番外編 私と兄貴の日曜日
日曜日。
多くの人が休日になるこの日。
基本的に定休日の無い私も、たまにオフを作ってゆっくりすることがある。
今日は、丁度そんな日曜日だ。
いつもより少し遅く起きて、予定を確認する。
当然何もない。とても良い事だ。
詩音)どうしよっかな~
ぼんやりとした頭をちょっと働かせて何をするか考える。
詩音)そう言えば…
私は、ふと思い立って隣の部屋に向かった。
隣の部屋では、1つ年上の兄貴が寝ている。
兄貴も仕事が休みで完全に休日モードだ。
詩音)なぁ、兄貴…起きてるか?
???)…何?
詩音)最近洋服買ってなかったよな?
???)…そうだった気がする。
詩音)今日暇だろ?私も予定無いしさ、一緒に服を買いに行かないか?
???)…うん。良いよ。
詩音)OK…とりあえず朝飯作っておくな。
???)おぅ…
30分ほどかけて、簡単な朝食を作る。
それを食べながら待っていると、兄貴が眠そうな顔をしながらやってきた。
詩音)冷める前に食べな。
???)ありがとう。
兄貴はモソモソと朝飯を食べていた。
詩音)片づけとくよ。
???)ん。
詩音)兄貴はとりあえず着替えな。
???)ん。
兄貴は部屋に戻って洋服に着替えてきた。
詩音)兄貴…その服何日連続で着てるんだよ…
???)今日出そうと思ってたんだけどなぁ…
詩音)まぁいいや。とりあえず洋服探しに行くか。
???)おう。
私が出かけるときは、必ず帽子と伊達眼鏡を装備するようにしている。
???)なぁ、ヤミさん…
詩音)何だよ。
???)顔出ししてないのに何で変装してるんだよ。
詩音)いつ顔バレするか分かんねぇだろ?だから常に対策しとかないと…
???)そういうもんなのかねぇ…
詩音)そういうもんさ。私の知り合いの顔出ししてない配信者も、外出先でバレたらしいからな…
???)よほど特徴的な声だったのか?
詩音)そんな所だな。
そんなこんなで、洋服屋に到着した。
???)…
詩音)兄貴?大丈夫か?
???)…あんなに寝たのに眠いかもしれん。
詩音)やっぱりか…どうする?
???)とりあえずついていくよ。チョイスは任せるよ。
詩音)はぁ…しょうがねぇな。
私の後ろで眠そうにしている兄貴をとりあえず放置して、兄貴に合いそうな服を探す。
兄貴は紫が大好きだ。紫色の洋服を優先的に選んでいく。
???)…
詩音)起きてるか~?
???)起きてるよ…
詩音)こんな感じでどうだ?
見繕った服を兄貴に渡す。
???)ん~…洋服は全く分からんからこれで良いや…
詩音)そうか。なら、これを買ってきな。
???)いつも助かる…ありがとうな。
会計を済ませて、兄貴は大きな袋を持って戻ってきた。
???)他にどこか行きたいところは無いか?
詩音)そうだな…もう少しだけ買い物に付き合ってくれないか?
???)良いけど、どこに行くんだ?
詩音)いや…まぁ、とりあえずついて来てくれれば良いからさ。
???)…まぁいいや。付き合ってあげるよ。
詩音)ありがとう。
私は、何軒か店を回って欲しかった物を買っていった。
???)それにしても結構な量買うんだな。
詩音)配信者仲間にちょっとしたサプライズを考えていたんだ。今度会う時にこっそり渡そうと思ってな。
???)誕生日とかか?
詩音)いや、周年が近いんだ。
???)なるほどな…
詩音)あいつが欲しがってそうなものをある程度調べておいたから…それを探していたって訳。
???)そうか…喜んでもらえたらいいな。
結局、私が買ったものは全て兄貴が持ってくれた。
詩音)重くないか?
???)大丈夫。
詩音)そっか…
…普段からそこまで会話はないとはいえ、この状況は結構気まずい。
詩音)兄貴、最近仕事の調子はどうなんだ?
???)ぼちぼちってところかな。大きなアクシデントとかも起こってないし。
詩音)そりゃ良かった。私も兄貴がいないとちょっと寂しいしな。
???)…何だよ急に。
詩音)良いだろ?私は兄貴の妹なんだからさ、たまには甘えたって…
???)そんな柄じゃないだろ。たまに僕のことを呼び捨てで呼んでいる癖に。
詩音)結構昔のことじゃん…なんでそんなこと覚えてるの?
???)悪いな。僕は忘れられない性分なんでね。
???)そういえば、この前梨華と会ったって言ってたよな。何してたんだ?
詩音)梨華さんと葵ちゃんと…あともう一人がうちに来て、パンケーキを食べてたんだ。
???)ちょっと騒がしいなとは思っていたけど、そういうことか…もう一人っていうのは?
詩音)梨華さんが最近知り合ったって言ってたな。名前は確か…音崎…とか言ってたかな。
???)音崎…聞いたことないな。多分大学にそんな人は居なかったはずだ。
詩音)兄貴は知らないのか。この街の山手の方の神社の巫女さんらしい。
???)…知らないな。
詩音)情報通の兄貴が知らないって相当だな。
???)さすがに情報収集を疎かにしていたかもしれないな…また梨華に会いに行くか…
詩音)その方が良いかもな。
そんなこんなで、大体1時間くらい色んな店を回っていって買い物は終了した。
詩音)兄貴、助かったよ。ありがとな。
???)おう。
時計を見ると、時刻は丁度正午を回ったくらいだった。
まだ半分もある。どうしたもんか…
兄貴は部屋に戻ると、ガッツリと趣味に没頭していた。この感じだとしばらくは部屋を出てくる感じはなさそうだ。
詩音)とりあえず昼ご飯でも作るか…
そう呟くと、私は台所に向かっていった。
続く