……昨日の出撃は大変でした。まさか、朝までかかってしまうなんて……。

 

朝まで働いた事から、幸い今日の出撃は夜戦だけなのは幸いですけど……。

 

 

寝て起きたら昼近くになってしまいましたが、それでも時間はたっぷりあります。

 

出撃まで何しようかな?

と頭を悩ませ始めたころ、部屋の呼び鈴がなる。

 

 

「はーい、あれ。IDWさん。どうしましたか?」

 

「にゃにゃっ!スオミにちょっとお願いがあるんだにゃ」

 

「そうですか……出撃まで時間はありますし、大丈夫ですよ。何のご用でしょうか?」

 

「そんなに時間を取るつもりは無いにゃ。ヘッドホンをまた借りれないかにゃ?」

 

「ああ、そういう事ですか、いいですよ。」

 

「また借りちゃって申し訳ないにゃ〜。ありがとうにゃ。スオミのヘッドホンが1番ちゃんとしてるのにゃ〜。」

 

 

彼女は時々、私からヘッドホンを借りているのだ。私はその音楽の【趣味】から、ヘッドホンには拘りがあり、遮蔽効果の高く質の良いものを選んでいる。

彼女は次の給料で買う予定らしいのだが、1回分の給料で私の持っているレベルのヘッドホンを買うのは難しいだろう。

 

「そういえば、今日は何に使われるんですか?」

 

部屋に来た人形、IDWさんは多趣味だ。

日向ぼっこや散歩に始まり、映画鑑賞や猫カフェ巡り、また、ゲームセンターや屋内運動施設などにもよく足を運んでいるらしい。

 

よくもまあそんなに時間を作れるものだ。

空き時間を有効に使っているというか、オンオフの切り替えが上手いというか。

私には、そういった柔軟な動きは、多分無理なことだから。

 

 

「ん、今日はちょっと実況でも見ようかと思ってにゃ〜」

 

「じっきょう、ですか?」

 

「そうにゃ!スオミはあんまり、見たことないのかにゃ?」

 

「なんの実況を見るんでしょうか?IDWさんは色々してらっしゃるイメージなので、正直予想できないです。」

 

「にゃにゃ。ゲーム実況だにゃ!」

「げ、げーむ?の実況?」

 

「あ、あ〜。ゲーム実況っていうのはにゃ、ゲームをプレイしながらコメントしてる人を見る動画なんだにゃ。」

 

「はあ……なる、ほど?

……わかりました。ありがとうございます」

 

「絶対分かってないにゃ!そうにゃ、せっかくならスオミも一緒に見るかにゃ?百聞は……。えっと、その、習うより慣れろ!にゃ!!!」

 

「そうですね。時間は大丈夫ですし、一緒に見ましょうか、実況。」

 

 

そこからはIDWさんに教わった通りにタブレットを操作する。

 

最大手の動画サービスのアプリは音楽を聞くために入れていたため、そこからゲーム実況というタブを押せばいいようだ。

 

今までは1度もおした事がなかったそのタブを押すと、

ズラーッと動画のサムネイルが並ぶ。

これが今、全部ゲーム実況なのだという。

 

 

IDWからオススメされた動画を自分の端末で流す。

私は、人が近いのはちょっと苦手だから……お互いの端末で、それぞれに操作をしている。

 

よく見る紅白の三角マークを押すと、動画が始まった。

なるほど、これがゲーム実況か。

 

自分の好きなゲームをプレイしながら、その時の感情をみんなへ話す。

そのプレイや、コメントや、ツッコミや、熱量が、こちらを楽しませようとしてるのが伝わってくる。

 

 

「すごいなあ。」

 

 

私は、好きなことを人に伝えようとするタイプだ。

好きな音楽を、色んな人に伝えようとしてるけど……あんまり聞いて貰えないことも多いし、正直ちょっと辛い。

 

だけど、ネットでそれを広げてみようと思ったことは無かった。

ここに居る人達は、自分の好きを伝えようとしてこれだけの物を作り上げているのだ。

 

 

そのまま、幾つかのゲーム動画をIDWさんと一緒に見ていた。

 

 

すると、突然、

 

「あっ!やばい、忘れてたにゃ!今の時間は……ギリギリだにゃ!

今回は当たりの確率が高いと思うから、見逃せないにゃ〜〜!!」

 

IDWさんが、奇声を発した。

どうしたんだろう?

