貰った力で世界最強?   作:大庭慎司

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前回のあらすじ:デートは南雲ハジメの勝利に終わった。(イミフ)


今回で第1章は終わりとなります。

現在、筆者は、風邪で頭がくらんくらんする状態で纏め作業していますので、誤字脱字があるかもしれません。よろしくお願いします。





18 旅立ち

「なるほど、それで、こうなったわけか」

 

「凛にしてはよくやった。だから、もう1発殴らせろ!」

 

 

 感心するハジメとなんかジャイ〇ンぽくなっているユエが、凛を見下ろしている中、その凛はハジメから貸して貰った神結晶の顛末を説明していた。

 いつの間にか、凛は縄で何重にも縛らており、犯罪者のような扱いを受けながら正座で座らされている。

 

 凛が行ったのは、時間操作適性を使った時間の巻き戻しという練習である。

 実は、時間操作において、凛は2つの事を試していた。

 それは、時間の先、未来に向かって時間を進める時間加速と時間を戻す、過去に向かって時間を進める時間逆行である。

 

 ただ、時間を進める物は魔力消費がとても大きく、逆に時間を戻す物は魔力消費が極端に少なかった。

 これには、スーキーによる1つの仮説を立ててくれている。

 スーキーのピアス型ユーザーインターフェースの主人であるユミルが扱う魔法の中に死者蘇生「リジェネードリザレクション」があるが、それが時間逆行型の蘇生魔法を使うという理由から、時間を戻すという方向において適性が高いのではないかという物だった。

 

 それと同時に魔力を扱った圧縮訓練として、濃縮を訓練していた。

 これは、凛の魔法適性において必要とされる物で神結晶を扱う事が訓練に役立つ物だった。

 特に魔力の圧縮は、必殺技である魔法名:コロナ、通称コロナビームなる物を適切に適確に高速で使用するためになくてはならないものであるし、他のファイヤーボールやライトニングに関しても常に魔力を圧縮して放出するという行為を行うため、念入りに練習をする事ができた。

 

 凛とハジメ達が出会ったのがオルクスの隠れ家であり、そこで様々な情報の擦り合わせとハジメが生き残った経緯を説明された時に出て来た神結晶の話から、それを見せて貰えたため、魔力を溜めるという性質と魔力を圧縮するという性質が似ていたため、その練習台にと貸し出されていた。

 

 凛は、ここオルクスの隠れ家に滞在する2か月と2週間を有意義に過ごしている。

 そのほとんどがハジメとユエによる訓練であるが、その行ない時間を凛は神結晶を用いての魔力圧縮に努めた。

 本来は、たった2カ月程で元の瑞々しい神結晶の神水が滴り落ちる状態にまでなる事はないのだが、時間逆行と圧縮されて注ぎ込まれる魔力量が常人では考えられない程の濃厚さと量であったがために、神結晶の成長へと繋がっていたのではと思われる。

 その結果、神結晶はキラキラと、ハジメが窮地を救われた時よりも多い量の神水を垂れ流しており、活性化していた。

 

 実はこの時点で、ハジメは神結晶の大部分を使っており、その大部分はハジメの装備であったり、ユエの装備であったりと使われて残りも僅かとなっていた。

 それが使ってもいない状態で、いや、前よりも大きくなって戻ってきたのが、これは、嬉しい、嬉しすぎる誤算であった。

 

 

「ううぅ、わたし、悪いことはしてないはずなんですが、おかしいな~、ああーーー」

 

 

 そう言う凛は今や、ユエにカーペットのように踏みつけられていた。ユエの額には、十字マークが刻まれている。どうやら妬まれているようだ。

 

 

「ああ、なんだ、その、ありがとうな。凛!」

 

「ああ、なんかいいですね。もう1回お願いしますよー・・・

 

 ぎゃああああ!!

