星野家の三女   作:星野家の概念的存在になりたい

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三姉妹で服を買いに行く

とある日の休日、特にする事も無かった私はリビングのソファーに寝転がってノッテンドー3DDのとつ森*1を遊んでいた。

今日は花ちゃんたちが来る予定も無いみたいだし衣装作りも一段落着いているのでこうして一日中ゴロゴロしていよう。そう考えていた矢先、洗濯を終わらせたお母さんがリビングにやってきた。

時間を見ると11時半前だったのでお昼の支度でも始めるのだろうと思い目線を画面に戻し釣りを始めるが、先程からお母さんの視線が私へと突き刺さっていて集中出来ない。

 

みやこ「お母さんなに?」

 

千鶴「はぁ〜〜〜〜……」

 

何か用事があるのかと訊ねてみれば何故かため息を吐かれてしまった。いや、ほんとになんなの?

私が訝しげに見つめ返すとお母さんは呆れたように呟く。

 

千鶴「いい歳した娘が折角の休日にゴロゴロと……ひなたたちはおつかいに行ってくれてるのに」

 

みやこ「べ、別にいいでしょ……」

 

千鶴「はぁ……それにそのジャージも高校の時のでしょ?いい加減着るのやめな」

 

みやこ「いいじゃん家の中だけなんだし」

 

千鶴「そんな事言って私服も高校で買った頃から自分で買いに言ってないでしょ」

 

みやこ「この間買ってきてくれたのはちゃんと着てるし……」

 

千鶴「あれはちまりに選んで貰ったものだし夏服だろ?」

 

も〜なんで説教モードなの?めんどくさいなぁ……。

どうやって切り上げようか考えている私にお母さんから衝撃の言葉が飛んできた。

 

千鶴「全く困ったもんだよ。服に頓着しないかと思えば夜な夜な自分で作った変な服着て鏡の前でニヤニヤしてるし……」

 

みやこ「ふぁっ!?」

 

な、なぜそれを!?

ひなたは知らないはずだしちまりはもし知ってても言わないはず……なのにどうして。

だがそれを聞き出す間もなくちまりたちがおつかいから帰ってきた。

 

ちまり「ただいまお母さん、みゃーお姉ちゃん」

 

ひなた「お母さん、たまごと牛乳買ってきた!」

 

みやこ「おかえり二人とも」

 

千鶴「おかえり。二人ともみやこよりしっかりしてて頼りになるわねー」

 

みやこ「そんなおつかいくらいで……」

 

私だってやろうと思えばそれくらいできるのに。

 

千鶴「それじゃあみやこ、夕方にクリーニング取りに行ってきて」

 

みやこ「コンビニみたいに黙って済ませられる所じゃなきゃ無理」

 

千鶴「情けないことを偉そうに言うな」

 

クリーニングに取りに行けなんてそんな事出来るはずがない。

私が堂々と言い切るとお母さんは呆れたようにため息を吐いてひなたの頭を撫でる。

 

千鶴「もう手に負えないよ。みやこのことはひなたに任せようかな」

 

ひなた「まかせて!おとなになったらみゃー姉はわたしがやしなう!」

 

ちまり「わ、私も一緒にみゃーお姉ちゃんをやしなう!」

 

千鶴「今のは冗談だからちゃんと自分のために生きなさい」

 

おおう、妹たちに養ってもらうのは流石にどうなんだろう。

 

ひなた「私はかまわん!」

 

ちまり「かまわんっ!」

 

千鶴「みやこの為にも止めなさい」

 

ひなた「ぐぬぬ……みゃー姉のためなら我慢する」

 

ちまり「……うん」

 

そんな渋々我慢するような内容じゃ無かったと思うんだけどなぁ。

 

千鶴「ふぅ……とにかく見た目だけでもちゃんとしてきな。お金出したげるからちゃんとした店で服買ってくること」

 

みやこ「え?やだ」

 

千鶴「やだじゃない!」

 

当然すぐさま拒否するけどお母さんは納得しない。だけど私だって引き下がる訳には行かない理由があるのだ!

 

みやこ「だって服屋って話しかけてくるじゃん!ヤダヤダ絶対ヤダ!」

 

千鶴「そんなまた子供みたいなこと言って……そんなんで将来どうするの」

 

みやこ「……ひなたとちまりが養ってくれるらしいし?」

 

ひなた・ちまり「!」

 

千鶴「もし本気で言ってんならこっち来い

 

みやこ「冗談ですごめんなさい!

