貰った力で世界最強?   作:大庭慎司

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【オルクス大迷宮】

 まず、大迷宮とは、この世界における有数の危険地帯をいう。

 

 これは大前提である。その中の1つにオルクス大迷宮と呼ばれる場所がある。今回の目的地はここだ。

 

 確認は取れておらず憶測だけではあるが、全100階層で構成されているとされている大迷宮だ。この世界における大迷宮は後に知る事になるのを合わせて全部で7つあるらしい。その内の1つということだ。

階層が浅ければ、大して強くもない魔獣が出現し、逆に深くなれば、なるほど強力な魔獣が出現する典型的な男子の言う処のダンジョンである。

 

 だが、危険にも関わらず、この迷宮だけは冒険者や傭兵に新兵と、とにかく訓練をするのに非常に人気があるのだ。その理由としては、2つが挙げられる。

 

 1つ目、階層によって魔獣の強さが変わるために、自分の力量が測りやすいということ。

 2つ目、出現する魔獣が地上世界にいる魔獣と比較して、遥かに良質で魔力を含んだ魔晶石を体内に抱えているからだということだ。

 

 魔晶石とは、魔獣を魔物たらしめる力の核だという話だ。強力な魔獣ほど良質で大きな核を保有しているというのが定説。そして、この魔晶石は、魔法陣を作る上で非常に重要な材料となる。魔晶石は粉末にしてから染料として、使用した場合、最大でも3倍の効果を発揮するそうで、かなり重要な資源となっているようである。

 

 つまり魔晶石を使った方が魔法が効果的に使える。という事だ。その他、日常生活でも魔晶石は原動力として使われている。魔晶石を使う道具で最たる例は、魔法具である。

 魔石は、官民問わず必要とされるために、需要が高く、常に不足気味である。故に高価なのだ。そして、さらに良質な魔晶石は高価だという事であるが、それは、固有魔法が原因である。

 優秀な魔晶石を持つという事は、強力な固有魔法を扱う魔獣が居たという事にもなっている。

 

 固有魔法とは、魔獣のみが扱う事が出来るとされている詠唱いらず、魔法陣いらずの唯一の魔法を扱う魔法である。1つの魔法しか使えない代わりに即座に放つことができる魔獣が危険たる理由である。

