ガンダムビルドダイバーズ-progress-   作:トロさん

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第四話からはや半年過ぎた8月。
皆様いかがお過ごしでしょうか。環境は変わりましたが私は元気です。

っっじゃねぇんだよ!!!投稿遅くなりすみませんでした!!!!
言い訳は数え切れないほど用意してはあるですが、まぁその試験とかあったんす!!ごめんね!!!
ッスゥーーーーーまあ安定のトロさんです。夏休みなので書き上げられましたやったね!
というわけでスランプに陥りながらもなんとか書き上げました、第五話。
お楽しみください!!!


第五話 「影の嫉妬」

地獄──そう思わせるほどの異様な戦場だった。

 

元は一つの機体として構成されていた部位があちらこちらにに散らばっている。

 

その中心には死神にも似た機体が、無惨に散った敵を未だに解体し続ける。

 

 

「クッソがァッッ…!!」

 

 

愛機が憎しみにも似た当て付けの感情で壊される。否、それは殺されるに等しい行為。

当人にとっては地獄そのものだろう。

 

 

『フォース焔空の勝利……です…!』

 

 

「アッハッハハハ!!!」

 

地獄に響き渡る声

 

悦。喜び。

相手を破壊し続けることでの満たされる感情。

 

 

「どこで間違えたんだろうね…私たち…」

 

 

「さぁ…」

 

憎しみと、喜び。

状況が反転すれば、正常にも異常にもなれる。

それも人の感情の一つ───。

 


 

 

「あーどうするか」

 

 

机の上に立つ青い太刀を持ったガンプラ、ガンダムフェーテ。

その横にはサバーニャのライフルが置かれている。

 

 

「接近して被弾多くなるなら射撃積んだ方がいいよな」

 

 

前に言われた犠牲にするような戦い方。被弾前提での動きをしているのは事実なので対策をしようというわけだ。

 

 

「これでいくか」

 

 

ハンドパーツを外し、穴にサバーニャのライフルの持ち手を差し込んでいく。

いつもの太刀は専用のアタッチメントをつけて背部に斜めになるようマウントさせる。

 

 

「よし」

 

 

じっくりと見つめる。

斜めに携えた太刀に、2丁のビームライフル。

ふと、各所にある青いクリアパーツ部分に目が行く。あの炎を発生する場所だ。

 

 

「プログレス、だったか…」

 

 

progress。進歩、進化そんな意味だ。

あのバトルで何故か発生した特殊なシステム。

あれ以来発動させようとしてみたものの一度も発動できていない。

そもそも組み込んだ覚えの無いシステム。本人にも分からない。

 

何がきっかけとなって、何がそれを動かしたのか。

 

 

 

「出力上げても炎は出ない…環境とかもあるのか?」

 

 

分からない。

 

分からない。

 

 

「出力上げに頼らない戦い方しないとな」

 

 

今言えることはこれだけ。被弾を少しでも減らし、継戦能力を少しでも上げる。

 

フォース戦は明日。

 

 

「寝るか」

 

部屋の灯りを消し、暗闇の中で布団に入る。

 

これで一歩でも──。

 


 

机の上に点在するパーツ達。

ミキシングする者にとって自然に起きる現象。

色とりどりで鮮やかな机だ。

 

そのパーツの中心に囲まれるように立つレボルシオンガンダム。

 

「シールドを別のに変えたいなあ…」

 

基本的な立ち回りは近接ではあるが、無闇に突っ込むのではなくヒットアンドアウェイを繰り広げたい。

そういう考えからシールドは外せないものである。

 

「良いのは…」

 

とりあえずは散らばっているパーツから選んでみる。

 

ちょうどよく、取り回しがしやすそうなシールドっぽいのは…

 

「これだ!!」

 

パーツの山から手に取ったのはナラティブガンダムのシールド。

何のためだったか、クリアパーツ類が取り外してあるがひとまずは取り付けてみる。

 

「ちょうど良いじゃん」

 

新たな盾を構えたレボルシオンを見やる。

以前のシールドよりは厚みが出て耐久性にも優れそうだ。

 

「明日はこれでいこう!あー…でももうちょっとな──」

 

自分が在るべき姿にたどり着くには──

 

≪hr≫

 

部屋に振動と共に響く重低音。机の上に置いておいたスマホが主を求めている。

 

 

「ユウなっとるぞー」

 

 

「あい?」

 

 

取りに行こうと立ち上がった。

ところで、主を呼ぶ音がピタリと止む。

 

 

「あ、切れた」

 

 

「なんやねん」

 

 

通知を見てみる。非通知。

もう何回目だ。ここ最近何の嫌がらせか2日に1回は来る。

 

 

「ラブコール?」

 

 

「うっせ」

 

 

