貰った力で世界最強?   作:大庭慎司

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04 最弱

 凛が、天職とは関係のないスキルと最弱のステータスを突き付けられてから2週間が経とうとしていた。

 

 現在、凛は、訓練と食事の時間以外のすべてを王立図書館で知識を蓄えようとしていた。寝る間を押して、知識を貯めている。そのためなのか、技能欄に早読というスキルが増えていた。そして、そのためなのか、すでに王立図書館内の本の3分の1を読破しようとしていた。戦闘系を40%、魔法に関する書物を50%、ハイリヒ王国近辺の地図とモンスターに関する記述を10%だ。

 

 そして、その王立図書館には、南雲ハジメという生徒もいた。互いに関わらないように南雲が北なら凛は南の席に座り本を読みふける。そんな南雲は周りを気にしていられないと一心に本を読んでいたため、結局、凛に気付く事はなかった。

 

 なぜ、本を読んでいるのか、それは2人共、ステータスが絶望的なまでに低いからである。凛が南雲ハジメのステータスが低いとわかったのは初日からで、いじめっ子グループが南雲ハジメに対して言っていたからだ。ステータスの内容に関しては声に出していなかったのでわからないが、自分と同じような物だろうと思っている。それ故に、訓練場から離れた片隅で剣を振っていてもそれが訓練になっているか謎だった。

 

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鈴木凛 17歳 女 レベル:3

天職:魔導士

筋力:15

体力:10

耐性:4

敏捷:13

魔力:10

魔耐:10

幸運:10

残りポイント:0

スキル:ゲーム感覚・経験値上昇[+10%]・言語理解・早読[+20%]・????

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 色々と調べて分かった事だが、このステータスプレートには、スマートフォンと同じように画面をタップ、スワイプするだけで操作が出来、機能には、画面を外側に表示させる機能とさせずに画面内で見る機能がある事がわかった。それからは、プレート内表示だけをさせている。

 

 スキル説明だが・・・・。

 

 ゲーム感覚は、レベルアップ時に手に入れる数値を落とす代わりに一定の数値を任意のステータス数値に割り振るスキルだった。1レベル毎に 10ポイントのステータスポイントが手に入り、割り振る事が出来ると いうものである。

クラスのみんながレベルアップ毎にどんどんと動きが早くなる中、自分 は早くなっている感覚がないという事で、実質、死にスキルだとわかった。

 

 経験値上昇は、何かしらの行動で入る経験値を人より10パーセント増量するスキルだという事がわかった。これは凄まじくレアなスキルだという事がわかったが、ゲーム感覚が死にスキルすぎて使えるかわからない状態だった。下手をしたら、みんなが4桁という数値に達している時  に、自分は3桁もしくは2桁で上限という可能性があるからだ。

 

 言語理解は、どんな言語も解して訳するというものだ。これがあれば、英語だろうが、アラブ語も未開地域言語もペラペラというわけだ。

 

 早読は、字を読むのが早くなるスキルだ。読んでまんまだ。現在は20パーセント程、字を読むのが早くなっているらしい。

 

 ????は、まるでわからない。いや、分かった事が1つだけある。どうやら必要魔力値が足りていないようだった。必要魔力値がどのくらいかはわからないが、それに達すれば自ずと解放されるようだ。

 

 果たして、南雲ハジメ君とどっちが最弱なのかな?

 私は、必死に書物を読む南雲ハジメ君に視線を移し、そして戻した。

 

 そして、現在のステータスからわかっている事だが、私に魔法の才能はないようだ。なぜならスキルに魔法の関係が一切ない事。それが尤もらしい理由だった。

 天職には、魔導士とある。なのに、スキルには魔法関係が一切ない。これは完全に詰んでいるのではないかと思うに至るには十分だった。故に私は、実技訓練は剣を振っているわけだ。ステータスの割り振りも筋力重視である。

 

 魔法適正とは、魔法を扱う上で最重要事項の事だ。この適正があるとないとでは、注ぎ込める魔法のバリエーションに差が出る事を意味する。

 この世界における魔法は、体内に蓄積されている魔力という媒体を詠唱により魔法陣へと移し、魔法陣に組み込まれた魔法式を持って発現へ至るプロセスを持つ。魔力を直接操作する事は人間には出来ないとされているため、空気中に魔力があるのかないのかは未知の領域なのだ。そのため、魔法を発現させるためには正しい知識を元に魔法陣を構築する必要に迫られる。魔法陣を構築するに当って、発現するための言葉もある程度、決まっているため、効果の複雑さや規模を変えるだけで書き込む式もおのずと増えるのだ。

 

―――――それは魔法陣の巨大化を意味する―――――

 

 例えば、見た目ファイヤーアローという魔法を放っている生徒がいるとする。

 この生徒に適正がなければ、属性・威力・射程・範囲・体内からの魔力吸収という式が必要で、それを魔法陣に組み込むと直径十センチ程のサイズとなる。これに、誘導や持続時間などの追加要素を入れれば、さらに魔法陣は大きくなる。

 

 これに対して、適正というものがある。適正に火があれば、最初に属性の項目が消える事になる。次に威力や射程という適正があれば、その項目は消え、魔法陣はさらに小さくなる。もしくは追加の要素をそこに注ぎ込めるという具合だ。

 魔法を発動する時は、その属性や射程といったイメージを頭に浮かべるだけでいいという事なので、それほど難しいことではないだろう。

 