 ユエさん、たんまたんま、首が折れる~~」

 

 

ボキッ

 

 

凛の絶叫は、反逆者の隠れ家全体に響き渡っていた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 場所変わって、出立の準備となった。

 

 その日は、朝から、ユエとハジメの声が部屋に響いている。

 

 

「・・・・・・ハジメ、どう、気持ちいい?」

 

「ん~、ああ、気持ちーいーいいぞ~」

 

「・・・・・・ふふ。じゃあ、こっちは?ここは?」

 

「あ~、それもいいな~ あ、ここもいいな」

 

「・・・・・・ん。じゃあ、もっと気持ちよくしてあげるね・・・・・・」

 

 

 もう、この頃は、ユエが年上の貫禄を見せつけハジメが色々な意味で吹っ切れてしまった事から、毎日の恒例となっていて、凛は聞こえないふりをして作業に勤しんでいる。

 現在、凛が行っているのは、ハジメが使う銃の弾の制作である。

 弾の制作が錬成の技術向上に最適であるとハジメが凛に提案し、それを凛に覚えさせた結果、人並みにできない凛には、これを毎日続けてさせていたのだ。

 それでも複製は未だに派生技能として覚えていない。元々派生技能などは、一朝一夕で覚えれる物でもないため、普通といえば普通なのだが、経験値1000倍で覚えれないのが不思議であった。

 

 

「ハジメさん、弾、1000発が出来ました。見てください!」

 

「ん、ああ、いいじゃないか。弾の大きさも揃っているし、「鉱物鑑定」・・・・うん、調合もOKだ。完璧だ」

 

 

 そして、マッサージを終えると、ハジメが作り上げた、特製アーティファクトである義手を装着して着け心地を確認している。マッサージはこのために行っていたのだ。

 

 どうして、ユエがハジメの手をマッサージしているのかといえば、ユエがハジメに対してゾッコンだからであるが、始めはハジメもある程度は幼女には抵抗していたらしいのだが、ユエの方が年上であり、その猛烈なアタックには、太刀打ちできなかったため、ハジメは開き直って受け止めたらしい。

 

らしい・・・というのは、私がここオルクスの隠れ家に来るまでの間に起こった事なので、私自身も詳しくは知らされていないのだが、ハジメが錬成を教えてくれる過程で知りえた事だった。

 

 なんでも50層にあった、あの異質な神殿に封印されていたのをハジメが助けたのが始まりという事で、ユエは自分を助けてくれたハジメの優しさに惚れたのではないかと私は見ている。それ以降の話は、元の世界に帰れたら一緒に連れていくとか約束したらしい。がんばれーヒューヒュー。どうせ私は美少女じゃないですからね。

 

 そう、凛は、美女でもなければ、美少女でもない。いわゆる一般人である。いや、一般人よりも劣るかもしれないとそのくらいに思っている。

 だが、本人は知らない。

 黒毛から白毛になった事で認知出来れば、かなり目立つ存在になっていることに。

 しかし、現在の所は未だに不明なのが、ハジメとユエは自分を普通に認識出来ている事である。認知度を上げるスキルは一切使用していないにも関わらずだ。

 もしかしたら、人種が変わった事で認識できるようになったんじゃないかなと淡い希望も抱いている。

 

 と、まあ、そんな事で、ハジメは義手を取り付けた後、凛の作った弾丸を確認したり、銃を触ったりして、感触を確認しているのだ。

 この義手は、ハジメの作ったアーティファクトであり、魔力の直接操作というスキルを用いて、本物の腕と同様に動かす事ができるようになっていた。疑似的な神経が備わっており、魔力を通すという行動を取る事で、触った感触が脳にまで伝達されるかどうかを毎日確認しているわけである。

 また、この義手には装備としての一面も持っており、所々に魔法陣や何らかの文様を刻み込んであって、多数のギミックを仕込んであるのだ。

 

