ガンダムビルドダイバーズ-progress-   作:トロさん

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待たせたなあ。トロさんだぜ。Twitterでガンプラやってるあのトロさんだ。
そんなトロさんが今回自分を主人公にした小説を書いていく。ある意味一大事件だ。

んまあそんなことはさておき、最終話まで完結させるつもりではあります。語彙力&文章力皆無なトロさんですがどうか少しでも楽しめていただけたらと思います。
Twitterで感想を呟いてくれると発狂しながら喜びます。


ではガンダム ビルドダイバーズ-progress- 第一話「進化の始まり」をどうぞお楽しみください。


本編
第一話 「進化の始まり」


「…っ!…なんで!」

 

赤く光るコックピット内部。目の前に映る仲間の機体。いや、”仲間だった“機体。

 

「だーかーら?報酬は減るし、足手まといにはなるし?邪魔なんだよお前。一回機体バラすからじっとしとけよ?w」

 

仲間だった者の1人が罵る。ビームサーベルの先端が向けられる。フィールド内には自分を含め5人の4対1。1人でどうにかできる状況じゃない。それより今は仲間と信じていた人から裏切られたショックの方が強い。信じていたのに。信じていたのにーーーー。

 

<<Do you want to retire the battle?>>

 

「…」

 

ーー所属していたフォースからは強制退出させられていた。そこそこの腕はあるつもりだった。仲間にも貢献できていると思っていた。恐らく自分のことを気に入らない者がありもしない噂を広めたんだろう。裏切られた、失望感、脱力感、全てがどうでも良かった。

 


 

「やああっと部活終わったー」

 

「おっすー!トロー。部活お疲れ。ところで明日暇?」

 

「いっぺんにしゃべるなやw明日は忙しい。」

 

「そっかー。GBN?だっけ」

 

「そそ。ばいびー」

 

放課後。下校の通学路に響く声。

入学したてのピチピチの高校1年生のトロ。ガンプラビルダー兼ファイターだ。

GBNとは、GUNPLA BATTLE NEXUS ONLINE、通称GBNと呼ばれる「ガンダム ビルドダイバーズ」で登場したガンプラバトルシステムだ。

それが約2年前に放送され、現実でも開発された。そして今こうして世界中に浸透し始めている訳だ。

 

GBNはガンプラとそれを読み込むダイバーギアを用いり、電脳仮想空間内(ディメンション)で、ガンプラを操縦し、様々なミッションをこなしたり、世界中のガンプラと戦えたりする。

GBNのプレイヤーはダイバーと呼ばれ、日に日にダイバーが増している。

 

ガンプラを趣味としている者にとっては夢のようなゲームだ。そんなゲームが完全再現され現実にある。とてもありがたいことだ。

 

「ただいまー」

 

「んー」

 

息子が珍しくただいまって言ってやったんだからもうちょっとまともな返事しろよ…と思いながら自分の部屋に行く。荷物を置き、机に置かれている、ダイバーギアと一体のガンプラと見る。

 

「艶消しいい感じになってるじゃん」

 

前日に艶消しをかけておいたガンプラをまじまじと見つめる。青と白を基調とし、頭部の大きなクリアパーツ、4本のアンテナ、見えないツインアイ、下半身にいくにつれてローブのように広がるパーツ。シンプルながらもどこか棘のあるそんな外見だ。

 

今日の時間の流れが遅かったのはこいつのせいで、こいつのおかげだ。授業の内容なんて覚えてないし、部活もまじめに出来なかった。

これからの勉強ついていけるかなと思いつつ手に取ってみる。

 

重い。いや、実際はプラスチックの塊だし、軽い。軽いが、重い。

 

「ここまで2年だからな…」

 

ガンダムフェーテ。それがこのガンプラに付けられた名前だ。

意味は進化。自分と共に成長し、進化する、そんな思いが込められているガンプラバトル専用のガンプラだ。

 

完成まで長い期間をかけたこのフェーテは歴史も長く、思い入れが深く、何より今までの技術余すところなく使っている。

誰がなんと言おうと自分にとって重いのだ。

 

 

「再設定しなきゃな。こっちのギア…じゃなくてこっち」

 

 

一枚のギアをどかし、もう一枚の方のギアに簡単な情報を書き込む。フェーテを読み込ませるのは明日。楽しみだ。あ、撮影もしなきゃ

 


 

ー翌日ー

 

「ーーとてもかっこよく仕上がってるかと…!っと。お。ちょうど着いた。」

 

