星野家の三女   作:星野家の概念的存在になりたい

8 / 32
※WARNING※
皆様、いつもご愛読・感想・評価等頂きありがとうございます。
ここから1.2話程少し重い内容(当社比)が続きます。
そういった内容が苦手な方はケツィを抱いて進む事をおすすめしマス。













此処から下が本編になります。




チマリちゃんのこと

アタシの名前は姫坂ノア。

新しい学校に転校してきて早二週間、初めてヒナタちゃん家に遊びに行った日からヒナタちゃんとハナちゃんとは学校でも話すことが増えてきて毎日が楽しい!

ホントはチマリちゃんともお話したいんだけど、残念だけどチマリちゃんは学校ではほとんど話そうとしないの。

更に気になる事にヒナタちゃんがそんな状況に何も言わないってこと。

二人の仲は悪いどころかすっごく良くて、学校以外ではチマリちゃんは常にミャーさんかヒナタちゃんの傍を離れようとしないくらいだからね。

アタシも来たばっかだし事情もあるんだろうと思ってしばらく様子を見てたけど流石にもう我慢出来ない!

アタシは遂にヒナタちゃんに聞いてみる事にしたの。

 

ノア「ヒナタちゃん!チマリちゃんとあんなに仲が良いのにどうして学校じゃ全く声を掛けないの!?」

 

ひなた「それは……すまんノア!今はまだ話せないけど……ダメなんだ!」

 

ノア「ダメってどういうこと?何がダメなの!?」

 

花「ノア、気持ちは分かるけどひなたが話せないくらいの事なんだから。私達が気軽に踏み入っていい事じゃないよ」

 

ハナちゃんの言いたい事は分かってる。

それにアタシはまだ出会ってからひと月も経ってないからホントに話せなくて当然かも知れない。

でも……時間なんて関係ない。

あのヒナタちゃんに一瞬でもあんな辛そうな顔をさせるなんてゆるせないよ。

それにミャーさんからチマリちゃんの事を任されたのに放ってなんておけないんだから!

 

ノア「分かった。じゃあヒナタちゃん、どうして話せないのかだけでも教えて」

 

ひなた「うぅ……ほんとにすまんノア、それも言えないんだ」

 

ノア「どうして!?」

 

花「ノア、落ち着いて」

 

ノア「アタシは冷静だよ、だから話してヒナタちゃん……お願い」

 

花「はぁ……全く冷静じゃないよ。今はってことは本人に聞かせたくないってことでしょ?ひなたがそこまでかたくなに口を閉ざす理由は……私の想像通りならノアにもわかるはずだよ」

 

ハナちゃんの一言でアタシの頭は直ぐに理解した、()()()()()()()()

ヒナタちゃんが言いたがらない理由……それってもしかして、ミャーさん?

 

ノア「まさか……でもどうして……」

 

ひなた「…………」

 

もちろんヒナタちゃんのお母さんやお父さんの可能性もあるけど、それでもミャーさんだけ知らされてないなんてことは有り得ないはず。

でも、アタシにチマリちゃんの事を頼んだのはミャーさんなのに。

そのミャーさんが学校でチマリちゃんが孤立させようとしてるなんてウソ……だよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の午後の授業なんて全然頭に入らなかった。

アタシは授業が終わると直ぐにヒナタちゃんの家に向かった。

ヒナタちゃんがチマリちゃんに関わらないのは学校にいる間だけらしいのでヒナタちゃんには学校帰りにチマリちゃんを寄り道に連れてって欲しいと伝えてある。

 

ノア「ミャーさん!正直に答えてっ!」

 

みやこ「の、ノアちゃん!?ハナちゃんもいらっしゃ……ってあれ?ひなたとちまりは?」

 

ミャーさんは突然の来訪に呆気にとられていたけどアタシには関係ない。

ミャーさんから話を聞き出す為に更に距離を詰める。

 

ノア「ミャーさん、ヒナタちゃんが学校でチマリちゃんに関わらないようにしてるのってミャーさんが言ったからなの?それならどうしてなのか話して!」

 

じゃないとアタシ、ミャーさんの事を信用出来なくなっちゃう。

ミャーさんはアタシの言ってる事が分かったのか手を打つと、いつになく真剣な顔でアタシ達の前に座った。

アタシ達もミャーさんにならってその場に座り込む。

 

