貰った力で世界最強?   作:大庭慎司

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今回は、オリジナルモンスターの名前が判明します。

そして、オリジナルキャラクターも登場します。このキャラは、元ネタはありません。今後、書く予定の小説で主人公となる予定の子です。
構想自体は、約20年前に作った子です。


09 変異その2

 倒れた少女を前にして、親ボスこと巨大な亀はその場から動かない。他の亀達もまるで足が動かなくなってしまったかのように動く事はなかった。そこには、今まで、いなかった者がそこにいて、まるでずっといたかのように自然体な形で存在していた。

 

 今まで、そこにはいなかった者、いや、気付かなかったというべきだろうが、今そこに目の前にいて、嫌でも見えてしまうのだから警戒は当然する。

 しかし、警戒をする以上にベヒモス達には震えが来ていた。

 なぜ、その震えが来るのかは当のベヒモス達にはわからないでいるが、これは、魔力波を呼ばれる物だ。それが、濃厚で濃密な圧を放っているのだから、ベヒモス達は必至に踏ん張るしかなかった。

 少しでも、力を抜けば、この平べったい体とて、軽く転がってしまうのではないだろうかという圧を受けていた。

 

 その者は、先ほどの少女に比べれば、なんてことのない程のサイズで、、、単的にいえば小さいのだ。

 だが、その少女から発するオーラを浴びれば浴びる程に、先ほど戦っていた者とは比べるべくもない程に強者であり、決して戦って良い相手ではないのだという事を感じ取っていた。

 

 今ならベヒモス達から見て後ろを向いている事から、背後からなら襲える。そんな事はわかっているはずなのに、ベヒモス達は、身動き一つ取らない。まるでガクガクと震えるだけの石像になってしまったのかと言うほどに静寂が支配していた。

 

 

「おい、生きたいか?」

 

「だ・・・れ・・・・?」

 

 

倒れていて体を起こしてもいないはずなのに、何時の間にか自分は漆黒のような闇の空間に立っていた。ただ、違うのは、目の前にフランス人形のような容姿をした少女なのだが、エルフのように長い耳と額から天を貫くようなすらっとした長い悪魔のような角を生やした少女が立っており、その者からはただならぬ気配を発しているという事だけだった。

 

 

「もう一度だけ、聞く。 生きたいか? 生きたいならば力をやろう。 もっとも、それは人ではなく人の理から外れた化け物になる力だ。 だが、それがあれば、結果的には生き残る事ができるかもしれない。 どうする、生きたいか?・・・あ、これじゃ、3度目ね」

 

 

 どのくらいだろうか、長かったのか短かったのかわからない、だけど、私は1つの答えを持っている。とにかく生きる事。それが私の親との約束。私の姿を見失ってしまうようなどうしようもない親だけど、それでも、そんな私だからと、親と1つだけの約束をした。それがどんな状況でも生きる事。それが第一方針。それは変わりのない只1つの答え。

 

だから、私は、答えに時間はかかっていないはず。

 

 

「生きたい・・・・です」

 

 

一拍の時間が流れる。少女は口を開き、言葉を繋ぐ。未来の道しるべとなる言葉を。

 

 

「ならば、これを飲みなさい。 大丈夫、体が安定するまでは、私はここにいてあなたに危害が加らないように見ていてあげる。

そこからはあなた自身が道を開けばいい」

 

 

差し出された水を飲んだ途端、体に異変が起こった。

 

 転生時に起こったかのような痛みが全身に走・・り・・・・そんな痛さではなかった、体が端から崩壊していくような、神経を下ろし金ですり下ろされているような壮絶な痛みという名の激痛が体を襲う、体が一から作り替えられていく。

 

 

「う゛・・・・がっ・・・あああああ・・・・ああぁぁぁぁーーーあーーーー」

 

 

息を吸っているはずなのに、肺の空気はすぐになくなってしまう。

 

 それに自分が溶けて自分が自分では無くなってしまう。そんな感情が溢れてきて、目から感情的な涙なのか痛みによる涙なのか、わからない物が溢れてきていて、顔がぐしゃぐしゃになっていて、ダメ、わけわからなくなる。

 

 

「強く・・・・強く・・・・自我を持ちなさい。

でないと消えるわよ。

生きたいのでしょ。なら・・・・がんばらないとね」

 

 

そんな声が痛みで朦朧とする頭に対して鮮明に直接、響いてくる。

 

 こんなに痛いなんて・・・聞いてないよ。と愚痴を零したかった。

 目の前の少女をぶってやりたくなった、抗議したくなった、だけど、口が動かなかった。声も出ない。腕も動かない。足も動かない。体も・・・。

 痛みだけを残してすべての感覚を捥ぎ取られたかのように、動かなくなった。

 

