東方南Q阿伝   作:鼠日十二

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魔理沙とレミリアはめちゃでかいハンモックの上で寝転がるような姿をご想像ください。


第七和

 先手はフランだった。そのスペルに冠された「禁忌」という単語は、籠める魔力量によっては相手を殺しかねないところからきている。

 

 

「禁忌『カゴメカゴメ』」

 

 

 霊夢の周囲に格子状に緑色の弾幕が生成される。まさに座敷牢、籠女(カゴメ)とはフランの置かれた境遇そのものだ。格子はぐずぐずと崩れ去り、まばらな列のようになって霊夢に襲い掛かる。さらにフランは大玉の弾幕をいくつか生成して、

 

 

「おまけ。力の使い方に慣れとかないと」

 

 

 大玉を握りつぶす。籠められた魔力は暴発し、弾幕の軌道を変えて四方八方に散らばらせた。質の悪いことに破壊しない大玉も混ぜ込んでいる……が、霊夢はまるで後ろが見えているかのようにそれを回避しつくした。フランが意外そうな顔をする。

 

 

 

「……残念だけど。私に死角から、とか無意識の領域からっていうのは通用しないの。続けても意味はないわよ」

「なら正面火力で焼き切ろう……禁忌『レーヴァテイン』」

 

 

 フランは効かないとわかるとさっさと使用を取りやめ、次のスペカに移行した。右手に圧倒的な熱量を持つ大剣が生じる。悠々と霊夢まで届く距離のそれをフランは思い切り振り回した。

 

 

「さすがに人の身で高熱には耐えられないだろう」

「当たらなければいいのよ。夢符『二重結界』」

 

 

 

 

 レーヴァテインを振ることで飛び出した粒状の弾幕は霊夢の結界を数層はうがつことができたものの、その生成速度にはいささか届かない。レーヴァテインを振った範囲は焼き尽くせるが……霊夢は全て距離をとることで回避して見せた。

 

 

「質も高いのか……中のそれの所為か?」

「何を言っているのかわからないけど、来ないのならこちらから行くわ……まずは夢符『封魔陣』」

 

 

 ただしちょっと違うけど、と霊夢はつぶやいた。本来は生成された札が三つに分かれることで花のように広がる弾幕だが、その回数が増えている。毛細血管のように先々で分岐を繰り返すそれは確実にとらえる、動きを封じるためのもの。

 

 

「焼き切ればいいだけ、同じことを繰り返しても無駄だ」

「あんたがそこから動かなきゃ十分なのよ、さっさと封印されなさい。霊符……『夢想封印』!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (南久阿)はレミリアに自己紹介を済ませた。状況に対する説明を求める、とその眼が主張している。

 

 

 

「フランドールは狂気に侵されているというのは知っているだろう。私はそれを治すために来た」

「うちの魔女が匙を投げた代物だぞ、そう簡単にいくと思えん」

「あれは神の領分だ。お前たちをここに寄せたのは理由がある」

 

 

 この巣はただのクッションではない。蜘蛛の巣の幾何学模様は陣として通ずるものがあり、一種の結界や触媒として利用できるのだ。フランと話した時もこれを応用している。

 

 

 

「蜘蛛の巣に魔力を流せ。吸血鬼と魔法使いの上質な魔力が欲しい」

「信じろと?」

「レミリアが信じようが信じまいが私はやる」

 

 

 レミリアは口を閉ざした、私のことを信用するべきか悩んでいるのだろう。代わりに魔理沙が口を開く。

 

 

「私はいいぜ。どうせ自力じゃ出れなそうだし……それに南久阿が何をするのか興味があるからな」

「そうか。私の糸は魔力も通せるからそこに流し込め」

 

 

「……今回きりだ。どうもこれ以上に良い手はないらしい」

「任せろ。後は祈るだけでいい」

 

 

 私は空を見上げる。霊夢の放つ夢想封印がフランによって無理やり破壊された……あれは反則だろうが、フランの中の狂気にも余裕がないのだろう。この辺が頃合いか。

 私はため込んだ力をゆっくり引き出していく。その過程、私の周囲に羽衣が、次に勾玉がつなげられた首飾りが現れた。一時的に元の姿に近づいているのだ。

 

 