 

勿論最初から冗談だからね?本気で言ってたら花ちゃんにゴミを見る目で見られそうだし流石に……ねぇ?

けど……ちょっとだけ良いなとか思っちゃってる自分が怖い。

 

 

 

 

 

 

 

結局追い出される形で家を出る事になった私は諦めて商店街へ向けて歩き出す。

服屋で服を買ってこいなんて……全くお母さんも無茶言うよ。

 

まあ人があまり寄ってこない様なチェーン店で済ませればいっか。

そう考えていたがその計画は家から出てきた二人から伝えられた言葉によって打ち砕かれた。

 

ひなた「お母さんが駅ナカの子供服も売ってるお店で私たちの分も一緒に買ってこいって」

 

うげぇ、駅ナカの子供服が置いてある店っていえば……。

 

みやこ「ネット上で店員がポタモン*2トレーナーって言われてる所じゃん!」

 

ひなた「ポタモン!?いるのか!」

 

ちまり「ポタモントレーナー……確かにそうかも」

 

ちまりはあそこの店員を知っているらしく神妙な顔で頷く。

はぁ……その反応完全にダメなやつだよ〜。

 

とはいえそのまま帰ったらお母さんに吊し上げをくらいそうなので取り敢えず向かうけど……やだなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

憂鬱な気分になりながらもどうにか駅ナカのNEON*3までやってきた。

 

みやこ「あぁ〜……来てしまった」

 

ちまり「みゃーお姉ちゃん、大丈夫?」

 

みやこ「う、うん。大丈夫だよ」

 

正直全然大丈夫じゃないけど……ちまりだってこういう店はあまり得意じゃないだろうし、ここは姉らしい所を見せないとね。

 

私が精一杯の虚勢を張って服屋に1歩踏み出した直後、奥で商品を直していた店員と目が合ってしまった。

 

帽子店員「!!」

 

 

──帽子のアパレル店員が現れた!──

 

 

帽子店員「何かお探しですかぁ?」

 

ひぃっ!瞬間移動してきたっ!?

どどどどうしよう!?な、なにか言わないとえとえとその……!

 

ひなた「みゃー姉!ここはわたしにまかせて逃げろー!!」

 

みやこ「ひなたっ!?」

 

帽子店員「あら?ジュニア服はこっちよ〜」

 

ひなた「みゃ〜ねぇ〜!」

 

みやこ「ひなたーっ!!」

 

ちまり「ひなたお姉ちゃぁぁぁん!」

 

私を助けに入ってきてくれたひなたがジュニア服の方へ連れていかれてしまうなんて……。

くっ……!とにかくこれ以上目を合わせない様に服を買ってここを離れ──

 

おさげ店員「!!」

 

みやこ「あ…………」

 

 

──ゆるふわおさげなアパレル店員が現れた──

 

 

おさげ店員「いらっしゃいませ〜〜!どのような服をお探しでしょうかぁ〜?」

 

みやこ「あ……その……えと……」

 

ひぃ〜〜〜っ!?誰か助けて〜〜!

私が内心パニックになっているとさっきまで私の後ろに居たはずのちまりが先程のひなたのように前に出て私を庇おうとしてくれていた。

 

ちまり「あ、あの……っ!わ、わたしたちは……」

 

おさげ店員「あらぁ、妹さんですか〜?子供服はこっちで──」

 

ちまり「あっ……」

 

みやこ「ちまり!!」

 

店員がちまりの手を取ろうとしたその時、私は咄嗟ににちまりの手を掴んで抱きかかえていた。

 

おさげ店員「えっとぉ……」

 

みやこ「あ……いや……ええと……」

 

あぁぁあぁあぁぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁあぁぁあぁぁぁあぁぁあぁ……!!

 

咄嗟の事とはいえあれはないでしょ!!

もっと方法はいくらでもあったのにどうして印象最悪な対応しちゃったんだろう〜〜っ!?

ああもう流石に今のは良くなかったしちゃんと謝らないとぉ〜〜……!

 

よし!とにかく目の前の店員にちゃんと謝ってから直ぐにこの場を離れよう!

そう考えた直後、無事店員から逃れてきたひなたが再び私たちの前に飛び込んできた、のは良いのだが……。

 

ひなた「やめて!みゃー姉とちまりは人見知りだから話しかけないで!!」

 

ちょ、ひなたぁぁぁぁっ!?

お願いだからそんなこと大声で言わないでぇ〜〜〜っ!!