 だが、この義手の元となったのはオスカー作である事を凛は知る由もない。実際に凛がここへ辿り着く前の出来事であるからだ。

 しかしながら、この設計図は凛も見せて貰っており、ノウハウだけは学んでいる事から、必要になれば、きっと作る事が出来るであろうが、世に出れば間違いなく国宝級のアーティファクトであるが故に厳重に保管されるか、命を狙われかねない代物であった。

 もっとも、魔力操作というスキルがなければ、只の義手でしかないのだが。

 

 そして、ここからついに外へと出立する時間が差し迫っていた。

 ハジメとユエは、文字通りの化け物ステータスとなっており、その2人に鍛えられた凛もかなりの化け物ステータスとなっている。

 

 特に凛のステータスプレートはまとめて表示ではなく、分類毎に分けるという仕様を取ったため、非常に長くなっており、見るのも面倒であった。

と、まあ、こんな感じである。

===============================

鈴木凛 17歳 女 レベル:----

天職:魔導師

筋力:8511   [+全身強化時:12766]

体力:8506   [+全身強化時:12756]

耐性:8500   [+全身強化時:12750]

敏捷:8501   [+全身強化時:12751]

魔力:84980   [+最大値上昇:178458]

魔耐:8506   

幸運:100(MAX)

残りポイント:0

===============================

スキル:

戦闘補助系:

ゲーム感覚・魔法力増幅

 

経験値上昇[[+1000%(MAX)]]

必殺[[+博打][+幸運+][+的中率上昇+][+会心]]

先読[[+時間遅延][+反射速度増加][+未来視]]

気配感知[[+効果範囲][+感知強化]]

聴力強化[[+効果範囲]]

血力変換[[+スキル奪取][+体力変換][+魔力変換][+乾血吸収]]

跳躍[[+大跳躍]]

縮地[[+爆縮地][+縮影]]

再生[[+手動再生][+痛覚操作][+消費魔力軽減]]

高速反応[[+反射神経+][+電気信号]]

完全耐性[[+毒耐性][+劇毒耐性][+完全毒耐性][+麻痺耐性][+石化耐性]

[+恐慌耐性]]

気配遮断[+強化]

舞踏[+遅滞分身]

魔力感知[+魔力視覚]

見切り[+超反応]

 

固有魔法:

重量軽減・遠見・夜目・超音波・威圧・念話・身軽・熱源感知・限界突破

 

天歩[+縮地]

雷撃[[+範囲攻撃][+無拍子]]

風爪[+武装付与]

微石化[+武装付与]

錬成[[+イメージ力強化][+消費魔力軽減][+鉱物系鑑定][+精密錬成]

[+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+圧縮錬成]]

金剛[[+部分強化][+接触強化][+強化]]

魔力操作[[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+効率上昇][+魔素吸収][+イメージ力増加]]

 

魔法系:

高速魔力回復・魂魄魔法・生成魔法

 

全属性適性[[+属性強化][+貫通属性][+射程強化][+魔力吸収低下][+消費魔力軽減][+発動速度上昇][+高速詠唱][+範囲強化][+イメージ力強化][+誘導][+超高圧縮]]

全身強化適性[[+発動速度上昇][+発動時間+100%][+発動時間永続化][+強化増加値+50%]]

結界術適性[[+発動速度上昇] [+消費魔力軽減][+耐久化][+多重結界]]

複数同時構成[[+複合魔法]]

魔力最大値上昇[+110%]

時間魔法適性[[+属性強化][+魔力吸収低下][+消費魔力軽減]]

回復魔法適性[[+自動修復] [+属性強化][+貫通属性][+射程強化][+魔力吸収低下][+消費魔力軽減][+発動速度上昇]]

近接系:

剣術[[+強打][+刺突][+斬撃速度上昇][+薙ぎ払い][+カウンター][+無拍子]]

二刀剣術[[+刺突][+パイリング][+カウンター+2][+強打撃][+スタミナ軽減][+斬撃速度上昇][+投擲][+抜刀速度上昇] [+無拍子]]

