東方南Q阿伝   作:鼠日十二

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レポート課題提出し忘れた記念に書き上げた
これからメールを待つ


第五和

 レミリアは吸血鬼の眷属である蝙蝠と視覚を同期させ、屋敷の内部を見回っていた。パチュリーが白黒の魔法使いに負けたのを見て、やはり喘息は詠唱に向かないなと思う。

 実際のところパチュリーが得意なのは唱える必要のない魔法陣だったりあるいは研究だったりする。

 

 フランの狂気が最も引き出されやすいのは満月の夜だ。これは吸血鬼の本能が最も強まり、理性が薄くなるからではないかとパチュリーは考え、月の光と吸血鬼の弱点である日の光、両方遮る方法として選ばれたのが『魔力の籠められた赤い霧で特定の地域を覆いつくすこと』だった。これでフランは一先ず外出が可能になるはずだ。

 

 赤い霧を生み出す魔法はパチュリーが、運用するための魔力はレミリアが賄っている。いろいろと世話になってばかりだ、今度何か労いの品を用意すべきだが……今は、侵入者を潰すのが先だろう。

 

 

「フランは待っていてね。すぐに戻ってくるから」

「わたしも……」

「駄目よ、危険すぎる。貴女に何かあったら困るわ」

 

 

 

 レミリアは最後にフランを抱きしめて、部屋から出て行った。フランはその姿を見送りつつ、そういえばと思い出した。

 

「南久阿はわたしが弾幕勝負するような言い方だったわ。それってつまり、お姉さまが負けるってことかしら?……まさかね」

 

 

 

 そういいつつ、フランの心配は心の中で燻り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レミリアは紅魔館の上空に満月を背負って浮かんでいた。霧はその下に地面を覆うようにあるため、視界は遮らない。これ見よがしに魔力を垂れ流してやれば、人間が二人釣れた。

 

 

 

 

 

「げ、同時かよ」

「競争に参加した覚えはないわ。私はあれを倒してさっさと帰りたいの」

 

 

 

「大きく出たものだ。私はレミリア・スカーレット、この紅魔館の主にして吸血鬼」

「霧雨魔理沙、普通の魔法使いだぜ」

「……博麗霊夢、巫女よ。紅い霧はあんたの仕業で間違いないわね。返事は要らないわ、あんたをぶちのめした後に訊くから」

 

 

 魔理沙がひきつった笑いを浮かべているが、霊夢は無視した。霧が収まりさえすれば何でもいいと考えているのが魔理沙には手に取るように分かった。

 

 

「ふむ。構わん、二人相手にしてやる。今宵は満月だからな」

 

「……おい霊夢。一時休戦といこうじゃないか」

「別に競争してないっての。でもいいわ、あれはさすがに気に入らない」

 

 

 霊夢は札を、魔理沙は八卦炉を構えた。

 

「大蒜も聖水も十字架もないが、私の火力はその上を行くぜ?」

「弱点があるというのは、裏返せばそれ以外の行動が意味を為さないということだということを知るといい……天罰『スターオブダビデ』」

 

 

 

 レミリアを中心として圧倒的な密度で生成される紅色の球と光条。霊夢は顔を少し顰めながら避け、魔理沙は面倒になったのか対抗してスペルを宣言した。

 

 

「ああもう、魔符『スターダストレヴァリエ(魅力的な幻想)』!」

 

 

 それは名の通り見るものを引き込むように形成される弾幕の結界である。星形の小型弾幕はその外側には列をなしてばら撒かれ、内側では緩やかに中心に集められるような軌道を描く。本来その外にいる相手には相当量の弾幕が襲い掛かるため内側に入らざるを得ない弾幕だが、レミリアには相殺されて届かなかった。むしろ煽りを食ったのは割と近くにいた霊夢だったりする。

 

 

「邪魔しないで」

「す、すまん霊夢。何分協力して弾幕するのは初めてでな」

 

 

