#23 再び生まれいずる悩み
混沌のパンケーキパーティーから半月ほど経ったある日、私は突然リタさんに呼ばれて音子猫神社に来ていた。
梨華)それで…要件と言うのは?
リタ)実はですね…
梨華)何でしょう…
リタ)猫を飼いたいんです。
梨華)…猫ですか?
リタ)先日、葵さんのお宅にお邪魔したときに、ああやって一緒に同じ時間を過ごす仲間や家族って本当に素晴らしい物なんだなって感じたんです。
梨華)なるほど…
リタ)梨華さんも知っての通り、私の周りには家族がいないんですよ。両親は既に亡くなってますし、兄と姉は連絡すらよこしてくれません。
梨華)神職の梅岡さんや柊君は夜になったら帰っちゃいますもんね。
リタ)そうなんですよ。そうなった時、私は何に縋って生きればいいのかな…って思って。
梨華)今現状ですと…猫のぬいぐるみくらいですか?
リタ)そうです。猫のぬいぐるみしかいないんですよ。そんなのあまりにも悲しいじゃないですか。
梨華)そうですね。
リタ)それに、この音子猫神社は元々猫が沢山いた神社なんですよ。私があの時ほどではないですけど猫を飼う事で更に参拝客を集めることが出来るんじゃないかな…って思ったんです。
梨華)そうですね…分かりました。うちのお姉ちゃんがお世話になっているペットショップがあるんでそこに行きましょう。そこならきっと可愛い子に会えますよ。
リタ)本当ですか!?ありがとうございます!
思い立ったが吉日と言う事で、私はリタさんを連れてそのペットショップへと向かうことにした。
町の外れにポツンと立つペットショップはひょっとしたら見逃してしまうのではないか…と思うくらいに町の風景に同化していた。
梨華)ここです。
リタ)ペットショップ…円谷?
梨華)そこは動物…お店からしたら商品ですかね。商品にもとっても優しいお店なんですよ。
リタ)と言いますと?
梨華)ここは商品を展示してないんですよ。お客さんの要望をヒアリングした上で、ブリーダーさんの方から直接商品を提供してもらって販売しているらしいんですよ。
リタ)珍しいですね。
梨華)そうすることで、展示によって動物たちにストレスを与えない…とか言う話をしていましたね。また、ペットの飼育に真摯に向き合ってくれる方に直接販売することで飼育放棄を避ける目的もあるって言ってました。
店内に入ると、確かに犬や猫の姿は一つもないちょっと殺風景な空間が広がっていました。
???)いらっしゃいませ!ようこそ!
梨華)久しぶりね円華ちゃん。
???)あ、赤田さんですか?お久しぶりです~。ユニちゃんお元気にされてますか?
梨華)元気すぎて困っちゃうくらいよ。
???)そうですか。良かったです!
リタ)あ、あの…
梨華)あ、今日はこっちのリタさんが猫を飼いたいらしいからヒアリングして欲しいのよ。
???)は~い、分かりました。こちらにどうぞ!
私は店内の片隅に設営された応接スペースに通されました。
???)まずはお名前よろしいでしょうか?
リタ)はい。音崎リタです。
???)音崎さんですね?本日ヒアリング担当させていただきます
リタ)はい…
円谷)音崎さんは猫を飼いたいとのことですが…希望品種とかございますか?
リタ)えっと…
私は神社で大事にモフモフしている猫のぬいぐるみをかばんから引っ張り出して円谷さんに見せました。
リタ)このぬいぐるみの子みたいな猫っていますか?
円谷)え~っと…この色だと…シャムですかね?
リタ)シャム…
円谷)はい!間違いないと思います。シャムはタイ原産の猫ちゃんですね。タイの旧国名がシャムなんですよ。
リタ)そうなんですか…
円谷)品種はシャムで…性別のご要望はございますか?
リタ)この子はオスなんですよ。でも女の子に間違われちゃうくらい可愛いんで、可愛いオス…とかいますかね?
円谷)なるほど…結構難易度の高い注文ですが頑張って探してみますね。
リタ)ありがとうございます。
円谷)と言う事でここまでをまとめますと…シャムのオスで可愛い子…ですね?
リタ)はい。間違いありません。
円谷)承りました!見つかり次第ご連絡いたします。本日はありがとうございました。
リタ)ありがとうございました。
続く