星野家の三女 作:星野家の概念的存在になりたい
とある日の星野家
みやこ「さ、さぁ花ちゃん……これが欲しかったらどうしたら良いかわかるよね……?」
ちまり「モグモグ……」
花「くっ……ず、ずるい……私が断れないの解ってる癖に……!」
ひなた「モグモグ……」
みやこ「へっへっへっ、ごめんねぇ?私も本当はこんな事したく無いんだけど……花ちゃんが嫌だって言うから仕方なく」
この前も思ったけど花ちゃんとみゃーお姉ちゃんが一緒だとどう足掻いてもみゃーお姉ちゃんが捕まりそうな光景になるのはどうしてだろう?
お姉ちゃんが楽しそうなのは良いんだけど、少し心配だったりもする。
みやこ「さあ!このお菓子が食べたかったらこの衣装を来てもらうよ!」
花「くっ」
結局お菓子の魔力には勝てない花ちゃんが衣装を受け取って撮影会が始まった。
今日の衣装はチェックのミニスカートに猫耳フードのパーカーがかわいい私もお気に入りの組み合わせだ。
私は顔を真っ赤にして息を荒らげるみゃーお姉ちゃんの後ろでマフィンを少しずつ味わっていた。
幾らお気に入りでもお姉ちゃん達以外の人がいる所で着るのは流石に無理だからね。
だけど花ちゃんに不公平だと言われると言い逃れが出来ないので、私は目立たないように努める。
そして撮影会を終えた花ちゃんは念願のマフィンにかぶりつこうとして……
花「あっ!?あぁ〜……」
力みすぎたのか誤ってマフィンを落としてしまった。
みやこ「あ、落としちゃったの?良いよ良いよ、私が片しておくから」
この世の終わりみたいな表情をしていた花ちゃんだったが、みゃーお姉ちゃんが片付けようと手を伸ばすと一転して素早い動きでみゃーお姉ちゃんより先に拾い上げると制止する間もなく一気にかぶりついたのだ。
みやこ「何してるの花ちゃん!?ぺっ!しなさい、ぺっ!」
花「んぐぐむーぐぐぐく」
みやこ「なんて!?って何でもいいから早くぺっ!して!?」
花ちゃんの食べ物に対する執念恐るべし……。
結局飲み込んでしまった花ちゃんは心配するみゃーお姉ちゃんに一言こういった。
花「おいしかったので安全です」
みやこ「おいしさは関係ないよ!!」
当然の突っ込みだった。
それでも花ちゃんは『おいしいお菓子ででお腹を壊すならほんもう』と、お菓子への執着を見せ付けてた。
それはそれとして……私もこのお菓子を落としてから食べたらみゃーお姉ちゃんに構って貰えるかな?
ひなた「みゃー姉」
みやこ「ちょっと後にしてひなた」
わたしが手に持っていたお菓子を手放そうか逡巡していると、先に私と同じ結論に達したであろうひなたお姉ちゃんがみゃーお姉ちゃんに声を掛けて即座にお菓子を落下させた。
みやこ「は、ハァーーーーーーーー!?」
あ、怒られてる。
ひなたお姉ちゃんは構って貰えて嬉しそうだけど、私はやらなくて良かったなと思った。
みゃーお姉ちゃんに怒られたい訳じゃないからね。
花「ちまり、ちょっといい?」
ちまり「ふ、ふぇ!?ななな、なに?」
な、なんだろう?も、もしかして私だけ衣装に着替えてない事に不満が!?
と、思ったけどどうやら別の用件らしい……よかった。
花「ちまり達のうちのお菓子ってどこで買ってるの?」
ちまり「えと、うちのお菓子は……いつもみゃーお姉ちゃんが……作ってる……から」
同じお菓子を買おうと思ったのかな?でも残念な事にこのお菓子はお店では買えない特別製なのだ。
その真実を目の当たりにした花ちゃんはショックを隠しきれないでいた。
花「(このおいしいお菓子も、今までここで食べたお菓子全部を……この人が作った!?これからもこれを食べるにはお姉さんが必要……つまり私はこれからも……)」
みやこ「ど、どうしたの?」
花「これからもずっとお姉さんの気持ち悪い趣味に付き合わないと行けないの?」
みやこ「気持ち悪いっ!?え……ちょ、花ちゃん……いまなんて?」
花「(いや、まだお姉さんが私に服着せて楽しんでる内はまだいい……もしお姉さんが私に飽きたら……)」
みゃーお姉ちゃんの問い掛けはどうやら花ちゃんには届いて無いみたい。
何を考えているのかは解らないけど、徐々に花ちゃんの顔色に焦りが出てきた。
みやこ「え……き、気持ち悪い……?き、聞き違い……だ、よね?」
あぁ、お姉ちゃんが現実から目を背けようとしてる。
花ちゃんも花ちゃんでこの世の終わりみたいな顔してるし……この状況どうしたら良いんだろう。
私が目の前の状況にただおろおろとしていた時、花ちゃんが動き出す。
花「お菓子は置いてって!」
みやこ「何がっ!?」
花ちゃんが突如みゃーお姉ちゃんに飛び付いた、ずるい!