午前9時。なかなかの晴天だ。

そんな日にチュイッターに書き込みつつ足を動かしていると着いた。いつもお世話になってる模型店だ。

 

店内に入れば模型店の空気とこの内装。いつ見てもテンションが上がる。

しかし、今日はガンプラを買いに来たわけではない。店員に一言言い、専用の部屋に入る。

ここにはGBNにログインし、プレイできる筐体がいくつかある。今日はいつもより空いている。見たところ2、3人しかいない。

 

「さ、新しいアカウントにしたし、始めよっか。」

 

ラッキーと思いつつGBNを始める。準備は簡単だ。角が切り落とされた三角のくぼみに、ダイバーギアをセットし、専用のヘッドセットをかぶる。そしてバイザーを前に下ろす。

 

/ ID data confirmed. /

/Please scan your Gumpla./

 

セットすると、ギアの液晶に光が灯り、文字が浮かび上がる。

その上にガンプラ、ガンダムフェーテを置く。

 

同時にスキャンが開始し、特殊な粒子がフェーテの表面を走り、定着する。特殊な粒子を纏ったフェーテはツインアイを発光させる。電飾などした覚えはない。もちろん現実世界で動かす技術は残念ながらない。

ヘッドセットのバイザーを介して実際のように見せている。ここまで本編そっくりだ。

 

 /Login data complete. /

/. [Dive ready?] /

 

「Are you ready?」

 

ヘッドセットのバイザーに文字が浮かび上がると同時に音声が鳴った。準備は完了。この高揚感。いつになっても最高だ。

 

「yes」

 

yesを選択した同時に意識が電脳仮想空間に移される。一瞬の出来事に少し戸惑うがすぐに慣れる。

ふと前を見ると、目の前に大きなゲートが現れる。ここをくぐればGBNの世界だ。

 


 

〜ロビー〜

 

巨大なドーム型の施設。たくさんのモニターが忙しなく動き、たくさんのダイバーが行き交っている。GBNの玄関とも言われる場所だけあってとても賑わっている。

行き交う人々は、本編で見た格好をしていたり、知らない格好をしていたりと、いずれにせよガンダムのような世界だ。

 

「…半年ぶりか。懐かしいな。」

 

ログインが完了し、エレベーターから降りたトロは周りを眺める。半年もあればもっと変わってるかと思えば、そうでもなかった。もちろん細かい部分はアップデートで変わっているみたいだったが。

 

周りを見渡し、適当な場所に座りこむ。このまますぐミッションを受けても良かったが、ログイン自体半年ぶりなのだ。

時間は十分にある。ゆっくりGBNを満喫しよう。

 

「お、あれ…」

 

ふと目に止まった大型モニター。そこには今戦闘が行われている様子を中継していた。

 

『ここで勝てたらっ…!』

 

ランク5のダイバー。まだ初心者のランク帯。

しかし、ランク15の相手に挑んでいる。左腕、バックパックが破損しており、武器もサーベルのみだ。

 

本人からしたら絶望的な状況だろう。

 

対して相手は少しは破損しながらも、充分動けるレベルだ。そんな相手に諦めず果敢に攻め続けている。

 

相当な度胸だ。

 

ただ、動きは本物。初期ステータスみたいなもんが高いのだろう。

 

「勝てるかこれ…?」

 

思わず口走る。いつもの自分ならランク15のダイバーを応援するだろう。実際今にも勝負が着きそうな状況だ。

 

でも、少なくとも今は違った。

 

きっとどこか心惹かれるものがあるのだろう。このダイバーについて知りたいと思った。

そんな訳で手元にメニューを表示させ、ランク5のダイバーの詳細情報を表示させた。

 

 

ダイバー名 ユウ  機体 アポロンガンダム

 

 

登録された情報を見ていくとアポロンガンダムの画像が表示された。

ケルディムやダブルオースカイをベースに改造されており、赤と白の主人公機のようなカラーが特徴だ。

特に印象的なのが頭部のメインカメラと胸部の青いクリアパーツ、そしてスタリッシュに見えてマッシブなスタイル。

 

いかにも格闘機のような感じだ。実際格闘メインなようで予想的中。

一通り見終えたのちにモニターに視線を戻す。最初は負けるんじゃないかと思っていた。

しかし状況は一変。アポロンガンダムの膝が相手を捉え、ビームの粒子がコックピットを貫いていた。

 

『…かっこいいでしょ…?』

 

