J)さて、梨華も行っちゃったみたいだし…早速始めようか。どんな髪型にしたいんだい?
リタ)そうですね…とりあえず髪の長さを短くしてほしいです。
J)セミロングで良いかな?
リタ)はい。
J)了解。とりあえず髪を洗うからちょっと待ってて。
洗髪の準備をしている間、梨華さんに「J」と呼ばれた店員さんの様子をつぶさに観察していました。
見た感じは20代後半くらい。紫っぽい髪色のツインテールがとてもよく目につきました。
J)ん?私の顔に何かついてる?
リタ)あ、いえ…そういう訳では…
J)何だか色々と探りを入れようとしてるみたいだし、答えられることなら答えてあげるよ。
洗髪が終わり髪を乾かすタイミングで質問を切り出してみました。
リタ)えっと…それじゃあまずは、何で「J」と呼ばれてるんですか?
J)名前が長ったらしくてね。私は「ジャクリーン・マーダー」って名前なんだけどさ。「ジャクリーンさん」とか言われてもまどろっこしいだろ?だからみんな私の事を「J」って呼んでるのさ。
リタ)ジャクリーン・マーダーですか…確かに長いですね。
J)だろ?
リタ)…と言う事は、ご出身は海外と言う事ですかね?
J)そう。私はポーランド生まれイギリス育ちだよ。
リタ)ポーランドからイギリスに移住したんですか?
J)そう。私がまだ子供の時さ。
J)生まれたのはワルシャワだったんだけど、親が仕事でちょっとへましちゃったらしくてね。夜逃げ同然でリバプールに引っ越したのさ。
リタ)ほぉ…
J)それからリバプールで理容師として生計を立ててたんだ。私もその後を継いで働いてたよ。
リタ)そこから日本に来るきっかけって何だったんですか。
J)イチローって知ってるだろ?彼に心を鷲掴みにされたんだ。
リタ)イチロー選手ですか?
J)イギリスはサッカーが盛んだ。野球をやる奴はあまりいないんだ。
リタ)確かにイギリスに野球のイメージはありませんね。
J)ただ、リバプールで知り合った野球好きのお客さんに勧められてネットでイチローの試合を見たんだ。そしたらもう鷲掴みよ。
リタ)まぁ…あんなプレー見せられたら誰だって魅了されますよね。
J)そう言うのを見てしまうと、「日本って凄い人がたくさんいるんじゃないか?」って思うようになって、日本そのものに強い興味を覚えたのさ。
リタ)なるほど。
J)それからしばらくお金を貯めて日本に渡る準備をした。親にはかなり強く反発されたけど、私の意志が揺らぐことなんか微塵もなかったよ。
リタ)一度引き込まれると戻れないタイプなんですね。
J)そして日本に来たのが数年前って所だな。
リタ)それからどうやって梨華さんとお知り合いになったんですか?
J)そうだな…
続く