 この世界の人たち、人間に限る、人間と亜人しか調べられていないが、何らかの適正を持っているのが普通らしく、ない者は珍しい部類なのだそうだ。

 凛の場合、ステータスプレートを見る限りは適正が全く不明だったため、適正なしとなり、全部の式を書き込むと直径2メートル程の魔法陣となるため、実践では役に立たないという状況に至ったのだ。

 

 とりあえず、天職が魔法系という事なので、城内を勝手に漁って、特殊なインクを使った紙に魔法陣を書いて、魔力を込めると発言する使い捨てタイプの紙に穴を開けて多層構造とする事で2メートル程の魔法陣を6枚に分けて重ねて使用する事で魔法を使うという荒業を編み出したものの、所持する紙がメモ帳の厚さになってしまうので、どうしたものかと頭を抱えている所である。所持する魔法はすべて雷属性の貫通型である。とにかく速度と貫通と射程重視の物にした。速度と貫通が高ければ、自ずと攻撃力は高くなるという認識の元でだ。

 後は鉱物に書き込んで使用するタイプだが、こっちは身体強化をする魔法を選択した。とにかく体だけでも動けば、この危険な世界でもなんとかなると思ったからだ。

 

 と、思いつつもため息は尽きない。

 

 反対側の席で読む南雲ハジメに向けて、独り言をつぶやく。

 

「南雲君も、空気になれたらいいのにね」

 

 その向けられた南雲ハジメもため息をつきながらステータスプレートを覗き込んでいたからだ。

 

 南雲ハジメ君と私で決定的に違うのは、影の薄さかもしれない。

 そういえば、遠藤君は見ないな。と、ふと思ったのである。その遠藤は、スキルにて隠蔽系を持っている事など露として知らないのだが。

 

 そして、2人して、同じ事を考えているとは凛と南雲は露と知らないのだ。

 

「「(いっそ、旅にでちゃおうかなー)」」

 

なんて・・・・。

 

 だけど、ここでも違うのは、南雲ハジメは、先のことをある程度思い老けて考えているのに対して、凛は行き当たりばったりで特に何も考えていなかった。

 

~~~~~~~~~

 

 少し早いが、南雲ハジメ君よりも先に王立図書館を後にした私は、訓練場へと辿り着いていた。そこで見たものは、何やら良からぬことを相談しているいじめっ子達の姿であった。

 

「で、南雲が来たら、あそこの裏に誘い込んでな。ボコボコにしてやろうぜ」

「ああ、あそこならわからないだろうしな」

「それにな、戦力にならないアイツを潰したとしても王国からは感謝されっぜ。だってよ、俺たちは戦力になるからいいとしても、1人当たりにどんだけの訓練費用をつぎ込んでっだって話よ」

「ああ、うん、なるほど、確かにそうだな」

 

 なんて会話をしているのを聞いた。そこで私は、南雲君に知らせ・・・・いや、ダメだ。一度も会話したことないし、男の子には話しかけづらいな~。いやいや、そうじゃない。話しかけるんじゃなくて、メモ用紙にあいつ等が待っているって事を書けば・・・・。うーーん。でも、ダメか。

 

「よし、決めた」

 

 私は行動した。それがどんな結末を生むかも考慮しないで、動いたのだ。

 

 いじめっ子が南雲君を待ち伏せしてて、訓練場の裏手へ連れて行こうとしている事をメモ用紙に書き、それを紙飛行機にする。そして、それを香織がいる場所へ向けて飛ばした。

 

 残念ながら香織に紙飛行機は当たる事はなかった。

 香織の大親友にしてボディガードである八重樫 雫によって香織に当たる前に取られたからだ。

 雫は、紙飛行機を取るとすぐに犯人捜しをしようとしたが、香織が紙飛行機を取り上げた事で視点が紙飛行機へと移った。そして、表面に文字が書いてある事を見つけた香織によって紙飛行機を広げられると、そこには私の文字があって、それで、香織と雫は頷き合うと訓練場へと向けて走って行った。

 

 私は見送る事しかできなかったけど、きっと・・・大丈夫だよね。

 そう、私は心に付け足した。

 

~~~~~~~~~

 

 その日の訓練は一段と厳しかったらしく、みんな・・・もとい、一部のステータスが低い者達は、みんな屁立っていた。この後は自由時間で、夕食があるはずである。

 私は、気付かれていない事をいいことに離れようとしたが、どうにも状況がおかしい事に気付いた。

 

 騎士団長は全員を集めると、活気のある声で発した。

 

「明日からだが、実戦訓練の一環として【オルクス大迷宮】へ遠征に行く。講義でも言ったが、大迷宮は非常に危険な場所となる。必要な物は此方で用意しておくが、今までの訓練とは一線を画すと思ってほしい。

まあ、要するにだ。気合いだ。気合いを入れ直せってことだ!今日はゆっくり休んで明日に備えろ!では、解散!」

 

 伝える事を伝えると騎士団長は、その場を離れた。

 残されたのは、友人たちと会話を始める生徒達だ。私もすぐにその場を離れた。おそらく移動は、馬車だと思う。

 この世界での移動手段は、車やバスや飛行機といった物はない。なので必然的に馬かそれに類似した物となる。よって、馬車しか考えられない。

 

 そうなると、私に席があるのか?という疑問がまず頭に浮かんだ。

 

 

―――――移動手段を考える必要がある―――――

 

と。

 

 

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