 

~~~~~~~~~~

 

 現在、クラスメイト達は、【オルクス大迷宮】の入り口に集まっていた。

 その遥か後方のさらに街外れにあるに木の根元に私は寄りかかりながら粗い息を吐きながら座っていた。

 事の顛末は、【ハイリヒ王国】の王都を早朝にみんなは出発したのだが、私は、さらに早くに出発していた。

 前日までに騎士団の用意してあった魔力回復薬を、城内にあった誰かのリュックへと詰め込み、みんなが出発するよりも早くに出発したのだ。

 身体強化の魔法を使用して、ひたすら走った。だが・・・・ただ走るというのは想像以上にハードな事だった事に後から気付いた。

 この世界では、道路の舗装等されてはおらず、ホルアドの街へと来るまでに馬車には抜かれ、1日遅れで到着というわけである。

 

 そして、走っている途中である事に気付いた。

 今までは安全な場所でステータスを割り振っていたので気付かなかった事なのだが、ステータスを振っている最中は時間が止まる。

 自分の体も動かなくなるが、頭と目、腕は普通に動いたのだ。つまり、レベルアップがうまい具合にハマれば、時間を停止させて状況の確認が出来るという事を意味していた。

 

 そして、さらに発見する。

 レベルが上がると、体力と魔力が全回復するようだ。これにより、なんとか【オルクス大迷宮】のあるホルアドの街まで来ることが出来ていた。

 

 だが・・・・。

 

「もう、さすがに走りたくないな~」

 

 そう、呟きながら、自分のステータスを確認する。

 

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鈴木凛 17歳 女 レベル:13

天職:魔導師

筋力:27

体力:22

耐性:16

敏捷:17

魔力:125

魔耐:22

幸運:11

残りポイント:0

スキル:ゲーム感覚・経験値上昇[+20%]・強歩[+20%]・聞耳・言語理解・早読[+20%]・????

===============================

 

 レベルが10を越して、レベル11になった所で、割り振りポイントは10から15へと増えたようだ。この分なら、レベルが20を超えたら割り振りポイントは20へ増えるのだろうかと期待してしまう。

 

 また、全体ステータスの内、魔力値の最大値が10増える度に他のステータス値が1づつ増える事に気付いたため、現在、魔力値にしか振っていない。

 

強歩は、歩く時、走る時に足の速度が上がるスキルのようだ。最大上昇幅はよくわかっていない。

 

聞耳は、読んで字の如く。聞耳を立てるスキルである。おかげで遠くの人たちの会話が隣で会話しているかのように聞こえた。此方は最大効果範囲がわからない。

 

 なんかもう、魔法とは全然関係のないスキルに項垂れるしかないが、私は、この世界で生きていけるのかと疑問に思うくらいだった。

 

 みんなのステータスはどうなっているのか本当に気になるわ。

 

「今までいなかった人が目の前に急に現れたら、きっと、いい気はされないだろうな~」

 

 そんな独り言が漏れていた。

 と、そんな事を考えていたら入場が始まったようである。クラスメイト達が続々と入場していくようだ。私も急いでみんなの最後列に続いて中へと侵入した。

 

 本来は受付にてステータスプレートを見せて入場登録をする必要があるのだが、今日、この日は、勇者様御一行とあって、先に受付を済ませていたという事もあり、話を聞いていなかった凛は登録をせずに入場してしまっていた。

 

 入場を管理する担当官も凛の姿を認識出来なかった事も大きい。

 

 大迷宮の中は、外の喧騒とは打って変わり、静寂が支配していた。

 私個人の感覚としては、縦横とも相当に広い。乗用車横に3台分以上はある通路、それに明かりもないのに緑色の発光体が当たりを照らしており、松明や明かりの出る魔道具がなくても十分な程の明るさだった。

 

 騎士団の人と会話している生徒の話では、これは、緑光石という異世界ならではの特殊な鉱石が多数埋まっていて、それが光源となっているようだ。【オルクス大迷宮】というのは、そんな鉱石が沢山埋まっている場所を掘って出来上がっているらしい。

 それに、この緑光石の光はどことなく明かりの出る魔道具の光に似ている気がした。恐らく、材料はこれなのかな?と疑問符を浮かべている間にもクラスメイト達は先へ先へと行ってしまっていた。

 

 私は、急いでその後を追うが、、、、絶賛、見失っていた。

 と、そんな時、壁に空いた隙間から灰色の毛玉のような生物が這い出てきた。

 よく見れば、その灰色の毛玉に見えたのは背中の部分で、上半身はムキムキとした筋肉の塊というイメージが強いネズミだった。目は赤黒いし、ちょっと怖い。でも、図鑑で見たのと違い、だいぶ可愛く見えた。

 

「あー、触りたいな~。でも、ダメなんだよね。ごめんね。」

 

 私は、そう言いながら、ネズミ型魔獣ラットマンのすぐ脇まで来て、携帯していたロングソードを引き抜いて、ラットマンの急所である首の付け根に剣を振り下ろした。

 

 ラットマンは一撃で絶命し、音もなく倒れた。

 剣に伝う血の感触、初めて獲物を切った感触に感慨に浸る。初めは切ったらもう、現実に戻れないのではないかとか、絶対嘔吐する。とか、そんな事を思っていたけど、意外と普通だった。

 

「これが命を奪う感覚・・・・講義では、魔獣は、生き物ではないから殺したとしても生殺与奪には当てはまらないと言っていたっけ」

 

 ふと、気が緩んだその時・・・・。

 

ピピッ

 

システムメッセージ:「レベルが上がりました」

 

というメッセージが耳に聞こえた。

 

 そう、これも新たに発見したスキル:ゲーム感覚の一部だ。

 レベルが上がる度に、このメッセージが流れるのだ。もっと前から気付いていても可笑しくはないが、気付かなかった。しかも、強制的にステータス割振の画面へと移行するのだ。どこかでこの強制を止める事が出来そうだけど、わからない。

 

「うわ、レベルが2も上がってる」

 