勝った。ランクが上のダイバーに勝った。隠し武器だ。最後の最後まで温存し、切り札として使用したというのか。初心者らしからぬ思考に素直に驚く。

 

「ユウ…アポロンガンダム…覚えとくか。」

 

あんなに熱いバトルを見せられたんだ、いつか戦うことになるかもしれない。そう思いつつ隣のモニターに目をやる。

こちらにもバトルの中継が流れていた。

 

『リアクター出力プラス8%っと…行くよD3。一気に片付けちゃおう。』

 

モニターに映るパイロットは、20代くらいの姿をしたオレンジと銀色のパイロットスーツを着た濃い紫色のショートヘアの女性。

鋭い眼光を持った、ガンダム フレームをベースとした青い機体。

 

胸部の角ばったクリアパーツと上半身にほとんど装甲がなく、下半身に大きいブースターが装着されているのが特徴的だ。

どうやらティエレン部隊を相手に単機で戦闘しているらしい。

 

「速い…」

 

上半身の装甲がない恩恵なのか、出力を少し上げただけで速度が増していた。

反復横跳びのような動作をした後、近くのティエレンの首根っこを掴み、その鋭い眼光を発光させながら直進する。

掴んだティエレンを盾に、片方の手で掴んだブレードを武器に、残りのティエレンを秒で二つに切断していった。

 

『いっちょあがりっと』

 

まるで獣のような動きだ。不規則で掴めない。ランク11のダイバー。まあまあのランク帯。彼女の詳細情報を表示する。

 

ダイバー名 虹久 ろくろ  機体 D3[ソルバイト]

 

周囲の視線を集めており、ある程度の認知があるようだ。トロは全く知らなかった。半年もGBNから離れていたんだ、有名でも知らないのは当然だろう。

 

「この人も覚えとこ。…そろそろなんかのミッション受けるか」

 

そう言って立ち上がった時、声が向けられた。

「そこの旅人さん。君、初心者だよね?」

 

旅人と言われ、誰のことかと思ったが、トロはポンチョのようなものを着た姿をしている。旅人と言われても納得がいく。と同時に「初心者じゃないっ」と言おうとしたがやめた。

新しいアカウントにしたんだ。そりゃどこからどう見てもランク1の初心者だろう。

 

(無視してミッションカウンターに行こ)

 

そう思った時だ。

 

 

「良かったらうちのフォースに入らない?」

 

 

ぎくりと一瞬体が強張り、

 

「…いらない」

 

気づけば相手を睨みつけ、強い口調で話していた。

自分でもどうしてこんな態度を取ったかは分からない。過去に何かあった?

…思い出せない。あるはずの記憶が掴めない。

 

「あ、や、なんかごめんね?嫌ならいいんだ。」

 

行こうと言い、フォースのリーダーらしき人物とその仲間たちは去った。

はぁ…とため息を吐き、ミッションカウンターに行く。

たくさんのミッションがモニターに表示されている。その中から選択してミッションを受ける。

 

<diver mission>

NPD mission

 

という画面を表示させミッションを選ぶ。ランク1で受けられるミッションは少ない。とりあえず手頃な初心者向けのを選ぶ。

 

<NPDリーオーとの10体乱戦>

 

とりあえず目に入ったこのミッションを受ける。

NPDリーオーとは、新機動戦記ガンダムWに登場した汎用量産機リーオーをGBN用に調整、AIにて稼働する機体だ。

 

俗に言う、NPCみたいなものだ。

 

10体とは言えども初心者用のミッション。復帰のリハビリにはちょうどいいくらいだろう。

 

「このミッションでよろしいでしょうか?」

 

「ああ」

 

CAのような受付嬢が定型文で確認する。

とミッションを受注したと同時に、ミッション開始前の格納庫に移動された。

 

「やっぱり、下からの煽りもなかなかだな。」

 

出撃前、機体チェックに時には個人、またはフォースの専用格納庫に移動する。

 

ここでメンテナンスだったり、ステータスの調整ができると言うわけだ。ただ、現実世界と違うのが大きさ。普段は15〜18cmかそこらだが、GBNでは18mになっている。

 

ガンプラに乗り込み戦う、これがGBNの醍醐味でもある。

 

「うん。まあ初めての出撃だし、特になんもないわな。」

 

ランク1でフェーテも新しい。状態は良好だ。ステータスも汎用機なだけあってバランスが良い。

 

「じゃ、行きますか。」

 

