転生航路   作:ボートマン

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第2話

俺がレオナルドとなって3年が経った。

 

「あ~緊張してきた」

 

シュバルツこと俺は現在首都惑星ラヴェルナから惑星メッサーナに来ていた。

 

この惑星メッサーナにはエンデミオン随一の軍需産業である、オズロッゾ財団の本部がある。

 

その待合室でレオナルドは椅子に座ってレイラが入れる紅茶を飲んでいた。

 

何故レオナルドがここに来たのか。

 

それはある人物に会うためだ。

 

「お待たせしましたレオナルド殿下。こちらになります」

 

財団の人間の案内の下、ある場所に向かう。

 

「総帥、レオナルド殿下をお連れしました」

 

「入りなさい」

 

執務室と思われる室内に多くの書類を処理する老人がいた。

 

「急な訪問に申し訳ありませんザバス老」

 

「いえいえ、それで此度はどのような用事で?」

 

「こちらを見てもらいたくて、ゼルマン」

 

「はい」

 

ゼルマンが持っていた設計図を机の上に広げる。

 

「これは?」

 

「私が設計した新型駆逐艦ドレイク級と艦載機のメビウスです」

 

設計図にはレオナルドの前世の世界の有名アニメ、ガンダムSEEDで登場する戦艦と艦載機だった。

 

何故ザバスにこの設計図を見せたかというと、オズロッゾ財団で開発してほしいからである。

 

シュバルツの父親であるエルルナーヤ235世を中心に軍を軽視する風潮がある。

 

もし自分がこの設計図を見せても、危険だと言われて設計図を取り上げられてしまう。

 

それに子供の自分の設計図を見せても子供のお絵かきとでも思われてしまう。

 

だが、目の前の人物は違う。

 

技術に準じるザバスならこの設計図を子供のお絵かきの一言で済まさないはずだ。

 

他にも無限航路の世界なら奴らがいる。

 

“オーバーロード”

 

奴らにかなうかはわからないが、それでも出来ることはしなければならない。

 

「(でないとマジで死んじまうもん)」

 

「…………」

 

最初は子供のお絵かきと思っていたザバスの顔は一変して、真剣に設計図を見ている。

 

無論、レオナルドとて子供お絵かきで済まさないために、色々と手を打ってきたのだ。

 

まずドレイク級はエンジン部に外付けされてる推進剤タンクは撤去する。

 

これが原因で撃ち落されることが多いため、レオナルドはすぐに撤去した。

 

また、アンチビーム爆雷などはこの世界に存在しないため、これは撤去というかなかったことになる。

 

そして、艦載機を搭載するために艦下部に艦載機用のカタパルトを設計する。

 

とはいえ搭載できる数はそこまで多くはないが、艦載機を搭載するだけで戦況を有利にすることは出来る。

 

そのため、多くないと言って馬鹿にはできない。

 

武装は原作通り艦の両舷にミサイルランチャー。

 

他はイーゲルシュテルと言いたいけど、この世界には存在しないため対空パルスレーザーで代用する。

 

メビウスは原作同様に2基のメインスラスターユニットを持ち、フレキシブルに稼働するようにしてある。

 

メビウス・ゼロも考えたが、この世界にはガンバレルのような兵器が存在しない。

 

それに作ったとしても操るための空間認識能力を持つパイロットがいると思えない。

 

そのためレオナルドは仕方なくメビウス・ゼロは設計しなかった。

 

とはいえ設計図を描いただけでは、ザバスに見せても意味はない。

 

そのため、軍部に知り合いがいるゼルマンに設計図を持っていてもらい、意見などを取り入れて何度も書き直したもらった。

 

そうして今ここに設計図を持ってきたのだ。

 

それに駆逐艦で艦載機を搭載した艦艇はこの大マゼランには存在しないようだ。

 

探せばもしかしたらあるかもしれないが、今は見つかっていない。

 

レオナルドは艦載機を搭載する駆逐艦というこれまでにない艦艇の設計図を持ってきた。

 

この設計図にザバスがどんな反応するか。

 

好評ならとても嬉しいが、酷評だったらという思いが頭のなかにありドキドキしてる。

 

「……中々面白い設計図ですな」

 

「そう言っていただけると嬉しいですね」

 

「艦載機を搭載する駆逐艦ですか…。このザバス、少々驚きましたぞ」

 

「ええ、艦載機を搭載する艦艇は最低でも巡洋艦からですからね。とはいえ、子供の書いた設計図なのでまだ至らないところはありますけどね」

 

「ふむ……。それで、レオナルド殿下はこの設計図をどうしたいと?」

 

これまでの好感触から、レオナルドは落ち着いて本題に入る。

 

「この設計図を基に財団で開発することはできますか?」

 

「なぜ我々財団に?軍で開発しても問題はないでしょうに?」

 

ザバスの疑問は最もだが、その理由をレオナルドはこの老人は知ってるくせにと思った。

 

「ザバス老、貴方も知ってるでしょう。父上を中心に軍を軽視する風潮があることを」

 

「そうですが、開発は不可能ではありますまい」

 

確かにザバスの言う通り不可能ではないかもしれない。

 

「確かに不可能ではないかもしれません。しかし、この設計図を子供の私が見せてまともに付き合ってくれる人間がいますか?」

 

おそらく子供のお絵かきで終わってしまうだろう。

 

しかし、この老人は違う。

 

レオナルドの設計図を見て表情を一変させたのだ。

 

子供のお絵かきで切り捨てるとは思えない。

 

「なるほど、わかりました。この設計図を基に開発を進めてみましょう」

 

「ありがとうございます、ザバス老。一つお願いあるのですが?」

 

「何でしょうか?」

 

「そちらの財団の科学者を一人、派遣していただきたいのですが?」

 

「……わかりました、後程そちらに送りましょう」

 

「ありがとうございます。それでは私たちは失礼します」

 

良し!と内心で思いながらレオナルドはレイラとゼルマンを連れて退室する。

 

「ふぅ~緊張したぁ。二人もこんなことに付き合わせてしまってすまないね」

 

「いえ、私はレオナルド様に使用人です。どこまでも付き従います」

 

「私もです。それに先程の設計図は私も興味深かったです」

 

「……ありがとう、二人とも」

 

二人の言葉にレオナルドは感謝の言葉を述べる

 

レオナルドはこの二人が自分の使用人になってくれて本当に良かったと思った。

 

 

 


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