読者様にお任せします。
ベヒモス変種・・・アイツの正式名称だろう。
ここで、男の子ならベヒモスの親玉なんだからグレートベヒモスでいいじゃんとか思う所なのだが、凛には、その命名は思いつかなかった。変わりに何が変なのかを考えてしまう所だ。
ユミルという少女いや、魔神から頂いたジュビ人という異星文明人が開発したというピアス型インターフェース。
これのおかげで今、私は大いに助かっている。
と、いうのも、この機械のおかげで、アイツの情報が駄々洩れ状態にあるのだ。
「いったいどうやって調べているんだか・・・・」
全く以って疑問に思うが、考えてもわからないので、すぐに頭から外した。途端に、スーキーがその疑問を解いてくる。
「私に不可能はないのです!(えっへん)」
だそうです。私は、言葉に困る。とりあえず、横にどけて置こう、、、、、。
まず、あのベヒモス変種の変の部分は、全身に雷系のバリアのような物を前面に張っているため、遠距離系等の射撃関連は、攻撃が反らされてしまって効果が薄いらしいようだ。
もっとも、そのバリアの出力を超える攻撃が出来れば何の問題もないらしい。あと、後ろからの攻撃も有効。
次に背中の噴火口のような出っ張りから撃ち出す塊は、土系の固有魔法で、ベヒモス変種とは別の魔獣が寄生・・・・共生かな?しているだけのようだ。
ちなみに、噴火口のような物は、スターラという名の魔獣だそうだ。
読んで字の如く、ゴツゴツしたヒトデがくっついてます。
口から吐き出すレーザー兵器のようなのは、アイツの固有魔法のようだが、ベヒモス変種の固有魔法は、他にも重量軽減を持っているようだ。
という事は、普通の魔獣は固有魔法は1つなのに対して、2つ持ち。
例外・・・・なんだろうか。
周りにいる巨大な亀ことベヒモスは、頭の赤熱化してのジャンプ突撃という固有魔法がある。名前は、「ヒートチャージ」というらしい。
そのベヒモスもグレートベヒモスも弱点箇所は一緒で、お腹の下が弱い。
そこの皮膚だけは、他に比べて脆いと書いてありスーキーがバンバン調べてくれているようだ。
どうも私が所持しているスキルや出来る事を調べてスーキーが模擬戦闘シミュレーションをしてくれているようだ。
次に攻略法だが、色々な攻略順序が頭の中で構築される。
色々な倒し方が考案されているが、恥ずかしい話ながら、自分の弱さ、技術力の無さからは選り好みをしている場合ではないと判断する。
また、死ぬ思いをして誰かが助けてくれるとは思えないからだ。
さすがに偶然は1度起これば十分だ。
どういう魔法を撃つかは、疑似戦闘シミュレーションにて、どういう形にしたらいいかの脳内イメージは出来ているので割と簡単に魔法を発動する事ができる。
やはりイメージが重要のようだ。そして、発動キーとなる言葉を口にする。
「ウォーターホース!!」
本当ならタイダルウェーブというのが正しいのかもしれないが、そんな言葉は知らないので、かなり適当な名前を付けている。
言うなれば、横向き火炎竜巻の水版といった形だろうか。
凛のバカ魔力を用いた魔法で具現化した大量の水を超圧縮しコンクリートのような硬さの水をぶつける魔法となった。
テレビゲーム等のゲームをプレイした事のある人間にはさして難しい単語ではないが、ゲームをやった事のない凛には難しい言葉だった。
大量の水がベヒモスとグレートベヒモスに向かっていき飲み込まれる、いや、ぶつかる。
その場にいたベヒモス達にウォーターホースを、その都度ぶつけていく。
ぶつけられたベヒモスは、悲鳴のような声を上げて壁へと叩きつけられる。
しかし、濡れたベヒモス変種は焦っていたかのように巨大な咆哮を浴びせて来た。
空間がビリビリと痺れるような激しく大きい音に私は両手で耳を抑え目を瞑り、その場で中腰になって屈んでしまう。
目を閉じていても、真っ暗な視界には、視覚ユーザーインターフェースのアイコンが見えていて、左上には状態異常アイコンが点灯した。
硬直と麻痺
この2つが点灯している。効果時間はどれも十秒程度だが、致命傷を貰うには十分な時間だった。
スーキーが勝手な作業を開始しているのを私は見ていることしかできない。
「なぜ、そこで大工の姿になっているの!?」と、ツッコミをしたい感じに、スーキーは大工の格好で、私の視野内では、私を模したデフォルメキャラを金槌で叩くモーションをしていた。
そして、デフォルメキャラの上部分にある文字が点灯すると、祝うような感じに花火と花びらが舞う。が、すぐに右端にその文字とキャラが移動して、文字だけ表示となる。
『オートダメージコントロール!』
回復魔法の派生スキルが自動的に追加されて機能し、硬直と麻痺が解けた。
なにこれ!便利すぎる!!