こいつは俺の兄貴、ヒロだ。

俺にガンプラを勧めた張本人。しかしその本人は最近、ガンプラを触っていない。

 

っと、それはそうと明日はフォース戦2回戦目だ。

特に追加する武装はないが調整くらいはしておこう。

 

 

「射撃武器でも持っていこうか」

 

 

「使えるん?」

 

 

「そんなに」

 

 

一回は使ったことがあるが慣れなさすぎてやめた。ただ、その時は始めたての頃の話だ。確実に操作に慣れた今なら少しは扱えるんじゃないか、という期待があった。

 

机に置いてあったGNソードⅡブラスターを手に取る。この銃には下部にGNソードの素材で作られた刃がある。

これならいざとなったらこの刃もあるし大丈夫だろう。そういう考えだ。

 

 

「いやでけぇ」

 

 

巨大な武器ではあるが故に扱いが大変そうだ。

まぁ、いざとなったら戦闘中に捨てればいいし、いっか。

 

 

「うっは」

 

 

このアポロンでご飯3杯は余裕。

銃を持つアポロンガンダム。また新たな一面が垣間見えた。

 

「なー時間大丈夫なん?」

 

アポロンに見惚れているところでヒロが時間を知らせてくれる。

 

「うわやっべ!行ってくる!」

 

「いってらー」

 

急いでアポロンをケースに仕舞い込み、外に出る。

 

1人残されたヒロ。

 

「俺もガンプラしようかなー」

 

 

 

空は曇天。今にも雨が降ってきそうな不安定な空だ。一刻も早くGBNのあるゲームセンターへ行かなければ…。

 

「信号めぇ…」

 

急いでる時に限って信号は人の横断を止める。

 

「あっちから行ったほうが早いか?いや、ってあれ…?」

 

車の間を縫って見知った姿が見える。

横断歩道の奥に見えた見覚えのある姿。車の往来で途切れ途切れでしか見えないが、おそらく彼だ。

 

「あいつ...久々に見たな…」

 

どこに行くか目で追っていると信号が青に変わる。

 

「あっ急げっ!!」

 

ケースを丁寧に持ちながらも先を急ぐ。

 


 

 

「──ては第二試合、フォースF.A.L.

vsフォース焔空」

 

試合当日。

 

トロは次の試合を告げるアナウンスを適当に聞き流しながらフォース用の格納庫へと向かう。

そこには既にログインを済ませた少年が1人──タクトがいた。

 

「ユウは?」

 

「まだだよー今日は遅いね──

 

「おあッ!!セーフ!!」

 

1人遅れてきたユウ。

 

「いやーちょっと道草しててな」

 

ははっと頭を掻く仕草をしながら笑うユウ。

少し様子がいつもと違う気がする。

 

「はいはい。行くぞ」

 

「あれ?みんないつもと装備違くない?」

 

タクトにそう言われ、全員が機体を見比べる。

 

フェーテは2丁ライフル。

アポロンは巨大なGNソードIIブラスター。

レボルシオンは新たなシールド。

と、それぞれ新たな装備を身に付けている。

 

「ユウが射撃かー珍しいね」

 

「まあな。無理だったら切りに行くけどな」

 

『各フォース準備をお願いします』

 

「いくか」

 

対戦相手はフォース焔空。

ヨネが狩るガンダムエンビディアに、

コウが駆るダブルオーガンダムリペア、

夜空が操るガンダムエスペランサ。

 

ほぼ無傷で一回戦を勝ち抜いたらしいフォースだ。気は抜けない。

 

3機がカタパルトに着く。

それぞれが新たな装備を携えて。

 

「ガンダムフェーテ」

「アポロンガンダム!」

「レボルシオンガンダム!!」

 

 

「出る」

「行きます!」

「出ます!」

 

火花を散らしながら宇宙へと向かう。

 


 

『field space』

 

恒星によって星々に光を灯す無限の世界。

 

『battle star──

 

無機質なアナウンスを遮るように、黒い影が接近。

 

「なんっ──」

 

3機並行していたうちの一機──アポロンが黒い影と共にデブリへと打ち付けられる。

 

「ユウ!?」

 

「来るぞ!」

 

アポロンガンダムへと意識を向けようとするが、相手フォースの残り2人がそれを妨げる。

 

「なんだよッ…!お前ッ…!」

 

 

アポロンガンダムは相手の鎌のような武器を、の刃で受け止める。

 

『久しぶりだなぁ…ユウ…』

 

「はぁッ!?誰だ──

 

低く唸るような声で名前を呼ばれ、ぞっとしたものを感じる。

 

しかし声に聞き覚えがある。

 

「ッ!」

 

鎌を払い除け、バインダーを点火し遠ざかる。

 

恐らくロードアストレイダブルリベイクがベースだろうか。

黒一色に赤、白がまさに死神を連想させる機体、ガンダムエンビディア。

 

