星野家の三女   作:星野家の概念的存在になりたい

10 / 32
シリアスなんてファルコンパーンチ!ゲームセットッ!


ノアちゃんは笑顔が一番かわいいよ?

昨日はノアちゃん家にもお母さん達にも迷惑を掛けちゃった。

ノアちゃんに誘われた時はとても嬉しくて、ひなたお姉ちゃんやみゃーお姉ちゃんが止めるのも無視してノアちゃんのアドバイス通りにこっそりとウチを抜け出した。

 

だけどノアちゃん家に入ってからの記憶が曖昧で次に憶えているのは真っ白な病院の天井だった。

後でお母さんから聞いた話だと私は緊張の余りノアちゃん家で気を失ってしまったらしい。

良かったといって目を覚ました私を優しく撫でるお母さんの手が震えているのに気付き、私はお母さんに心配を掛けてしまったんだと後悔した。

 

でも私が謝ると何故かお母さんに謝り返されてしまった。

悪いのは私なのに……なんでお母さんが謝るの?

だけとそれはお母さんだけじゃなくて、おうちに戻るとみゃーお姉ちゃんもひなたお姉ちゃんも私に謝ってきた。

謝らないで……悪いのは皆の言う事を聞かなかった私なんだから。

それでもひなたお姉ちゃんだけは直ぐに何事もなかったみたいにいつも通り接してくれたのは本当に嬉しかった。

 

今はお母さんに言われてみゃーお姉ちゃんの部屋でひなたお姉ちゃんと一緒にスマシス*1で遊んでる。

 

ちまり「お姉ちゃん、横から来るよ」

 

ひなた「任せろ!うおおおおっ!!」

 

二人でボスと戦っていると誰かが階段を上がってくる音が聞こえてきた。

 

みゃーお姉ちゃんかな?

 

私は扉の方を視界に収めながら戦っていると、予想外の人物が視界に留まった。

 

ちまり「の、ノア……ちゃん?」

 

ひなた「あぁ〜……」

 

ひなたお姉ちゃんの様子から多分私のキャラがやられちゃったんだろうけど私にそれを気にしてる余裕はなかった。

だってノアちゃんがまるで泣いた後のように目を赤く腫らしていたのだから……。

 

ちまり「ノアちゃん……ごめんね。それ、私のせいでお母さんに怒られたんだよね。ノアちゃんにも心配掛けちゃって……ごめん」

 

ノア「違うのっ!チマリちゃんは悪くないよ!」

 

ちまり「ノア……ちゃん?」

 

ノア「アタシなら大丈夫だなんて勝手に思い込んで……ミャーさんもヒナタちゃんのお母さんも反対してたのに……結果チマリちゃんを危ない目に合わせたのはアタシなんだから……ごめんねチマリちゃん…………ホントに……無事で……よかっ……た!」

 

ノアちゃんを悲しむ顔は見たくないよ。

いつもの様に自信満々な笑顔をみせるノアちゃんが見たい。

 

だから……

 

ちまり「泣かないでノアちゃん。ノアちゃんは笑顔が一番かわいいよ?」

 

私はノアちゃんの頭を優しく撫でながら微笑んだ。

 

ノア「チマリちゃん……もう、ズルいよ……そんな風に言われたら応えたくなっちゃうじゃん」

 

ノアちゃんは涙を拭うとそう言ってかわいい笑顔をみせてくれた。

 

ちまり「はぅ……」

 

胸の鼓動がトクンと跳ねる。

もにょっとしたりトクンとなったりノアちゃんを見てると私は身体も心もおかしな感じになる。

でもそれが良くて……うぅ、ほんとこの気持ちは何なんだろう。

 

ノア「チマリちゃん大丈夫?まだ体調悪いの!?」

 

「へっ?えと、そうじゃなくて……ノアちゃんがかわいいから……その……」

 

ノア「へっ!?う、うん。ありがと……」

 

ふう、危なかった。

自分の気持ちに振り回されてノアちゃんに心配掛けてたら元も子もないよ……っと、そうだ。ノアちゃんに言いたい事があったんだった。

 

ちまり「ねぇノアちゃん」

 

ノア「な、なに!?」

 

ちまり「今度はちゃんとノアちゃん家でお泊まり出来るように頑張るから……その時はまた呼んでね?」

 

ノア「チマリちゃん……うん!絶対呼ぶから!」

 

みやこ「ノアちゃん!?えと……」

 

ノア「分かってるよミャーさん。ちゃんとチマリちゃんたちのお母さんから良いよって言われたら、だよね?」

 