手元に画面を表示させ乗り込む。

コックピット内部だ。目の前にはグリップと機体情報を表示させるモニター。そしてコックピット前面、側面には、頭部メイン、サブカメラからの外界を映し出す画面。

 

本編そのまんまだ。気持ちが高ぶる。いよいよ出撃だ。

 

格納庫が動きカタパルトデッキに移動する。

前方には光がある。ミッションフィールドへの入り口。

目を閉じ、ひとまず呼吸を整える。

 

「ふぅ…」

 

この高揚感。うずうずするこの感覚。思わずグリップをぐっと掴む。目を見開く。

 

「ガンダムフェーテ!トロ、出るっ…!」

 


 

ーフィールドー

 

多くの木が生い茂り川が流れる自然豊かな森林のフィールド。電脳仮想空間といえども現実と錯覚するような景色だ。

鳥などの様々な動物も再現されている。地面は空中からなのでどうなっているか分からないがとにかく綺麗だ。

 

「久しぶりすぎて操作が…」

 

バトルフィールドに移動するまでの間に操作を思い出す。上昇、下降、旋回、横移動。

基本的な操作は覚えているが、応用だったり、細かい動きがおぼつかない。感覚がうまく掴めない。

 

「そのうち思い出すか」

 

そうこうしているうちにディスプレイに映し出されたマップに示されたフィールドまで辿りつく。フィールド内に入るとミッション開始だ。

 

「やりますか!」

 

そう意気込み、地上に降りながら、フィールド内に入る。

 

<<misstion stat>>

 

モニターに敵を知らせる熱源体が3つ。恐らくウェーブ制で来るのだろう。空に敵影なし。周りは森林に囲まれ視界が遮られる。

熱源体は9時、11時、12時の方向に一機ずつ。

 

「9時方向から行くか」

 

バックパック、脚のブースターを吹かせ、機体に振り回されないよう注意しながら近く。少しの加速でも充分な速さが出た。すぐに目的の機体を発見する。

 

「目標確認っと」

 

リーオーもこちらに気づいたようで、105mmライフルの銃口をこちらに合わせている。

 

「こっちの方が速いらしいな」

 

ライフルの銃口から弾丸が発射される前に、懐に入り込み、右手で頭部を掴む。と同時に左手で拳を作り、左手脇腹に向けてぶつける。

ナックルガード内に搭載されたバルカンを数発撃ち込む。

少しずつ感覚を思い出す。

 

「一匹終わり」

 

あと2機。こちらに近い位置に配置しているので外側から11時方向の敵に回り込む。森林フィールドが故に奇襲が容易だ。地形を利用するのも戦略の一つだ。

 

「こっちだ」

 

敵は開けたところにいた。

とりあえず手前の一機にバルカンを打ち込む。装甲を撫でるだけで大きな損傷は出てなかったが、こちらに向けて撃ってくる。

撃ってくるがなりふり構わず回避しながら接近する。

 

「弾幕薄いよってな」

 

懐には潜らず、敵をぎりぎり越えるくらいのジャンプをし、宙返りをする。その瞬間にサイドアーマーに接続したままのサーベルを展開させる。

頭の上から垂直に2等分にする。

 

「あと一匹」

 

着地すると同時にもう一機の方へ加速する。今度はサイドアーマーからビームサーベルを取り出し、コックピットに向けて刺す。敵は制御部分を失い、爆散する。もちろん刺した後は離れる。

 

「ファーストフェイズ完了、セカンドフェイズに移行する」

 

今度は空に3機の熱源反応。飛行ユニットを背負った仕様のリーオーだ。敵は既にこちらに気づいた様子で、こちらに向けてライフルを撃っている。

 

「さすがに上からは…っとちょうどいいのが」

 

容赦なく降り注ぐ弾丸の雨を避けながら、先程倒したリーオーのライフルを回収する。弾の数は充分。空の敵をバルカンで牽制しながらにブースターを吹かせ空中の敵へめがけ、飛翔する。

 

「お揃いのライフルだなっ…?」

 

頭部目掛けて撃つ。

何発か外したあと見事命中。一機は地面に落ちる。

続けてサーベルを取り出し、一機を切り裂く。もう一機は後方に今なお自分に向かって撃ち続けている。

 

「近接くらい覚えたらどうだ」

 

後ろに宙返りしながら敵の背後に回り、ほとんど距離を開けずライフルを撃つ。

6機目撃破。

そのままゆっくり地上へと降りる。だいぶ感覚を思い出してきた。やっぱり無意識に思い出してくるものだ。

 