と、心の中から声が出てくるが、誰も聞いていないし、聞こえない。
素直に感想を持ちつつ、ベヒモス達の頭が赤熱してからのヒートチャージを後方に飛んで避けつつ、そこへライトニングを乱発して、そのすべてをベヒモスの頭部に突き刺す。そして、着地をすると、そこへ赤白レーザーが突っ込んでくる。トドメを刺したベヒモスが簡単に蒸発する程の威力が目前に迫る。
「絶!!」
ピキーーーーンッ!!
絶は、私が使える最大級の防御スペルだ。
最高峰の聖絶と比べれば、天と地程の差があるスキルで、最大級というと語弊があるが、結界師が最初に覚える事が出来るのが、絶であるから、完全初歩魔法である。
その防御魔法である「絶」を疑似戦闘シミュレーションであるスーキーが自動で絶妙な角度をつけてくれて、「絶」で防御しうるようにレーザーの斜光板とする。
赤白レーザーが結界魔法に当たった衝撃で幾つかに分裂して、さながら流星雨のように後方へと着弾して、クレーターを作り上げていく。
結界魔法が砕けないのは、赤白レーザーが弱いわけではなく、私が絶に込める魔力が通常のそれを超えているためと、通常の絶とは思えない程の厚さを有しているため、それとスーキーによる支援のおかげだ。
私は、絶を二つ折りへと変化させて凸の形を作り、レーザーを2つに割る。
そうすると、レーザーは二つに分かれて互いに壁へと突き進んでいく。
絶を2つ折りにした事で、折った部分を集中強化する事でなんとか防ごうとしていた。が、レーザーの威力が高すぎるため、絶が砕け散る瞬間に上空へと跳躍をする。
すると、遅れてレーザーも追尾してくる。
「ウォーターホース!!」
大量の水とレーザーが合わさり、私とベヒモス変種の中間で大爆発を引き起こし地面が揺れ、空気が揺れ、空間が揺れる。
そして、空間全体に水蒸気の霧が立ち籠った。
爆発の爆風で吹き飛ばされるが、空中で態勢を整えつつ、ダメージを防ぐためにスケボーの要領で地面側に結界魔法を発動させて滑るように着地する。
「っとっととぉー、なんとか上手く着地できたかなー?」
ふと、私、こんなに運動神経高かったっけ?と疑問に思うが、とりあえず、ステータスを・・・・いやいや、そんな事をしている場合ではない、スルーだ。
着地と同時に転びそうになりながらも、爆発の影響で霧が立ち籠っている間に鍾乳石の岩陰へと走り込みながら、トラウムソルジャーの集団と対峙する。
気配感知をスーキーがフルに使って、脳内に三次元立体映像処理が施された敵配置地図が投影されて、トラウムソルジャーを駆逐していくのだが、トラウムソルジャーは目で見ているわけではないというように適格に襲ってくる。だが、此方も自分が思っている以上に敵の動きがわかった。
それが、スーキーのおかげなのであるが・・・・。
「右です。」「左です。」「前です。」「右です。」「右です。」「後です。」
うるさい・・・・。
そして、スーキーの一部でもある疑似戦闘シミュレーションが働き、魔法のイメージを伝えてくる。氷の剣を薄く薄くして固めた剣、鋭利な刃物状態だ。今までの雷のこん棒とはわけが違う。
ひたすら切り裂く。縦横無尽に動き、時には八双飛びを繰り返して舞踏無双を続ける。ケガを負っても動けなくなるレベルの傷なら『オートダメージコントロール』が自動発動して、勝手に治癒される。
ある程度のトラウムソルジャーを片付けつつ普通のベヒモスをも掃討する。
粗方、掃討が終わった所で、ベヒモス変種に移る。
ベヒモス変種は相変わらず、この霧の中で立ち往生しているようで、音のする方向を向いたりしていて、位置が掴めていないようであった。
それもそのはずで、舞踏スキル等を駆使した動きは、ベヒモス変種をぐるりと一回りする形で掃討作業を行っていたので、
なので、まずは魔法で。
「とんがり!!」
土系の魔法で、本来は「グレイブ」という名前が正しいと思われる魔法で、槍状の物を大地から生やす魔法を亀の右脇腹を持ちあげバランスを崩させた所へ「ウォーターホース!!」を叩き込み、泉へと落とそうとするが、そこは特殊個体の魔獣。
まるでわかっていたかのように、頭を此方へと向けて、口からレーザーを吐いて、ウォーターホースに当ててきた。
またまた冷たい水と高温とが接触して大爆発を引き起こし、地面と空間が刺激を受ける。さすがに持ちそうにないよ、この空間。
パラパラと崩落も始まっているようだ。
「これだけの爆発を直で浴びて何ともないなんてすごいな親ボス!」
対する私はというと、咄嗟に結界魔法で防御する。ただし、面としての防御力はそんなにないため、自発的に結界魔法を傾斜して威力の分散を行っている状況だ。
スーキーの援護なしに行えたのは奇跡かもしれない。
スーキーも「おお!」とか感嘆の声を上げている。そこ、うるさいよ!