「お前…まさか…」

 

聞き覚えのある声、ここに来るまでに見えた見覚えのある姿。

通信回線をオープンから専用回線へと切り替える。

 

「…マキか」

 

『壊す』

 

接近を試みるエンビディアに対し、GNソードIIブラスターを前方に構え、トリガーを引く。

 

高出力のビームが宇宙を穿つが、エンビディアには通用しない。

 

「やっぱりッ…」

 

あっさりと回避され、接近を許してしまう。

急速接近してきたエンビディアの鎌の遠心力を用いた攻撃。

 

「いいさ。こいつにはコレがあるッ!!」

 

なんとか刃部分で防ぐが、対応が一歩遅れバランスが崩れる。

 

体勢が崩れたのを察知したエンビディアは

すぐさま次の行動へと移すが、アポロンのバルカンによって牽制させる。

 

「チャージ25秒……機体との相性が悪いかッ…!」

 

GNドライヴを載せた機体が操ることによって真価を発揮する武装。いくらOO系のパーツを使っていようが、GNドライヴなしのアポロンでは本来の力は引き出せない。

 

そんなアポロンを他所に猛攻するエンビディア。

受け流すだけで精一杯だ。

 

(地形を利用すれば…!!)

 

フィールドマップを確認する。

どうやら後方にデブリ帯があるようだ。

 

「デブリ帯があるならッ…!!」

 

鎌での攻撃を質量で弾き返し、後方───デブリ帯へと加速する。

 

『なんの真似だァァッ!!!』

 


 

『フォース焔空とフォースF.A.R.接戦の模様!!両フォースどちらが勝つか見所です!!!』

 

 

「さすがはGNドライヴ搭載機…。機動が滑らか…」

 

ダブルオーガンダムリペア。

右肩にはマント、左脚はフレームのみで頭部は右側が損傷している見た目だ。

武装はマントから覗くGNソードIIIに、大型の太刀。

携える太刀は刃こぼれしており、GBNをプレイするにあたって万全な状態とは言えない。

しかし、こういうロマンを求める者も少なからずはいる。彼はそういう類なのだろう。

 

そんな見た目に反して、滑らかな機動を見せる。

 

GNライフルビットIIで迎え撃つがあっさりと回避される。

 

『今度はこっちから行かせてもらう!』

 

太刀を手に大きく振りかぶる。

大型な分、予備動作が大きいそれを避けることは容易だ。

 

しかし敢えてライフルの刃で受け止める。 

 

「何が目的だ」

 

『目的…??勝つことだろ』

 

「違うな。明らかにあいつを潰しに来てる」

 

『知ったような口を!!』

 

ダブルオーリペアがGNソードIIIを展開し、ライフル向けて斬り下ろす。

 

ライフル先端がやられる。しかしこのライフルビットは元より分離が可能。誘爆をさせるため先端のバレルを分離させる。

 

──狙いは明らかにアポロンだ。そう思わせる戦い方。

エンビディアは執拗にアポロンを狙い、他はアポロンへ加勢させないよう行く手を塞いでいる。

 

「どう動くか」

 

一定の距離を保ちつつダブルオーリペアと交戦する。

 

接近されては後退し、GNソードIIIから放たれるビームは避け、と一定の間隔を保ちながら立ち回る。

 

「フレームだな」

 

先程と打って変わりスラスターを背に接近する。

右手にあるライフルビットの刃部分をダブルオーリペアへと押し付ける。

その攻撃は難なく受け止められる。もちろんこれは想定内。むしろこれを狙っていた。

 

「狙いはこっちだ」

 

左のライフルビットをダブルオーリペアのフレーム剥き出しの左脚へと引き金を引く。

 

『なっ!?!?』

 

ビームの雨に耐えきれず左脚は光を帯び暴発する。同時に緑の粒子が辺りに散る。

潔く接近戦を仕掛けられると思っていたのか驚きの声を上げるコウ。

 

予想通りフレームの方が装甲がない分攻撃が通りやすい。

 

「ずるいけどしょうがないな」

 

『やられっぱなしになるかよ!!!』

 

「な…!」

 

爆発に怯んだダブルオーリペアが接近し、マントから覗くGNソードIIIにより、右手のライフルビットが切断される。

 

すぐさま応戦するがマントを目の前で捨てられ、視界が遮られる。

 

「くっそ…」

 

機体に絡まったマントを払う。

 

そこには紅く染まったダブルオーリペアが眼前に迫っていた。

 


 

「そんな攻撃効かないよ!!!」

 

『案外できる子みたいね!!』

 

衝突しては距離を離し衝突、無限の軌道を描きながら接近戦が繰り広げられる。

 

レボルシオンガンダムに対するは、エスペランサガンダム。

 