みやこ「うん」

 

良かった……私ももっと頑張らなきゃね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二日後、学校の図工の授業で班ごとにテーマに沿ったすごろくを作ることになった。

今まで班ごとの授業はずっと机に突っ伏してたけど今日の私は今までとは違う。

机をひなたお姉ちゃん達の方に持っていき、三人に声を掛けた。

 

ちまり「ひなたお姉ちゃん、花ちゃん、ノアちゃん。私も入って良いかな」

 

学校でひなたお姉ちゃん達の輪に入る。それは他の人にしてみれば小さな一歩、けれども私にとっては凄く大きな一歩だ。

 

ひなた「ち、ちまり……!?でも……」

 

ちまり「ひなたお姉ちゃん、今までありがとう。でも大丈夫、私も少しずつ変わっていかなきゃだから」

 

ひなた「でも……みゃー姉との約束が……」

 

どうやら私の知らないところでみゃーお姉ちゃんにも心配をかけ続けてたみたい。

帰ったらみゃーお姉ちゃんにもお礼を言わないと。

 

ちまり「うん、大丈夫だから……これからよろしくね?」

 

ノア「チマリちゃんが決めた事なら大歓迎だよ!大丈夫だよヒナタちゃん。アタシ達もサポートするしミャーさんにも一緒に言ってあげる!」

 

花「ひなたもずっと我慢してて辛かったでしょ?もういいんだよ、我慢しなくて」

 

ひなた「うぅ……ノアぁ……はなぁ……ありがとうなぁ……」

 

ちまり「私もちゃんと無理しないようにするから安心して?お姉ちゃん」

 

ひなた「う、うおぉぉぉぉぉちぃぃまぁぁりぃぃぃぃ!!よかったぁぁぁぁ!!!」

 

ひなたお姉ちゃんは遂に感極まって叫びながら私の事をギュッと抱きしめた。

ひなたお姉ちゃんにずっと我慢させてたんだなぁ……本当にありがとねひなたお姉ちゃん。

 

でも……授業中だよ?

 

みんな居るんだよ?

 

ちまり「ごめんひなたお姉ちゃん……今回のところは一旦離れるね」

 

ひなた「待ってくれぇぇぇぇ!わたしを置いていかないくれぇぇぇぇ!」

 

ノア「なんか昼ドラのワンシーンみたいだね」

 

花「知らないよ。ってか元の位置に戻っただけだし」

 

はぁ……今はひなたお姉ちゃん達に私の意志が伝えられたって事で良しとしよう。

私は元の位置に机を戻すと再び机に突っ伏したのだった。

半分くらいこっちに視線が集まってる気がするけど知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、ひなたお姉ちゃんとノアちゃんと花ちゃんの三人と一緒にうちに帰るとひなたお姉ちゃんがランドセルの中からおもむろに1枚の封筒を取り出した。

 

ひなた「みろちまり!ちまり応援すごろくを作ったぞ!」

 

ちまり「私応援すごろく?」

 

ひなたお姉ちゃんの持ってる紙を見るとテーマの中に【ちまり応援&みゃー姉更正すごろく】と書かれていた。

 

ひなた「そうだぞ!人見知りのみゃー姉と人見知りを直そうと頑張るちまりを手伝う為に作ったんだ!」

 

花「ひなたがテーマはお姉さんとちまりが良いって言うから二人の共通点をテーマに作ってみたけど」

 

ノア「ミャーさん今いないみたいだし、チマリちゃん先にやってみようよ!」

 

こ、これがクラスで発表されたの!?私が机に突っ伏してる間にそんなことになってたなんて……恥ずかしい。

せめてあの時耳を塞いでなければ止められ……ないかな、うん。

とりあえずどんなすごろくかは気になるからルールは聞いておこう。

 

ちまり「そ、それで……どんなすごろくなの?」

 

ひなた「よし!今から説明するぞ!」

 

そんな乗り気にならなくても……まだやるって言ってないんだけどなぁ。

 

花「まずこのすごろくは私達三人でやるの」

 

ちまり「あれ……わたしは?」

 

花「そこで見ててね」

 

見学?どういうことだろう。

 

ノア「アタシ達はサイコロを振って出た分だけすすむの!」

 

ちまり「そこは普通なんだね」

 

ひなた「そんで止まったところになんかやること書いてるから」

 

うんうん……ん?このテーマでやることって……もしかして。

 

ひなた「それを今回はちまりがやる」

 

