クラスメイト達の後を追って着いた先は、この建物の正面玄関ともいえる巨大な門の前だった。途中で男子生徒の話している声に耳を傾け、ここが聖教教会という宗教施設であり、その総本山である事を知った。
聖教教会の正面門の大きさは雷門くらい、ううん、違うね。なんて言ったかな。フランスにある雷門くらいの大きさだね。え、フランスに失礼?しょうがないじゃん、思い出せないんだからさ。
それは、ともかくとして、その門から出た私とクラスメイト達は目を奪われた。そう、雲海が拡がっていたのだ。雲海があるって事は、ここは山の上という事だと気づく事が出来た。
その見事なまでの雲海を目と心に焼き付けていた。
私が、その雲海に見惚れている間に話は進み、いつの間にか空に浮かぶ光る階段をみんなが降り始めていた。
一番煌びやかな衣装を着た老人を先頭にクラスメイト達が降りていく。
最後尾には、神官と思われる人達が続き、光の階段が消え始める。
急いで、最後尾を追い、光の階段が消える前に次の足を乗せるというマ〇オ〇ラ〇ーズでお馴染みの光景となっていた。
およそ、最初の1キロメートルをフルマラソンで、ある程度追いついた所でジョギングとなり、降り階段でだが・・・・とてもいい運動になった。
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・・・・とは行かず、鍛えていない体での命がけ3キロメートルマラソンはさすがにきつく、地上に着いた時にはそこから一歩も動けない状態となっていた。
それでも誰も気づいてはくれなかった。ぐすん。
そのため、この後、行われた玉座の間での王の言葉や騎士団長等諸々と全く全てのイベントには参加していない。
その代わり、ある程度の休憩をした凛は、【ハイリヒ王国】の城内を探索していた。聖教教会とは違った内装に心が躍る。
すれ違う騎士、すれ違うメイド達と全く気付いていない。
むしろ、凛は避けるのに必死になるくらいだ。何故かといえば、気付いていないという事は、全力疾走で衝突してくるという事にほからないわけで、そんなので当たったら痛いからだ。
そうして辿り着いた先は王立図書館だった。
そこで、王立図書館が閉館するまで、この世界の事についての本を読み漁ったのであった。
閉館した後は、晩餐が行われている会場に忍び込んで、適当に見繕って食べるという事をしてから、どこかへ帰るクラスメイト達の後に続いて、空き部屋となっている部屋に入り込み床に寝る事になってしまった。
次の日、疲れていたにも関わらず早めに起床した私は部屋を出て、少し城内を歩いていると、メイド達が世話しなく動いている現場に差し掛かった。どうやらクラスメイト達の寸法を昨日の内に測っていて、寸法の合う衣服を倉庫から出している所だったようだ。
どうせ私には配られない事は予想済みなので、メイド達が出て行った倉庫へと足を運び、中にあった衣服を適当に見繕った。必要なのは、シャツと動きやすいズボンを数着と靴である。靴は、城ということもあって、革ひもブーツタイプしかないようだが、動きやすさ重視なのでそれでいいと私も思った。
シャツとズボンも男性用女性用というのはなく、一律で同じのしかない。ただ、違うのはサイズで、おおまかに分かれているくらいだ。城には、男の騎士も居れば、女の騎士もわずかながらに居たので、そういう人たち用なのだろうと思う。
シャツとズボン、靴とタオルを手に入れた後は、井戸へと行き、体を水拭きであるが洗った。少し寒いです・・・・くしゅん。
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みんなが起き出して、しばらく経った頃、ついに訓練と座学が始まった。
まあ、だいたい、こんな事だろうなと思っていたので、私も素直に参加することにした。だって、知らない土地で何も知識がないというのは死活問題なんだから、当たり前でしょ!
講義は、先日に王立図書館で見た事とは違う内容だったので、楽しめたのだけど、私には座る席がないのね。いや、私だけじゃなくて、確か、遠藤って男の子も座る席がなくて、一番前で地面に座って勉強してた。あの子も影が薄いんだね。でも、私は気づけた。同類だからかな?向こうも気づいてる?