ガンダムジェミナスの頭部にストライクフリーダムの胸部、クアンタの肩、ゴッドガンダムの腕、バルバトスルプスレクスの拳、AGE-3の脚部と分かりやすいパーツで構成させているが、全体で見ると違和感なくヒロイックな鋭い見た目の機体だ。

ブルーにホワイト、イエローで主人公機を思わせるカラーリング。

 

武装は恐らくアロンダイトにレクスネイル、ストライクフリーダムから受け継いだ胸部のバルカンと腹部のカリドゥス複相ビーム砲か。

 

再度接近し、今度こそ深い斬撃をお見舞いする───はずだった。

 

『捕まえた!!』

 

「なんっ!!??」

 

自慢の太刀がアロンダイトと共に手で受け止められている。

 

エスペランサはすかさず、脛の横に装備されたスラスターを点火。レボルシオン向けて蹴り上げる。

 

レボルシオンも負けじとシールドで衝撃を受け流す。しかし、機体自体は蹴りを入れられた方向へと退けられる。

 

『喰らえっ!!!』

 

「くっ!!」

 

間髪入れずにカリドゥス複相ビーム砲が放たれる。

 

新調したシールドのおかげか、構えたシールドで致命傷は避けられた。が、攻撃されるばかりで手が出ていない。

 

「それでも!!進まないと!!」

 

 

背部のバインダーのスラスターを両基とも点火、接近を試みる。先ほどと同じような軌道だ。

 

『そう易々と同じ攻め方で!!』

 

アロンダイトを構え、直進してくるレボルシオンを迎え討つ。

このままその首を───

 

『何!?』

 

アロンダイトの間合いに迫った刹那。

エスペランサの左腕の関節から手にかけてが宙に浮いていた。

そして爆散。宇宙の藻屑となる。

 

『右!?』

 

敵機体の接近を知らせるアラートが鳴る。

アロンダイトを右方向へ突き出す。

アロンダイトと太刀の鍔迫り合いが起きる。

 

「やっぱ!反応できちゃうよね!」

 

『何をしたの!!』

 

「簡単なコントロールだよ!!」

 

『な…くっ!!?』

 

アロンダイトの軌道を逸らされ、蹴りを入れられる。

 

『コントロール…バックパックね…』

 

「ご名答♪」

 

アロンダイトの間合いに入る刹那、背部のスラスターを全開で横に逸らした。直後、必然的に迫ってくるエスペランサに対して斬撃を入れたというわけだ。

 

先程の蹴りもそれを応用した、機体のマニューバ操作だ。

 

「早く決めちゃおうよ!勝負!」

 

『そう簡単に行くと思わないで…!!!』

 

レボルシオンが盾を前方に構え急速接近する。

それに合わせ、胸部のバルカンを連射する。

 

「そんな攻撃で!!」

 

弾を左手に構えた盾で全て防ぎながら、さらに加速する。

───これが仇となった。

 

『盾構えてちゃ前なんて見えないでしょう!!』

 

「やばっ!?」

 

眼前に迫る、突き出されたアロンダイト。

カメラアイが潰されるのを避けるため、首を全力で逸らす。

それでも攻撃は避けきれず、アンテナと共に右のバインダースラスターが根本でやられる。

 

『お得意のバックパックさえ潰しちゃえばね!!』

 

爆発したスラスターの爆炎をかき分け、更なる追撃を入れようとレボルシオンに迫る。

振り上げられたアロンダイト。

 

スラスターが片方やられたせいで、姿勢制御が不安定だ。

なら…

 

「バランスを少しでも均等にする!!!」

 

盾を思い切りエスペランサへと投げる。

剣を振り下げようとする寸前で避けれないと判断した夜空は、そのまま盾を一刀両断する。

 

どっちみち耐久が限界だったようだ。

 

しかし盾を切るために生まれた隙、これを逃さないわけにはいかない。

 

「たっ!!」

 

レボルシオンが斬撃を加える。

反応に遅れたエスペランサの胸部に斬撃が入る。

運良くカリドゥス複相ビーム砲が使えないようにできた。

 

偶然にしろ、武装を一つ減らせたのは大きいアドバンテージだ。

恐らくは優位な立ち回りができている。

 

───勝てる!!

