承太郎、キャラ崩壊な気がする……
「『スタープラチナ』ッ!!」
承太郎が呼びかけると、彼の横に人影が現れた。
全身を固い筋肉で覆ったそれは、承太郎自身であり彼の能力である。
スタンド、『スタープラチナ』。その素早さと精密な動きで敵を翻弄し、そして圧倒的なパワーで数多の敵を倒してきた、承太郎のスタンドだ。一度射程距離に踏み込まれたが最後、相手は全身を殴打され、あっという間に再起不能になる。
(仗助はベッドの裏側で消えた。きっとそこに、なにかあるに違いねえ)
承太郎は警戒しながら、ひっそりとベッドに近づく。『スタープラチナ』は忠犬のように、承太郎の横にピタリとくっつき、浮遊する。
そしてたどり着いたベッドの裏側。そこには――――
(バカな⁉ 何もない⁉)
全くの空っぽな空間が、そこにはあった。スタンドが働いた残滓も見えない。
(どういうことだ、これは―――――……)
その時、承太郎はあろうことか、気付くことができなかった。承太郎をひっそりと狙う鋭い殺気に。その殺気は承太郎に素早く近づき……。
「仗助はこのベッドの裏で消えた。康一君と億泰は棚にいたのが最後だ。一体どこに……がッ⁉」
突如襲われた強烈な衝撃に、承太郎は耐えることもできず吹っ飛んだ。部屋の隅に固めていた荷物がクッションとなり、どうにか壁への激突は防ぐ。
「な、何だッ⁉ 今俺は何をされた⁉」
「フフフ、承太郎さん。驚いているようだな」
承太郎が驚き、辺りを見渡すと、どこからか男の声がした。
「⁉ 誰だテメーッ!! 姿を見せろッッ!!」
「おーおー。怖いねェ、承太郎さんは。姿を見せるということは、自分のスタンド能力を明かすことになるじゃあないか。そんな自殺行為、誰がするものかね!!」
「スタンドだと? やっぱりテメーはスタンド使いのようグッッ⁉」
冷静に推測を述べる途中で、再び謎の衝撃に襲われて承太郎は部屋の中を転がる。
(なんだ、この攻撃はッ⁉ 姿はないのに確かに衝撃は受けている。そして部屋の中には気配を感じる。だが近づかれた気配は感じないッ⁉)
「ハハハ、無駄だよ、承太郎さん」
必死に考える承太郎を見、姿の見えない誰かが言う。
「貴方に僕を見つけることは出来ない。なぜなら僕は貴方の隣にいる。しかし隣にはいないんだよ」
「テメー……何を言っている……」
「ハハハ、分からないでしょうね、貴方には」
「クソッ!! 『スタープラチナ』ッッッ!!」
煽りに耐えかねた承太郎が部屋の中をメチャクチャに攻撃する。
全ての家具が粉微塵になり、床も天井もほとんど剥がれ落ちた状態になるまで承太郎は『スタープラチナ』の拳をふるった。
だが、残ったのは何もない空っぽな部屋一つだった。
(バ、バカなッ⁉ どこかに隠れているなら、部屋を潰せば隠れる場所を失い、出て来ざるを得ないはずだ。……だが、なぜだッ⁉ アリ一匹出て来やしねえぜッッッ!!)
「ハハハ!! もうやめてはどうですかね、承太郎さん? 我々の条件を呑んでくれれば、全て解決するのですから」
「条件、だと?」
「はい、そうですよ。貴方……いや、貴方達がイタリアから立ち去り、今後一切干渉してこないこと。これが条件です。どうです、難しくはないでしょう?」
「………」
それを聞いた承太郎は、しばらく黙っていたが、ゆっくりとその口を開いた。
「すると……なんだ。俺達に、『ジョルノ・ジョバァーナ』に関して調べることもやめろ、という事か?」
「当たり前ですね」
「なるほどな……だがな、ジョルノ・ジョバァーナは俺の血統の問題だ。お前がどこの誰で、俺のことをどこまで知っているのかは知らないが……その条件を呑む気はないぜッ!!」
承太郎の返答が意外だったのか、謎の声はピタリと口をつぐむ。
しかしすぐに、
「ハハハハハッッッ!! そうですか。聞いていた以上にタフなお方のようですね。その覚悟には敬意を表しますよ。そして残念です。一瞬でも尊敬した貴方をこれで始末しなければならなくなったのですから、ね」
その言葉が終わった瞬間、承太郎を再び衝撃が襲う。
腹部の強烈な衝撃に、承太郎はよろけるが持ちこたえる。
しかし今回は一発だけではない。さらにもう一発、もう一発と連続して衝撃が襲ってくる。承太郎はどこから飛んでくるかも分からない衝撃に、『スタープラチナ』で必死にガードしようとするが、半分も受け止められない。
(この攻撃……重く、鋭い!! ものすごいパワーのスタンドだ。そして……おかしなことをいうようだが……この世に同じスタンドは存在しないはず。だが、この攻撃はッ!! 仗助の『クレイジー・ダイヤモンド』と同じそれだぜッッ!!)
全身を襲う衝撃を流しながら、承太郎は思考する。
承太郎は部屋で襲われてから、最初は何か物体に隠れる能力かと思い、部屋を全壊させた。
だが、そこからはアリ一匹すら出てこなかった。残ったのは空っぽな部屋のみ。
それから……
そうして思考する中、ふと何か違和感を感じる。
(何だ? なにか大事なもの見落としているような気がする……。これは間違いなくおかしい……何がとは分からないが……朝の空港と比べると、かなりおかしい……)
なぜそこで空港を思い出したかは、承太郎自身にも分からない。
だが、その時彼の頭の中に一つの可能性がひらめく。
(ま、まさか……なんて能力だ、野郎。もし俺の考えがあっていれば……果たして本体を殴れるだろうか? この俺の、近接型の『スタープラチナ』に。だが……)
「可能性がでたら、やらねえワケにはいかないぜッッッ!!」
承太郎は壁が壊れ、吹き抜けのようになった部屋の中で一人、『スタープラチナ』を顕現
させ、どこから飛んでくるのか分からない衝撃にも挫けずにずんずんと進み――――
「これだッッ!! これが俺に勝利を与えるカギだッッッ!!」
何かを見つけ、希望の色を見出だした―――――。
今回、ちょっと時間ないんであとがき無しです
(そんなんだったら、更新もっと早くしろって? すみません、更新遅い病でして……)
次回、待て!!
次回 『スクエア・ガーデンズ』その②