みやこ「ん〜……ちまりの友達だし、二人には話しておこうか。初めに言っておくけど学校の皆には内緒だよ?」

 

ミャーさんはそう前置きを置いてから自分の気持ちを落ち着けるようにゆっくりゆっくりと話し始めた。

 

みやこ「ちまりが普段から私やひなたにずっとくっついてるのは見ててわかるよね?」

 

ノア「うん、それがどうかしたの?」

 

みやこ「初対面の時のちまりを思い出して貰えれば花ちゃんは何となく想像付くと思うけど、元々ちまりは他人と話せないどころか取り乱してしまうくらい人見知りがひどいの。家族が一緒にいれば少しはマシなんだけどね」

 

花「それは、まぁ……でも、いつも机に伏してるとはいっても学校での様子は普通ですよ?」

 

みやこ「そうだね、それはひなたが近くにいるって理由もあるけど……それとは別にもう一つちまりが苦手な事があってね」

 

花「苦手なこと……あ、前にひなたが言ってた。一人が苦手って……」

 

みやこ「そう、だから学校みたいな集団でいる所なら注目されない分にはまだ平気なんだって」

 

チマリちゃんは人見知りだけど一人が苦手?

たしかにヒナタちゃんは結構クラスの中心人物だから一緒にいたら注目を集めるかも知れないけど。

でもだからってヒナタちゃんにあんな我慢をさせるなんて納得できないよ。

 

ノア「チマリちゃんの苦手なことは分かったけど、アタシやハナちゃんといる時みたくヒナタちゃんと一緒でもダメなの?」

 

みやこ「……そうだね、ひなたといれば多分ちまりも花ちゃんの時みたく皆と少しずつ話していける様になる可能性はあると思うけど」

 

ノア「じゃあっ……!」

 

みやこ「でも……そうするとちまりが普通に話せると勘違いする子や先生が出てきちゃうから」

 

ノア「ミャーさんはチマリちゃんが誰かと普通に話せないって思ってるの?」

 

みやこ「……さっきも言ったようにひなたが一緒なら大丈夫だと思う。けれどそれを勘違いした他の生徒や先生がちまりにひなたと別々の委員会や係を頼んだら?きっとちまりは断れない……けれどきっとあの子はそれに耐えられないと思うの」

 

ミャーさんの心配してることはわかる。

だけどそれくらいならどうにでも方法はあるじゃない!

 

ノア「じゃあアタシたちがそうならないように近くでサポートすればいいでしょ!ねぇ、ミャーさん!」

 

みやこ「ちまりのことを思ってくれる気持ちは嬉しいけど、それはダメだよ」

 

ノア「なんでっ!」

 

みやこ「あの子は何でも自分で抱え込もうとするから、ノアちゃんたちに心配かけてるって知ったら逆にちまりを追い詰める結果になっちゃうよ」

 

花「ひなたが学校で頑なに話そうとしなかったのはそういうことだったんですね」

 

みやこ「うん。ひなたに我慢させちゃってるのは申し訳なく思ってるけど、ちまりがもう少し自分の気持ちを大事に出来るようになるまではね」

 

ミャーさんがそれだけちまりちゃんを大事に思ってるのはわかった。だけどそこにチマリちゃん自身の思いが入ってないならアタシは……。

 

ノア「ミャーさん、チマリちゃんがどう思ってるかは聞いてるの?」

 

みやこ「体育とか調理実習なんかについてはちまりが頼んだ事だけど、それ以外は……けど、あの子はすぐに無理しようとするから。だから、ちまりが自分で変わろうと思える様になるまでは見守って欲しいんだ」

 

……信じられない。

チマリちゃんに何も言わずに勝手に特別扱いしてるの!?

普通の子みたく普通の事をさせないのがチマリちゃんの為?