 

『勝てるとか思ってない?』

 

「!?」

 

『私はね…こういうピンチがっ──!!』

 

更なる攻撃を加えようとしたレボルシオンの太刀をレクスネイルで捕まれ、そのまま前に押し出されると腕から桃色の粒子が現れる。

 

「くぁっ!?」

 

突然の出来事に成す術もなく、頭部の右側を溶かされる。

 

『大好物なのっ!!』

 

AGE-3のガントレットのサーベルをそのままにさらに頭部を溶かそうとする。

咄嗟に太刀を手放し、捕縛から逃れる。

 

「なんでうまくいかない…!!」

 

コックピットモニターの右側は掠れ、ほとんどが見えなくなっている。その掠れたモニターの奥でエスペランサは太刀を捨てる。

 

一進一退。イタチごっこ。攻略法が見つかった途端にそれを覆される。しかしこちらが押されているようにも見える戦いだ。

 

それでもレボルシオンは腰のサーベルを2本ともビームを解放する。

 

「もう何が何でもっ!!」

 

『また突撃…そんな感情じゃ無理よ』

 

片方のバインダースラスターに振り回されながらも、エスペランサの元へ向く。

ビームサーベルを天へ掲げ、振り下ろす構えだ。

 

「たぁぁァァァ!!」

 

機体の全推力を掛けた攻撃。

賭けるしかなかった。

 

『甘いね』

 

あさっりと避けられたサーベルを見向きもせず、また頭部を捕まれる。

 

『暇つぶしにはなったよ』

 

胸部のバルカンを斉射する。

あちこちの装甲が煙幕を上げ、軋みを上げながらへこみを作っていく。

 

機体の状態を示すモニターは赤、損傷がひどくこれ以上進めばもう動けない。

 

『そろそろ終わりにしようか』

 

「まだ…」

 

『もう無理よ』

 

「まだっ」

 

レボルシオンの腕が弱々しくも稼働する。

 

『無理だって…』

 

「それでも!!」

 

掴まれていた頭部から手が離され、それが鋭い手刀となり───

 

 

「役に立ちたいから…」

 

 

 

 

『…!!』

 

 

 

 

 

エスペランサの手刀はレボルシオンの胴体を貫き、またレボルシオンのサーベルもエスペランサの胴体を貫いていた。

 

 

貫いたサーベルを持つ腕の傍に乱暴にひしゃげた右のバインダーだけが残ったバックパック。

 

 

『そこまで甘くなかったみたいね──

 

 

 

 

2機を電撃が包んだ後、宇宙を彩る星となる。

 

 


 

『トランザム!!』

 

「ぐっ…!」

 

トランザム。機体内部に蓄積された高濃度圧縮粒子を全面開放することで機体が赤く発光させ、一定時間の間、機体出力を3倍までに上げることができるシステム。

 

それが発動できるのはGNドライヴを有した機体のみ。目の前の機体も例外ではなかった。

 

紅い残像を残しながら描く軌道が、フェーテを翻弄する。

 

「くっそ…!!」

 

距離を取ろうにも攻撃が激しくその場から動けない。

 

一撃。一撃。

 

確実にダメージが蓄積されていく。このままでは消耗しきった所を叩かれる。

 

ふと画面の端に目をやる。

 

「出力上げに頼らないって決めたんだよ、なっ」

 

蓄積したダメージに目もくれず上に大きく飛翔し、そのまま一直線に宇宙を進んでいく。

 

『トランザムに勝てるわけがねぇんだよ!!』

 

後に追うダブルオーリペア。

先に進んでいたフェーテではあったが、着々と距離が縮められていく。

 

『終わりにしようぜ!!』

 

大きく振われる剣。

 

──ここだ

 

『!?』

 

一瞬ではあるが、視界が途切れた。

視界を途絶えさせたのはいつしか遠くに置き去りにされたマント。

案の定切り破られたが、一瞬の隙ができた。

左手に持つライフルビットを構える。

 

「1弾でも当たれっ!!」

 

狙うは左肩に伸びたGNドライヴ。トランザムの動力源だ。

 

何発かダブルオーリペアを掠め、GNドライヴの外殻を穿つ。しかし、ドライヴ本体へとは到達せず空振りに終わる。

 

「っ…」

 

ライフルビットが連射の影響で赤熱化し、暴発する。それに巻き込まれた左腕も必然的に失う。

 

『それぐらいの攻撃でッ!!』

 

こちらからの攻撃を物ともせず三次元の動きを見せるダブルオーリペア。

 

残った右腕でビームサーベルを抜き取る。

使えるものがないかと思考を巡らすが、宇宙空間にそれを促してくれるものはない。

 

繰り出される攻撃を受けては避け、受けては避けを繰り返すばかり。

 

──何か、何か

 

[revolucion gundam LOST.]

[esperanza gundam LOST.]