「さ、次で最後か」

 

<<caution>>

 

「…っ!?」

 

黄色のビームが目の前を、周囲の木を焼き尽くす。辛うじて避けられたが先程までとは何か違う。モニターに目を移す。

 

「熱源体3、高熱原体1…?」

 

上空を見上げるとリーオーと、灰色の同じ色をしたトールギスの姿があった。

リーオーは既にビームサーベルを取り出しこちらに加速していた。

 

「聞いてねぇぞ…」

 

先程の戦闘データから学んだのか、敵も近接戦闘で挑んできた。

さすがに焦る。

 

「落ち着けって!」

 

森の方に下がりながらライフルを撃つ。頭部ヒットで1機撃破。残り2機はフェーテを追いかけながら地面の上を飛んでいる。

フェーテはそのまま後ろに振り向き全力で加速する。敵も必死に追う。

 

「?」

 

開けた場所に出る。敵は目標を探し出せず周りを見渡し混乱している。

 

「こっちだ!」

 

直進したように見せたフェーテが突如現れる。右手のライフル、左手のバルカンを撃ち敵を同時に撃破する。リーオーを撃破。残りはトールギスのみだ。

 

「また…!」

 

安心したのも束の間、上空からビームが放たれる。これもぎりぎりで避けられた。少し前に出ていたらやられていただろう。

 

「まあでも後はお前だけだな」

 

上空のトールギスまで加速、上昇する。敵もこれを予測していたように粒子をチャージし、粒子を放出しようとする。フェーテもライフルを向け、トリガーを握る。

 

まずはそのでっかいドーバーガンを…

 

「っ…!?弾が…!?」

 

ライフルから放たれるはずの弾丸が空を放つ。チャージを完了させた敵のビームが放たれる。

 

「くっ…!」

 

とっさにライフルをビームに向けて投げ捨て、被弾を抑えようとしたが反応が遅く、右腕関節から下が爆発に巻き込まれる。

推進力を失ったフェーテは地面へと落ちていく。

 

「くっそ…!」

 

負けじと地上に落ちながら、ビームサーベルを取り出し敵のドーバーガンに向かって投げる。

 

「当たったッ!」

 

偶然だろうが、ドーバーガンに命中。無力化に成功する。

そしてなんとか着地し、敵の様子を伺う。敵は既にビームサーベルを構え、こちらに凄まじい速さで加速している。

 

「速いっ…!」

 

左手でビームサーベルを取り出しながら間一髪攻撃を避け、そのまま数十m下がる。

加速で後ろに倒れないよう踏ん張り、構える。

それを認識したのか、敵もサーベルを構える。

 

「AIのくせして…」

 

1対1。次の一手で決まる、そんな緊迫した雰囲気が両者を包んでいる。ここまできて失敗に終わりたくない。

 

「決めてやるよ…!」

 

フェーテが加速を始める。同じく敵も加速する。

ビームの粒子と粒子がぶつかり合い、鍔迫り合いが起きる。一歩も退けない。

 

「っ!」

 

しかし敵の加速の方が上で押し返されそうになる。このままだとやられる…!

 

「フェーテはなぁあ!!」

 

サーベルを受け流しながら、機体を反転させる。敵のビームが左肩の先端を焼き尽くす。

が、構わず相手の懐に入り込み首に蹴りを入れる。敵の装甲に足が食い込む。

 

「進化する…機体だぞ」

 

敵は沈黙した。

首から胴体にかけて斜めにビームの刃が刺さっていた。隠し武器だ。足首の裏にサーベルの付け根を仕込んでいる。それを敵の機体出力を逆手に取り、最後の切り札として使った。

やった…そう思った瞬間、敵の残骸が爆散し、爆発に巻き込まれる。

 

「…機体状態チェック」

 

機体の情報を表示させる。右腕関節から下、左肩、所々の細かい部分が被弾していた。大破するよりは立ててるだけマシだろう。

 

「んまあ…久しぶりだしこんなもんでしょ」

 

久しぶりでも感覚を取り戻し、想定外だったがトールギスを倒せた。達成感と満足感に浸る。ほんとよく動けた。あとはロビーに戻るだけだ。ロビーに…

 

 

…え

 

 

…お?