 

 

「どうかされましたか?」

 

「実は、どうしても見たい生配信が今の時間にやるのを忘れてたんだにゃ!

スオミは気にしないで実況の続きを見てるといいにゃよ〜。よし、セーフだにゃ!」

 

「へー、生配信ですか。それは生放送と同じようなものなんでしょうか?」

 

「そうにゃ。画面の向こうでリアルタイムで配信者が話すのが生放送だにゃ!」

 

「なるほど。……そういえば、先程仰っていた当たりとか確率ってなんのことですか?」

 

「あー…その、にゃ。実は、ネットにならいるかもしれないと思ってにゃ。イケメン生配信者を探してるんだにゃ。」

 

「なるほど、そういう事ですか。あの、見つかる気配はありそうですか?」

 

「今のところはないんだけど、諦めるつもりは無いにゃ!人形に生まれたとしても、イケメンを探し続けるんだにゃー!!」

 

 

それは、難しい話だろう。

私達人形は、前提として人工物でしかない。

 

それに私たちのような労働用の人形は、見た目での効果も考えてやや厳つい作りになっている。

 

そして最後に立ち塞がるのは、社会的な地位の低さだ。

 

 

ボディガードの人形や、モデルの人形のような男性との接触が多かったり、観賞用につくられたりした人形なら、男性のラブロマンスは時折聞くしニュースにもなる。

が、私たちがそうなれる確率は、まず有り得ないと言っていいほどには低い。

 

嘆きたくもなるが、それが現実だ。

その中でも食いつくIDWさんは、やはり私には無いものを持っている人形なんだろう。

 

 

「ええっ!ちょっ、スオミ!!スオミ!!見てにゃ!!」

 

嫌な思索にふけっていた頭が、IDWさんの声によって引き戻される。

 

「どうしましたか?」

「こ、これ、動いてるよにゃ……?喋ってるよにゃ……?」

「え、ええ……?こっ、これはっ!?」

 

 

そこに映っていたのは、見目麗しい男性だった。

男性と言うだけで貴重なこの時代の、イケメン。

それはつまり、同じ重量の金に匹敵、いや上回るだけの存在である。

そんな彼が動いて喋っているのだから、その衝撃たるや、凄まじいものがある。

 

 

処理の止まったメンタルに反して、演算部は過剰な動きを見せた。

IDWへ貸したイヤホンからこぼれる音を、全神経を持って拾い、言語として処理する。

 

『これから…410チャンネルで…で』

 

指はいつの間にか、検索ボックスへ410チャンネルと滑らかな動きで入力を終えていた。

生配信がひとつ引っかかり、開くと

 

動くイケメンが、1人。

 

 

……やばい、やばい、やばい、やばい。思考が一瞬止まっていました。気がついたら、放送を開いてます。

 

しかも、コメントを使えば、お話まで出来てしまうらしいです。なんでしょうかそれは。いったい、どれくらいのお金を払えばいいんでしょうか?

 

 

自分でも訳が分からなくなってしまい、思わずコメント。

配信をしている410さんという方は自分の目標について語っていたので、在り来りかもしれないが、それについてコメントすることにしました。

 

モロカク:良い目標だと思いますよ。頑張ってください。

 

 

他にも、彼を応援するコメントが流れていく。

それもそうだろうな。男性で、見た目が良く、性格も(配信で見た感じしか分からないが)良さそうなんだし。

 

『応援、ありがとうございます。頑張りますね!』

 

 

 

……体が痺れたような衝撃に襲われました。私のコメントは、何人も送った中のひとつに過ぎなかったのでしょう。

それでも、【彼】が私へ反応を返してくれた!

嬉しくなって、頬が緩んでしまう。

 

 

「スオミも楽しんでるようにゃね〜!安心したにゃ!」

 

「え、な、何言ってるんですか!」

 

「いや、このモロカクってスオミのことにゃよね?コメントに反応してもらえて嬉しかったんじゃないかにゃ〜と思ったんだにゃ。」

 

「そ、それは、そう、です。」

 

「分かるにゃ。生配信を見てるだけでも楽しいけど、コメントを拾ってもらえると嬉しいよにゃ〜!」

 

「ううう……」

ちょっと恥ずかしい。顔が赤くなってしまったのが分かります。

 

 

でも、もっと、自分のコメントを拾って欲しいな。と思ってしまったのは事実で。

 

みんなが同じようなコメントをしていたから、ちょっと違う角度で切り込んで見ることにしました。

 

 

モロカク:顔だけじゃなくて、声もカッコイイですよ!

