……許してください。
ではお楽しみください。
――――イタリアのとある空港のロビーにて
人々がざわめき、遠巻きに集まっている。その円の中心にいるのは、何とも奇天烈な東洋人らしき男たちだった。
「イタリア、っスか……来たことないっスね……。つーか、海外に来ンのも珍しいくらいっスよ」
「僕は二回目だよ。あの時は初日から散々で、あんまりいい思い出ないけどね……」
「あの時は本当にすまなかったな。まさかあんな事態になるとは思いもしなかった。今回は俺たちもいる。安心してくれ」
「イタリアっつったら、ピザとかスパゲッティとかだよなぁ。でも正直、俺たちの町のレストランよりうまいトコ、ねぇんじゃねぇかと思うんだよなぁ……」
見上げるような大男が3人、その中に浮いたように存在している小さな少年が一人。
大男の内、二人はその少年と同い年なのだが人々にはどう見ても少年が誘拐されたようにしか見えない。
そう思ったのか、二,三人の警備員たちが人混みをかき分けて近づいて来る。
「? どうしたんだろうね、ジョウスケ君」
少年が一人の男に話しかけるとそのジョウスケと呼ばれた男―見事なリーゼントヘアーをしている――も不思議そうな表情を浮かべる。
「ナンかヤバそうな顔してんなぁ。俺達、なんかやっちまったか? オクヤス、ナンかやらかしたのか?」
ジョウスケが別の男に話しかけると、オクヤス――今度は左右を短く刈り上げた男だ――は間抜けな声を出す。
「ヒデェなあ~、ジョウスケ。俺はナンもやってねーよ。ジョウスケこそナンかしたんじゃあねえのか?」
「冗談だぜ。オメーを疑うわけねェだろ」
そうこう話していると、警備員達がこちらに話しかけてくる。
「……俺が話そう」
ずっと沈黙していた最後の男――白いコートに白い帽子の白ずくめの男だった――がずいと前に出る。
「あんた達、何してんだ? こんな小せェガキにツルんでよォ。ちょーっとあっちで話聞かせてもらおうか」
当然イタリアの空港なのだからイタリア語で話している。しかし東洋人は彼らよりも流暢なイタリア語で喋った。
「何か勘違いしているらしいが――――あの少年達は俺の知人だ。何も問題はない。勘違いさせたのなら、謝ろう。だから――――」
男は丁寧に説明したが、どうも警備員達はそう思えず見苦しい言い訳だと思ったらしい。
「あぁ⁉ 知人ン~⁉ どう見ればそうなんだよッ! オメーの脳みそは乾いたスポンジみてーにスカスカなのかァ⁉ な~にが少年達、だ。三人の大人で一人のガキをいじめてるだけだろーがよォ!!」
そう言うと警備員は男の手に、あっという間に手錠をかけてしまった。
それを見た三人の少年は慌てて警備員に近づき、抗議する。
「な、何してんスか。その人の言うことは間違いないっスよ。早く外して下さい」
リーゼントの少年が詰め寄る。これまた流暢なイタリア語だった。
しかしその真剣な言葉は警備員に微々とも刺さらず、逆に文句をつけて来た。
「ンだ⁉ うっせえんだよ!! テメーも仲間だろうが⁉ さっさとお縄につくこったなぁ!!」
「い、いやだから誤解だって――――」
「うっせえなぁ!!」
優しく説得しようとするジョウスケの言葉を遮り、彼の髪の毛にチョインと触り続ける。
「ンなダセぇ髪型しやがってよォ!! ナンだテメー。こんな古臭ェデザイン、誰もしねェに決まってんだろォが!! カッコいいと思ってんのか、ああ⁉」
瞬間、ピタリとジョウスケの言葉が止まる。
そして何故だか、横にいる少年二人と手錠に繋がれた男が微妙な、まるで何かを恐れているような表情を浮かべる。
しかし警備員はそれらに気付かず話を続ける。
「大体、ンな髪型捕まえてくださいって言ってるようなモンだぜ!! バカなのか、テメーはよォ⁉」
「……ま、……を……った」
「あぁ、何だって⁉ 聞こえねーんだよ!! ビビってんのか⁉ もっとデケェ声で――――」