 

メンバーの退場を知らされる表示。

2つの反応の消失が記されている。

相打ちになったということだろうか。仲間が1人消されたことには変わりない。

 

両機の動きが瞬間的に固まる。

 

『あいつが!?』

 

「 」

 

攻撃を繰り出すダブルオーリペアに対し、バックステップで距離を取るフェーテ。装甲はへこみ、各部が悲鳴を上げ始めている。

悲鳴を上げているのは期待だけではなかった。

 

──おかしい…。感情が抑えきれない。

 

大して痛くはないはずなのに。惜しくはないのに。まるで誰かに感情を操られているかのように。どこか冷静で抑えきれない感情。

 

に…

 

「…各部パージ」

 

『なんだ…ッてトランザムの限界時間が5秒!?』

 

モニターを操作する。

 

「…プログレスシステム起動」

 

に…くい…。

 

憎い。

 

ニクイ

 

フェーテの赤黒い瞳がダブルオーリペアを捉える。

 

『なんだ?』

 

纏う雰囲気が一気に変わった気がした。殺気を感じるような出立ち。まるであいつ──ヨネと同じ何か。

 

しかし、またもや異変が起こる。

 

「なっ!?」

 

途端機体出力が一気に低下する。

システムが起動しない。ましてや関節各部、フレームから煙幕が立ち込める。

自らを発散するように、力が失われた。

 

「なんで!?」

 

出力のゲージが0に近づいていく。

ダブルオーリペアも同じくフェーテに近づいていく。

 

『もらっ…あ!?!?』

 

『限界時間かよ!!』

 

ダブルオーリペアの紅が薄れていく。トランザムの限界時間のようだ。

 

『まぁ!!でも!もらったッ!!!』

 

GNソードIIIを突き刺さんと加速するダブルオーリペア。

フェーテは静かにたたずむだけで動じない。

 

「動けよっ…!!」

 

 

 

 

迫る刃。

 

 

 

機体が動かない以上、受け入れるしかない運命──

 

 

 

 

 

 

──刹那。赤い陽と黒い影が横切る。

 

 

 

 

『邪魔ダッ゛!!!!』

 

「こいつッ!!??仲間までッ……!!」

 

 

 

胴体が2つに分かれたダブルオーリペア。

 

閉じかけていた深緑のデュアルアイが告げたのは、腕をこちらに伸ばし、捉えたまま離さないダブルオーリペア。

 

両機が音の無い宇宙で静かに瞳を閉じた。

 


 

「デブリ帯なら"アレ"ができるッ!!」

 

視界内で徐々に増してきた、星の欠片や岩石、デブリ。障害物が少ない宇宙で唯一地形利用とはっきり言える戦法が取れる場所だ。

 

飛来する障害物を器用に避けながら攻撃の隙を伺う。

エンビディアとの距離は充分。

 

「行けるッ!!!」

 

スラスターを吹かし、目の前にある石に足を着ける。

エンビディアは急速接近しながら鎌を大振りの構えにしている。

 

『お前がァ!!!!』

 

「ここ!」

 

足に力を込め次のデブリへと飛び移る。

そうして無理矢理にでも軌道を変え、攻撃へと転用する。

GNソードIIブラスターを構え、エンビディアへ放つ。しかし、無理矢理な体勢な上に慣れない射撃、そう簡単に当たるわけがない。

 

再度チャージ時間が重なる。

 

『昔から下手なんだよ!!!お前は!!!』

 

眼前へと迫る嫉妬の鎌。

 

その通りだ。射撃はいまいちよく分からない。偏差を考えて撃つより近づいて斬った方が早い。だから射撃なんて無くてもいい。

 

──でも

 

「でも、射撃できた方がかっこいいだろ…?」

 

ブラスターの刃で鎌を受け流し、新たなデブリへと移る。

 

シャアの五艘跳び。

シャア・アズナブルが赤い彗星として恐れられたルウム戦役で行った戦法だ。

それを拙いながらもユウは再現している。

 

飛び移り、攻撃、飛び移り、攻撃を繰り返す。

やがてそれは背後を取り──

 

「貰ったァッ…!!!」

 

緑に染まる刃で一太刀…

 

 

 

することがなく目の前で暴発した。

 

 

 

「なんだ!?」

 

見ると背面。リアアーマーに尻尾のようにワイヤー接続された、ビームサーベルのようなものがあった。

 

 

『そウ簡単にやらレるわけないよァ…??』

 

「こいつッ!!」

 

鎌を捨て、ガントレットを反転させ赤いビームを

発振する。

それを見てアポロンも左腰の刀を抜刀。

鍔迫り合いが起こる。

 

『お前が憎いィ!!!』

 

「どうして!!」

 

攻撃の手を緩めないエンビディア。

獣のような荒いがむしゃらで感情に身を任せた攻め。

 

本当の自分を見失っているようなそんな気がする。あの時とは違う。何もかもが。

 

 

「ソードビット!!」

 

背部からワイヤーに繋がった2基のソードビットが射出、エンビディアの腕に絡みつくように動かし、そのままデブリへと突き刺す。

 

腕が引っ張られ攻撃ができない状態となるが、それでも、もがき続ける。

 

「何があったんだよ!!!」

 

『いつもお前ばかりだっタ…いつも!!!』

 