今度なにか歌ってみるのはいかがでしょうか?

 

『あ、モロカクさん、ありがとうございます!』

 

 

名前を呼ばれた。そう気づいた時に、体が銃に打たれたような衝撃に襲われました。

 

嬉しい。すごい嬉しいです……けど、

そうなると分かっていたら、こんな野蛮人めいた名前は付けなかったのに!

 

 

そこから少しして、彼は更にとんでもないことを言い出したのです。

 

『じゃあ、今度歌ってみた上げてみますね。

……あの、恥ずかしながら流行には疎くて、今どんな歌が流行ってるか知らないんですよ。

折角ですし、発案者のモロカクさんに何を歌うのか決めていただきたいなと。』

 

 

「え?」

体が雷に打たれたような衝撃に襲われました。演算部分が今までにないほど高速で動いているのが分かります。

彼が、何を、歌うのか、決める?

いきなり背負わされた重要任務に、今にも思考は止まりそうでした。

 

焦ってしまって、思わず

 

 

モロカク:ARC ENEMYさんの、イェスタデイって曲をお願いしたいんですけど。

 

 

やってしまった。

いつも聞いてるから、つい、言ってしまったのだ。

もしも初対面の人に、何を歌えばいい?と聞かれてヘビメタの曲を返す人がいたら、私はちょっと神経を疑ってしまいます。

流すだけでも、あんなに言われてしまうのに……

 

 

案の定、410さんも知らないようですし、知ってる人はコメントにもあまり居ないみたいでした。

流行りの曲を聞かれていたのに、どうしよう…どうしよう…

 

 

でも、いえ、まだ聞いていないから、でしょうか。

彼は好意的な反応を返してくれます。

 

『あれ、あんまり知られてない曲なんでしょうか?

とはいえ、真っ先に名前が出るのは知られざる名曲みたいな感じで、それはそれでカッコイイですねぇ!』

 

 

けれど、パニックになっていた私はそれどころではなく、更に卑下するような内容を送ってしまったのです。

 

 

モロカク:あ、ありがとうございます。私って、あんまり音楽の趣味が一般的ではないようで……私はいい曲だと思うんですけどね……

 

『そうなんですか?曲の趣味なんて人それぞれじゃないですか。

自分が好きならそれがいい曲なんですよ。

もちろん、人にも聞いて貰えたら嬉しいですけど、理解されないからダメって訳じゃないと思いますよ。』

 

 

この発言は、410さんからしたら大したことではなかったんでしょう。これだけ、サラッと口から出たことなんですから、そう思います。

 

けれど、音楽を流そうとする度に、周りから止められる私にはどうしようもなく突き刺さって。

受け入れられたように感じられて、嬉しくなりました。実は、ちょっと泣きそうになりました。

 

 

だからこそ。この後に起きたことで、私の心は冷水をあびせられたどころか、凍結地獄に落とされたようなショックを受けることになったのですが……。

 

 

『自分の好き嫌いは誰にも否定できませんよ。

っと、見つかりましたね。

他国語に結構自信ありなので、もし知ってる言語だったら歌いますね〜』

と言って、彼が曲を再生した直後。

 

 

 

『おゔっ!?』

 

「えっ!?」

「にゃっ!?」

 

 

彼は椅子ごとひっくり返ってしまったのです。それも、頭から。

 

 

コメント欄は今までにないスピードで流れ始め、心配する声がいくつも見られました。

 

 

彼は、すぐさま起き上がると、

『い、いや〜。ははは。音量の設定ミスしててびっくりしちゃいました。皆さん、驚かせてすみません。』

と、謝罪をしました。

 

 

ですが、私はそうは思えません。

私の音楽の趣味が、その、あまり一般的ではないのを私はちゃんとしっていますし、それがあまり好まれていないこともしっています。

 

 

だから、聞いてビックリしたから転んでしまったのではないかと。

変わった音楽の趣味を受け入れられてもらったように感じていた分の嬉しさは、そのまま、マイナスに転換されて。

彼が気にしないで大丈夫と言ってくれたにもかかわらず、指先から言葉として吐き出されていました。

 

