カンナギ   作:百瀬頼人

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#25 飼い主の卵と獣医の卵

???)あ…

 

あまりに突然の事に呆然と立ち尽くす私を見つけたその人は、ちょっと言葉に詰まりながらこう聞いてきました。

 

???)あの…ホームズを見ませんでしたか?

 

 

 

梨華)ホームズなら円華ちゃんの所じゃないかしら?

 

???)あれ?…先輩じゃないですか!!

 

梨華)そうよ。あなたの先輩よ。

 

???)どうしてこんな所に?

 

梨華)それは後で説明するから、今はホームズを捕まえなさいよ…

 

???)あ、そうでした…ありがとうございます!!

 

そう言うと、「ホームズ!!」と叫びながらその人は飛び出していきました。

 

 

 

リタ)あの子が後輩なんですか?

 

梨華)そう、彼女は「赤川さくら」。赤川動物病院の「獣医の卵」って所ね。

 

リタ)医学って難しいんですよね…確か大学は6年だった筈…

 

梨華)さくらちゃんは今も獣医学生で、あと2年で卒業だったかな…?

 

リタ)まだ2年もあるんですね…

 

 

 

暫く待合室で彼女が戻っているのを待っていると、奥から男性が出てきました。

 

???)おや、梨華ちゃんじゃないか。ユニちゃんに何かあったのかな?

 

梨華)いえいえ…あの子は元気過ぎるくらいで困ってるんですよ。

 

???)ハッハッハ…そうか。元気ならば問題ないね。

 

梨華)今日来たのは、こっちのリタさんが猫を飼うことになったんでここにお邪魔してるんですよ。

 

リタ)音崎リタです。宜しくお願いします。

 

???)音崎さんね。私はここの院長の赤川二郎です。

 

リタ)赤川先生ですね。

 

二郎)やだなぁ先生だなんて呼ばないで欲しいよ…普通に「二郎さん」で良いって。

 

梨華)この人、何故か「先生」って呼ばれるのが嫌みたいでね…

 

リタ)そうなんですか…失礼しました。

 

二郎)礼儀の正しい子だね。

 

リタ)ありがとうございます。

 

 

 

二郎)そう言えば…さっきさくらが慌てて飛び出していったけど、何があったんだろうね?

 

梨華)ホームズが脱走したみたいで…あ、戻ってきました。

 

梨華さんの声を聴いて窓の外に目をやると、さくらさんが三毛猫を捕まえて戻ってくる所でした。

 

相当抵抗されたようで、さくらさんは肩で息をしているようでした。

 

 

 

さくら)もう!何で逃げるのよ!!

 

二郎)どうしたんださくら…

 

さくら)ノミ取り薬使おうとしたら、突然暴れたのよ…これまでそんな事しなかったのに…

 

二郎)ホームズだって気に入らないことくらいあるだろうさ。そう言う動物の「心」に寄り添うのが獣医の一番大事なことだから…忘れないように。

 

さくら)分かってる…

 

 

 

さくら)先輩、先ほどはありがとうございました。ホームズは円華さんの膝の上でのんびりしていました。

 

梨華)それならよかったじゃない。

 

さくら)連れ戻そうとしたらめちゃくちゃ抵抗されましたけどね…

 

リタ)大変ですね…

 

 

 

さくら)それで今日はどういった御用で…?

 

梨華)さっきお父さんの方にも言ったんだけど、リタさんが猫を飼うことになってね…

 

リタ)私がリタさんです。

 

さくら)そうだったんですね。で、円華さんからここを紹介されたと…

 

リタ)はい。

 

さくら)と言う事は…梨華さんの事ですし、その猫とホームズを仲良しにしようと思ってますね?

 

梨華)理解が早くて助かるわ。と言う事で…さくらちゃんをお借りして良いですかね?二郎先生?

 

二郎)構わないよ。あと、先生はやめて欲しいなぁ…

 

梨華)ありがとうございます。じゃあ行きましょうかリタさん。

 

リタ)あ、はい…

 

続く

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