星野家の三女 作:星野家の概念的存在になりたい
今日はアタシが転入してから初めての調理実習!
アタシ、ヒナタちゃん、ハナちゃんの3人でクッキーを作ることになったの。
ホントはチマリちゃんも一緒が良いんだけどあの時からなんだか気まずくってアタシからは誘えなかった。
マツモトさんにも気付かれちゃうくらいだから何とかしないとって思うんだけど、どうすれば良いのかわかんないよ。
ノア「はぁ〜あ……」
ひなた「どうしたノア、元気ないぞ?」
ノア「あ、ううん!なんでもないよ?」
もーダメダメ!こんなのアタシらしくない!
考えるのはあと、今はクッキー作りに集中しなきゃ!
ノア「そうだヒナタちゃん!ヒナタちゃんはクッキー作れるの!?」
ひなた「お、おぉ……みゃー姉が作るの手伝ってるけど1人で作ったことは無いな」
少し強引かもだけど誤魔化せたからヨシッ!
ノア「そっか!じゃあ今日は皆で頑張ろうね!」
花「味見なら任せてっ!」
ノア「いや、働いて?」
ハナちゃん……それじゃ調理実習のイミないからね?
アタシは良くも悪くも平常運転のハナちゃんのおかげでいつもの調子を取り戻しつつエプロンと三角巾を着けてると驚きの場面に出くわしたの。
夏音「私は材料を計量しておくからちまりちゃんは混ぜるのをお願いね〜」
ちまり「うん、任せて」
小依「困ったことがあったら私を頼るのよ!」
ちまり「えっと……う、うん……分かった」
ノア「え?アレ、チマリちゃん?ホントに!?」
ひなた「何言ってんだノア、どう見てもちまりだぞ?」
いや、そうだけどちがうのっ!
チマリちゃんがアタシたち以外と普通に話してることにビックリしてるの!
た、確かに最近はチマリちゃんが頑張ってるのは知ってるけど……でも、学校じゃ未だにアタシともあんまり話せないのに。
そんなアタシが言いたいことを察したハナちゃんが代わりに答えてくれた。
花「夏音とはノアが来る前からあんな感じだよ。未だに小依には慣れてないみたいだけど」
ひなた「おう、調理実習はいつもあの3人組だぞ!」
ノア「ガーンッ……」
つまりチマリちゃんにとってカノンちゃんは特別ってこと?
ううん、負けるなアタシ!
チマリちゃんだってアタシに心を開いてくれてるはずなんだから!
アタシはカノンちゃんの所まで行くと人差し指を突き付けて勝負を仕掛けた!
ノア「カノンちゃん、どっちの班がおいしく作れるか勝負だよ!」
ちまり「ノ、ノアちゃん!?」
夏音「え?し、しょうぶ?私はそういうのは〜……」
小依「いいわね!負けないわよ!」
夏音「よりちゃん!?」
小依「だいじょうぶよかの、わたしたちなら負けないわ」
夏音「も〜、よりちゃんってば〜」
花「審査なら任せて!」
ノア「食べたいだけだよね?」
まあでもお菓子のことなら公平に審査してくれそうだし良いけどね。
ともかくこうしてアタシとカノンちゃんの負けられない戦いが始まったの!