 

ノア「……ミャーさんのバカ!勝手にチマリちゃんをハレモノみたいに扱っといて何がチマリちゃんのためよ!そんな事しといてよくチマリちゃんの事をよろしくなんて言えたよね!」

 

みやこ「うん、そうだね……その通りだよ」

 

そう言ったミャーさんの声は少し震えていてとても寂しそうだった。どうにかしたいけどどうにも出来ないと諦めたような表情。

 

「〜〜っ!もういい、お邪魔しました!」

 

花「あ、ノアっ!?」

 

アタシはそれがどうにも腹立たしくて感情のままに立ち上がりヒナタちゃん家を後にした。

 

花「……お姉さんはバカです。ちまりのことで自分を責めてるのはお姉さんじゃないですか。これ以上の話はホントに私やひなたたちには話せないことなんですか?私たちじゃ友だちの力になれないんですかっ」

 

みやこ「っ……ごめんね花ちゃん。やっぱりちまりのことで責められるべきは私だから。花ちゃんたちはこれからもちまりと仲良くしてくれると嬉しいな?」

 

花「そう、ですか……わかりました。今日のところはこれで失礼します」

 

みやこ「ごめんね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒナタちゃん家を飛び出したアタシはヒナタちゃんと連絡を取って二人がいる公園に来ていた。

 

ノア「ヒナタちゃんお待たせー、チマリちゃんも楽しんでた?」

 

ひなた「おぅ、ちまりと鬼ごっこして遊んでたところだ」

 

ちまり「楽しかった♪」

 

二人で鬼ごっこって楽しいの?と思ったけど二人とも満足そうだからいっか。

ヒナタちゃんが肩で息をしてるのにチマリちゃんが息を切らしてないのが少し気になるけどそれも今は気にしない事にした。

 

ノア「ねぇひなたちゃん、ちょっといい?」

 

ひなた「お、なんだ?」

 

アタシはヒナタちゃんの耳元である提案を持ち掛けた。

 

ひなた「ちまりをノアの家に泊めるのか!?」

 

ノア「そう、アタシの家でチマリちゃんと遊びたいなぁって」

 

ひなた「良いなそれっ!花も誘っていいか!?」

 

ノア「んーと、ごめんねヒナタちゃん。今回はチマリちゃんとだけが良いんだ」

 

ひなた「そ、そうか……でも」

 

ヒナタちゃんは不安そうに言い淀む。

やっぱりその辺もミャーさんから言われてるよね。

 

ノア「お願いヒナタちゃん。ヒナタちゃんも納得出来てないでしょ?アタシも今の状況に納得出来ないの。もちろんチマリちゃんが嫌なら無理強いはしないけど……」

 

アタシはそう言ってチマリちゃんの方を見る。

チマリちゃんは少し悩んでたけど遂にはヒナタちゃんの方を向いて答えた。

 

ちまり「ひなたお姉ちゃん、私ノアちゃん家行きたい!」

 

ひなた「ちまり、わたしやみゃー姉がいなくても大丈夫か?」

 

ちまり「うん。緊張するけど、ノアちゃんが誘ってくれてるから行きたい!」

 

ノア「チマリちゃん……ありがと♪いっぱいカワイイ服持ってるから着てみせてあげるね!」

 

ちまり「うん!楽しみ!」

 

ほら、チマリちゃんだって大丈夫なんだって事証明してあげるんだから!

 

 

 

 

 

 

 

 

アタシが家に帰ってチマリちゃんを迎える準備をしていると隣のヒナタちゃん家からヒナタちゃんのお母さんが反対する声聞こえて来た。

 

千鶴「ひなたっ!どうしてそんな約束したんだい。確かに一人でも泊まりに行けるようになれば安心だけど……ちまりにはまだ早いよ」

 

ひなた「でもちまりも行きたいって……」

 

千鶴「はぁ〜……ひなたの言い分もわかるし、ちまりが自分から行きたがってるなら素直に嬉しいよ。だけどまだ駄目、お母さんに反対されたって言って断ってきな」

 

ひなた「いやだっ!ちまりが行きたいって言ってるのにどうしてダメなんだ!」

 

千鶴「……とにかく、駄目なものは駄目だ」

 

ひなた「うぅぅぅ……」

 

千鶴「分かったらノアちゃんにちゃんと伝えてきな」

 

ヒナタちゃん……ごめんね。

確かにヒナタちゃんお母さんが言う通り会って間もないアタシのウチに泊まるのは反対されても仕方ない。

だけどアタシなら大丈夫だっていう自信があるから。

 

だから諦めない。

アタシはチマリちゃんのLANEにメッセージを送った。

 

『ミャーさんとヒナタちゃんのお母さんに見つからない様にウチに来て。インターホンは鳴らさないでLANEで教えて』

 

そして続けてアタシはヒナタちゃんにメッセージを送る。

 

『ヒナタちゃんは拗ねた振りをして部屋に戻った後、チマリちゃんの服に着替えてチマリちゃんの振りをしてくれる?』

 

ヒナタちゃんにメッセージを送ったすぐ後にチマリちゃんからメッセージが届いた。

 

『分かった!頑張るね♪』

 

ふふ、やっぱりチマリちゃんは楽しみなんだよね。良かった。

その後ヒナタちゃんからもメッセージが返ってきた。

 

『流石だノア!わたしに任せとけ!』

 

これで大丈夫、後はママにちゃんとチマリちゃんが泊まることを伝えてチマリちゃんを迎えるだけ!

