魔剣?いいえ斬魄刀です   作:その辺のおっさん

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大事なのはノリと勢いって山翁も言ってた。IQ低くして読んでください




楽しくやろうよ!仲良くさ

「う~~ん、良くないなぁ、狂狼(ヴァナルガンド)、酒場ってのは皆が楽しくお酒を楽しむ所だ、顔や名前を知らない子を嘲笑する所じゃあないよ」

 

迷宮都市オラリオにある酒場『豊穣の女主人』で男の間延びした声が通り、都市2大派閥の一つである【ロキ・ファミリア】の幹部に意見を言う命知らずは誰だろうかと酒場の客がその男を見る

 

その男の風体は一言で言うとこのオラリオでは異様であった

 

夜であるにもかかわらず笠をかぶり、漆黒の着物の上に女物の極東の服である着物を肩にかけ、腰には大小異なる2本の刀を差し、前のカウンターには一体いつから飲んでいたのだろうか極東の酒を入れる徳利が数十本空けられている

 

だが、その男を見た途端、酒場にいた客がザワリと揺らぎ、酒場にいた客がヒソヒソとその男について話し出す

 

『おいおい………マジかよ…………』

 

()()()()()()()()………』

 

『‥……【フレイヤ・ファミリア】の猛者(おうじゃ)を抑えるレベル8』

 

『『『【ヘファイストス・ファミリア】団長『享楽家』の春水!』』』

 

「いや、だから、ボクは『享楽』の春水じゃあなくて、『享楽 春水』だってば」

 

ため息をつき、「ボクの名前ってそんなに覚えづらい?」と昔なじみの女主人に聞いて呆れられる男

 

オラリオの人々や神々曰く「子供の頃は同じ極東風の刀を造っては『違う』と言って捨てていた」

 

曰く「ゼウスとヘラが『黒龍』に全滅し、オラリオが世界が絶望していたにも拘らず『出来た!!』と刀をもってはしゃいでダンジョンに向かって行った」

 

曰く「『暗黒期』の際、基本闇派閥(イヴィルス)を無視して『試し切り』と言って一人で遠征しながら、自分に火の粉が来るなや誰よりも容赦がなかった男」

 

曰く「闇派閥(イヴィルス)に堕ちた『英雄』を簡単に圧倒し、しかも「他の子の経験値になれば?」と屈辱的な言葉で見逃した」

 

曰く「『使うときは13キロやって言ってね』とか『私が天に立つって言いながら眼鏡を割るんだよ?』とか売る際に言って、神々ですら理解できない意味不明な売れない極東風の刀を造り続ける男」…………

 

と噂を挙げればキリがない男はやれやれと首を振りながら盃に徳利から酒を注ぎながら笑う

 

「まあ、皆一度きりしかない人生なんだ………楽しくやろうよ、仲良く!」

 

***

────夢を見る

 

自分ではない自分が読んでいるのは漫画と呼ばれるこのオラリオには存在しない本、そこに描かれているのは魅力的なキャラクターと呼ばれている漫画の登場人物たちと彼等が使う刀

 

その刀は「斬魄刀」使う術は「鬼道」と呼ばれており、自分が知っている「魔剣」や「魔法」とは違うものである………そしてその全てが自分の知っている「魔剣」や「魔法」より純粋に強く、カッコいいと子供心に痛感させられた

 

自分は捨て子であったが、面倒見がいい鍛冶の女神に運よく拾われ、自分を包んでいた極東風の衣に「春水」とだけ書かれていたことからそう呼ばれているだけに過ぎない子供だった

 

鍛冶の女神が率いている【ファミリア】だけあって、自分も物心ついた時には鍛冶を手伝わされ嫌々ながらやっていたが、その夢を見てからは、その「斬魄刀」を魔剣で再現すべく鍛冶の技術を少しでも早く、少しでも多く吸収しようと躍起になり、先達の後ろにこっそりついてダンジョンに潜り、「鬼道」だけでなく、「瞬歩」と漫画で呼ばれていた歩法を再現すべく夜中にこっそり練習した

 

5歳の時に主神にせがんで『恩恵』を背中に刻んで3年、8つの時にレベル2となり、念願の『鍛冶』のスキルを得てからは、主神が団員一人一人に与えている工房に閉じこもり、「斬魄刀」を再現すべく槌を振るった

 

────結果は失敗し続けた

 

ちょろっと小さな氷の竜の出る魔剣、びよーんと伸びるのはいいが元に戻らない脇差………あの憧憬には遠く及ばない失敗作を造り続けた

 

────が、それがどうしたというのか

 

むしろこの失敗こそが自分にとっては愉しかった。あの憧憬には届かないがそれをごく僅かでも再現できたことに幸福を感じ、同じ【ファミリア】の連中や他の冒険者、オラリオの住人、神々が自分をコソコソ嗤っていようが気にも留めず、刀を打ち続けた

 

そしてレベル2になって数週間後、3か月に1回行われる神会(デナテュス)でレベル2になった冒険者の2つ名を神々が決める『命名式』で自分の2つ名は『享楽』となったと主神から伝えられた

 

主神曰く「あんたがどうしてそんなに変な刀を造ってるのかって聞いても『楽しいから』としか答えないからあの馬鹿達に危うく痛い名前を付けられるところだったけど、どうにか極東っぽい名前に出来た」と言っていたが自分にはその言葉は入ってこなかった

 

その『享楽』という2つ名、そして自分の名である春水………組み合わせれば『享楽』の春水もしくは『享楽』春水である

 

奇しくもそれは自分が夢に見る漫画と呼ばれる本の登場人物の一人、『京楽 春水』と同じ発音であった

 

それに気付くないなや自分は「ちょっと、聞いてるの?」と眉をひそめ、いぶかしげに聞いてくる主神を無視し、主神の机から一枚の紙をひったくると、ペンを手に取り、何事か言っている主神を無視し、これからの自分の名を書き、その名を書いた紙を主神に突き付けながら宣言する

 

「決めたよヘファイストス!!今日からボクの名前はただの『春水』でも『享楽』の春水でもない!『享楽 春水』だ!!」

 

「…………はい?」

 

左目は眼帯で覆い、右目しか露わになっていない赤髪の鍛冶の女神は、自分が拾った子供の摩訶不思議な宣言にその右目を丸くし、何を言っているのか分かっていないようであったが、そんなことは自分にとっては些事であった

 

「さあ!今からが忙しいぞ!!」

 

なんてったってあの刀を再現しないといけないのだからと当時8つの少年だった自分は心を躍らせ、主神の部屋を飛び出し工房に向かって走り出す

 

もし、自分が生まれたのは何時なのかと問われれば、今のボクは、この日、この瞬間、『享楽 春水』という自分が産まれたのだと自信を持って答えるだろう

 

 

…………まあ、それと同時に、この後『オラリオにある【ファミリア】で最も仕事をしない団長』が生まれた瞬間でもあるんだけどね

 






なんでOh悦じゃないのかって?………椿と七緒の中の人って一緒なんですよね(目逸らし)


続くかどうかは未定
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