星野家の三女   作:星野家の概念的存在になりたい

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シリアスは続く……


チマリちゃんのむかし

アタシはサイテーだ。

チマリちゃんとヒナタちゃんを救ってみせるなんて息巻いてたくせに、結局ミャーさんが危惧していたことをアタシ自身がやってしまったんだから。

さいわいチマリちゃんとヒナタちゃんのお母さんは翌日無事に帰って来たのでアタシは少しだけ安心した。

今日は土曜日で学校も無いので謝りに行こうと考えていると先にママから声が掛かった。

 

エミリー「ノアちゃん、チズルが呼んでマス。チマリちゃんの事で話があるからノアちゃんも来てほしいそうデス」

 

ノア「うん、行くよ。ヒナタちゃんのお母さんやミャーさんやヒナタちゃん……そしてチマリちゃんにも謝らなきゃだもん」

 

あんなことして、ゆるしてもらえるとは思わないけど……。

 

エミリー「ワタシも一緒に怒られてあげマスから安心して下サーイ」

 

ノア「うん……ありがとうママ」

 

アタシは手早く支度を済ませると直ぐにヒナタちゃん家へ向かった。

 

 

 

 

 

 

ヒナタちゃんのお母さんにリビングまで通されたアタシたちはミャーさんとヒナタちゃんのお母さんに向かい合う形で椅子に座った。

 

千鶴「ちまりは今二階でひなたと遊んでるから心配しなくていいよ」

 

「良かった……」

 

千鶴「さて、話に入る前にこれだけは言わせてくれ。知り合って間もないちまりの事を本気で心配してくれてありがとうね」

 

ノア「へっ……?いえ……でも、アタシは……」

 

怒られると思っていたアタシは一瞬何を言われたのか理解が出来なかった。

だってアタシが余計な事をしたせいでチマリちゃんにツラい思いをさせちゃったのに……お礼を言われる資格なんてないのだから。

 

千鶴「もちろん今回の件はアタシや姫坂さんがいるタイミングだったから事なきを得ただけで本当に危ない所だったんだ」

 

ノア「は……い……ごめんなさい」

 

やっぱりヒナタちゃんのお母さんがすっごく怒ってる……ミャーさんは俯いてて顔が見えないから分からないけど、きっと怒ってる……よね。

 

エミリー「チズル、ノアちゃんも悪気があったワケじゃないのデス」

 

千鶴「姫坂さん、いくら善意からの行動だとしても大事な娘が危ないところだったんだ。悪いけどそこんところは理解してほしい」

 

エミリー「……ソーリー、チズルの言う通りデスね」

 

千鶴「分かってくれると助かる。まぁそれはそれとして……ごめんねノアちゃん、今回はとても怖い思いをさせちゃったね」

 

ノア「え?アタシはその……」

 

千鶴「我慢しなくていいよ。私が言うのもおかしいだろうがちまりも含めてウチの子達がもっとしっかりしていればノアちゃんにあんな思いをさせることは無かったのも事実だからね」

 

ノア「ち、違うのっ!アタシがみんなの忠告を聞かなかったから……」

 

千鶴「違わないよ、みやこも私もノアちゃんの気持ちを軽く捉えてたんだ。ノアちゃんたちが本気で心配してくれてたのにね。だから娘達の分も含めて謝らせてほしい。ノアちゃん、それに姫坂さんも本当にごめん」

 

そう言ってヒナタちゃんのお母さんは唐突に頭を下げた。

どうして……っ、アタシが悪いのに……なんでヒナタちゃんのお母さんが謝るの!?

 

アタシは慌てて頭を上げてもらおうとしたけど、ママがそれを手で制した。

 

エミリー「子供の責任は親が負うモノ、当然ですネ」

 

ノア「ママっ!?何言って━━」

 

エミリー「チズル、ミヤさん。この度は本当にゴメンナサイ。ワタシもミヤさんがノアちゃんに話した意味をもっと良く考えて止めるべきデシタ」

 

直後、ママも机に頭を押し付けるように下げてしまった。

アタシはどうしたらいいのかわからずあたふたしているとさっきまで俯いてたミャーさんが不意にクスリと笑った。

 

ノア「ミャーさん!?」

 

