カンナギ   作:百瀬頼人

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第X章 榎本詩音の貴重なオフ
番外編 私と兄貴の日曜日


日曜日。

 

多くの人が休日になるこの日。

 

基本的に定休日の無い私も、たまにオフを作ってゆっくりすることがある。

 

 

 

今日は、丁度そんな日曜日だ。

 

いつもより少し遅く起きて、予定を確認する。

 

当然何もない。とても良い事だ。

 

 

 

詩音)どうしよっかな~

 

ぼんやりとした頭をちょっと働かせて何をするか考える。

 

 

 

詩音)そう言えば…

 

私は、ふと思い立って隣の部屋に向かった。

 

 

 

隣の部屋では、1つ年上の兄貴が寝ている。

 

兄貴も仕事が休みで完全に休日モードだ。

 

 

 

詩音)なぁ、兄貴…起きてるか?

 

???)…何?

 

詩音)最近洋服買ってなかったよな?

 

???)…そうだった気がする。

 

詩音)今日暇だろ?私も予定無いしさ、一緒に服を買いに行かないか?

 

???)…うん。良いよ。

 

詩音)OK…とりあえず朝飯作っておくな。

 

???)おぅ…

 

 

 

30分ほどかけて、簡単な朝食を作る。

 

それを食べながら待っていると、兄貴が眠そうな顔をしながらやってきた。

 

 

 

詩音)冷める前に食べな。

 

???)ありがとう。

 

 

 

兄貴はモソモソと朝飯を食べていた。

 

 

 

詩音)片づけとくよ。

 

???)ん。

 

詩音)兄貴はとりあえず着替えな。

 

???)ん。

 

 

 

兄貴は部屋に戻って洋服に着替えてきた。

 

 

 

詩音)兄貴…その服何日連続で着てるんだよ…

 

???)今日出そうと思ってたんだけどなぁ…

 

詩音)まぁいいや。とりあえず洋服探しに行くか。

 

???)おう。

 

 

 

私が出かけるときは、必ず帽子と伊達眼鏡を装備するようにしている。

 

 

 

???)なぁ、ヤミさん…

 

詩音)何だよ。

 

???)顔出ししてないのに何で変装してるんだよ。

 

詩音)いつ顔バレするか分かんねぇだろ?だから常に対策しとかないと…

 

???)そういうもんなのかねぇ…

 

詩音)そういうもんさ。私の知り合いの顔出ししてない配信者も、外出先でバレたらしいからな…

 

???)よほど特徴的な声だったのか?

 

詩音)そんな所だな。

 

 

 

そんなこんなで、洋服屋に到着した。

 

 

 

???)…

 

詩音)兄貴?大丈夫か?

 

???)…あんなに寝たのに眠いかもしれん。

 

詩音)やっぱりか…どうする?

 

???)とりあえずついていくよ。チョイスは任せるよ。

 

詩音)はぁ…しょうがねぇな。

 

 

 

私の後ろで眠そうにしている兄貴をとりあえず放置して、兄貴に合いそうな服を探す。

 

兄貴は紫が大好きだ。紫色の洋服を優先的に選んでいく。

 

 

 

???)…

 

詩音)起きてるか~?

 

???)起きてるよ…

 

詩音)こんな感じでどうだ?

 

 

 

見繕った服を兄貴に渡す。

 

 

 

???)ん~…洋服は全く分からんからこれで良いや…

 

詩音)そうか。なら、これを買ってきな。

 

???)いつも助かる…ありがとうな。

 

 

 

会計を済ませて、兄貴は大きな袋を持って戻ってきた。

 

 

 

???)他にどこか行きたいところは無いか?

 

詩音)そうだな…もう少しだけ買い物に付き合ってくれないか?

 

???)良いけど、どこに行くんだ?

 

詩音)いや…まぁ、とりあえずついて来てくれれば良いからさ。

 

???)…まぁいいや。付き合ってあげるよ。

 

詩音)ありがとう。

 

 

 

私は、何軒か店を回って欲しかった物を買っていった。

 

 

 

???)それにしても結構な量買うんだな。

 

詩音)配信者仲間にちょっとしたサプライズを考えていたんだ。今度会う時にこっそり渡そうと思ってな。

 

???)誕生日とかか?

 

詩音)いや、周年が近いんだ。

 

???)なるほどな…

 

詩音)あいつが欲しがってそうなものをある程度調べておいたから…それを探していたって訳。

 

???)そうか…喜んでもらえたらいいな。

 

 

 

結局、私が買ったものは全て兄貴が持ってくれた。

 

詩音)重くないか?

 

???)大丈夫。

 

詩音)そっか…

 

 

 

…普段からそこまで会話はないとはいえ、この状況は結構気まずい。

 

 

 

詩音)兄貴、最近仕事の調子はどうなんだ?

 

???)ぼちぼちってところかな。大きなアクシデントとかも起こってないし。

 

詩音)そりゃ良かった。私も兄貴がいないとちょっと寂しいしな。

 

???)…何だよ急に。

 

詩音)良いだろ?私は兄貴の妹なんだからさ、たまには甘えたって…

 

???)そんな柄じゃないだろ。たまに僕のことを呼び捨てで呼んでいる癖に。

 

詩音)結構昔のことじゃん…なんでそんなこと覚えてるの?

 

???)悪いな。僕は忘れられない性分なんでね。

 

 

 

???)そういえば、この前梨華と会ったって言ってたよな。何してたんだ?

 

詩音)梨華さんと葵ちゃんと…あともう一人がうちに来て、パンケーキを食べてたんだ。

 

???)ちょっと騒がしいなとは思っていたけど、そういうことか…もう一人っていうのは?

 

詩音)梨華さんが最近知り合ったって言ってたな。名前は確か…音崎…とか言ってたかな。

 

???)音崎…聞いたことないな。多分大学にそんな人は居なかったはずだ。

 

詩音)兄貴は知らないのか。この街の山手の方の神社の巫女さんらしい。

 

???)…知らないな。

 

詩音)情報通の兄貴が知らないって相当だな。

 

???)さすがに情報収集を疎かにしていたかもしれないな…また梨華に会いに行くか…

 

詩音)その方が良いかもな。

 

 

 

そんなこんなで、大体1時間くらい色んな店を回っていって買い物は終了した。

 

 

 

詩音)兄貴、助かったよ。ありがとな。

 

???)おう。

 

 

 

時計を見ると、時刻は丁度正午を回ったくらいだった。

 

まだ半分もある。どうしたもんか…

 

兄貴は部屋に戻ると、ガッツリと趣味に没頭していた。この感じだとしばらくは部屋を出てくる感じはなさそうだ。

 

詩音)とりあえず昼ご飯でも作るか…

 

そう呟くと、私は台所に向かっていった。

 

続く

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