訓練では、十二センチ×七センチくらいの銀色って表現をしていいカードのような物が配られた。配られたプレートをみんな、不思議そうに見ている。
あ、私の分がない。あ、遠藤って男の子もないようだ。余った分は、騎士団長とは別の団員の後ろにある机の上か。貰ってこよっと。
案の定、遠藤が先に持って行って、プレートをまじまじと見つめている。私もプレートを取って、元の位置へと戻った。
「よし、全員に配り終わったな? このプレートはステータスプレートと呼ばれている。文字通りの事だが、自分のステータスを客観的に数値化して示してくれるものだ。これは、最も信頼できる身分証明書でもある。これがあれば、例え迷子になったとしても平気に戻ってくることができる。失くすんじゃないぞ!」
非常に快活で豪快に話す騎士団長。あ、そういえば、騎士団長って名前なんて言うんだろう。私、知らないや。
「これから戦友となる者達に対して、敬語など使って、他人行儀に話せるか!」
と言って、部下達、騎士団の面々にも聞こえるように話していた。
確かに、それには共感できるなと、私は思う。たしか、父もそんなこと言っていたっけ。「一緒に危険な現場で行動するのに部下も上司もない。そんなことを言っていたら立派な消防・・・」うん、たしか、そんな感じだ。
みんなもその方がいい!というような顔をしているなー・・・。
「ここの部分に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、プレートと一緒に渡した針を使って、魔法陣に血を一滴垂らすと、それで所持者登録ができる。それからだな。“ステータスオープン”と言葉を発しろ。すると、そこに自分のステータスが浮き上がって表示されるはずだ。
あと、なんでそうなるのか?なんて事は聞くなよな。俺だって知らん。神代のアーティファクトだからできる!そう思っておくことだ。」
「神代のアーティファクトですか?」
「そうだ!」
みんなを代表して、天之河君が聞いた所、騎士団長が相槌を返した。
「アーティファクト・・・・、単的に言えば、現代じゃ再現も作成もできない強力な力を持った魔法の道具、魔道具のことだ。
だいぶ昔の話だ。この世界に神エヒト様やその眷属達が地上にいたとされる神代と呼ばれる時代に創られたらしい。そのステータスプレートもその一つという事だな。この世界に広く普及しているアーティファクトとしては唯一の物になる。
普通はな。アーティファクトといえば、国家が機密や国宝といった感じに秘蔵するものなんだがな。
このステータスプレートだけは、身分証に便利なんでな。一般市民にも流通させているってわけだ。だから細かい事を聞いても答えられんぞ」
クラスのみんなは、“なるほど”という顔をしながら、指先に針を差し込んで、浮き出た血をプレートの魔法陣へと当てている。すると、パアアァァっと光が漏れ出てステータスが浮き上がっていた。
ただ、他人からは見えないのか、みんなのステータスが見れないでいた。後から知った話になるんだけど、ステータスを外部から見られるようにするON/OFF機能があるようだ。
私も・・・・と思ったが、針がない。うーん、悩んだけど、後でいいや。と流す事にした。
でも、それで良かったとも思った。みんなのステータスプレートから光が上がっているのだ。ここで同じ事したら、私、気付かれちゃうかもしれないしね。
あれ、私、気付かれたくないって思ってる?