花「お菓子だけ!お菓子だけでいいので!」
みやこ「な、なに!?ど、どうしたの花ちゃん!?いきなり抱きついてきて」
花「お姉さんはいらないので!」
みやこ「え……」
むぅ〜……もう我慢出来ない!
「私もまざるぅー!」
ひなた「おぉっ、わたしもまっぜろー!」
みやこ「ちまり!?後ろから抱き着いたら危なぐぇっ!?」
痛たたた……みゃーお姉ちゃんによじ登ったひなたお姉ちゃんの足が当たるけど私は絶対に離れないんだから!
みやこ「ぐっ……」
花「ん?ちょ、ひなた!?お姉さんやばい!やばい!!」
ん?花ちゃんが慌ててる……ってみゃーお姉ちゃんの顔が真っ青に!?
と、とにかくひなたお姉ちゃんを持ち上げないと!
ちまり「んん〜っ!」
ひなた「お、おぉ!?」
「みゃー……お姉……ちゃん!今の内に……ひなたお姉ちゃんを……!」
みやこ「けほっ……あ、ありがとうちまり」
ひなたお姉ちゃんを背負い直す事でどうにか窮地を逃れたみゃーお姉ちゃんはゆっくりとベッドに腰を降ろした。
ひなた「すまんみゃー姉!大丈夫か!?」
みやこ「うん、大丈夫……大丈夫だから」
花「本当に大丈夫ですか?顔色やばかったですし病院に行った方が……」
みやこ「へ、へーきへーき。息が出来なくて苦しかったけど……なんでかな?花ちゃんに抱き締められなからだったからか……へへ、少し良かった」
花「やっぱり病院に行きましょう」
むぅ〜……なんだかモヤモヤする。
みゃーお姉ちゃんが嬉しそうにしてるから私も嬉しい筈なのに。
みやこ「ちまり?どうしたの」
だけどこのモヤモヤは私にとっても皆にとってもあんまりいいものじゃない気がするから、これがなんなのか分かるまではお姉ちゃんには内緒!
「んーん、何でもないよ。それより花ちゃんと何の遊びしてたの」
みやこ「え?ええと……花ちゃん、さっきはどうしたの?」
花「それは……」
話を聞くと花ちゃんはいつか飽きられてお菓子が貰えなくなるんじゃないかと心配していたみたい。
だけどそれは杞憂である事をみゃーお姉ちゃんは花ちゃんに伝える。
みやこ「心配しなくても大丈夫だよ。10年先も20年先も──私はきっと花ちゃんを着せ替えて楽しんでるって!」
花「そんな気持ち悪い事思ってたんですか」
花ちゃんはドン引きしていたけど、私にはとても素敵な事に思えた。
だってそれは10年先も、20年先にもその人の事を思い続けてるって自信の表れだから。
……う〜、またモヤモヤするぅ。
お姉ちゃん達の幸せが私の幸せなのに……何でもやもやするのー!
花「…………」
もー!こんなんじゃお姉ちゃんに心配掛けちゃうぅ……こうなったら!
ちまり「あ、そうだみゃーお姉ちゃん!この間私に着せてくれた青色のワンピースもきっと花ちゃんに似合うよ!」
みやこ「それいいっ!ナイスちまり!」
花「えっ……もう終わったんじゃ……」
みやこ「そういえばマフィンがまだ一個余ってたな〜?」
花「ぐっ……ずるい……」
花ちゃんごめんなさい、もう少しみゃーお姉ちゃんの関心を引いておいてね。
みゃーお姉ちゃんに心配を掛けたくないの。
我儘は一杯言ってるから……みゃーお姉ちゃんの邪魔だけはしたくないから。
引っ込めシリアス!出てこいシリアル!