星野家の三女 作:星野家の概念的存在になりたい
学校で両手をなわとびで結ばれた小之森さんを種村さんがお世話をしていたとある日の放課後。
あの後無事になわとびは外せたのか心配しつつ私たち4人がいつものように自宅で遊んでいるとみゃーお姉ちゃんがリビングから私とひなたお姉ちゃんの部屋へ上がってきた。
みやこ「お母さん今日忙しくて帰れないらしいから晩ごはん私が作るけど何か食べたいものある?」
ひなた「みゃー姉のごはん!!」
今日はみゃーお姉ちゃんがごはんを作るみたい。
お母さんが帰ってこれないときしか食べれないから私も楽しみ!
ノア「へー、ミャーさんフツウの料理もできるんだ」
ひなた「みゃー姉のごはんは世界一だぞ!」
あはは、ひなたお姉ちゃんの反応を見てると前にお母さんの言った通りになりそう。
確かにたまに食べるから特別な感じはするけどね。
ひなた「一度食べたらもうみゃー姉のごはんのことしか考えられなくなる。時々食べないと震えてくるからな!」
花「それ危ないもの入ってない?」
ちまり「だ、大丈夫だよ!すっごくおいしいのは本当だけど私は大丈夫だったから!」
あ、でも外に食べに行きたいとはあんまり思わなくなるかも。
ノア「でも二人がそこまで言うなら食べてみたいかも……」
ひなた「なら今日泊まって食べていくか!?」
ちまり「んぐっ!?」
あ……ノ、ノノノノノアちゃんがウチにお泊り!?
ノア「こんな急にいいの?」
みやこ「ん、別にいいよ。明日は休日だし」
ふぅー……ふぅー……大丈夫、落ち着こう……。
前にノアちゃんに誘われた時はここまで慌てたりしなかったんだから大丈夫、うん!
ひなた「花も泊まるか!」
花「泊まるのは大丈夫だけど……パジャマとか泊まる用意しに一回帰らないとかな」
ちまり「あ、それならみゃーお姉ちゃんがパジャマとか花ちゃん用に色々作ってたから多分大丈夫だよ?」
流石はみゃーお姉ちゃん、用意が良いね。
花「ちまり……それは別の意味で大丈夫とは言わないんだよ」
ちまり・みやこ「……えっ?」
花「……はぁ、まあいいです。とにかくお母さんに電話で聞いてみます」
ノア「あ、アタシもー♪」
花ちゃんはちょっと呆れてるみたいだったけど時間的に考えてみゃーお姉ちゃんからパジャマを借りることにしたみたい。
ノア「泊まっていいだってー」
花「私も大丈夫です」
少しして電話を終えた二人がそう答えた。
そこでみゃーお姉ちゃんが私たちに何が食べたいか聞いてきたので私たちはそれぞれ食べたいものをあげた。
ひなた「カレー!」
ノア「オムライス!」
ちまり「ハンバーグ!」
花「アップルパイ」
みやこ「おやつじゃなくて晩ごはんの話だよ花ちゃん」
花「はいっ!アップルパイでお願いします!」
みやこ「そっかー、花ちゃんは大きくなっても一人暮らししないようにね」
花ちゃん……
みやこ「じゃあ作ってくるからー」
ちまり「私もお手伝いするよ!」
みやこ「いいっていいって、私がやるからちまりも皆と遊んでな」
ちまり「うん、わかった!」
手伝おうと思った私にみゃーお姉ちゃんがそう言ってくれたので私はその言葉に甘えることにした。
ノア「チマリちゃんってよくお手伝いしてるの?」
ちまり「えっと、まぁみゃーお姉ちゃんが作るときは手伝ってるけど……」
本当はお母さんの負担も減らしたいから毎日でも手伝いたい。
まぁお母さんが自分の時間をもう少し大切にしなさいって言うからたまにしか手伝えないんだけどね。
ノア「へー、じゃあチマリちゃんも料理得意なんだね!」
ひなた「そうだぞ!ちまりはみゃー姉の次に料理上手なんだ!」
ちまり「そ、そんなことないよ……私は手伝ってるだけだからまだまだだよ」
みゃーお姉ちゃんから教わった料理くらいしか作れないからあんまり持ち上げられるのは恥ずかしい。
花「……はっ!?じゃあお菓子をちまりに作って貰えば──」
ちまり「コスプレはしてもらう……かな」
花「な、なんでっ!?」
ちまり「なんでって……お菓子作りはみゃーお姉ちゃんから教わったから、恩を仇で返すようなことは出来ないよ?」
それに私はみゃーお姉ちゃんと花ちゃんがもっと仲良くなれるよう応援してるのに邪魔するようなことはしたくないからね。
ちまり「だから結果が同じならみゃーお姉ちゃんのお菓子の方が美味しいしお得だよ?」
花「う〜……良い案だと思ったのに」
みやこ「みんな〜、ご飯出来るからそろそろ降りてきてー」
ひなた「出来たって!行こう!」
目論見が外れた花ちゃんが残念がっていると晩ごはんが完成したみたいなので私たちはひなたお姉ちゃんの掛け声と共にリビングへと降りていった。
みやこ「お、来たね。今日はみんなの意見をまとめてハンバーグカレーオムライスにしたよー。カレーにはこの間花ちゃんが持ってきてくれたリンゴが入ってるから甘くて美味しいよー」
四人「いただきまーす!」
みやこ「熱いから気をつけてねー」
ノア「おいしいっ!ミャーさんホントに料理上手だね!」
ひなた「なっ!世界一だろ!」
うん、みゃーお姉ちゃんの作るご飯は美味しくて幾らでも食べられるよ!