「何が!!」

 

──ちょうど2年前だった。

GBNが世に誕生したとき、2人で電脳空間でのガンプラバトルを楽しんでいた。

ガンプラを作ってはダイブし、また作る。そんな日々を送っていた。友達も加えられさらに楽しくなった。

そんな日々が突如1年前崩壊した。

お前ばかりがもてはやされる、何をしても無駄になる。お前とは縁を切ると──

 

『アッハハッッ!!!』

 

エンビディアの背部から赤い焔が燃え上がる。

途端、絡み付いたワイヤーが切れ、拘束から解放される。

 

「ナイトロシステム!?」

 

『n_i_t_r_o』。

ガンダムデルタカイなどに搭載されたシステム。ニュータイプ能力を持たない一般兵に、擬似的にニュータイプ能力を付加するサイコミュシステムだ。

 

機体出力が上がり、パラメータのほとんどが跳ね上がる。

 

 

「くそッ…!!」

 

獣のような攻めに加えさらに素早くなる機動。

視界内収めて、攻撃を受けるのがやっとだ。

 

「一回離脱するしか…ぅぐッ…!!」

 

機体状態を示すモニターには左腕が赤く染まっている。

左腕がやられた。

普通なら退くことを視野に入れる方が自然だろう。しかし、一方的に縁を切られたとは言え大事な友。感情に囚われたままにしておくわけにはいかない。

 

 

手を差し伸べたい。

 

 

「やるしかねぇよなッ!!!」

 

アームレイカーを一気に前へ。

赤い焔を纏うエンビディアへ加速。一太刀浴びせるが難なく防がれ、蹴りを入れられる。

 

慣性のままに飛ばされるアポロン。この程度では止まれないと意地を見せる。

 

「行くぞアポロンッ!!!」

 

エンビディア向け、ビットを射出する。

狙うは両脇。左右に動かさず中央に捉らえる。

 

『!?』

 

ガントレットで刀を受け止められる。

 

「でもなッッ!!」

 

膝のビームサーベルを展開、すぐさま蹴りを入れる。

抉れたエンビディアの脇腹。尻尾のようなビーム発振器に軌道を逸らされたが、致命傷に近いダメージを負わせた。

 

『アッハハ!!!』

 

エンビディアがバックステップをすると、ソードビットに向けビームの刃を入れられる。

これで行手を阻む戦法はとれない。

 

「分かってきたぜ…戦い方がッ!!!」

 

2機が衝突する。宇宙に赤い焔と緋色の炎が螺旋状の軌跡を描いていく。

 

幾度かの衝突。

 

『邪魔ダッ゛!!!!』

 

「こいつッ!!??仲間までッ……!!」

 

行く先にいたフェーテとダブルオーリペア。

仲間のはずのダブルオーリペアを一刀両断にした。

そんなことを気にも留めず攻撃を繰り出そうとするエンビディア。

 

「お前ッッ!!!!」

 

ユウに呼応するようにアポロンの双眸が、胴体コアが、緋色に染まる。

 

『あ?』

 

先程まで受けるだけだったアポロンが避けた。

そして背後に回り込む。

反応速度が上がったのか、出力が上がったのかは分からない。

アポロンが答えてくれたのかもしれない。

 

絶対的な好機、逃すわけにはいかない。

 

「ッッら…!!!」

 

ナイトロの恩恵が大きいバックパックへと刀を入れていく。小爆発を起こしながらもエンビディアは尾で刀を薙ぎ払う。

 

「まだだッッ!!!」

 

振り向き様にサーベルを刺さんとするのも気にしない。

ビームシールドを形成し、斬撃を逸らしながら頭部へと拳を入れる。

 

アンテナが溶かされその奥が露わになる。

身を捻り踵の刃を展開、回転力も加えた斬撃を浴びせる。

 

負けじとエンビディアもガントレットのサービルで脚を溶斬する。

 

互いが消耗していた。己のエゴをぶつけ合う喧嘩にも似た闘い。

 

それももう最終局面へと入っていた。

 

「お前とここで決着をつけるッ!!」

 

リアアーマーからビームサーベルを取り出し、桃色の刀身を発振する。

 

『お前を…潰す』

 

両ガントレットのサーベルの出力がさらに上がる。

 

太陽の光が両機を強く照らす。

 

スラスターが火を噴く。

間合いは充分。

 

「うおぉぉぉぉぉッッッッッ!!!!」

 

『アァッッッッッ!!!』

 

 

エンビディアのサーベルを弾き、前に突き出す。

 

 

 

電撃が走る。

 

 

ゆっくりと離れるアポロン。

 

 

 

「後でゆっくり話そう」

 

 

 

 

 

 

胴体を貫いた桃色の刀身。

モニターに映る、陽に照らされるアポロンガンダム。

 

 

 

 

 

嫉妬は砕かれ、宇宙の星となった。

 

 

 

 

 

 

[Winer forse F.A.R.]