 長い時間が過ぎたような気がする。

 

 そして、私はふと目が覚めた。

 どうやら、気を失っていたのだろうか、疲れて寝ていたのだろうか、わからない。

 けど、何時の間にか立っていた。起き上がらせて貰った記憶はない。自分で立ち上がろうとした記憶もない。なぜ、立っているのかもわからない。頭が働かない。

 ただ、1つ言える事は、体が疲れ切っているという事だけだった。

 

 意識がはっきりとしてくる、しかし、私の目の前には、全身を見る事が出来るくらいに大きな鏡のような物があって、それは水で出来ていて、凄く透明度が高いはずなのに、私の全身を映し出している。

 

 黒くショートボブだった髪は、長く長く腰に届くのではという所まで長くなっており、白銀のクリーム色の髪へと変化して、所々に赤みが入った毛の束が混じった異色の髪へと変化を遂げていた。

 体は、身長は変わらないのに足がだいぶ長くなって、東洋人の体格というよりは、西洋人のような体格という感じに、腰の位置がだいぶ高くなったように感じられた。

 胸の大きさはCカップくらいだろうか、元がBカップだったから若干大きくなった感じがする。

 形は、ラウンド型と呼ばれる一番形のいいタイプの物だ。元々がスレンダー型だったから、これは貰い物かもしれない。

 

 

「これがあなたよ」

 

 

そう、答えたのは、あの少女だ。

 

 私が、その鏡に写った自分に見惚れていたのを、今の言葉で正気へと戻してくれる。

 残念だけど、私の顔の輪郭は、まったく変わっていなかったが、目だけは、黒から灰色へ変化していた。

 

 

「あなたは、私の眷属となったわ。

 

恐らくだけど、私と同じだから、力を使うと、体に赤いラインが浮かび上がると思うから、開ける衣装を着る時は注意なさい。

 

それと、もしかしたら、目も赤くなるかもしれないわね。輝く事はないと思うから、安心なさい」

 

「あの、眷属って、どういう?」

 

「私は吸血の姫よ。まあ、王様とか帝とか言われているけど。

ただし種族は、不死族ではなく魔神族。

いわゆる神様よ。 つまりあなたは亜神となったわけ。

だからといって、御伽噺に出てくるような力が使えるわけではないわ。

神にも色々あってね。 だから力はあなた自身が磨く必要があるわけ。

私はこれ以上の協力はしない。ま、がんばりなさい。

あ、それと、これは、選別よ」

 

 

そう言うなり、手元に放って来たものは、ピアスだった。

 

 

「え、え、ええ?

 あの、それって、ここの神・・・」

 

 

私は焦る声を上げて放り投げて来たピアスを受け取りつつ、疑問となった事を口に出してしまうが、それがわかっていたかのようにクスリとわざとらしく笑うと、説明をしてくれた。

 

 

「まずは、そのピアスはジュビという種族。高位異性生命体が作り出したインターフェースユニットであなたの視覚サポートをしてくれるわ。

 

例えば、

あなたと対峙する魔獣の弱点や部位の弱い場所。

調べて予め情報を持っていれば剥ぎ取りした方がいい場所等を指示してくれる。

他には、疑似戦闘シミュレーションをして、あなたの勝率を上げてくれる機能等がある。尤もこれも、あなたの運動能力次第で、出来るとは言わないから、参考程度にしておいた方がいいわね。

 

すべて、あなたの脳を介して行うから、外では瞬きをしているかのような時間しか経たないから、便利なはずよ。

 

それと、神様の件は、私はこの世界を管理している神ではないわ。

神にも色々と種類があって、私は旅行者なのよ」

 

 

 この世界を管理している神ではないことを聞くと、特に重要でもないと、軽く考えて、自分の耳にピアスを取り付けた。人生初のピアス穴なわけだが、なぜか痛くなかった。

 このピアスはイヤリングのように挟むタイプになっており、挟まれると自動的に穴を開けて、互いが繋がって外れなくなるのだ。

 

 一瞬、ぐらっと来るがすぐに脳がクリアになったかのような感覚に囚われて、視界に何やら色々と表示された。

 

 まず、左上に、自分の魔力値が数字とグラフバーで表示された。

無意識下では、魔力を用いるスキルとその使用魔力量が一瞥でわかるようになった。

 その下に、今自分の状態を示すアイコンが並ぶ、そのアイコンの意味もなぜかわかってしまうのだから不思議な感覚を覚える。

 

 左下に自分のステータス詳細を見るボタンが、右下に自分の持ち物を見るボタンがある。

 習ってもいないのにどうすればいいのかがわかるのも、やはり不思議だ。

 