花ちゃんなんて夢中になり過ぎて周りの声とか聞こえてなさそうだし。
このままじゃ花ちゃんもひなたお姉ちゃんみたくみゃーお姉ちゃんのご飯のことしか考えられなくなっちゃいそうだね。
ノア「ミャーさんは料理におさいほうも上手だからいいお嫁さんになれるね!」
みやこ「え、そうかな?ありがとー」
もちろん、みゃーお姉ちゃんなら絶対にいいお嫁さんになれる……けど。
ひなた「みゃー姉は嫁にやらんぞ!」
ちまり「やらんっ!」
みやこ「なんで親目線なの」
私もひなたお姉ちゃんもみゃーお姉ちゃん離れはまだまだ出来そうにないから仕方ないね。
〜〜〜〜〜〜〜〜
みゃーお姉ちゃんのご飯を充分に堪能した私たちは今は食休みしつつトランプでババ抜きをやっていた。
うっ、ジョーカーが入ってる。
でも残り3枚だから上手くジョーカーを花ちゃんに引かせれば最初に上がれるかも!
花「ちまり、ジョーカー持ってるでしょ」
ちまり「もっ、もってないよ?」
いきなり言い当てて来た花ちゃんに私は内心ドキドキしながら誤魔化すけど花ちゃんはお構い無しにカードの1枚を指さして聞いてきた。
花「ふーん?これ?」
ちまり「い……いやぁ?ど、ど、ど、どうかなぁ?」
花「……じゃあこれ」
ちまり「あ、あぁ〜……!」
そう言って花ちゃんは指をさしたジョーカーの1つ右にあるハートのQを引き抜いた。
花「揃った、あと2枚」
ノア「容赦ないね花ちゃん……」
花「手を抜くのはちまりに失礼だから」
花ちゃんのその考えは立派なんだけど……どうしよう、花ちゃんに勝てる気がしてこないよ。
その後ひなたお姉ちゃんの手札から引いたスペードの5で揃い残り2枚になったもののジョーカーは私の手から離れないままひなたお姉ちゃんが最初に上がり、続いて花ちゃんが6のペアを揃えて上がったため勝負は私とノアちゃんの一騎打ちに。
ノア「ドッチにしよーかなー?」
お願いっ!ダイヤの8を引かないで〜!
私は祈るように目を瞑りながら手札を差し出す。
ちまり「う〜……」
ノア「クスッ……♪じゃあコッチ──ってチマリちゃん?」
ちまり「むぅ〜……」
ノア「ちょ、取れないっ!?違うよ!そういうゲームじゃないよ!?」
ちまり「へ?」
ノアちゃんの声でハッと目を開くとダイヤの8が勢いを付けて手元から離れていく。
ノア「きゃっ!?」
急に私が力を緩めてしまったのでカードを引っ張っていたノアちゃんに尻もちをつかせてしまった。
ちまり「あ!ご、ごめんねノアちゃん!大丈夫!?」
ノア「あはは……ダイジョーブダイジョーブ。あ、私のアガリ!」
そう言ってノアちゃんはなんでもない風に2枚のダイヤの8を机に置いた。
ノアちゃんに悪いことしちゃった……うぅ。
みやこ「みんなー、お風呂沸いたから入っちゃってー」
四人「はーい!」
そうしているうちにお風呂が沸いたみたい……って、あれ?もしかして皆で入る感じなの?
だ、大丈夫。以前のお泊まりの時は逃げ出しちゃったけどあの時の私とは違う……はず!
でも流石に四人は狭いような?
ひなた「あ、でも流石に四人は入れないかも」
花「まぁ、そうだね」
ひなたお姉ちゃんや花ちゃんもその事に気付きどうしようかと頭を捻る。
と、その時ノアちゃんが何か閃いたらしく声を上げた。
ノア「じゃあさ!2組に別れてはいろうよ!」
ひなた「んー……ちまりはそれでも大丈夫か?」
ちまり「うん、それで大丈夫だよ」
私のことを気にかけてくれるのは嬉しいけど、私だって成長してるんだからね。
自分のお家だし一人じゃないなら大丈夫だから心配しないでひなたお姉ちゃん。
花「じゃあ丁度ペアで並んでるトランプがあるしこれで分けよう」
そう言いつつ花ちゃんは上のダイヤとハートの8、スペードとクローバーの6を拾うと裏側にして混ぜた。
花「じゃあ配るよ」
花ちゃんが四人の前にカードを配り終えたので私たちはそれぞれ自分のカードを手に取り、せーので捲る。
花ちゃん→スペード6
ノアちゃん→ダイヤ8
ひなたお姉ちゃん→クローバー6
私→ハート8
花「私はひなたとだ」
ひなた「だなっ!」
ノア「チマリちゃんは私とだね!」
ちまり「う、うん」
ノアちゃんとお風呂……き、緊張するなぁ。
ひなた「じゃあ数字の大きいノアたちから入っていいぞ!」
ノア「オッケー、じゃあ行こっかチマリちゃん!」
ちまり「あ、あわわわ……!」
こ、こころの準備が~……!