 

 

 

 

 

 

その後ひなたも連れて一目散に逃げ出した私は建物内のベンチに腰を掛けると、頭を抱えながら羞恥で火照った顔を冷ましていた。

 

みやこ「ああぁぁぁぁ恥ずかしいぃぃぃもう二度とあのお店に行けない……」

 

ひなた「ごめんなさい……」

 

ちまり「ごめんなさいみゃーお姉ちゃん……」

 

みやこ「ううん。二人とも私の為にありがとね」

 

私はお礼を言いながら二人の頭を撫でてあげた。

私を助けようと必死になってくれた二人を叱る理由なんてない。

 

まぁ、それ以前に……

 

みやこ「あんな恐ろしい店に二度と行く気ないし……

 

そう、だから何も問題なし!

とはいえ、服は買って帰らないとお母さんに怒られるしどうしようか。

 

みやこ「う〜ん……」

 

ちまり「お姉ちゃん?」

 

あっ、そうだ!

布を買って自分で作ればいいんだ!

お母さんから貰ったお金で生地を買えば服屋に行かなくて済むし余った生地で花ちゃんのコスも作れて一石二鳥……完璧だ!

 

みやこ「よしっ、これで行こう!」

 

ひなた・ちまり「??」

 

みやこ「買う物は決まったし……お金も余りそうだからこっそり遊んで行こうか」

 

ちまり「!?」

 

ひなた「いいのかみゃー姉!?」

 

みやこ「いいよ、その代わりお母さんには内緒ね」

 

ひなた「いやったぁああぁぁぁぁっ!!!」

 

みやこ「うおっ!?」

 

私が良いと答えると嬉しかったのか突然絶叫し始めるひなた。

その後たじろぐ私にひなたは本当にウソじゃないのかと息を荒らげて詰め寄ってきた。

隣で私の左手を両手で握りしめているちまりも今にも溢れ出しそうな気持ちを抑える為か目をギュッと閉じている。

それに連動して私の左手を握る手に力がこもってて若干痛いが悪い気はしない。

けど……流石にここまで喜ばれるとなんか怖いな。

 

まぁいいや、とにかく満場一致で遊んで行く事は決まったので二人の意見を聞いてみよう。

 

みやこ「それで、二人はどこか遊びに行きたい所でもあるの?」

 

ひなた「えーとな、えっとなー……ない!」

 

ちまり「お姉ちゃん達と一緒ならどこでもいいっ」

 

ひなた「おうよっ!」

 

も〜、二人とも相変わらずだなぁ。

まぁでも……もうしばらくはこのままでも良いかな。

 

みやこ「うんっ、じゃあ色々見てまわろっか!」

 

ひなた・ちまり「おーっ!!」

 

それから私たちはゲームセンターのクレーンゲームで花ちゃんが好きそうな不思議なセンスのぬいぐるみを取ったり、雑貨屋で二人に黄色のリボンが付いたヘアゴムを買ってあげたり、三人でアイスを食べたりとNEONの中を遊び歩いてった。

 

 

 

 

そんなこんなであっという間に時間は過ぎ、晩御飯の時間も近付いて来たのでそろそろ生地を買って帰ろうと前を歩くひなたに声をかける。

 

みやこ「ひなた、もういい時間だしそろそろ生地買って帰ろうか」

 

ひなた「えー、まだ遊びたい!」

 

みやこ「晩御飯までに帰らないとお母さんに怒られるよ」

 

ひなた「わたしは一向にかまわんっ!」

 

みやこ「かまって?」

 

ちまり「私たちの帰りが遅いとみゃーお姉ちゃんが怒られちゃうから帰ろう?」

 

ひなた「マジでか!?なら早く帰ろうちまり!みゃー姉!」

 

ちまり「うん」

 

みやこ「ん、帰ろ帰ろ」

 

ひなたの変わり身の速さに内心苦笑しながら大まかに決めていた生地を買って帰る。

その家路で今日の事を楽しそうに話すひなたとちまりを見てこれからもこうして三人で遊びに出掛けるのも良いなと思えた一日だった。

 

 

まぁ、この後お母さんに生地を買ってきた事を怒られなければ文句なしだったんだけどね……はは。

 

 

 

 

 

*1
とつげき!どうぶつの森

*2
ポータブルモンスター縮めてポタモン。ノッテンドーのキラータイトルの1つ

*3
NEONグループが運営する大手ショッピングセンター




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