みやこ「ごめ、我慢出来なくて……ねぇノアちゃん、お互いに色々思う事はあると思うけど、こうやってお母さん達が責任を負ってくれた訳だしさ?今回の事はノアちゃんもあんまり思い詰めないで、これからもちまりやひなたと仲良くしてくれると嬉しいな」

 

千鶴「はぁ〜あ、あんたが言うと腹立たしいのはなんでだろうねぇ」

 

みやこ「酷くない!?収拾が付かなくなりそうだったから私が口出したのにぃ……」

 

千鶴「はは、すまんすまん。そういうわけだノアちゃん、確かに今回の事を忘れないでいて欲しいけどだからって責任を感じてほしい訳じゃないんだ。ノアちゃんの気持ちも考えずに話したこのバカも悪いんだしさ」

 

みやこ「じゃあそれもお母さんの責任って事?」

 

千鶴「あんたはもう大人なんだから自分で責任取りな」

 

みやこ「そんなぁ……」

 

ヒナタちゃんのお母さんもミャーさんも目の下にクマを作るほど心配で眠れなかった筈なのにそれでもアタシの事を気遣ってくれる。

アタシが二人が止めるのも無視して……チマリちゃんにムリをさせちゃったのに……。

 

ノア「ひっぐ……ごめ……ごめんな……さ……い……うっ……ひぐ……」

 

アタシはママに撫でられながらいっぱい泣いた。

泣いてる間もこんなアタシを二人は優しい目で見守ってくれていたのが嬉しくて申し訳なくて更に泣いた。

 

 

 

 

 

ノア「ありがとうミャーさん、ヒナタちゃんのお母さん」

 

いっぱい泣いてようやく気持ちが落ち着いてきたアタシは赤く腫れた目を擦りつつも二人にお礼を伝えた。

するとヒナタちゃんのお母さんはパイポを加えると、仕切り直すようにパンっと両手を叩いた。

 

千鶴「よしっ……みやこ、お茶とお菓子を頼むよ。こっからは少し長くなるからね」

 

みやこ「はぁい」

 

ミャーさんは少し気だるげに立ち上がるとキッチンへと入っていった。

そして直ぐに人数分の紅茶とクッキーを持って戻ってきた。

 

みやこ「はいどうぞ〜」

 

ノア「ありがとうミャーさん」

 

エミリー「サンキューミヤさん。ん〜!ミヤさんの作るクッキーとてもおいしーデース」

 

千鶴「この子を自慢出来る数少ない長所だからねぇ」

 

みやこ「お母さん一言多いよぉ」

 

千鶴「はは……さて、今日二人に来てもらった本題に入ろうか。ちまりの人見知りというか、今回の根本的な原因といった所か。みやこは辛いなら上にあがってていいぞ?」

 

みやこ「だ、大丈夫……ノアちゃんたちに半端に伝えた責任もあるからね」

 

千鶴「さっきはああ言ったけど、元々あんたに全部話さないように言ったのもちまりが泊まりに行くのを頭ごなしに反対したのも私なんだ。だからみやこも責任を感じる必要はないんだよ」

 

みやこ「うん、それでも……ちまりの事だからちゃんと向き合わないと」

 

千鶴「……わかった。ただし無理はするんじゃないよ」

 

みやこ「分かってる」

 

ノア「それで、根本的な原因って?」

 

千鶴「ああ、もう7年くらい前になるかね。あの頃は時折三人を連れて近くの公園に遊びに行っていたんだが、当時は三人とも元気でなぁ……あっちこっちと動き回るもんだから見守るのは大変でね。まだまだみやこも任せられるような歳じゃなかったし私がどうにか見てたんだが……」

 

ヒナタちゃんのお母さんは紅茶をひと啜りしてから深くため息をつくと、再び口を開いた。

 

千鶴「やっぱり一人で三人を見るのは無理があった……なんて言い訳にもならんけどね。ちまりが砂場で大人しくしていたもんだから私はつい油断してあの子から目を離してしまったんだ。時間にしてみれば数分にも満たないが、再び砂場に目をやった時にはちまりは何者かに連れ去られた後だったんだ」

 

ノア「それって、ゆう……かいっ!?」

 