 

 

 

「…まだ?」

 

普段なら<<misstion complete>>という表示があった後、自動的にロビーに帰還するはずだ。

 

「アプデで変わったか?」

 

様々な可能性を考える。ーいやいやそんなわけない。マップには出口らしきゲートがない。…となるとバグか?どちらにせよ、今の所戻る手段がない。

 

「うーんリタイア案件か?」

 

自分で言うのもなんだが結構うまいこと立ち回れた。それをゲーム上でなかったことにするのはもったいない。少し考え込む。

 

「はあああ…リタイアにしとくしかないかな…?」

 

<<caution>>

 

「え?なにな…ぐあっ!?」

 

突然、右面に表示が出た瞬間、激しい衝撃と共に何かとぶつかった。急な出来事に戸惑う。

 

「なになに!?って右肩持ってかれてる…?」

 

気がつくと右肩だけ残っていた場所に何も無かった。何かで切断されたように溶けた跡が残っている。乱入者…?いやそんなわけない。ソロ用、ましてや初心者用のミッションだ。じゃあなんなんだ一体…?

 

「!?」

 

目を見開く。そこには“それ”がいた。青と白を基調とし、頭部の大きなクリアパーツ、4本のアンテナ、見えないツインアイ、下半身にいくにつれてローブのように広がるパーツ。シンプルながらもどこか棘のあるそんな外見。

 

ただそれからは希望のような、前を見るような、そんな意思が感じられない。同じ見た目をしているのに同じではない。

 

そんな違和感がトロを襲う。フェーテじゃない何か…

 

(戦うか…?)

 

固唾を飲む。正直こんな対応をとるのは間違っていると思う。

仮にプログラムで構成された分身体だとか、バグだとかそんなんだとしても普通はそんなことしない。

 

ただこの状況はそんなもんじゃない。

 

心のどこかに違和感がある。戦うとして、こちらは右半身がほとんどやられている。対して“それ”はミッション前の姿でまっすぐこちらを見ている。

まるで今のお前にはないものを持っている、お前は勝てない。と圧をかけているようだ。”それ“は姿こそ同じだが、能力は未知数だ。

 

「一か八か…!」

 

未知数の”それ“に向かって加速し、ビームサーベルを取り出し、サーベルを振るう。

 

「え?」

 

切り裂いたかのように感じたが切り裂いた空間には何もない。

 

「は?」

 

その瞬間背部から頭部を掴まれ宙に浮く。何が起きているのか全く分からなかった。

 

『……£€// ※々&[,,,,,,〒       …$&

jsk 々※※]$』  

   [々』.

 

強制的に通信チャンネルが開かれる。この世に存在しない、雑音のような、心を内から壊すような、不快な音声。

 

「なんて言って…」

 

“それ”がフェーテの頭部を握り潰す。

 


〜ロビー〜

 

………………危なかった。

頭部が握り潰されるその直前、ミッションクリアの表示が現れロビーに帰還できた。報酬もきちんと受け取れた。

最後のウェーブでトールギスが現れたのは、低確率で出現するようになっているらしい。

 

バグなどではなかった。

 

「じゃあ…あれはなんだったんだ…?」

 

GBNのミッションに関する資料を閲覧しているが自分の機体をコピーし、なおかつ自分を攻撃するのは特定のミッションだけだ。普通のミッションでは現れないはずだ。

 

「でも起きてんだよな!おっかしいだろやっぱバグか?…もう疲れた。今日はもうやめよ」

 

久しぶりのGBN &低確率出現&バグを1日、一つのミッションで体験したんだ。

画面を表示させ、ログアウトを押す。

 


 

気がつけば16時過ぎになっていた。店員に礼を言い、摸型店から出る。

過去に何か嫌なことがあったように思うが思い出せない。

 

「まあ楽しかったしまた今度だな」

 

フェーテをケースにしまい帰路に着く。スマホを取り出しチュイッターを開く。歩きスマホはダメだがついやってしまう。依存症かななど思うがこればかりは仕方がない、画面を見る。

 

「うお…?めっちゃ反応来てる」

今は相棒、フェーテを動かせたことがとても嬉しかった。認知され始めたことも。

 

「あ、ライフルとか武器とか作ってないな」

 

フェーテが完成してもまだ楽しめることはたくさんある。これからが楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

『€&^ >$ナ………〆[[<…n…』

 

 

 

 

 

 

第一話 「進化の始まり」

 

 

 




⭐︎特別出演者⭐︎
アポロンガンダム 制作者様:@nushi_shinymas
@superpurintwit1
ソルバイト[D3] 制作者様 :@11h30m26s_Rabo
ご協力ありがとうございます!

トロさん:@Torosan__1063
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