 

「あるじさま~!!」

 

「へ?・・・・・・わわわわっ」

 

 

 いきなりの事に対処できずに慌ててしまう。飛び出てきたのは、エルフに羽を生やしたような少女。いわゆる妖精とか精霊とかそういう感じの姿をした子だった。それを外で見ている少女はクスクスとやっぱり笑っている。

 

 

「言い忘れてたわ。それにはマスコットが付いているのよ。あなたをサポートしてくれるわ。名前をつけてあげると懐くわよ」

 

「え、え、ええーーー、そ、そんな急に言われてもぉ~」

 

 

 私は、突然、マスコットに名前を付けろって言われて、焦った。うーんとうーと、考えに考え抜いて出した答えは、家で飼っている犬の名前を付ける事にした。当然といえば、当然であるが、その犬も私を見失う・・・・というか、居ない物として見ていたから、家族優先順位から見たら最下位だった。なんか無性に腹立たしいけど。

 

 

「じゃぁ、スーキーで」

 

 

鈴木だからスーキー、超安直な名前です。

 

 

「わーい♪あるじさまぁ、名前登録ありがとうございますぅ~。これから私はスーキーです」

 

「いいんじゃない?」

 

 

 視覚ユーザーインターフェース内の妖精は、目をウルウルとされて喜んでいる。そして、目の前の少女は相槌を打った。

 

 だが、そこで、洞窟が揺れて、私は、現実へと引き戻される。

 

 そして、目の前の人・・・いや、主様の名前が表示されていた。

 

 

「ゆ・・・み・・・る・・?」

 

「ああ、私の名前、わかっちゃいましたか。これは失策」

 

 

 目の前の少女:ユミルの疑似ステータスが表示されるが、ほとんど文字化け状態で見る事が出来ていない状態だった。視覚内に映る予想される予想体力値も予想魔力値も出鱈目な数値を示していて、嘘か本当かなんてわからない。

 すべての数値が9桁以上で振り切っている状態なのだ。それが本当なら、私は、ここでこうやって話していてもいい存在なのか、いや話す事自体がおこがましい事だとすぐにでも気付く存在だった。

 

 

「だいぶ、力を抑えているんだけどね。 やはりこの惑星(ほし)には悪影響が出ているかな。場所柄、大丈夫だと踏んだのだけどな。

 

 そうそう、そのピアス型インターフェースには、異空間に物を収納できるイベントリが内臓されているから、使うといいわ。便利よ。

 いわゆるアイテムボックスってやつね。

 

それから、もし、壊れた時は、一定時間で修復されるから安心なさい。それと・・・まあ、これはいいわね。なんでもないわ」」

 

「まあ、それよりも、上手くいって良かったわ」

 

「え、、、、、上手く?」

 

「ええ、あなたに施した施術は、失敗する可能性もあったのよ。本来は私が直接、噛みついて転生させるんだもの。

簡易的な方法でも成功すると分かって安心したわ」

 

 

 混乱する私に、笑顔で話しかけてくるユミルという名の少女は、徐々に体が薄くなっていく。

 

 

「当たり前じゃない。私に利益のない事を誰がすると言うのよ?ふふふふ・・・・」

 

「ちょっ!!」

 

 

 私は声を上げた途端、完全に現実に引き戻された。

 

 少女は何処かへと消えていて、私の体にはいつの間にか回復魔法がかけられたかのように、なんの痛みもなければ、なんの疲れも残っていなかった。

 

 最後に言葉を残していたらしく頭の中には、「また、どこかでね」という言葉だけが残っていた。恐らくはまた、どこかで会えるという意味だろう。

 

 そして、目の前で固まっていたかのように、、、、いや、実際に固まっていたのだろうけど、巨大な亀の親子達の名前が表示されていた。

 親ボスこと口からレーザーを吐いてきた亀の名前は「ベヒモス変種」と書かれている。

 一回り小さい、自分をここまで落としてくれたジャンプしてくる亀の名前は「ベヒモス」と書かれていた。

 

 ベヒモス達は、謎の少女であったユミルが去った後、やれやれと交互に首を振りながら安堵の表情を浮かべた後、私の方へ顔を向けてきた・・・と、私には見えた。

 

 

 




前回は、すいませんでした。
緊急の入院です。
病名:夏バテ
暑さでバッタんきゅ~しました。
この頃は毎年の恒例行事になっております。1週間の入院で10万円が飛んでった。

室温40度はさすがに無理でした。2リットルの水(塩分込)を何回飲んでもトイレに行かない日が続きました。生活できるとは思えない。

※庭先に室温計を置いた所、50度まであるメモリを振り切りました。実際は何度なのでしょうか。
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