エミリー「オォシット!ゆるせまセーン!」

 

千鶴「口が悪いぞ姫坂さん。まあ、幸いな事に泣きじゃくるちまりを犯人が自宅に連れ込む瞬間を見ていた近隣住民の通報で来てくれた女性警察官のおかげで事なきを得たが……正直な話当時は生きた心地がしなかったね」

 

みやこ「私のせいで……私がちゃんと二人を見れてれば……」

 

千鶴「何言ってんだい。当時はあんたもまだ小さかったし、そもそも子供を見るのは親の役目だ。あんたが責任を感じることじゃないんだよ」

 

みやこ「……うん」

 

そんな……チマリちゃんにそんな過去があったなんて。

ヒナタちゃんやミャーさんがいる時はそんな素振り全く見せなかったからアタシ、チマリちゃんの人見知りのことどこか軽く考えてた。

アタシはホントに勝手な事をして……ミャーさんの気持ちも知らないで酷いことを言っちゃってた。

 

ノア「ミャーさん、ごめんなさい……チマリちゃんのこと……何にも知らないくせに……ミャーさんをひどいこと言って……アタシ……」

 

みやこ「の、ノアちゃんの所為じゃないよ。ノアちゃんの気持ちも考えずにただ納得してもらおうと中途半端に話した私にも責任があるから……だから、泣かないで?」

 

ノア「ミャーさん……ホントに……ごめ……なさい……」

 

どうしよう、落ち着いた筈なのにまた涙が出てきちゃう。

 

千鶴「…………みやこ、ノアちゃん連れて部屋に戻ってな」

 

みやこ「ええと……うん、行こうかノアちゃん」

 

ノア「うん、チマリちゃんにも謝らなきゃ」

 

アタシはミャーさんに手を引かれ二人が待つ部屋へと向かって行った。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

千鶴「……さて、姫坂さんにはもう一つ伝えておかなきゃならんことがある」

 

エミリー「なんデスか?」

 

千鶴「結論から言えば今後一切ちまりを家にあげさせないでほしい。もちろん二人のことを私がどうこうする気はないし、そっちから何か条件があれば出来る限り飲もうと思う」

 

エミリー「ホワィ?ヒナタちゃんやミヤさんが一緒でもダメですか?」

 

千鶴「ああ駄目だ、少なくともちまりがもう少し成長するまではね」

 

エミリー「……理由を聞かせてくだサーイ」

 

千鶴「もちろん、ただその前に……これから話すことは他言無用で頼みたいんだが」

 

エミリー「内容によりますガ、いいデスよ」

 

千鶴「ああ、気を悪くしないで貰えるとありがたいんだが……さっき話した誘拐犯が当時ちまりを監禁してた場所ってのがね、姫坂さん家の二階のこっち側の部屋……つまり今で言うノアちゃんの部屋なんだ」

 

エミリー「リアリィ?それじゃあ……」

 

千鶴「ああ、今回に関して言えばそっちの要因が大きいと私は思ってる」

 

エミリー「それならむしろノアちゃんに伝えてあげた方が……」

 

千鶴「駄目だ、他の家なら大丈夫って保証もないし何よりこの事実はノアちゃんの負担にしかならない。姫坂さんだけには協力して欲しいから伝えたが、本来は誰も知る必要の無い事なんだよ」

 

エミリー「ソウデスか……解りました。そのかわり条件は二つありマス。一つはチズルも言ったようにお泊まりの件以外で二人の関係に口を出さないコト」

 

千鶴「そんなに念を押さなくてもちまりの大事な友達なんだ。無理に二人を引き離したりしないよ」

 

エミリー「オーケー、じゃあ二つ目、今日からワタシの事はエミリーって呼んでもらいマース!」

 

千鶴「はぁ?なんだそりゃ……」

 

エミリー「秘密を共有した仲なのに姫坂さんなんて呼び方じゃさみしいデース!」

 

千鶴「秘密を共有って……はぁ、わかった。じゃあこれからよろしく頼むよ、エミリー」

 

エミリー「んぐっ……!?よ、よろしくデース(不意打ちで笑いかけるのは反則ですネー)」

 

 

 

 




ママさん達のやり取りも好きです。
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