ヒナタちゃんもチマリちゃんもサイキョーのアタシが救ってあげるんだから!

 

 

 

 

 

 

少ししてチマリちゃんからのLANEが届いた。

 

『お待たせ、ノアちゃん』

 

来た!

 

アタシは直ぐに階段を駆け下りてチマリちゃんを迎え入れる。

 

ノア「早く入ってチマリちゃん」

 

ちまり「お、お邪魔します」

 

おずおずと玄関を上がるチマリちゃんの手を取って階段を上がっていく。

その時のチマリちゃんの手が僅かに震えてる事には気付いていたけどアタシは根拠の無い自信を持って大丈夫だと思ってた。

 

アタシがチマリちゃんを連れて二階に上がっていくにつれてチマリちゃんの手が汗ばんでいく。

ここに来てアタシはようやくとんでもない事をしているような不安におそわれ、チマリちゃんに様子を訊ねた。

 

ノア「チマリちゃん、ホントに大丈夫?無理してない?」

 

ちまり「う、うん……大丈夫だよ。お母さん達に内緒だからちょっと緊張してるのかも」

 

不安は残ってたもののチマリちゃん本人が大丈夫だって言うなら大丈夫だろうなんて、ミャーさんの話を聞いていたにも関わらずアタシはそんな無責任な事を考えてしまってた。

そして事件はアタシの部屋に着いた時に起きてしまった。

 

ノア「ここがアタシの部屋、とは言っても今は閉じてるだけでミャーさんの部屋から普段見えてるか……って、チマリちゃん?」

 

聞き直すもチマリちゃんからの返事は無い。

不安からチマリちゃんの方を向き直るとそこには顔を真っ青にしてうわ言のように何かを呟くチマリちゃんが。

 

ノア「チマリちゃんっ!大丈夫!?どうしたのチマリちゃん!」

 

ちまり「………………い」

 

ノア「チマリちゃん?ねぇ、チマリちゃんってば!」

 

ちまり「い、いやぁぁぁっ!ひっぐ……た、助けてっ!お母さん助けてぇ!!」

 

ノア「え……お、落ち着いてチマリちゃん!アタシだよ、ねぇ!?」

 

ちまり「いやぁ……!た……たす……ひっ……っはあ……かはっ……」

 

ノア「だ、大丈夫チマリちゃん!?ママっ!チマリちゃんがっ!」

 

どうしよう!チマリちゃんが苦しそうなのになにも出来ないなんて……そんな……アタシのせいだ、アタシがムリに連れてこなければ……。

 

ノア「ごめんなさい……ミャーさんっ……お願いっ……チマリちゃんを助けて……!」

 

その時、階段を駆け上がる音が響いた。

 

ノア「ママっ!?」

 

そう考えたのもつかの間、アタシの部屋に入って来たのはチマリちゃんの声を聞いて駆け付けてきたヒナタちゃんのお母さんだった。

 

千鶴「ちまりっ!」

 

ちまり「かはっ……お……かひゅ……」

 

ノア「ヒナタちゃんのお母さん……ごめん……なさい」

 

千鶴「謝ってる暇があったら早く救急車呼んで!私はちまりを一度家に連れて帰る!」

 

ノア「は、はい!」

 

アタシは急いで救急に連絡を取った。

ヒナタちゃんのお母さんがチマリちゃんを連れて帰った数分後、救急車がウチの前に止まった。

それに気付いたヒナタちゃんのお母さんは意識の無いチマリちゃんと救急車に乗って行ってしまった。

 

お願いします。アタシはどんなに怒られても良いから……チマリちゃんを助けて下さい!

 




弁明はしない!贖罪も求めない!
唯々ごめんなさいノアちゃん!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。