騎士団長からステータスの説明がなされた。
「 みんな見れたか?説明するぞ。
まずは、最初の所で、レベルがわかる。
レベルは、各ステータスが上昇する時に一緒に上がるんだ。上限は100!!100だ。人間は上限が100で止まる。100以上行ったら人間じゃないからな。そんな奴はいないだろうな?まあ、それが人間の限界であり、能力が全開放された極地にいるということだ。そんな奴は早々いないから安心しろ。
さて、次はステータス上昇についてだが、日々の鍛錬だけでもステータスは上昇するぞ。後は、魔法だ。魔道具を使っても上昇するな。それとな、魔力値が高い者は総じて他のステータスも上昇値が大きくなる。詳しい事はわかっていない、だから俺に聞くなよ。そういうもんだって思っていてくれ。」
騎士団長は一旦区切ると、全員を見渡す。その視線は私から外れている事から、気付いていないようだ。同じように遠藤君も外れている。
「次は“才能”の欄だな。これは“天職”と書いてあるはずだ。初期状態のステータス欄の末尾に記載されているスキル欄と連動していて、その天職に関係する物には無類の才能を発揮できるとされている。なにせ天職持ちは少ないからだ。戦闘系と非戦系天職という2つに分類されている。戦闘系は、千人、万人に1人というくらいだ。非戦系は戦闘系と比べたら全然多い・・・な。百人もしくは十人というくらいだし、生産職はだいたい持っている事が多い。そういう事だ。ま、勇者諸君は、全員戦闘系だよな。わっはっはっは!」
ふう、なかなかと話したな。という感じに騎士団長を腕を動かして、額の汗を拭った。そして、自分のプレートを持ったまま口を開く。
なかなかと発破をかけてくれる。これで非戦系だった場合は、いじめの対象ですか?と凛を心の中で思うだけで口には出さない。
「ステータスの数値は見たままだ。大体の者達は、レベル1ならステータスが平均10くらいだな。まあ、お前たちは勇者だしな。その十倍くらいはいくんじゃないかと俺は期待している。それとな、ステータスプレートの数値は全員報告をしてくれ。後で訓練の方法を考えなきゃいけないからな。」
騎士団長はそこまで言うと、区切った。すると、そこへ後ろに控えていた騎士団員が慌てて、耳打ちをする。
「そうそう、言い忘れておった。後でお前ら全員、勇者用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の英雄様御一行だって言うもんだから、国の宝物庫を開放してくださるそうだぞ!」
騎士団長は、危なかったという顔で、後ろに控えた騎士団員に謝辞を示して、前に向き直った。
その後は、天之河君を筆頭にステータスを報告していき、南雲君が報告した所で、いじめっ子達が騒ぎ立てた。
それを見て、担任が止めようとしているが止まる気配はなく、いじめっ子達はエスカレートしていく。
私は近くに落ちていた石ころを拾うと、放物線を描くように投げた。
ゴスッ
酷い音を立てて、からかっていた生徒筆頭の子の頭に直撃した。その生徒は気を失ったかのように、プレートを落とすと倒れてしまった。そのプレートを担任が拾い、南雲君へと返すと倒れた子の元へと戻る。
すでにその子には騎士団員付きの回復術師によって回復をさせられていた。
意識を取り戻した生徒はすぐに犯人を捜そうとしたが、女子生徒達に「あんたの行為に神様が怒ったんじゃないの?」と言ってからかっていた。
その日の夜、自室として、使う事に決めた何もない部屋に布団を持ち込んで生活を始めていた。そして、昼間出来なかった事を始めた。
ステータスプレートを配った日の午後は、全員に宝物庫から持ち出された武器が全員に提供された・・・が、自分はステータスを見ていなかったのが仇となり自分にあった武器を貰う事が出来なかった。
仕方なしに騎士団員が持つ一般の剣;ロングソードを拝借しておいた。理由は1つ、針がなかったからだ。それでその日は解散となったので、自室の手入れを行ったのである。
「いっ」
ロングソードの剣先で、指に傷をつけ、それをステータスプレートの魔法陣のある部分に当てる。すると、淡い緑色の光源が発生し、プレートの全面に浮き出るようにして、ステータスが表示された。そこにあった数値は驚くべきものだった。
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鈴木凛 17歳 女 レベル:1
天職:魔導師
筋力:5
体力:8
耐性:4
敏捷:5
魔力:10
魔耐:10
幸運:10
残りポイント:0
スキル:ゲーム感覚・経験値上昇[+10%]・言語理解・????
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「ないわ・・・」
私は、空の見えない天井へ向いて、そう口にした。
誤字・脱字の可能性がありますが、会話に関しては誤字・脱字ではありません。あくまでそういう表現とします。
現実会話でも間違えて言っても、聞き手はある程度、脳内翻訳で会話が続きますよね?そういう感じです。