 


〜ロビー〜

 

「荒い戦い方しちゃってごめんなさい」

 

戦いの後、フォース焔空と会合した。

 

頭を下げる、ガンダムエスペランサのダイバー、夜空。

20代の女性の姿でロングの銀髪が特徴的だ。

 

「いやいや、頭を上げてください」

 

「俺らが止められなかったのにも原因はある」

 

ガンダムダブルオーリペアのダイバー、コウ。

茶色いショートヘアにラフな格好だ。

 

どうやらこのようなことが今まで続いていて、それを止められたのが今回の戦いらしい。

 

「これからどうするんですか?」

 

「フォースを解散してそれぞれ伸び伸び過ごすよ」

 

「ソロも楽しいでしょうし」

 

「そう、ですか」

 

それから軽く別れの挨拶をして解散した。

その場にユウとヨネはいなかった。

 

 


 

頭に被せたバイザーを取り、急いでゲームセンターを出ようとすると兄──ヒロがいた。

 

「あ、ユウ雨降ってきたから迎えに…

 

「兄ちゃんこれ持って帰ってて」

 

「え、あちょい!?」

 

外へ出ると重い空気と共に雨が降り注いでいた。

ユウはその空気を振り払うように走り出す。

 

昔からの習慣が変わっていないならあいつはきっとあそこにいると願い走る。

 

走る。

 

重い空気に負け、息が上がる。それでも成すべきことはまだ終わっていない。

いつもの場所──橋の下が見えてきた。

 

 

突然視界が地面に近くなる。

ベチョッと嫌な音がした。

 

「ってぇ……」

 

「何してんだお前」

 

立ち上がろうとした時、声がした。

声の主へと泥がついた顔を上げる。

 

「マキ…!!」

 

顔を上げるとそこにはパーカーを着たヨネ──マキがいた。

汚れながらも自分で立ち上がる。

 

「憧れてたんだよ、だから嫉妬した。」

 

マキの口から出た言葉。

手にはエンビディアが握られている。

 

「…そうか」

 

「だから一年かけてお前を越えようとした。それも無駄だったみたいだがな」

 

「んなこと…!!」

 

「俺はGBNを離れる。話は終わりだ。じゃあな」

 

「馬鹿がッ!!」

 

こちらに背を向け歩き出したマキに浴びせる言葉じゃないのは分かってる。

それでも許せなかったのは事実だ。

自分自身が理由では無く、俺が理由で、越えられなかったのが理由でやめようというのが。

 

 

「俺は!!お前のガンプラに憧れてたんだよ!!いっつもかっこいいの作って!!!」

 

「…」

 

「勝手に憧れてやめてんじゃねぇぞ!!!」

 

「俺の何が分かるんだ!!」

 

 

「い…」

 

 

「俺の!!それで俺の苦しみが分かるってんのかよ!!??苦しみがッ!!!」

 

 

「分からない!!でも!!!!だからって…」

 

唾を飲む。何を言えばいいか分からなかった。

言葉が浮かんでは消え、浮かんでは消える。

それでも辛うじて絞り出した言葉を吐く。

 

「何かに期待してここに来たんじゃないのか」

 

そうだ。無理にここに来なくとも家に直接帰ればいい。なのにここに来ているんだ。

いつも負けてから悔しがるここに。

昔から変わらないこの場所に。

 

「チッ…」

 

舌打ちが聞こえると背を向け歩き出した。

 

 

こちらを見たマキの頬に、微かに光るものが流れていった気がした。雨の雫だろうか。それとも…

 

「ユウ…」

 

「帰ろ」

 

「風呂入らんとな…雨止んできた?傘いらんやんかーもうー」

 

「ごめんって」

 

歩き出したマキと正反対の方向に歩き出す。

これはきっと別離では無く遠回り。

そう信じてる。

 

空には雲の隙間から光が刺し、夕陽が顔を出そうとしていた。

 

 

 


 

「やっぱり怪しいなぁ…」

 

研究室のような部屋で資料を見ながら唸る、濃い紫の髪のボブの女。

 

「例のフォースか?」

 

長身の黒髪の男。

 

「あまり根を詰めすぎない方が良いですよ。」

 

資料を漁る男。

 

「ん…というよりはこの子かなぁ…??」

 

さすのは金髪の眼鏡を掛けた男の画像。

横には目が隠れたガンプラの画像。

 

彼らの知らない、表舞台には出ない場所で暗躍する者達が立ち上がろうとしていた。

 

 

 

 

 

第五話 影の嫉妬

 

 

 

 




出演者様は後日まとめたいと思います。
ご協力ありがとうございました。
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