ちまり「ゔっ……やっぱり?」

 

まぁ、私とみゃーお姉ちゃんの更正すごろくだもんね。

それは分かるけど……流石に……これは……

 

ちまり「私にはちょっと……流石にハードルが高い……ような?」

 

ノア「まぁまぁ、どうしても出来ないのはパスって言ってもいいからまずはやってみようよ!」

 

ひなた「大丈夫だちまり!ちまりならきっと全部出来る!」

 

ひなたお姉ちゃんの期待が重い……けど折角三人が作ってくれたんだし、これで少しでも人見知りが克服出来るなら……。

 

ちまり「じ、じゃあ。やって、みようかな?」

 

ノア「その意気だよチマリちゃん!じゃあひなたちゃん、ハナちゃん、アタシの順番ね?」

 

ひなた「おっしゃぁぁぁっ!わたしから行っくぞー!」

 

4

 

ひなた「元気に自己紹介っ!」

 

ちまり「げ、元気に!?」

 

ひなた「そうだ!いつもみゃー姉といる時みたくだな!」

 

みゃーお姉ちゃんといる時みたいに……?

 

ちまり「ほ、星野ちまりっ!……11、さい……です……

 

ひなた「惜しいっ!もう一回だ!」

 

ちまり「ほ、ほし……の……っ……あうぅ……

 

花「そんな何度も言わせなくても良いでしょ」

 

は、花ちゃん!

 

ひなた「そうだな!頑張ったなちまり!」

 

ちまり「えへへ、ありがとうひなたお姉ちゃん」

 

ひなたお姉ちゃんがほめてくれただけでもこのすごろくを始めたかいがあったかも知れない。

 

花「次は私だね」

 

2

 

花「相手の頭を撫でる……ん」

 

ちまり「え?えぇ!?」

 

花ちゃんはすっと頭をこっちに向けてくるけどこれは……みゃーお姉ちゃんやひなたお姉ちゃんなら問題無いけど……さ、流石に花ちゃんを撫でるのはハードルが高いなぁ。

 

花「……?どうしたのちまり?」

 

ちまり「えと……あっ、そうだ!パスはありってさっき……」

 

ノア「別にパスって言うのはありだよ?パス出来るとは言ってないけどね〜?」

 

うぐぐ……よく聞く歯医者さんの痛かったら手を〜ってやつみたいだよ。

 

ノア「なんてね?でも人に慣れる良い機会だと思うよ?ホントにダメなら次に進むけど」

 

緊張するけど……ノアちゃんは私の為に言ってくれてるから。

それに花ちゃんも大事な友達だからこれくらい大丈夫……うん!

 

私は恐る恐る手を伸ばしてそーっと花ちゃんの頭に手を乗せる。

 

花「そんな猛獣を撫でるんじゃないんだから……」

 

ちまり「ご、ごめんね花ちゃん……イヤってことは全然ないんだよ」

 

花「まぁ、お姉さん見たく息を荒くして来られるよりは良いけど」

 

花ちゃんのみゃーお姉ちゃんに対する評価がまだ低い気がする。

そっちももっと頑張らないと。

因みに花の髪はサラサラで気持ち良かった。

 

ノア「じゃあ次はアタシのばん!」

 

6

 

ノア「1,2,3,4,5,あ……と、止まった人にハグする」

 

ちまり「…………へ?」

 

私がハグするの?ノアちゃんに?

 

ちまり「あ、あーこれはちょっとチマリちゃんには厳しいよね?次行こっか!」

 

しても良いの?ほんとに?

 

ちまり「の、ノアちゃん……はぁ……い、いい……かな?」

 

ノア「えぇ!?ち、チマリちゃん?落ち着いて……?」

 

ちまり「大丈夫だよ……はぁ……私は……はぁっ……大丈夫だから」

 

ノア「ままままってチマリちゃん!?パス!パスだからぁ!」

 

ちまり「パスって言っても止めなくて良いんだよね?」

 

ノア「えっ?ちょ、それちがっ!?」

 

はぁ、はぁ……ノアちゃんをハグ……はうぅ……

 

とその時、私の後ろから誰かに肩を掴まれる。

 

みやこ「こーら、ちまり。も〜、何やってんの?」

 

ちまり「あ、みゃーお姉ちゃんおかえ……り」

 

ノア「あ……ミ、ミャーさん!」

 

みゃーお姉ちゃんを見たらなんか落ち着いてきた……けど、同時にさっきまでの自分を思い出して恥ずかしさが込み上げてくる。

 

うぅ〜なんなの今の……完璧に危ない人だよ!みゃーお姉ちゃんが捕まる心配してる場合じゃないよ!これじゃ私が先に捕まっちゃうってば!