物魔一体型戦闘術[[+発動固定維持][+連続発動][+連続投擲][+連続攻撃][+舞踏補助]]

魔爪変化[[+血液吸収][+麻痺追加][+硬化]]

魔爪格闘術[[+斬撃][+刺突][+発動速度上昇][+高速解除][+舞踏]]

その他:

強歩[+50%]・聞耳・早読[+20%]・光と影・言語理解

備考:

転生10回目・転生者・不老・亜神

必殺:

コロナ・ビーム

グングニル

===============================

 

 ステータスは、亜神となった事で成長がストップしてしまっているが、魔力値だけはスキルの影響を受けており、魔力が約18万まで達している。

 これは、すでに異常な数値であり実力が伴っていれば、魔法の天才であるユエを凌ぐ領域なのであるが、残念な事に実力が伴わない見た目だけの数値となっている。まったく残念な子だ。

 

 ちなみに、みんなの希望であり勇者であり、期待の星である天之河光輝の限界は、全ステータス1500程度といったところであり、限界突破を加算してもまったくの赤子レベルであった。

 

 一応、比較をすると、普通の人族の限界は100から200であり、天職持ちで300から400なのが普通である。

 魔人族や亜人族は、その種族的な一部の特性から、300から600あたりが限度と言われている。

 勇者が期待の星なら、凛は何に当たるのだろうか。

 ちなみに、凛の精神は、亜神へと変化した事で、肉体の変化は気づいても精神が変質している事に、対象がハジメとユエであった事から、まだ気づいていないのだ。

 

 ハジメ達は、新装備を手に入れているが、凛は装備を手に入れていない。

 この理由は、凛が一般の魔法師ではないからだ。

 一般の魔法師であるならば杖を持つ所だろうが、凛の場合は魔法を剣として使ってしまっているので杖は逆に邪魔になるという状態だった。それ故に作っていなかったのだ。

 

 

「凛」

 

「ん、なに?」

 

「これをやるよ。それと・・・・」

 

 

 ハジメは、凛に、ブレスレットとアンクレットを2つづつ渡してきた。

 装飾のない真っ黒なやつだ。

 それと、移動手段用の車とバイクを1つづつ、それと漆黒の剣を2本、ドンナー・シュラークと同じ形の銃を1つ、それと新武器を渡してきた。

 

 

「いろいろと考えたんだがな。ユエと相談して、凛の装備にはこれが一番なんじゃないかって思ったんだ」

 

 

 黒のブレスレットとアンクレットは、盗賊用対策として黒で目立たず、また壊れないようにアザンチウム製であり、取り付けるには錬成を用いて収縮させて取り付ける仕様である。

 世に出回れば国宝級アーティファクトであるだけに、盗むには腕を切り落とすくらいしないと盗めない仕様になっている。

 そして能力は、高速魔力回復と魔力圧縮、魔力放射を付けていた。

 いわゆるブースト装備であるので、これで魔力をかなりの規模で消費しても補給される増量分が増えるので、凛にとってはありがたい装備だった。

 

 

「高速魔力回復は、実験段階で上手く行く保証が出来ない。だからすまん」

 

「あはは、いいですよ。使い心地はその都度、教えますからね」

 

 

 高速魔力回復は実験段階であり、その特性は空気中に散らばる魔力を集めて装備者に還元するという物である。

 魔力を視認できるという事は、魔法使用時に使った魔力がどうなるのかが見れるという事である。と、いう事は、使用された魔力と分散してしまった魔力の使われていない魔力を集めて装備者に還元できるのではないか?という考え方から作った実験装備であった。 

 

 次に渡してきた物は、漆黒の剣が二振りだ。

 これは両腰に兼帯する刀としての装備だろう。

 これもアザンチウム製で整備不要の剣だ。

 アザンチウムとは、この世界における最高の硬度を持つ鉱石で、雑な扱われ方しても壊れないという程に硬い鉱石だ。これを農具にすれば一生涯使い続けれるという代物だが、その加工には、それ相応の練度が必要となる。