そうしていると、僅かに残っていたトラウムソルジャーが襲ってくる。
「もう、いったい後何匹いるのよ!」
愚痴に愚痴を重ねるしかないが、もう、かなり倒したはずだ。なのに、未だに戦いを挑んでくるトラウムソルジャーがいる。数はかなり少なくはなっているが、それでもやっぱり、面倒くさい事に変わりがない。
「主様、残り64体です」
「そんなにぃ!?」
私は、むむむ・・・と唸りながら、疑似戦闘シミュレーションを使って、新たな魔法を工作する。
その場に停止して、ひたすら敵を照準して、追尾誘導して撃破する形の・・・・「主様のスキルでは、現状の技術では無理ですよ」という結果に、戦闘しながら私はがっくりと項垂れながら、トラウムソルジャーを斬った。
ならば、視認した相手に対して誘導攻撃をする・・・・これもダメ。
自身の保有スキルの関係上、誘導関連は全部ダメなようだ。
なら、その場に浮かべて、ひたすら敵を照準して、直線的な攻撃をするだけのオプションなら・・・・ダメでした。
その場に浮かべるためには、魔力を外部にて補完するための技術が必要になるため、自身のスキルではどうにもならないようだ。
自分の技術不足を泣きたくなる。・・・・と、そんなことをしている場合ではなかった。なんとかしてベヒモス変種の動きを止めないとね。
Aパターンダメ。Bパターンダメ。疑似戦闘シミュレーションを使ったからといって、そう、簡単には行かない。なにせ相手は魔獣。・・・とはいえ、生き物なのだ。
それに、雑魚ではないわけだし。当然、周りの個体よりは遥かに知能があるはずだ。・・・・ごめん、今のはなし。怪しいし、自信がないから。
とりあえず、レーザー攻撃は傾斜させた絶でなんとかなる。次は、煙幕を作って、懐にまで潜り込む。先ほどの霧の中でも、私は普通に動けた。という事は、スーキーの援護があっただけではなく、霧の中でも動く事の出来るスキルか何かを身に着けているはず。それに賭ける。
土魔法と風魔法の応用で、土埃を立てるイメージを浮かべる。疑似戦闘シミュレーションでも、出来ると一応のお墨付きを貰っている。
「もくもく!!」
きっと原理は違うのだろうけど、そんなことは気にしない。
辺り一面に水蒸気がまだ舞っている中、砂埃が舞い上がり、2重で視界を塞ぐ。
ベヒモス変種は、気配が動いたのを焦ったかのように、岩塊とレーザーを交互に放ってきたが、その前に私は、風魔法で「エアーボム」という魔法を地面へと放ち、高くジャンプした。すると、その直後に、その今までいた場所にグレートベヒモスの攻撃が直撃していた。
この広大な空間を誇る鍾乳洞の天井付近まで飛び上がると、再度、エアーボムを使って放物線を描いて自由落下で、ベヒモス変種のいる手前まで、一気に跳躍する。
その間はとにかく何もせず、隠蔽を特化させるように気配を消すように着地して、それと同時にベヒモス変種の頭部、顔に向けて魔法を放った。
「しゃぼんだま!!」
水を濁らせて視界を奪った水を張り付けるというAパターンのベヒモス変種の討伐方法その1でシミュレーションを立てていた魔法を放つ。
とりわけ口ではなく視界を奪うような形にしている。と、いうのも、スーキーによると、魔獣全体に言えるかは不明だが、このベヒモス変種は、鼻から呼吸をしているわけではなくて、背中に張り付いている藤壺のような寄生兼共生生物であるスターラから酸素を貰っているようなのだ。だから酸欠になる事がないとか・・・・ほんと、どうやって調べているの?