 

ちまり「あ……うぅ〜……ノアちゃん!ご、ごめんなさいっ!」

 

ノア「あ、え?チマリちゃん!?」

 

私はノアちゃんに頭を下げた後、逃げる様にみゃーお姉ちゃんの部屋のクローゼットの中に引きこもった。

 

うぅ……ノアちゃんに絶対引かれたよ〜……もう合わせる顔がない。

 

ノア「チマリちゃん、私は気にしてないよ!というかそもそもイヤって訳じゃ……ああえとっ、とにかく!心配しないで出てきて!ね?」

 

ちまり「気を使わないで、ノアちゃんが天使なのは分かってるから……」

 

ノア「うぇっ!?えと、あと……ええと……あ、ありがと……じゃなくてっ!」

 

みやこ「ええと、一体何があったの?」

 

ひなた「ちまりがノアにハグしようとしてた!」

 

ノア「それだとシンプル過ぎて誤解が生まれる言い方だよヒナタちゃん!?」

 

花「このすごろくの止まったマスに書いてあることをちまりがやるってルールでノアがこのマスに止まったんです。そしたらちまりが暴走しました」

 

みやこ「あ、あ〜そういうことね」

 

ノア「だからチマリちゃんが悪いわけじゃなくて……」

 

みやこ「分かってる分かってる。ねーちまり?何も恥ずかしがることは無いよ。私も花ちゃんがそのマスに止まったら同じようになる自信があるからね!」

 

花「お姉さんがやったら通報しますけどね」

 

みやこ「ははは、はなちゃん!?」

 

ちまり「やっぱり……私捕まっちゃうんだ」

 

花「あっ……(でも今のはダメなフォローの仕方だと思う)」

 

もうダメだぁ、ぼんのうを捨て去るまで私はここにいるんだ〜。

 

ノア「チマリちゃん、アタシ前にも言ったよね?チマリちゃんはアタシをすっごくカワイイって思ってくれてるから嬉しいって。その思いは変わってないよ。確かにいきなりでビックリしちゃったけど、それも気持ちが抑えられないくらい思ってくれてるって事だから……全然イヤじゃないよ♪」

 

みやこ「ノアちゃんいいこと言った!私も花ちゃんへの気持ちが抑えられないだけなの!」

 

花「お姉さんは黙ってて」

 

みやこ「……ごめんなさい」

 

ノア「それよりもアタシはチマリちゃんが隠れちゃう方がイヤだなー?」

 

こんな私の気持ちを受け止めてくれるなんて。

ノアちゃん……優し過ぎるよ。

 

ひなた「おおー!ちまりが出てきた!」

 

ノア「チマリちゃん!」

 

ちまり「ノアちゃん、ヒナタお姉ちゃん、花ちゃん。また今日みたいに迷惑掛けちゃうことがあるかもだけど……私、応援してくれる皆の期待に応えられる様な立派な人になれるよう頑張るから!」

 

ひなた「いいぞちまりっ!その意気だ!」

 

花「頑張るのはいいことだけど、無理し過ぎない様にね」

 

ノア「うん!アタシずっと待ってるから!」

 

みやこ「(ノアちゃんのセリフ、漫画のヒロインの返しみたい)」

 

よしっ、これからどんどん頑張って行くよー!

せっかくだからみゃーお姉ちゃんも一緒に頑張ろ?

先ずは第一歩!

 

ちまり「みゃーお姉ちゃんもこのすごろくやろ!」

 

みやこ「は、花ちゃんがやるなら!」

 

花「イヤっ!」

 

みやこ「あ、今日のお菓子はチーズケーキだよっ!」

 

花「むぐぐ……ハグ無しなら」

 

みやこ「そんなに!?……いやでもきっと他にも!」

 

みゃーお姉ちゃんの期待は半分正解かな?

花ちゃんが止まるかは別として頭を撫でるとか握手するとかは書いてあったからね。

 

でもみゃーお姉ちゃんはすぐに思い知ることになる。

これがみゃーお姉ちゃんと私の更正すごろくだってことに。

 

 

*1
スマッシュシスターズの略称。相手を画面外まで吹っ飛ばせば勝ちの四人まで同時に遊べる超人気対戦型2Dアクションゲーム。




日常復活ッ!日常復活ッ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。