 そのアザンチウムを極限にまで圧縮する事で、超硬度な上に超イイ切れ味を実現している。

 他にも魔力操作を行う事で、最大で六十センチほどの風の刃が延伸したり、さらに刀身の両サイドに二本の魔力刀を形成したり、その魔力刀を飛ばすといった事までが刀身の機能だった。

 刀全体の機能としては、持ち主登録機能だ。

 持ち主以外の者がこの刀を持った場合、魔力を抜き取るという機能がつけられている。抜き取った魔力は一時的に保管した後、本来の所持者に還元するという形を取るようだ。これは神結晶を凛が再生させる前に作った物のため、神結晶の魔力を内包するという特性を与えた紛い物を使用している。

 

と、私が二振りの剣に夢中になっていると、ハジメは唐突に銃の話を切り出して、私は銃の方へと視線を移した。

 

 

「その銃には名前はまだないから出来るなら付けてやってもいいかもな。

 それと、その新武器だが、対物ライフル:シュラーゲンを改造して、実弾と魔力弾を撃ち出せるようにした狙撃砲だ。

 凛、おまえになら使いこなせるだろう」

 

 

と、対物狙撃砲として改造され3メートル程となったシュラーゲンのような大砲を渡された。

 

 実際にはハジメも凛に使いこなせるとは思っていない実験兵器であるが、それはあえて言わない。

 どちらも名前はまだないので、使う時になったら名前をつけようと思う。

 

 ハジメはオスカー・オルクスの遺産である宝物庫を手に入れたため、持ち運びの手段を手に入れる事となった。

 そのため、持って運ぶという問題が解消されたため、実用限度を超えた装備を色々と作ったのだった。

 その1つが強化型のシュラーゲンMK-Ⅱである。他、ロケットランチャーであったりガトリング砲といった物も拵えていたりするのだ。

 

 凛は、自前でアイテムボックスを所持している事をハジメにも後から伝えており、その際に、頭をぐりぐりされたが、今は事なきを得ている。

 そのため、それを前提にハジメより魔力駆動二輪のバイクと四輪のジープタイプを渡されたのである。

 

 次に、ハジメは魔力駆動二輪と四輪について説明を始めた。

 どこにどのような資源が使われているのかはパッ見わからないが、タウル鉱石を基礎にアザンチウムで薄くコーティングして耐久性を主軸に凛とハジメのような化け物が乗る前提で作られた乗り心地無視の車だった。

 いわゆるハジメがユエと乗る事が前提ではない車という事だ。

 また、ハジメが乗る方の車と違う特徴として、魔力を補完しておく神結晶が使われておらず、凛自身のみの魔力駆動しかできない。

 速度は魔力量に比例するものとなっている。

 武装はハジメならしそうな物だが、此方の車には武装はなく、代わりに、凛が扱える錬成スキルを使用して、最高速度でもある程度は整地しながら走る事が出来るように錬成機能を高めた仕様となっている。

 その分、魔力も大きく消費するが、凛なら問題ないだろうという気持ち仕様だ。

 

 そこからは、ハジメがユエにプロポーズ用品を送ってイチャイチャラブラブを思いっきり凛に叩きつけ、凛は涎と鼻血を出しながら、ほっぺをホクホクとさせた光景が出会ったが、それは原作の話だ。

 

 

「そういえば、まだ聞いてなかったが、これだけの物を上げちまった後なんだが、俺達と一緒に来るか?」

 

 

 そう言う、ハジメは少し頬が赤らみ照れていた。目も伏せているのかその表情は、伺い知れない。しかし、ハジメの背後にはユエの姿があり、ジッと私を見つめてきていた。

 

 

「ん~、そうですね。

 初めは、少しだけ1人で動こうと思います。

 外での自分の力量を知っておきたいですし、恐らくですけど3人で動くとすごく目立つと思うので、一旦分かれてからまた会いましょう。

あ、そだ。これを持っててください。私の自信作なんです」

 