〜四十分後〜
ノア・ひなた「出来たっ!」
小依「こっちも出来たわ!」
ちまり「良い感じになった」
夏音「うん、いいね〜」
そしてハナちゃんの前に2枚のクッキーが並べられる。
ハナちゃんが真剣にクッキーを手に取るのをアタシはジッと見守った。
花「先ずはノアたちのクッキーから……」
ハナちゃんはサクッと小気味よい音を立ててクッキーを食べ進めてく。
花「……うん、固さも丁度いいし甘すぎない位の味も悪くない。レシピ通りによく出来てて素晴らしい」
ノア「フフーン♪」
花「でもお姉さんにはまだまだおよばないから今後に期待ってところね」
ノア「えらそう……」
まぁ実際ミャーさんの方が上手だから良いんだけどさ。
悪くない?総評を聞いてぐぬぬと悔しそうに歯を食いしばっているコヨリちゃんを後目にハナちゃんは水を一口飲んでからカノンちゃんたちのクッキーに手を伸ばす。
花「……っ!?」
カノンちゃんたちのクッキーを口にした瞬間、ハナちゃんはカッと目を見開いた。
ノア「ハ、ハナ……ちゃん?」
花「……勝者、チームちまり&夏音」
小依「どうして私の名前が無いのよ!」
ノア「ウソっ!?どうして!」
花「口の中で抵抗なく砕ける食感と割れた瞬間に口いっぱいに広がる優しい甘さ、お姉さんが作るクッキーと比べてもかなりいい線まで行っている。恐ろしい、第二のお姉さんともいえるちまりと夏音の合作がまさかここまでだなんて」
ひなた「うん!流石ちまりとかのんだなっ!みゃー姉のみたいだ!」
ちまり「あ、ありがとう」
夏音「ありがと〜」
小依「だからどーして私を入れないのよ!?」
夏音「私はよりちゃんが頑張ってくれたのちゃんとみてたよ〜」
小依「ふふん、当然のことをしたまでよ!」
ちまり「うん、小之森さんも種村さんもありがとう……あ、使った道具洗ってくるね」
夏音「ちまりちゃん、私も手伝うよ〜」
ま、負けた……ってあれ?そもそもなんで勝負を挑んだんだっけ?
カノンちゃんがチマリちゃんにとって特別だからってアタシとチマリちゃんの関係が変わるわけじゃない。
というかそもそも気持ちが昂ってつい勝負を申し込んじゃったけどアタシはただ理由を知りたかっただけだったんだ。
ノア「ねぇカノンちゃん。チマリちゃんとは前から普通に話せてたの?」
夏音「うーん。最初の頃はあんまり話せなかったけど、調理実習とかを一緒にしていくうちにかな?」
あ、そっか。
たぶんチマリちゃんは昔の事件のせいで他人を怖がるようになっちゃっただけで本当はそこまで人見知りじゃないのかも。
実際学校以外ではアタシや花ちゃんとも話せるしそれなら長く付き合いのあるカノンちゃんと話せるのも頷ける。
正直カノンちゃんを羨ましく思う気持ちはあるけど、それもきっと時間のモンダイだってことが分かって安心した!
ノア「なーんだ、ヨカッタ!」
小依「なによ、いきなりどうしたの?」
ノア「ううん、なんでもナーイ!それより花ちゃん、食べてないで洗い物手伝ってよ?」
花「分かってるよ、でもあとひとつだけ……」
ノア「ダーメ、それにそっちはカノンちゃんたちのでしょ?」
花「あうぅ……夏音、そっちの洗い物手伝うから私にもそのクッキーを」
夏音「ええと〜……」
もー、ハナちゃんてばお菓子のことになると抑えが聞かなくなるんだから。
ノア「ハナちゃん?今日ヒナタちゃん家行くのにあんまり食べ過ぎるとミャーさんのお菓子食べられなくなっちゃうよ?」
花「はっ!それは困る……ごめん夏音、お姉さんのお菓子が待ってるからやっぱりそのクッキーは貰えない」
夏音「えー」
ノア「いや、貰えないも何もそもそもあげるって言ってないからね?」
夏音「えと、もしかしてミャーさんってひなたちゃんのお姉さんのみゃー姉さんのこと?」
花「そうそれ」
夏音「わぁ、お菓子作りも上手なんだぁ!」
ひなた「良かったらかのんたちも来るか!?みゃー姉に言えばクッキーとか作ってくれるぞ!!」
ミャーさんのことを褒められて満足気なヒナタちゃんは上機嫌のまま2人を家に誘った。
夏音「いいの?それじゃあおじゃましようかなー。みゃーお姉さんってスポーツも勉強もできて友だちも多くて美人でモデルもやってるんだよね」
……アレ?いつの間にか噂が凄いことになってる!?
ひなた「おうっ!みゃー姉は凄いんだぞ!」
えぇっ!ヒナタちゃんも認めちゃうの!?
さ、さすがにこれはどうにかしないと……。
アタシは帰りにヒナタちゃんにどうするのか聞こうと心に決めたのだった。
この世界線では残念ながらみゃー姉は花ちゃんの手作りクッキー(炭)を貰えませんでした。ドンマイみゃー姉!