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鈴木凛 17歳 女 レベル:15

天職:魔導師

筋力:29

体力:24

耐性:18

敏捷:19

魔力:155

魔耐:24

幸運:11

残りポイント:0

スキル:ゲーム感覚・経験値上昇[+20%]・剣術・必殺・強歩[+20%]・聞耳・言語理解・早読[+20%]・????

===============================

 

「あ、スキルが増えてる。でも、魔法じゃないな」

 

 ステータス割振ポイントは、魔力に一点振りだ。

 これは、魔力が増えれば増える程、周りのステータスも上昇するためだ。魔力が10増える度に、周りのステータス、筋力や体力等が1上がる。だから、魔力に割振れば総じてステータスが上がる事がわかった。また、魔力が100に到達する度に、恐らくは幸運値が1上昇するようだ。まだ1回しか上がっていないので、なんとも言えないのだけれども。

 

 その後も、みんなと逸れながらもラットマンを狩り続けた。

 

 そして、みんなと会えないまま、20階層へと到達する。そこでやっとみんなの後ろ姿を確認するに至った。

 

 大分レベルも上がり、みんなと遜色はない・・・・いや、まだ全然って感じがするな、と毒気を吐く。

 

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鈴木凛 17歳 女 レベル:38

天職:魔導師

筋力:82

体力:77

耐性:71

敏捷:72

魔力:680

魔耐:77

幸運:16

残りポイント:0

スキル:ゲーム感覚・経験値上昇[+40%]・剣術[+強打]・必殺[[+博打][+幸運]]・強歩[+30%]・観察・聞耳・言語理解・早読[+20%]・????

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 スキルも追加要素がどんどん増えている。当初から比べれば、もう別人と言われる程であるが、まだ、クラスメイト達とは雲泥の差があるのではないかと心は思っている。

 

スキル:観察によって、離れた所にいるクラスメイト達の後ろ姿を確認する事が出来たが、明らかにみんなの方がステータスが高く見えるのだ。

 

 観察スキルは、隠蔽した者を発見したり、相手が強いか弱いかを判別できるスキルだが、絶対ではないと書かれており、確実には信用できないスキルのようだ。

 

 あと少しで、みんなにも追いつくし、今日の到達限界点である空間があるはずだが、ぶるりと震えが来た。恥ずかしくて言えないのだけど、〇〇です。

 

 また、みんなとは違う道へと行き、お花を摘みに行く。ダンジョン内に生えているわけではないけど。

 

 用を済ませた私は、みんなの後を追った。

 最後のホールとなる空間に到達した私は、みんなの姿を確認しようとするが、そこには誰の姿もなかった。

 予定を変えて、次の階層へ向かったのだろうか。それともみんな、もう帰還した?でも、確か、現在の魔法技術では帰還魔法はなかったはず。じゃあ、どこへ?

 

 そんなことを思っていると、スキル:観察が働いた。

 

 岩と思っていたのは岩石に化ける能力を持ったロックゴブリンだった。 体被はそんなに硬くないはず。

 

 それにロックゴブリンは、私に気づいてはいない。今なら殺れる!

 

「えい!」

 

 ロックゴブリンの急所に剣を突き立て、トドメを刺す。

 すると、仲間が気付き、そのロックゴブリンが此方を見るが、当然のように、私には気付かず、絶命した仲間を不思議なように見ている。

 

 そして、続けざまに殺していく。全部で36匹。多すぎでしょ。岩だと思っていたほぼすべてがロックゴブリンだった。

 

 倒した死体は、一定時間で剥ぎ取り行為を行わなければ、迷宮に吸収されてしまう。そして、新たな魔獣として復活するのだ。

 

 実際に剥ぎ取りをせずに待っていると、ロックゴブリンの死体は、迷宮に吸収されてしまった。とても不思議な光景だ。

 

 これが、人間だった場合は、何週間か死体がその場に残されるのだという。全くもって不思議な話だ。

 

 レベルが上がり、スキルが追加された。気配感知と気配遮断というスキルだ。ますますと剣士に寄っている気がする。

 

 ふと、見上げると綺麗な水晶が輝いていた。たしか、グランツ鉱石だったかな。特別な効能や効果があるわけではないが、とても高価な鉱石だったはずだ。その理由は、王侯貴族達に大人気!というくらいに装飾に気を使うご婦人方に人気があるからだ。確かに、加工したらすごく綺麗そうだもんね。でも、なんであんなに輝いているんだろ?さすが異世界だね。

 

「今の私のステータスなら、あそこまで登れるかな」

 

 そう、独り言ちると、崩れかけていた岩山を登りだした。

 そして、手が触れた瞬間、体が軽くなった気がした。

 

「へ?」

 

 そんな言葉が漏れていたと思う。目の前が明滅し、そして、白一色の世界へと誘われた。発光現象が収まると同時にバカンという音と共に壁が開き、坂上龍之介を筆頭に、男子生徒、次に女子生徒と殿だった天之河が出てきた。

 

「帰ってきた!?」

「戻った・・・・の・・・か!」

「帰れたの・・・・うぅ、戻ってこれたよー」

「おら、おまえら!地上に戻るまでが探索だ。ぜったいに気を緩めるんじゃない。おら、戻るぞ!おい、そこ座るんじゃない!」

 

 騎士団長の叱責が飛ぶ。そして、ぞろぞろと疲れた顔をしたクラスメイト達は地上へ帰るための帰途についた。その中には、気を失った高校のアイドルでもある白崎香織の姿もあった。

 

 




変更点:

・魔物→魔獣
・魔石→魔晶石
等々、色々と変更しております。

この先はオリ主だけのRPGとなります。
南雲ハジメ、ユエの登場は、だいぶ先になります。
天之河光輝達生徒達の話は変更点ないので省きます。
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