「とんがり!!」
両前足の真下に土魔法で、槍状の物を突き上げる魔法を使って、ベヒモス変種を倒立させようとするが、すぐに対応して、そこから降りようとする。
その後方に穴を掘る魔法を使った。
「穴!!」
まんま、そのまんまのネーミングだが、とてもわかりやすい。穴はグレートベヒモスの体を半分ちょい埋まる程度の穴なので、ベヒモス変種は穴から出る事が恐らくできないだろうという感じになった。
脚を引っ込めて、噴射とかされない限りは大丈夫なはずだ。
このグレートベヒモスの弱点は、お腹。
お腹には、口からレーザーを放つための冷却機関のような物があって、ここに熱攻撃を受けると、自壊するそうだ。って書いてある。
ほんと、どうやって調べたの。スーキー君!
「私は女の子なので、君はやめてください、主様!」
と、スーキーから抗議が来たが、それの相手をしている暇はないので、次の行動に移った。
もう1度、「グレイブ」である「とんがり!」を唱え、巨大な壁をベヒモス変種と私とを隔てる壁を作り上げた後、私は、両手を突き出し、魔力を集束を開始した。
目の前では、グレートベヒモスがジタバタと暴れているが、穴が丁度いい大きさのため、身動きができないでいる。
今の内である。そのためには、とにかく集中をして、一点に集束をしなければ、高度な魔法を扱う事ができないのが現在の状態である。それほどまでに私には天性の欠片もないのだ。
天職が魔導師なのに、魔法の才能が欠片もないとはこれ如何に。
魔力が集束し、火魔法と風魔法を合わせ、複合魔法へ、そして、空気を取り込み赤い火の玉から、青い火の玉へ、そして、白い火の玉へと昇華していく。
そして、
――――無色透明――――に。
「いっけぇーーーー!!ファイヤーストーム!!」
みんなが知っているファイヤーストームではない。もはや別物といって差し支えないだろう。
それは極度の高温となり、透明な火の塊は、ベヒモス変種とを隔てる土の壁を悠々と溶かし、ベヒモス変種のお腹に直撃した。
ビイイイイィィィィィィーーーー!!
ズっゴオォォォォォ・・・・・!!
そんな音が聞こえ、私の横を赤白いレーザーが通り過ぎていく。
ベヒモス変種の最後の悪あがきだ。
顔は「しゃぼんだま」が覆っているので、膨大な熱量に反応して、その辺りへと撃ち込んだのであろう。
その赤白いレーザーは私の左手を融解させた。
対して、私の放ったファイヤーストームは、空気摩擦でなるようなズゴーという音が鳴り響きながらベヒモス変種の胴体を軽々と撃ち抜き、鍾乳洞の壁を融解させて奥の奥へとその姿を消していった。
・・・・はぁはぁはぁ・・・・。
私の粗い息が鍾乳洞内に木霊している。
トラウムソルジャーは全滅。普通のベヒモスも全滅したようだ。
「ここにいるのは、私だけ・・・・。くっうぅぅぅ」
鈍い痛みが体に走る。
「あの野郎、勝ち逃げかよー」
あの野郎とはベヒモス変種こと親ボスの事である。
腕の事はいい。それよりも大事な服を燃やして行きやがった。
あの熱量だ。とても服は無事ではない。度重なる戦闘によってすでにボロボロに近い状態ではあったが、グレートベヒモス戦の時も服の形は保っていたのであるが、今のレーザーによって完全に燃え尽きてしまっていた。
おかげ様で、私は今、裸である。
体の半分以上を火傷で赤くなっているが、全裸であり、髪の毛で胸が隠れているだけだ。
なぜ、髪は燃えなかった?
「はぁ~・・・・」
どうすんのよ。これぇ・・・・とため息と声にならない感想を漏らした。
戦闘方法や戦闘による書き方などは試行錯誤中です。
なんとかわかっていただけると嬉しいのですが、難しいですね。