 

 そう言って、渡したのが念話石のイヤリングだった。私自身も錬成や生成魔法が使えるのであるから、作れて当然である。使用魔力の強度によって念話が通じる距離が変わるというトランシーバーであった。

 

 とりあえず、2人分を渡した。これが後に、ハジメによって複製錬成と改造がされて、ハジメ一行達に渡されるのは別の話だ。

 

 「そっか」と「お、おう!」というハジメの声を聞いた後、ユエの「凛にしては上等」という言葉も聞こえたがスルーしておくはずだったのだが、ユエが実力行使で殴りに来たので、ハジメの周りを周ってハジメを盾にする動きで逃げ回る事になった。

 

その後、ゴンッ!!という音が2回響いたのであった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 それから1日後、遂にハジメとユエ、凛は地上へ出る日がやってきた。

 

 出口にある魔法陣を起動させながら、ハジメはユエと凛に聞いたようなセリフを静かな声で告げる。

 

 

「ユエ、凛・・・・・・俺の武器や俺達の力は、地上では異端だ。聖教教会や各国が黙っているということはないだろう」

 

「ん・・・・・・」

 

「そうですね」

 

「兵器類やアーティファクトを要求されたり、戦争参加を強制される可能性も極めて大きい」

 

「ん・・・・・・」

 

「うん」

 

「教会や国だけならまだしも、バックの神を自称する狂人共も敵対するかもしれん」

 

「ん・・・・・・・」

 

「そうだね」

 

「世界を敵にまわすかもしれないヤバイ旅だ。命がいくつあっても足りないぐらいな」

 

「今更・・・・・」

 

「はは・・・・・・」

 

 

 ユエの言葉に思わず苦笑いするハジメ。

 真っ直ぐ自分を見つめてくるユエのふわふわな髪を優しく撫でる。気持ちよさそうに目を細めるユエに、ハジメは一呼吸を置くと、キラキラと輝く紅眼を見つめ返し、また、桃色空間が作られていて、凛は端っこで小さくなっている。邪魔をするとパンチが飛んできそうだからだ。

 

 

「俺がユエを、ユエが俺を守る。それで俺達は最強だ。全部なぎ倒して、世界を越えよう」

 

 

 ハジメの言葉を、ユエはまるで抱きしめるように、両手を胸の前でギュッと握り締めた。

 そして、無表情を崩し花が咲くような笑みを浮かべた。返事はいつもの通り、

 

 

「んっ!」

 

 

あの~・・・私が居る事を忘れないでくださいね。

 

と、凛の言葉が聞こえたような気がするが、その時には魔法陣が激しい光を発しており、ハジメは聞こえなかったフリをした。

 




はい、第1章は終わりです。

この後の話は現在制作中です。すでにラストはこんな話にしたいと決めてありますが、中間が全く未知です。

この後の話はオリジナルストーリーとなり、ハジメ達ともまた戦う予定になっております。

出来れば半年以内を目途に投稿し出したいですが、リアルが忙しいので忘れられない内に投稿したいと思います。


登場人物が少ないので第1章分の人物設定図鑑必要なのかどうか。いらないだろうな~。

蘇生魔法:リジェネードリザレクション:
吸血神族の吸血姫である姉のユミルが扱う魔法で、元生体を過去に戻って再生する魔法。そのため蘇生という概念ではなく、過去に戻って生体を現代へ持ってくるという変わった魔法である。これを使うためには、制約があり、髪の毛1本もしくは生物の垢が残っていなければならない。残っていれば100年前だろうと1万年前だろうと蘇生ができる。

原作改変:
神結晶が大きくなった。かと言ってこの先、変化はないと思う。
人族、獣人、魔人族のステータス数値は、明確な表記がないため推測です。

この後、原作でもステータス表記はほとんど出てこないため、推測の域が大きくなります。

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