 レミリアはその様子を見てさらに煽る。

「おや、人間の唯一の強みである団結すらできないのか?拍子抜けだな」

 

「……私は一人で十分強いわ。夢符『封魔陣』」

 

 

 

 霊夢は使い慣れたスペルを宣言する。このスペルは全方位、広範囲をカバーできるよう考案されたものであるがゆえに、その辺の小さい妖怪なんかには効果を十全に発揮できる……が、今回は相手が悪かった。満月の夜の吸血鬼はその性能が引き上げられている。

 

 

 レミリアはその羽を器用に操り、滑らかに回避する。その行動の端々に余裕が見てとれたが、魔理沙はそれどころじゃなかった。つまりはさっきの焼き増しのように、霊夢の弾幕は魔理沙にも届くのである。魔理沙は文句は言わないことにした。そんな暇がなかったから。

 

 

「……つまらん。これで終わらせるぞ、紅符『スカーレットマイスタ』」

 

 

 それは規則性などないただ圧倒的な物質量の弾幕。大きい弾幕の隙間を小さい弾幕が埋め尽くすような、面で押しつぶす弾幕である。恐ろしいのは正面から見た際隙間がないように見える点だ。さらにそれぞれの弾幕で速さが違うため、一秒後には隙間がつぶれていることもある。

 

 

 

魔理沙は焦った。いやだってこれどう考えても被弾するでしょ。用意した三枚の弾幕のうち一枚はさっき使ったからなくて、もう二枚は取っておきたい、というのが正直な気持ちだけど……()()()()()()()()()()()()()なんだよな……。仕方ない。最終手段といくか。

 

 

「霊夢!」

「なによ」

「匿ってくれ」

 

「……は?」

「私はこの弾幕が明けたと同時に全火力をつぎ込むつもりだからスペルカードを温存したい」

「嫌よ、一人でやればいいわ」

「霊夢は一点に集中した弾幕を持ってないだろ」

 

 

 事実である。集中させずとも相殺どころか相手の弾幕をぶち抜いてこれたのでわざわざ範囲を狭める必要がなかったのである。

 

 

「レミリアはまだ本気の弾幕じゃないはずだ、ここでどっちかが脱落するのは得策じゃないだろ?」

「……ああもう、わかったわよ!私の後ろにくっついてなさい、邪魔したらぶちのめすわ。夢符『二重結界』」

 

 

 霊夢のスペルカードはその名の通り二種の札が交互に広がっていくものだ。どちらかといえば守りのための弾幕なので霊夢はほとんど使うことがない。幾層にも重ねられた札の結界は十分にその役目を果たし、レミリアの弾幕が終わりを迎えるのと同時魔理沙はスペルを宣言した。

 

 

 魔理沙の代名詞とでもいうべき弾幕。

 

それはばら撒くというにはあまりにも大きすぎた

大きく

分厚く

太く

そして大雑把すぎた

それはまさに光芒(スパーク)だった

 

 

 

「──恋符『マスタースパーク』ッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




star(-dust)
1:星屑
2:うっとりするような魅力、魅惑



reverie
1:空想、夢想、幻想
2:幻想曲





どうも。みずねです。


最初に補足をば。うち独自のものですが、スペルカードのルールは最終的な被弾数とどれだけ華麗に避けられたか、弾幕自体の美しさが採点基準となります。

被弾がほぼ、華麗さはサブくらいの配点だと思っていいただければいいかなあと。同点だった時参考にする、みたいな。


で。最近段落の文頭で空白を開けるという行為を思い出し採用したのですが……どうなんでしょう。見やすいのかな?
私の一個前の東方の作品はそういうのまったく気にしないで書いてたので今思うと相当見にくい文かもしれない。

でも直さないです。四十話近くあるのですべてやるのは苦行以外の何物でもないからね。



どうでもいい話ですが私は語呂がいいのが好きなので似たような単語を使いがちです。「容赦ないな」→「時間ないの」とか。そーいういみでは今回は台詞に力を入れたいと思っております。がんばるぞい






ではまた
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