~~~~~~~~~
ノア「なんだか今日のミャーさんシッカリしてるねー……ってチマリちゃんほんとに大丈夫?」
ちまり「えっ?う、うん。ノアちゃんと二人きりのお風呂だからこころの準備が……」
ノア「えっ……?」
……あ、しまった!?
ちまり「ああああいやちがうの!普段はお姉ちゃんたちと入ってるからってことでノアちゃんと一緒でドキドキするとかへへへへんな意味じゃないの!」
ノア「ウ、ウン……////」
ああ~!やっちゃったよぉ……。
ただでさえ最近ぎくしゃくした感じなのに余計に変なことを言っちゃうなんて私のバカぁ!
ちまり「ご、ごめん。やっぱりみゃーお姉ちゃんと入るね!」
ノアちゃんと気まずくなりたくないのになんで上手に出来ないんだろう……うぅ、頭を冷やしてこよう。
私は着替えを持って洗面所を後にしようとした時、不意にノアちゃんに手を引かれた。
ノア「待ってチマリちゃん!」
ちまり「ふぁ!?な、なに?」
ノア「えと、ふたりで話したい事もあるから、サ?一緒に入ろ?」
うっ、上目遣いでそんなふうにお願いされたら……されたら……。
ちまり「……イイヨ」
ノア「ん、ヨカッタ♪」
ダメなんて言えるはずないよ……。
そうして私はノアちゃんに手を引かれお風呂場へと入っていく。
なるべく意識しないようにしつつ頭と身体を洗い終えた私は一足先に湯船に浸かる。
ちまり「ふへぇ〜」
ノア「ふふっ、カワイイ声だね♪」
う、無意識に出ちゃった声だから反応されるとなんだか恥ずかしくなってくる。
ちまり「う、うぅ〜……ブクブク」
私は赤くなった顔を見られないようにお湯の中に頭まで潜る。
ノアちゃんはそんな私の様子を可笑しそうに笑いながらも身体を洗い終え湯船に入ってくる。
ノア「ふぅ〜──って、これはたしかに声が出ちゃうカモ♪」
息がちょっと苦しくなってきたかも──って、そういえばさっきノアちゃんが話があるって言ってたっけ?
ちまり「ブクブクブク……っぷは!そ、それで……ふたりで話したいことって?」
ノア「アー……えーと……も、もっとチマリちゃんの事を知りたいなって」
ちまり「私のこと?」
ノア「そ、そうなの!ほ、ほら!最近ちょっと気まずい感じだったデショ?だからお互いの事をもっとよく知れば打ち解けられるカナって?」
ちまり「な、なるほど?でも何を話したら良いんだろう」
確かに今のぎくしゃくした関係はどうにかしたいとは思うのでノアちゃんの提案には賛成。
だけど何を話せば良いかすぐに思いつかない。
ノア「それならやっぱりコイバn──あ、じゃなくて誕生日!チマリちゃんの誕生日はいつなの?私は11月24日ダヨッ!」
ノアちゃんの誕生日は11月24日、心のメモに残しておこう。
ちまり「えっと、私は5月11日。ひなたお姉ちゃんの一日後なんだって」
ノア「5月11日だね!ってアレ?ヒナタちゃんと誕生日違うんだ。そしてなんで他人事なの?」
ちまり「うん、前にお母さんに聞いたことがあってね。日付が変わってから私が生まれたんだって言ってた。だからそれまでずっと5月10日が誕生日だと思ってたんだ」
誕生日のお祝いも毎年5月10日だったしね。
まぁ双子なのに誕生日が違うと目立ちそうだし話を聞いた後も学校では5月10日で通してるけどね。
ノア「ふ~ん?そっかそっか!教えてくれてアリガトね!」
ちまり「えと、どういたしまして?」
なんだかよくわからないけど、ノアちゃんが嬉しそうだからいっか。
それはそれとして……11月24日かぁ。
洋服はまだ作れないけど小物くらいなら用意出来るかな。
後でみゃーお姉ちゃんに相談してみよう。
そのあとも普段お家にいるときにしてることや好きな歌なんかを話したりして十分体が温まった所で私たちはお風呂を上がった。
全部が解決したわけじゃないけれど、お互いのことをたくさん伝えあったこともあって私たちの間にあった気まずい空気はすっかりなくなったように思う。
ノアちゃんの事をいっぱい知ることが出来たのは嬉しかった……けど、ひなたお姉ちゃんへの気持ちだけは聞けなかった。
聞いちゃったらきっと今のままじゃいられないもんね。
ふ、筆が進まない……集中力をオラに分けてくれぇー!