しかしその言葉が続けられることはなかった。
何故なら、ジョウスケが彼の襟元をガシリと掴み引き寄せたからである。
ジョウスケは鬼のような形相で警備員に言う。
「テメー今、俺の髪のことを何つったって言ってんだよ、コラァァァアアア――――!!」
突如キレたジョウスケに驚きのあまり声も出ない警備員。そんなことは気にせず彼は続ける。
「この髪型をけなすヤツは誰だろーとぜってーに許さねぇーぜ!!」
怒りの声を上げた次の瞬間、不思議なことが起こった。
警備員がまるで何者かに殴られたように吹っ飛んだのだ。
彼は勢いよく飛んでいき、そして壁にぶつかりのびてしまった。
もちろんジョウスケは何もしていない。彼の両手は襟を掴み上げるために使っていたのだから。
観衆や他の警備員が驚きのあまり声を出せず、空港内が静寂に包まれる。
そんな中、一番初めに声を上げたのは白ずくめの男だった。
「……やれやれ。ジョウスケ、やってくれたな」
呆れたように呟くと、ジョウスケはハッとして――まるで今までのことが記憶にないように――辺りを見渡す。そしてのびた警備員を視界に収めると、はーっとため息を吐く。
「またやっちまったか……」
「し、仕方ないよ、ジョウスケ君。今回はこの人が悪かったんだよ」
小さな少年が慰めるが、ジョウスケは落ち込んだままだ。さっきとは打って変わり、誠実そうな少年の顔になっている。
「時間を使いすぎた。三人とも、そろそろ行くぞ。一刻を争う事態なんだからな」
白コートの男が声を掛けると、少年達は各々の荷物を持ち、男に付いて空港を後にしてしまった。
空港ではその後長い間沈黙が広がっていたが、一人が動き出すと少しずつ人が動き始め、まるで何事もなかったかのように本来のざわめきを取り戻した。
皆平常を装っているが、心の中では誰もがこう思っていた。
もう二度とあの連中には関わりたくない、と。
東方仗助 スタンド:クレイジー・ダイヤモンド
虹村億泰 スタンド:ザ・ハンド
広瀬康一 スタンド:エコーズ
空条承太郎 スタンド:スタープラチナ
この日、四人の東洋人がイタリアの地に足を踏み入れたのだった。
《CHA☆BA☆N》
作者「こんにちは、皆さん。
この新コーナーではジョジョのキャラ達が楽しくお話していきます。
それでは行ってみましょう!!」
ポルナレフ(以降ポ)「名乗らせていただこう。……ジャン・ピエール・ポルナレフ」
ディアボロ(以降デ)「頂点に立つのは、このディアボロだーッ!!」
作者「はい、ということで今回はポルナレフさんとディアボロさんがゲストとして来てくださいました。ところでポルナレフさん、DIOと階段で出会った時は驚いたでしょう?」
ポ「ああ……。俺もあの時はダメかと思ったぜ。ありのまま、あの時起こったことを話すぜ。俺h」
デ「(何か長くなりそうだな……)キング・クリムゾンッ!!」
ヴヴヴヴヴ―――ンッッッッ!!!!!
ポ「………ハッ⁉ 俺は既にセリフを言い終わっている⁉ どういうことだ⁉ あ、ありのまま、今起こったことを話すぜ。俺h」
ヴヴヴヴヴ―――ンッッッッ!!!!!
ポ「……ハッ⁉ 俺は既に――――」
ヴヴヴヴヴ―――ンッッッッ!!!!!
ポ「……ハッ⁉ 俺h」
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ポ「……ハッ⁉ 俺h」
作者「いや、何回やんのこれ。はい、退場退場~」
(作者、二人をぐいぐいと押しやる)
作者「というワケで、ポルナレフとディアボロでした。今回はあとがき代わりにこのコーナーを設けてみました。少し退屈感があってあまり面白くないかも……? とにかく、ご閲読、ありがとうございました。 感想、どしどし送ってくれると作者のモチベが上がります、よろしく!! それではまた、次話で会いましょう! さようなら!!」