 

モロカク:え、大丈夫なんですか?あの曲のせいで今転んでしまったんじゃ……

 

 

それでも、彼は。

 

『いやいや、僕が音量調節ミスっちゃっただけなので!心配させてごめんなさいね〜』

 

そう笑って、手を合わせてきて。

 

『モロカクさんがあんまり気にしちゃうと、音量ミスしてすっ転んだ自分の間抜けさが際立っちゃうんで……気にしないでください〜〜!お願いします!!』

 

私の感じている申し訳なさは間違いなんだと、自分の放送を見て暗くならないで欲しいと、そう訴えかけてくるようで、そこまで言われてしまったら。

 

 

 

 

モロカク:は、はい。歌ってみた、楽しみにしてますね。

 

 

 

こう言うしか、ないじゃないですか……!

 

 

この後、すぐに放送は終わり、私はメンタルモデルに溜まった感情負荷の処理を行い、IDWはそんな私を抱きしめて慰めてくれました。

 

 

気がつくと出撃の時間を超えてしまっていて、反省書を書かされることになってしまったんですけどね。

 

IDWさんも何やら任務があったらしく、反省書を一緒に書くことになっちゃいました……申し訳ないです……。

 

 

「スオミはー、今回のこと気にしてるにゃ?」

 

「えっ、は、はい……付き合わせてしまって、ごめんなさい。」

 

「いやいや、いいにゃいいにゃ。こういうのを書かされるのは、いつもの事だしにゃー。」

 

「それでも、IDWさんを巻き込んでしまったのには変わりありませんし!」

 

「うーん、そんなに気にしないでいいんだけどにゃあ。あ、そうだにゃ!

そういえば、さっきの410さんにゃ?

スオミがあの曲を選んでくれたからこそ、彼に関わる衝撃的な事実が判明したんだにゃ。」

 

「そ、そうだったんですか?」

 

「それはにゃ……実は、彼は」

 

「は、はい。」

 

 

 

思わず息を飲んでしまう。

私がヘビメタを勧めたから分かった秘密?何なのだろう、それは。

 

「ブラを、つけてないのにゃ」

「ひゃ、ひゃいっ!?!?」

 

 

「さっきSNS開いたんだけどにゃ?どこもかしこもその話題で持ち切りだったにゃ〜。」

 

 

そう言って、IDWさんはタブレットを見せてくる。

そこには、トレンドランキングと書かれていて

 

トレンドランキング

1位 乳首

2位 ポロリ

3位 410

 

とあった。

 

 

「え?」理解が追いつかない。IDWさんはそんな私に合わせてくれる気はないようで、

「これを見るにゃ!」

 

 

渡されたタブレットには、動画が流れていた。

 

それは、410さんが転倒したい際の動画をスローにしたもののようで。

転んだ際に捲れ上がった服、その振り上げられた腕と、跳ね上がった足の隙間を縫うように、乳首が、バッチリ映っていた。

乳首が、映っていた!!??

 

 

 

 

私が覚えているのはここまでです。指揮官。

IDWさんは、何も悪気を持って私を気絶させたんじゃありません。

 

方法に問題はあったと思うんですけど……

その、励まそうと、してくれただけなので……

だから、IDWさんの始末書を3倍にするのは勘弁してあげられないでしょうか?

 

IDWを許す代わりに、その配信動画を見せろ?

はい、了解です!

 

あっ、もう問題のシーンは修正されてしまったようですけど、リンクを送りますね!

 

それじゃ意味が無い?そうですか……わかりました。そうなると、IDWさんは……?

 

え、無罪放免ですか!ありがとうございます、指揮官!




私も若い頃は、生主にコメントを拾ってもらえるかどうかで一喜一憂してましたわね……(懐古お嬢様)


というわけで、結果発表〜!!
猫丸:IDW
モロカク:スオミKP-31
です。

難しかったかな〜〜?
そんなんじゃ、私の部下になれないよ〜?(C-MSガキ)


これで残りは3人なんですが……こういった形でスポットを当てると手間が嵩んでヤッバーイ!!(RD)ので、別の回で普通に登場させるかすると思います。

次回、(あべこべな)ドルフロ世界の配信者。
第8話【環境×ト×反響】

ハンターハンターは、いつ完結するんですの……?
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