 嘗て神々がその力を存分にふるうことのできた時代、私が力を失う前の姿に。

 

 

 

 

「レミリア、魔理沙、頼む。魔方陣に魔力を流すような感じだ」

「言われなくてもやってるぜ」

 

 

 

 

 この蜘蛛魔方陣は舞台装置、私の力を増幅する神域のようなもの。さあ大捕り物の幕引きと行こうじゃないか。私はその姿で霊夢の傍まで浮かび上がった。

 

 

「南久阿!?」

「霊夢、見ておくといい。願いというのがどれほど可能性を秘めた力か」

 

 

 そしてフランの方を向く。

 

 

「フラン!」

なぜ、それを……お願い!禁忌『フォーオブアカインド』ッ!」

 

 

 それはフランの体と精神を四つに分ける、自我同一性の危機という意味での「禁忌」。新しく体を三つ用意する必要があるため膨大な魔力を必要とし、()()()()くらいしか発動できないスペルカード。

 そして、四つに分かれたフランのうち一人は狂気を宿している。

 

 

 

 私は両手を上に掲げ、力を閉じ込めた球を生み出した。それを狂気めがけて、

 

 

「出ていけ。ここは我らのための世界だ──神事『鬼は外』」

 

 

 思い切り撃ち出す。球は光を放ちながら巫女のような姿に形を変えた……つまりは、「祈るもの」の象徴。

 

 

 

避けられずとも、壊せば何の問題もないッ!

 

 フラン(狂気)はその右手を握りしめた。その破壊能力は四つに分かれても健在だ、しかしながら──

 

 

 

何故、何故壊れない!

「フランは数百年、レミリアはそれ以上『狂気を治すこと』を願ってきた。何度も挫折し、それでも運命を信じた」

 

 

 光がフラン(狂気)に迫る。

 

 

 

「壊れないのではない。何度でも蘇るのだ」

脱出を──

 

 

 

 

 先ほど使用した蜘蛛魔方陣はもう役目を終えて消え去ったため、レミリアと魔理沙は解放されている。夜が吹き飛ぶような光の後に、フランは気を失ったように落ちていった。分裂した残りがいないことを見るに、きっと魔力が底をついたのだろう。レミリアが優しく抱き留めたのが見えた。

 

 

 

 

 赤い霧は晴れ、紅魔異変はおそらく最良の結果に収束した。後は……紫に会うくらいか。霊夢を置いて私は高度を下げた。こんなにもいい夜だから、物思いに耽るにはちょうどいいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 宴会というのは博麗の巫女と異変を起こした存在が酒を酌み交わすことで異変の収束をアピールすることが目的らしい(紫談)。ということであまり関係ないと判断した私は早々に宴会から抜け、紫を探していた。こういう時紫は大体屋根の上とかにいるので、割と見つけやすい。

 

 

 

「私に何か用かしら」

「そうだ。フランに取りついていたゴミについて」

「……そうね、貴女にも見せる必要はある」

 

 

 紫に招待され私はスキマの中に入り込んだ。暗いようでいてしっかり相手が見える奇妙な空間だ。そこには私たちのほかにもう一つモノが存在していた。

 それは縄で幾重にも縛られ、札を何枚も張られ身動きが取れなくなった人型。サイズはまさに人間のそれ、違うところといえば全身が黒いことと顔の代わりに大きな三重の円が描かれていること、髪のように六本ほど触手が生えていることだ。

 

 

「この存在についてわかっているのは不安定な神や妖怪に憑りついて正気を失わせるということ。それ以外全く情報がないのが現状よ」

「紫が幻想郷を拓いたのはこれの所為か」

 

「ええ。もとから力のない妖怪が乗っ取られ続ければそのうち妖怪という種は死に絶える。だからこそこれらが入ってこれないような世界を作る必要があった。今回は吸血鬼たちが無理やり入ってきたこと、もとから取りつかれた存在がいたせいで侵入を許してしまったけれど」

「そうか。呼び方は決まっているのか?」

 

 

 

 

「ええ。便宜上この種を私たちは『渡来神』と呼んでいるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








人生~人生~
つらしっくパーク~
食べて寝るだけの~
ラ~ララ~ラ~








作者にありがちな高速展開。いい加減この癖治したい。








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